「提督?」
……なんだ、寝ちまってたのか?
休みが終わっちま……って……
「誰!?……だ?」
誰だこの美女!?
「おはようございます、提督。
提督は元気ですね」
「お、おはよ、う……」
違う。うちのおかんはこんな美人じゃないし、こんなに若くもない。
つーか、こんな若い女は、うちにいるはずがない。
なんか体に違和感がありまくるんだが、そんなことは後回しだ。
とりあえず……
「……提督って?」
「提督は、提督です。
こうしてお話できて、榛名、感激です!」
「榛名……提督……艦これ……?」
「はい、提督。
ここは艦隊これくしょんに似ている世界、との事です」
榛名……うん、あの肩見せ赤ミニスカ巫女服は、確かに榛名の服だな。髪飾りや紐から判断して、改二の。
本のようなものを持っているし、艤装は身に着けてないようだが……あれ? 起きた時の体勢って、よく考えたら膝枕じゃ……
えーと、こんな時は、あれだ。何が悪いかわからないが、謝っとくに限るだろう。
「とりあえず、すまん。
さっきは膝枕してくれてた……んだよな?」
「はい、提督。
もしかして、迷惑だったのでしょうか……」
「いやいやいや、そんな悲しそうな顔をしないでくれ。
むしろご褒美なんだが、なんというか、嬉しすぎて申し訳ないというか……」
「それでしたら……説明した方がいい事がまだありますし。
その間、また、どう、ですか?」
どうしてそこでちょっと恥ずかしそうに誘うんだ。
断ることの罪悪感で申し訳なさを押しつぶしてくるとは……榛名、恐ろしい娘っ!
というか、巫女服とハイニーソと絶対領域の魅力ががががが
「じゃ、じゃあ……」
じゃあじゃねぇだろ俺ッ!
榛名はすげー嬉しそうだし、引っ込みつかなくなっちまったしっ!
ああ……太ももがすべすべなんじゃ……って。
「えーと、なんで髭を撫でてるんだ?
というか、なんで髭が生えてるかわかるか? 普通に剃ってたはずなんだが……」
「あ……その、触り心地がいいといいますか、幸せな気分になれるといいますか……」
「おーけーわかった、モフモフみたいなもんだと思えばいいんだな。
って、そんな悲しそうにしないでくれ。このままでいいから、説明を聞いていいか?」
「はい、それでは。
先ほども伝えましたが、ここは【艦隊これくしょん】に似た世界、だそうです。
世界には【提督】とその配下の【艦娘】、同様に陸軍に相当する【将軍】と配下の【隊息】がいるようです」
「たい、むす?」
「はい。部隊と息子を略したと思われる、だそうです」
提督、艦娘はわかる。将軍もわかるけど、隊息て。
なんか男しかいなさそうな名前だが……そうなんだろうなぁ。
「えーと、その情報は……その本か?」
「はい。【提督ギルド】発行の【異世界からの提督向け資料 初級編】と書いてあります。
世界には提督と将軍を合わせて1万人以上いて、今回は200人くらいの提督が異世界から移動してくる予定だそうです」
「200人……しかも今回は、なのか。
なんかそれなりに大ごとになってそうだけど、どうして召喚なりしたのかも書いてあるのか?」
「神の技のようなものであり、人為的なものではない、となっています。
おおよその日時と人数が神職系の称号持ちに言い渡されるため、提督ギルドが受け入れやその後の対応を行っているだけだと」
「神の技、ね……」
権力者やらの暴走ではない、と主張してるわけか。
称号について、調べてみるべきか……
「続けますね。
艦隊これくしょんの鎮守府に存在するような施設は原則として、ここ【鎮守宝珠】の中に配置することになります。
鎮守宝珠はある種の小さな世界を生み出すもので、MMORPGにおけるプライベートエリアのようなものと考えて間違いありません」
「そりゃすげーな……原則としてってことは、施設を外に作る事も不可能ではないのか?」
「宝珠の力で作る場合や、必要な入渠設備などは、宝珠の中や宝珠の力が届く範囲である必要があります。
寮や食堂といったものは普通の建物でもよいですから土地などが確保できれば立ててもらう事も可能ですが、立地条件の良い場所に空きはそうそうないそうですし、移動時間などを考えると離れた場所は避けるべきです」
「そりゃそうか。
要するに、鎮守宝珠ってのが提督の肝になるんだな」
「はい、提督。
鎮守宝珠が無くても艦娘との……っと、鎮守宝珠の前に、私達艦娘について説明しますね。
私達艦娘は、ある種の精霊や付喪神のようなものだと考えるのが、最も近いようです。建造や海域捜索を行う事で艤装を得られるのですが、それ用いて行う契約の儀式に成功することで、艦娘として存在できるようになりますから」
「ええと、ちょっといいか。
なんだか作ってるようなイメージに聞こえるんだが」
「
提督は生み出してくれた人にあたりますので、そうですね……家族のような親近感もあります。
思考や感情としては独立した存在ですので、関係の変化は人の場合と変わらないですけれど」
要するに軍艦の付喪神と契約したのが艦娘で、契約の際にこっちの情報も持っていくってことでいいのか。
んで、契約に成功すると、って言ってるから失敗もあるってことなんだろう。要するに相性やらの問題で契約できないパターンもある、と。
「なお、艦娘と契約した提督は、隊息とは契約できません。逆もそうですね。
ごく一部の例外を除いて、海軍と陸軍の、どちらかの戦力しか持てないそうです」
「例外って……陸戦とかまるゆとか?」
「はい。提督と将軍の区分けは、活動領域の違いで行われているようです。
将軍が契約できる隊息に外洋向きの船はないそうですし」
「なるほどねぇ……」
「妖精については……妖精さんのする事だから諦めろ、と書いてあります」
「……What?」
「妖精の能力は多種多様で、艤装の修理や装備の操作など、色々なことが可能ではあるのですが、勝手に増えたりすることもあるため、契約などで縛らないと宝珠から外に出してはいけないそうです」
「…………衰退しますた?」
色々な能力持ちで勝手に増えるって、それでいいのか?
艦これでも、建造ドックや装備とかにいるし……建造で何ができるのかわからんのは、妖精の仕業ってか。
「時間がかかりますし、増殖も条件があったり緩やかだったりするそうですが、何かあってからでは遅いための予防的措置だそうです。
契約しなければ勝手に消えたりもしますし、提督が思う妖精さんほど危険ではないそうですよ」
「そうか、それなら……って、そういや、俺は榛名と契約した状態で、榛名が俺の情報を持ってるから元の世界の言葉で説明できる……って事でいいのか?」
「はい、提督。
提督の事をたくさん知ることが出来て、榛名、幸せです!」
「ああ、うん。なんでそういう説明になってるのか、理解した」
というか、膝枕状態で髭を撫でられながら幸せと言われるって、気恥ずかしいなんてもんじゃないんだが。
口先じゃなくて、本気で幸せそうなんだよなぁ……
「細かいとこは後回しにするとして、そろそろ宝珠の説明に繋がるのか?」
「はい。
鎮守宝珠は、契約した艦娘の中から条件を満たす1人を、秘書艦……宝珠の管制役や核のようなものとして契約する必要があります。この際に提督の存在が書き換わる事があるので、ある種の博打とも言われているようです」
「つまり、俺の鎮守宝珠は、榛名が核になってる……って事になるのか」
「はい。過去の転移ではケッコンカッコカリしている艦娘が1人、またはごく少数だけの提督しかおらず、その中で最もレベルが高い艦娘が鎮守宝珠の核になっていたそうです。
現状を見る限り、想定されている状況から外れていないと思えますね」
「つまり……大量の艦娘とケッコンしてたり、重婚前提で先にレベルが上がった艦娘からケッコンしてたりした場合は……」
「前者は転移の対象外となるようですので問題ないのですが、後者はギスギスした状態になる可能性があるため要注意、だそうです」
「そうか……」
……うん、よかった。榛名との単婚で、本当に良かった。
こっちどう考えても平和な世界じゃないし、対象外の方が良かったかもしれないと思わなくもないけど、幸せそうな榛名を見ちまうと良かったとしか思えん。
「……って、存在が書き換わる?」
「種族まで変わることはそれほど多くないそうですけれど、ほぼ全ての場合で寿命が延びたり、病気にかかりにくくなったりするようです。
提督や将軍も宝珠と一蓮托生となるので、その影響のようです」
「一蓮托生って……マジ?」
「はい、本気と書いてマジ、です。
提督の死は、鎮守宝珠と榛名……秘書艦の消滅と同じです。逆も同じですね」
「俺が死ねば榛名も死ぬ、榛名を死なせたら俺も死ぬ……か」
「もちろん、契約している艦娘の消滅も含みます。
秘書艦でない艦娘の死は、提督や榛名の死に直結しませんけれど」
「マジかー……」
「ですので、提督や秘書艦が外を出歩かれる出る時は、護衛を付けることが推奨されています」
「……榛名も出ない方がいいなら、他の艦娘はどうやって集めればいいんだ?」
「普通は、複数の艦娘と契約してから鎮守宝珠との契約に臨むそうです。厳密に言いますと宝珠と契約していない提督は準提督と呼ばれ、提督に含まれない事もあるようです。
異世界からの提督は、秘書艦を含む20人を上限にレベルが高い艦娘が契約済み、それ以外の艦娘はレベルが10以上であれば艤装と【艦娘の魂】……記憶や経験をある程度保持したものが倉庫に入っているそうです。
榛名が覚えている限り、実際に倉庫にあるものと相違ないみたいです」
「なら、最低限は大丈夫……って、ちょっと待ってくれ。
レベルの上位から20人まで、だと……」
「はい。提督は、榛名を大切にしてくれていたのですね。
あ、あるレベルで20人を超える場合、そのレベルの艦娘は全員が対象外となるそうです。ですので、レベル99の艦娘が20人以上いる場合は秘書艦しかいない状態になってしまいます」
えーと……ケッコン済み榛名が1人、秘書艦になっている。これはいい。
その次は、レベル99から……レベル96がレベルソート3ページ目までいってたはずだから、対象外になるってことだよな。要するに、レベル97まで。
榛名が4人と羽黒が3人いるのは間違いないし、他も戦艦や重巡が多いはずだから、艦娘との関係とか消費とか、やばくね?
「提督は多くの艦娘をお持ちでしたし、足りない艦種も契約で補うことができます。高速建造材を使えば契約に必要な時間も短縮できるそうですし、契約できる余力もあります。受ける事ができる任務の内容や建物などを確認してから追加を考えてはどうでしょうか」
「えーと……艦娘を養うのに必要なのは、食事とかなのか?
それとも艦これ的な資材とかなのか?」
「あ……そ、そうですね。
私たち艦娘は精霊のようなものだという事はお話ししたと思いますが、ある種の魔法的な存在ですので、純粋な物理的なものの影響はあまり受けません。戦闘力の維持という意味では、艦隊これくしょんの資材に近いもの、具体的は燃料や弾薬といった概念が詰まっているものがあれば維持できます。
食事などはやる気などの面で大きな意味がありますし、妖精は食事が必要です。もちろん、提督自身も食事が必要になります」
「ってことは、食事をどうするか考えるためにも、収入がどうなるのか早急に調べないといけないのか……」
提督が大勢いるってことは、無条件の収入はないと思った方がいいだろうし。
深海棲艦の撃退とか護衛とかを請け負う対価に収入を得る形か? 提督ギルド……うわ、冒険者ギルドと冒険者的な関係だと、なんか世知辛い状態になりそうな予感が。
そうなると、最初からいる艦娘の内訳ってめっちゃ重要なのでは……
「その辺は提督ギルドが仲介や調整して、ある程度の収入が得られるようにするようです。融資制度などもあるそうですし、やりくりが下手な人には指導や管理する人の派遣なども行うそうですから、安心ですね」
「国やギルドとしても、提督の経済的な破綻は避けたいって事か……まあ、戦力の維持って意味では当然だな。
間接的な監視や支配かもしれんが、そうならないように注意すれば大丈夫そうか」
「それに、収入は大丈夫です」
「確信できるレベルで、なのか?」
「はい。提督は榛名との契約の結果、真祖の吸血鬼になっています」
「……なんて?」
「真祖の吸血鬼、です。
あ、その前にドワーフでもありますから、称号は【存在/真祖の吸血鬼/ドワーフ】という記述になります」
「へ、へー……」
そっかー、この髭はドワーフだからかー。
今は昼だけど何となく体が重い気がするのは、吸血鬼だからかー。
でも不具合があるとまでは言えないのは、真祖だからかー。
……なんでこうなったっ!? 肌の色を見る限り病的なタイプじゃないっぽいからマシそうだけど、艦これどこいった!!
「提督と契約している榛名達は、提督の眷属になるみたいです。
夜目が効くなどの夜間戦闘に向いた能力が付くはずですから、危険性と報酬が高い夜間の哨戒任務などを受けやすくなるはずです!」
おかえり、艦これ……って言っていいのかこれ。
吸血鬼の眷属扱いの艦娘が夜間戦闘向きになるってことは、吸血鬼やらがゴロゴロいない限りはいい特色になりそうって事だよな。空母が夜でも艦載機を飛ばせるようになったりしたら、ものすごい事になるのではなかろうか。
っと、これは先走りしすぎか。
「とりあえず、他の人よりもリスクを抑えた状態で高額依頼を受けられる、って事になるのか」
「逆に昼間は能力が落ちやすいので、通常の依頼の危険性は上がってしまうのですけれど。
昼と夜の危険性の差が報酬の差よりも小さいので、任務の奪い合いが起きにくい夜間任務を中心に受けたほうがお得ですし、収入を確保しやすい、はずです!」
「なるほどなぁ……
ところで、俺の称号ってどうやって調べるんだ?」
「鑑定系の能力や魔法で調べられるそうです。
榛名は秘書艦ですので、鎮守宝珠の中にいる人の情報も少し知ることができます。その力を使って、提督の秘密を覗いてしまいました……」
「へー、そういう能力があるのか。
悲しまなくていいんだが、それって、他の能力……称号ってのか? それも見れるのか?」
「そうですね……例えば榛名に【存在/秘書艦】【存在/真祖の吸血鬼の眷属/艦娘】【魔法/魔法】といった称号が付いている事はわかります。
ですが、その実際の内容や詳しい効果まではわかりません……同じ記述でも内容が異なる場合もあるそうですし」
おおう、榛名が魔法使いっぽい感じになってる、のか?
何か名前がおかしいし魔法がどんなものなのかわからないけど、これも有利になりそうな感じがするぞ。
「なるほどな。俺の称号って、他に何があるかわかるか?」
「異世界から来た提督に必ず付くとされている【存在/異界の提督】があります。
他に、【魔法/魔法】と【生成/丼飯】と【生成/酒】と……それと……その……」
ふむ、異世界人って事を隠すのは不可能、と。てか、なんか結構ついてるのは神が関わってるせいなのか、それとも提督になったせいなのか。
というか、言い淀む何かもあるみたいなんだが、なんつーか、言い辛いというよりは、恥ずかしがってるのかこれ。
「あー、何か言い辛いのでもあるのか?
害がないようなら、別にいいが……」
ん? 榛名の様子だと、持ってるのを知られるだけで恥ずかしがられる可能性があるのか?
鑑定とかで割と簡単にばれるなら、名前だけで害がある称号を持ってるって事に……
「称号の内容や効果自体は、特に問題があるものではないはずなのですが……その、名前が……【生成/ふりふりぱんちゅ】……なので……」
「ふりふり……ぱんちゅ?」
なにその公開処刑。
え、なに、髭面のドワーフがふりふりのパンツを生み出すってこと? 絵面マジヤバくね?
これはあれか。憲兵さん俺です案件なのかこれ。
「あ、いえ、称号は本人の資質に関係ないそうですし、ぱんちゅが女性の下着だと確定しているわけでもないですし、提督が下着好きだと思っているわけではないのですが、ふりふりしている下着がどの様な物か想像してしまいまして、もし榛名が提督からプレゼントされたら着てしまうのではないかと考えるととても恥ずかしいのですが提督には榛名のことをもっと知ってほしいですし提督に喜ばれたら嬉しいのでやはり一番喜んでいただけるのは提督も殿方ですから見たり触れたりする事ではいかと思うのですがそうなってしまうとその先も望まれてしまいそうですし提督と艦娘がそのような関係になるのは色々な障害があるといいますか性的な行為はできなくはないのですが演技になってしまうので失礼なのではないかと思うとやはりそうならないようにした方がむしろ最初からそうならないように断ったほうがいいのかもしれないのですがそれでは残念ですしやはり榛名たちの事をよく知っていただいてからの方が「ちょ、ちょっとストップ! なんかものすごい事まで口に出てる!!」……あ」
なんか色々とやばそうな内容がダダ漏れになってた気がするし、とりあえず止めないと色々とヤバい! 手遅れのような気がとってもするが……真っ赤になって固まってる榛名もかわいいなぁ。
現実逃避なのはわかってるけど。
とりあえず、違う話題は、何か……ああ、あれがあった。
「な、なあ、榛名。
そろそろ、他の艦娘にも挨拶しときたいんだが……」
「あ、そ、そう、ですね。
ええと……食堂の方にいるようですので、そちらへ案内します」
「ああ、頼む。
……ところで、髭を握られてたら、動けないんだが……」
「あ……は、はい。
提督のお髭がなくても、榛名は大丈夫です!」
いや、その条件が出る時点で十分あかんやつや。
……と無茶苦茶突っ込みたいけど、また話が進まなくなるんだろうなぁ。
所持艦娘や装備などについては、私の鎮守府の状態(2017/9/12=夏イベ終了時点)が基準です。
自分の鎮守府の状態を容赦なく晒すスタイル。やだ……性癖がばれちゃう……(〃ノωノ)
※主人公の設定や艦娘の性格などに関しては違います。違いますからねっ!