今日は、10月11日、至って平凡な休日だ。俺も高校を卒業し、大学も今は三年目だ。高校卒業と共に、ハルヒの能力は失われたが、長門は「人間の感情が自律進化の可能性を秘めている可能性があるとして、情報統合思念体はインターフェイスを継続して配置する事を決定した。全てはSOS団、そしてあなたのお陰。」と、俺の事を過大評価とも取れるくらいに褒めてくれ、今もあのマンションに住んでいる。
朝比奈さんはと言うと、「未来は固定化されました。ですが、未来と今現在を繋ぐパイプラインは殆どありません。私はこの現在と元いた未来を繋ぐ、駐在員として滞在します。」といった。容姿は朝比奈さん(大)に似てきており、可愛い…という感じではなく、もっと大人の美しさが出てきている。
古泉はというと、「涼宮さんの能力が消失されたとは言え、我々に対抗する組織が居なくなるわけではありません。今も日々、頑張っていますよ。」といった。気障な営業スマイルは健在だが、昔の出会った当初に比べたら自然な笑みだ。
その、当人であるハルヒはと言うと、俺と未だに付き合っている。というよりは、同棲している。今はまだ大学生で、結婚なんか到底無理だが、二人でバイトした金を生活費などに当てている。
そんな生活をしている為、車は未だにあのアクティのままだ。だが、調子が悪くなるどころか、25万キロを突破した今でもできる限りのメンテナンスをしているので、すこぶる調子がいい。
ああ、言い忘れていたが、俺は大学では自動車に関する事を学んでいる。
それが高じて、今では個人で出来る範囲の整備は自分でやっている。まあ、店に出す金が無いからというのが一番の理由だが…。
そんなある日、ハルヒに頼まれてお使いに行っている最中の出来事だ。
窓を開けてタバコを吸いながら幹線道路を走っていると、携帯が鳴り始めた。相手は古泉だ。
「もしもし?古泉、元気にしてたか?」
『お久しぶりです。ええ、お陰様で。今日は少しお誘いをと思いまして』
「ん?なんだ?今俺はハルヒの使いで隣町のホームセンターに向かってるんだが」
『いえ、実はですね、今夜8:00に集合して、キャンプ場にいきバーベキューでもしようと思いまして、鶴屋さんや朝比奈さん、谷口・国木田の両氏もお誘いしたところ、快諾して頂けたので、あとはあなた方お二人だけなんです。実はこの企画、有希が提案してきたんです。久し振りにみんなと会いたいということでね。』
ああ、言い忘れていたが、長門と古泉は付き合っている。
「ほう、そうか。長門も益々人間っぽくなってるんだな。わかった、ハルヒには電話しとくよ。ところでどこのキャンプ場だ?」
『北口駅から車で20分程度の、甲山森林公園の近くです。北口駅に集合して、そこから各々車で行こうと計画しています。』
「そうか、確かお前のところの車そんなに荷物詰めなかっただろう?そんなに人数来るなら、うちの車にでも積んでいこうぜ。」
『そんな、とんでもない!僕達から誘ってるのですから、荷物くらい大丈夫ですよ。』
「いいって、俺も楽しみなんだ。みんなに会えることがさ。だから、そのくらい働かせてくれよ。」
『本当に貴方という方は…分かりました、では買い物が終わり次第、連絡を下さい。準備しておきますから。』
「おう、任せろ!」
古泉との電話を切ったあとは、迷わずハルヒに電話を入れた。
「もしもし、ハルヒか?」
『そうだけど、どうしたの?まさか買うもの忘れたわけじゃないでしょうね?』
「ちげえよ。古泉が久し振りに電話を掛けてきたんだ。今晩、北口駅の近くにあるキャンプ場でバーベキューでもしないかってな。」
『へえ〜。いいじゃない!』
「だから、準備しといてくれ。俺は買い物が終わり次第、古泉の家に寄るから。」
『わかったわ!』
ハルヒとの電話を切った直後に、ホームセンターに着いた。
あれ?何買うんだっけ。
俺はハルヒに再度電話をし、怒られながらも買う物を教えてもらい、怒られながらも電話を切ることに成功した。怒られてばっかだな。まあいいや。
目的の品を買い、車に乗り込んでエンジンを掛け、俺は古泉に電話をする。
「もしもし、古泉か?あと十分くらいで着くと思う。隣町って言ってもそんなに遠くなかったからな。」
『ああ、そうですか。こちらも準備は整いました。いつでもオッケーです。お待ちしていますよ。』
そういえば、ハルヒはなんで虫除けスプレーを3本買うためだけにわざわざ隣町まで行かせたんだろうか。こんなの、近所のスーパーとか薬局でもいいと思うのだが…。まあ、ハルヒの考えることだ。気にしないでおこう。
さて、タバコのストックを切らしたことに気付いた俺は途中コンビニにより、3箱ほど補充していった。これで、一週間は持つだろう。
そんな寄り道をして、30分ほどで古泉の自宅アパートに着いた。適当に邪魔にならなさそうなところへ車を止め、呼び鈴を鳴らしに行った。
ピンポーン
『はい。』
「俺だ、荷物引き取りに来たぞ。」
『分かりました、下で待っておいて下さい。』
「…?ああ、わかった。」
仕方ないので、俺は車のテールゲートを開けてタバコを吸いながら待機していた。
「お待たせしました、こうして顔を合わせるのも久しぶりですね。」
「よう、古泉。じゃあ、早速だが荷物積むか。」
「ええ、そうしましょう。」
俺は荷物を積みながら古泉に疑問をぶつけてみた。
「そういえば、長門はどうしたんだ?」
「ああ、有希なら買い出しに行ってもらってます。」
「そうか、何を買ってくるのか少し楽しみだな。」
荷物積み終えたので、エンジンを掛けギアをドライブにいれ、ゆっくりと進みながら古泉に軽く挨拶をしてその場を去った。
買ってもらいっぱなしも悪いし、ハルヒと少し買い出しに出かけるか。
家に帰ってきた。ハルヒが置き手紙を残していった。その内容はこうだ。
「ちょっと出かけてきます。夜に北口駅で落ち合いましょ」
という、通達文書だった。仕方ないので一人で行くか。
キュルルルルルル ヒュイーーン
やっぱり、10月にもなるとエンジンも調子良く掛かってくれる。流石だ。
さて、今日は少し遠出して、いつもとは別の、神戸市内にあるコストコにでも行くか。時間はたっぷりある。
さて、買い出しを終えた。クーラーボックスに食品や飲み物やらを入れ、俺は北口駅へ向かった。
みんな、お待ちかねだ。
「よう、待たせたな。」
「遅いわよキョン!」
「すまんな。」
「お久しぶりですぅ」
「お久しぶりです、朝比奈さん。」
「…久し振り。」
「よう、長門、元気にしてたか?」
「やあやあ少年!いや、青年!いい男になったねえ!お姉さんめがっさうれしいっさ!」
「鶴屋さんも相変わらず元気ですね
「よう、キョン。久し振りだな。」
「よう、谷口。チャック閉めろよ。」
「やあキョン。久しぶりだね。」
「よう、国木田。お前も相変わらずだな。」
さて、みんな揃ったところでそろそろ行くか?
「ええ、そうしましょう。」
各自、車に乗り込み出発した。
さて、キャンプ場に着いたのだが、皆様子がおかしい。ソワソワしているというか…。
まあそんな事はどうでもいいやと、炭を起こしつつ考えていると…
パーンっパーンっパーンっ!!
と、クラッカーが一気に俺に向け放たれた。
なんだなんだ?
『ハッピーバースデーキョン!』
…へ?
呆気を取られた。なんだなんだ?
ああ、そうか10月11日だから俺の誕生日か。
「あ、そうか。今日は俺の誕生日だったのか。」
「あんた、自分の誕生日すら忘れるとはまあ…。なんというかアンタらしいわね…。」
どういうことだよ…おい。
「キョンくんっ!みくるや有希っ子やハルにゃんと一緒にバースデーケーキを作ったっさ!ちゃんと食べないとだめニョロよ〜?あっはっはっはっ!」
「鶴屋さん、朝比奈さん、長門、そしてハルヒ、ありがとうな。」
「キョンよ〜、お前、確か自分で車いじってたよな?」
谷口だ。
「ああ、そうだが。」
「よし、今度からこれ着て作業しろよ?」
そういって谷口が渡してきたのは、つなぎだった。
「お、おう…ありがとな、谷口」
「おうよ!」
「キョン。僕からはコレだよ。ローマ字でKYONって入れたZIPPOなんだ。」
「…こういう時くらい本名を入れてくれよ…国木田…。だが、ありがとな。大事に使わせてもらうぜ。」
「みんな、俺のために態々ありがとうな。よーし、今日は盛り上がるぞ!」
『おー!』
そこからは、食って呑んで歌っての大騒ぎだ。ああ、キャンプ場といえど今日は貸し切りだ。機関の力…ってやつか?
「貴方には感謝してもしきれないですからね。SOS団に入り、あなたと出会わなければ、僕は損得勘定で、すべてを判断する人間になってたと思います。それに、涼宮さん…そして、世界が安定し、僕達SOS団が一緒に居られるのは貴方のおかげです。これは、機関としてもそうですが、古泉一樹個人としての御礼ですよ。」
「…ありがとな、古泉。今度、飲みに行こうぜ。」
「ええ、行きましょう。…………ところで、タバコ持ってませんか?」
「うーん。ああ、あった。ほれ。」
「有難う御座います。」
そんなこんなで、俺達は一夜を騒ぎながら明かしたとさ。
ーENDー
と、したいところだったが、次の朝ちょっとしたハプニングだ。
「よしハルヒ、そろそろ帰るか。」
「そうね、じゃあ皆、またね!」
キュルルルル…
あれ?エンジンが掛からない…?
おかしいと思い、恐る恐るライトスイッチを見ると、恐ろしくもライトスイッチはスモールの位置を指していた。
「あ、あは…あははははは。バッテリー上がっちゃったみたいだ…」
「何やってんのよバカキョン!!!」
ー本当のENDー
はい、オチを考え付かず有り触れたバッテリー上がりオチに無理矢理してしまいました。涼宮ハルヒのいぬかみっ!の方も無事、2話の方を順調()に書き進めております。良ければそちらの投稿済作品をご覧ください(露骨なステマ)