「あの機動力が本来の力ではないって本気で言ってるのですか?」
国の研究に在籍する研究員が声を上げる、俺は朝早くからテストぬ向けての打ち合わせに参加している最中だった
「本来はパワータイプですね、変形によってパワーを機動力に移行してるという表現になります」
「なるほど・・分かりました、今回は最初の相手が相手ですし20%程度から始めましょうか?」
「そうですね、殿下のパワーを考えると18.238%だから20%程度にしておくのがベストですね」
「昨日のテストでさえフレームに歪みが見られましたから、今回は30%を目途にしないと危険です」
「なるほどと言う事はファンネルのテストは無理ですね」
「ファンネルと言うのは何です?」
「固有武器ですね相当のパワーを要するので今回は見送ります」
「ちょちょっと待ってください、聖機人に武器が装備されているのですか?」
「ええ、そう大した武器ではないので、今回は外付けの武器を使うんで問題ないです」
「そのファンネルに使うパワーはどれくらい必要なんです?」
「最低でも半分以上・・60%は居ると思います」
「みたい気もしますが仕方ありませんね」
「では予定通りの時刻からでいいですよね?」
「はい、よろしくおねがいします神子様」
打ち合わせが終わり、ゆっくり食事をしているとフローラ殿下が俺とユキ姉が食事をしている場所へ来る
「聞いたわよ!どう言う事なのよ!!」
「何がです?」
「ファンネルって武器を持ってるって言うのにテストには使わないって!研究者達も見送るって言うし納得できないわ!」
「あーそれですか、テストでいきなり大破させるわけにはいかないでしょう、修理だって無料じゃないんですし、次回設計を見直して強化した後にテストを再開するで纏まってるんですから諦めてください殿下、それに無しでも十分強いですよ?俺のクシャトリアはね」
「クシャトリア?」
「俺の機体に名前を付けたんですよいけませんか?」
「そ・れ・よ・り・も!」
「無理ですね本国からもう少しマシな機体を用意してもらわない事には」
「壊れてもいいから使いなさい!命令よ!!」
「研究者たちはそれに対してどう答えたんです?いい負かされたから俺の所に来たんでしょ?」
「いいから!」
「じゃ~殿下が俺を追い詰めたら使います、俺を追い詰められなければ使いませんどうです?」
「流石シスイちゃん分かってるじゃな~い」
満足したのか殿下はニコニコ顔で何処かへ行くのだった
「いいの?」
「殿下のデーター見たけどまず無理だから、姉さんも頑張ってね応援してるから」
殿下は確かに強い、それは一般レベルでの話だ恐らく数字だけ見るならユキ姉の方が上回ってるし戦ってる記録も拝見したけどまぁ~問題ない
「はははは・・対戦相手に応援される私って・・」
そして予定道理の時刻にテスト起動が行われ、卵の状態から一気に上昇して変形すると、周りから様々な声が聞こえて来る
「へぇ~シスイちゃんのクシャトリアって綺麗ね」
「それ名称確定ですか?」
「貴方が決めたんだし問題ないわ」
合図と共に、向こうから突撃をしてくる、当然フェイクであり、そんなのは記録を見た時から分かってる、この人は脳筋に見せかけて色々と黒々してるのだ
フェイクじゃない可能性もあるので丁寧にかわそうとすると、機体の体重を完全に乗せてないのに気が付き尻尾で次の攻撃を薙ぎ払いそのまま距離を取る
「なかなかえぐい攻撃ですが、機体の動きでフェイクがバレてますよ」
「あらそんな事言われたのは初めてなんだけどなぁ~」
俺は大剣を構えて直線的に相手に向かい振りかぶる、当然相手は俺に剣を突き刺してくる、普通は剣で受けると言う選択肢などもあるが、殿下の攻撃の基本は突きにあるのを知ってる俺は、うまくバランスを取って横蹴りを食らわせると面白いように吹っ飛ぶ
吹っ飛んだ所を一気に距離を詰めて追い打ちを狙う、機体の体制を立て直せないままの直撃で地面に叩きつけられる殿下の機体
そのまま俺は距離を取って
「これで終わりでいいです?」
「何を言ってるのかしら?準備運動がようやく終わった所じゃない」
どうやら負けず嫌いな様で、一気に俺に向かって突きの構えで向かって来る攻撃を大剣でさばいて行く
「攻撃が単調になってます、子供にやられてムキになるのは分かりますけど、お粗末すぎます殿下」
「黙りなさい!!!」
大降りになった所を尻尾で足払いをすると、これまた綺麗にすっころぶ殿下の機体、それでも殿下は転んだ直ぐに後ろに下がって攻撃を仕掛けて来る
「これで終わりにします回し過ぎて予定より持たなくなってるはずですし」
緩急をつけた高速移動で殿下の機体に接近して一気に手足の全てを切り払いコクピットに剣を向けて
「お疲れさまでした殿下」
「・・・・」
殿下の機体からは何も返事が無いので、管制室に連絡を取って
「計測器を見る限り13%って所ですね、殿下には30%と言っておいてください」
「気を使わなくていいですよ神子様、自業自得なんですから」
「ほんと慕われてるんですね殿下は」
「そういう事です、お疲れさまでした神子様」
元の場所に戻って機体から降りると、姉さんがタオルとドリンクを渡してくれる
「アレバラバラにしたけどユキ姉の機体あるのかな?」
「大丈夫みたいよアレは殿下の専用機だって言ってたし」
「へぇ~女王になったら必ず取り上げる様に言っておかないといけないね」
「酷い言われようだねクスクス」
一方の殿下はバラバラになった機体の中で悪夢を見たかのような錯覚に囚われていた、圧倒的な技術の差、機体の性能ではない完全敗北に、過去の栄光が粉々に打ち砕かれていたのだ、ましてや相手は男でしかもまだ子供なのだ
一般的には男の聖機師は戦わないし働かない、血を受け継ぐためだけに存在し危険な事も基本的にさせない、これは年々男性の聖機師が減っているのが大きな原因なのだ
近年では優秀な血筋の男性聖機師の種はとんでもない額で取引される程なのだ
そういった事情により男性聖機師は各国が保護し管理しているのだ、なので戦闘技術の高い男性聖機師などありえないのだ
色々と自分の常識がまったく当てはまらない状態・・彼女の放心状態はコクーンから出ても変わらず、そのまま部屋に抱えられながら戻るのだった
そしてメインイベントであるユキ姉との模擬戦となり対峙する事となった
「さてとテストの予定もこれでラストなので使いますよ?」
「ええもう1機も2機も変わりませんやってください」
管制官に連絡を取ってファンネルを使う事になった、ユキ姉には悪いけどね
「まずはユキ姉の実力を見る為に近接で行きます」
戦闘の合図と共に俺は一気に加速して攻撃を仕掛けるが反応が殿下とは違っていいのでかわされる、しかし大きくかわしすぎたために俺への攻撃に移るスピードが足らず攻撃する前に距離を取る
「大きくかわしすぎです姉さん、せっかくの反撃のチャンスが無駄になりましたよ、けど反応はいいみたいですね」
「・・・ありがとう」
その後は大ぶりにならない様に細かく攻撃を仕掛ける、やはり目と感がいいのだが、癖なのか怖いからなのか大きく避けすぎてるのが目立つ
そこを的確に攻めて徐々に押して行く
「姉さんは自分のもってるポテンシャルが理解できてないんですね、それに理解すればもう少し楽しくなるんですが」
「そうなの?」
「少なくとも殿下よりは遥かに強い可能性を秘めてますよ、なのでこの課題はこの夏休みの間にでもクリアしておくとして、勝負を決めます姉さん、クシャトリアの持ってる武器ファンネルを使いますんで覚悟してくださいね」
「わかったわ」
そのまま大幅に距離を取って一気に出力を上げ3つのファンネルを射出させると、動きを確認しながらファンネルを高速移動させて攻撃を仕掛ける
「キャアアアアアア!!!」
一瞬の内にボディ以外のパーツをハチの巣にされてしまい沈む姉さんの機体、予想していたがこれやばくね??
そのままファンネルを回収して姉さんの機体を拾って戻っていく
「姉さん大丈夫?」
「うん、何が起こったのかもわからなかった」
このファンネルは色彩迷彩を採用しており目で見ようとしてもファンネルの動きは分からないのだ、目で見るんじゃない感じるんだ!ってやつだね
そのまま戻って姉さんを回収し一緒に部屋に戻ろうとすると研究員が
「アレは一体何なのですか?!」
「俺からは詳しく説明しないと言う約束ですよ?」
「しかし・・何がどうなってるのかさっぱりでして・・無理なのですか?」
「そうですね・・姉さんの専用機をくれるなら教えますよ」
「なっ・・・」
「いいじゃない、差し上げるわユキネさんの専用機、アレはそれだけの価値ある性能よ」
口を出してきたのはマリア殿下だ、どうやら母親がコテンパンにやられて機嫌がいいのだろう
「母さんの機体をユキネさんに渡せば問題ないわ、取り上げないと今後何するか分からないんだもの丁度いいわ」
「し・しかし・・・」
「正式に受諾したら教えるよレポートにでも書いて」
「そう、早急に手配するわ」
本当に5歳児なのかよ・・・って発言をすると彼女はその場を後にしうるのだった・・・あんな娘だから母親がグレたんじゃね?と思うシスイであった
そして滞在の日程が終わる前夜になってフローラ殿下は
「決めたわ!私ここに残る」
「はいはい・・勝手にどうぞ機体はもうユキネさんの名義になってますけど、それでもいいならどうぞ」
そう冷たくあしらうマリア・・・クレヨンしんちゃんより怖い5歳児
「ダメって言ったじゃない!なんでマリアちゃんが勝手にそういうことするのよ!!!」
「女王陛下と以下家臣団全員の署名付きです、文句があるなら本国でどうぞ母上」
本国の命令書には本文の何倍もの文字で書かれた文字と印章がずらーーっと並ぶ文章、本文は何処に行った?!って状態の書状にさすがの俺も驚きを隠せず凝視するのだった
その後どうにか予定通りに王族一行には帰っていただく事に無事成功した俺達は、想像以上の疲れに翌日の昼過ぎまで誰も起き出す事がないほど疲れ果てるのだった