「■■■■さん、ようこそ死後の世界へ。あなたはつい先ほど、不幸にも亡くなりました。短い人生でしたが、あなたの生は終わってしまったのです」
突然の事で何がなんだか分からない。
部屋の中には小さな事務机と椅子があり、そして、自分に人生の終了を告げてきた相手はその椅子に座っていた。
「………え~~~っと………どちら、様?」
困惑しながらも目の前の相手―――爽やかな笑顔のお兄さん―――に聞いてみる。
「僕が誰かって?僕は君達の世界で言うところの『神様』って奴さ。だけど、『神様』っていうのは所謂一つの種族名みたいな物で、僕自身に名前は無いからなー。取り敢えず、僕の事はエドモンって呼んでくれ」
(………なんか「クハハハッ!!」って言いそうな名前だな)
そう言って、神様もといエドモン(仮)は苦笑いをした。
お互いの自己紹介を済ませた所で、エドモンと状況整理をする事にした。
「………さて、エドモン(仮)さん。此処は一体?」
「此処は死後の世界。死んだ魂が次の世界に行く前に必ず通る場所だよ。『転生の間』とも言うね」
「転生の間?じゃあ、俺が此処にいるって事は………」
「うん。君は死んだんだ、でっかいトラックに撥ねられてね」
頑張って死ぬ前の事を思い出そうとしても記憶に靄がかかった様に思い出せない。
「………いまいち思い出せない」
「余程のショックだったんだろうね。僕が見たのはトラックに轢かれそうになっていた女の子を助けた所だったよ」
「―――っ!その子は?」
「無事だよ。膝を擦り剥いた程度さ」
「そっか。なら良かった」
「そうだね」
エドモン(仮)と一頻り安心した後、先程から抱いていたある疑問を聞いてみる事にした。
「なあエドモン(仮)さんや」
「何かな?」
「俺が女の子を助けて、代わりに俺がトラックに轢かれて死んで、この『転生の間』にいるって事はもしかして………例のアレ?」
「そうだね。二次小説や最近のライトノベルとか漫画によくあるアレだね」
「マジか」
「マジだね」
エドモン(仮)に聞いて俺は確信した。これは二次小説で言う所の所謂『
「『神様転生』か………。小説の中だけだと思ってた物をまさか自分が体験するとはな」
「信じられないかい?」
「ああ。まるで夢を見てるみたいだ」
「だけど現実だ」
「そうだな。ところで、これから俺は何処に転生するんだ?『神様転生』って言うくらいだからお約束のアレもあるんだよな」
「ああそうだったね、すっかり忘れていた。行き先は既に決めてある。『この素晴らしい世界に祝福を!』の世界だ」
「?知らない世界だな」
「よくある異世界ファンタジー物さ。知識が無いのは僕が消したから」
「何でだ?」
「だってサクサク進んだら面白くないだろう?」
「それもそうか」
「そういう事。それとお約束の『特典』の事だけど、基本的に何でも良いよ。強い特典貰って無双しても良いし、自分の好きな物をリクエストして良いよ」
「おお、気前が良いな。じゃあ、そうだな………」
俺は、自分で納得がいくまで考えた。そして、とある特典をリクエストした。
「決まったかい?」
「おう、ばっちりだ」
「それじゃあ君の特典を教えてくれ」
「ああ。俺の特典はな―――――『
「?どういう事だい?」
「だから、邪ンヌだよ邪ンヌ。『Fate/Grand Order』の」
「いや、それは知ってる。それで良いのかい?」
「ああ。それで良いぞ」
「OK、分かった。少し待ってくれ。―――――よし、特典の受理が完了した。これで君は君が望んだ
「サンキュ、エドモン(仮)」
「良いって事さ。出口はあそこだぞ」
そう言ってエドモン(仮)は何時の間にかそこにあったドアを指差した。俺は期待半分、不安半分にドアへと向かう。
「本当、何から何までサンキューな」
「うん、どういたしまして。元気でね」
「おう。エドモン(仮)も達者でな」
「それじゃあ―――」
「「また明日とか!」」
俺はエドモン(仮)とそう言葉を交わし、ドアをくぐった。
視界が白く染まる。これから俺の冒険が始まると思うとワクワクする。先程感じた不安は不思議ともう感じなくなった。
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青年が扉をくぐっていった後、エドモン(仮)は書類を見つめながら呟いた。
「………まあ、苦労すると思うけど頑張れ。応援してるぞ、青年」
彼の持つ書類の表紙にはこう書かれていた。
―――――『転生者・