フェバル~能力者ユウの異世界放浪記~ エピソード集
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あらすじとキャラクター紹介
・あらすじ
21歳となったユウが辿り着いた四番目の異世界『エルンティア』。そこでは、人と見紛うばかりの姿形をした機械人族ナトゥラが北のエルン大陸で繁栄し、不毛な南のティア大陸に暮らす人間族ヒュミテと対立していた。北の首都ディースナトゥラに降り立ったユウは、不法侵入したとして警察組織『ディークラン』にいきなり死罪を宣告される。問答無用で襲い掛かる彼らを退けていたユウの前に現れたのは、ディースナトゥラ特務隊『ディーレバッツ』の女隊長リルナ。得意の気剣も彼女にはまったく通用せず、ユウは逃げることを余儀なくされてしまう。逃走の最中で状況を打開すべく女に変身したユウ。しかし、そこでユウはある事実に気付く――ほぼ一切の魔法が使えないということに。やがてユウは、ヒュミテ解放隊『ルナトープ』と接触する。彼らの目的は、囚われた王の解放にあった。なぜナトゥラとヒュミテは対立するのか。ユウはひとまずヒュミテ側として『ルナトープ』に協力しながら、少しずつ世界の真実を探っていく。
・話の傾向
いわゆる人型ロボットが登場する近未来系ファンタジーです。今回の舞台は星全体であり、都市も複数登場します。魔法はあまり登場せず、剣や銃器、そして各ナトゥラの固有機能等によるバトルが展開されます。この世界では、ユウを含めほとんどの登場キャラの通常時の強さは、そこまで人間離れしていません。あまりに高いところから落ちれば死ぬし、銃弾等がまともに当たっても死にます。そのくらいの感覚でお楽しみ下さい。
・今回の舞台
人工生命の星『エルンティア』 気力許容性:やや低い 魔力許容性:非常に低い
【許容性の大雑把な指標】
無制限>極めて高い>非常に高い>高い>やや高い>中程度>やや低い>低い>非常に低い>極めて低い>なし
【参考】
地球 気力許容性:極めて低い 魔力許容性:なし
惑星エラネル 気力許容性:高い 魔力許容性:非常に高い
・キャラクター紹介
【フェバル】
星海 ユウ
性別:男/女
年齢:21~22
能力:神の器
主人公。大人になり、それなりにしっかりするときはしっかりするようになったが、根っこの甘い部分や優しさは相変わらず。自身にとって四番目の異世界となる今回、初めて魔法がまともに使えないという状況で世界に臨むことになる。
レンクス・スタンフィールド
性別:男
年齢:??
能力:反逆
ユウの親友にして、ユウを見守る立場の人物。一番の親友であり、最愛の人でもある星海 ユナが遺した子のユウのことを愛しており、気にかけている。特に、ユナを思い起こさせる女のユウへの愛は異常なほど。特殊能力【反逆】は、あらゆる世界の理を一時的に反故にしてしまうチート能力。
ウィル
性別:男
年齢:??
能力:干渉
未だ底が知れない恐ろしい人物。特殊能力【干渉】は、あらゆるものに干渉し、意のままに操るチート能力。惑星エラネルに現れて、当時十七歳のユウと交戦。ユウにしばらくの自由を与えると言い残して、消える。
【ナトゥラ】
主に北のエルン大陸に暮らす機械人族。エルン大陸は比較的肥沃な土地であり、ナトゥラはそこに独自の機械社会を作って繁栄を謳歌している。
[ディーレバッツ]
ディースナトゥラ特務隊。全員が特殊機体からなる、ナトゥラきってのエリート小隊。その活動領域は、エルン大陸全土に及ぶ。侵入したヒュミテの抹殺や、特殊案件も担当している。
リルナ
タイプ:女
年齢:??
機能:多彩
ディーレバッツ隊長。隊員の中でも群を抜いた圧倒的な戦闘能力を誇る。生命エネルギー・単純物理攻撃完全防御の自動展開バリア《ディートレス》を操る。他にも様々な強力な機能を備える「最強」のナトゥラ。
プラトー
タイプ:男
年齢:??
機能:遠距離狙撃
ディーレバッツ副隊長。障害物を透視し遠方を見通す特殊な目と、強力なビームライフルを備えた右腕を持ち、数キロ先の地点まで正確に狙い撃つことができる。隊では主に狙撃を担当する。
ステアゴル
タイプ:男
年齢:??
機能:パワーアーム
ディーレバッツ一の怪力を誇る男。物質破砕機能を持つパワーアームを備えている。隊では主に突破と近距離戦闘を担当する。
トラニティ
タイプ:女
年齢:??
機能:遠距離ワープ
時空を歪めて繋ぐことで、エルン大陸各地へ他の隊員を連れてワープできる機能を持つ。この能力を用いて、瞬時に物質輸送も行うことができる。隊では主に輸送や移動を担当する。
ザックレイ
タイプ:男
年齢:??
機能:探査
衛星や各地の端末とワイヤレスで繋がり、あらゆる情報に素早くアクセスすることができる機能を持つ。隊では主に探査を担当する。
ブリンダ
タイプ:女
年齢:??
機能:各種ガス兵器
多彩な種類のガス兵器を使いこなす。隊では主に制圧や絡め手を担当する。
ジード
タイプ:男
年齢:??
機能:硬化軟化、熱線
身体を硬化軟化させたり、口から強力な熱線を放つ機能を持つ。隊では近・中距離戦闘を担当する。
[その他のナトゥラ]
リュート
タイプ:男
年齢:??
「アウサーチルオンの集い」幹部。チルオンと呼ばれる子供の機体であり、見た目だけがチルオンで中身はもう大人である他の集いの構成員と違って、彼だけは正真正銘年相応の少年である。昔地下で死にかけていたところを、クディンとレミに拾われて、恩を感じている。ユウと出会ってからは、よくユウに懐いている。
クディン
タイプ:男
年齢:??
「アウサーチルオンの集い」のボスを務める男。容姿はチルオンの例に漏れずあどけない少年のものだが、それなりの年月を生きている。囚われたヒュミテ王の救出を画策している。
レミ
タイプ:女
年齢:??
クディンの補佐役を務める、「アウサーチルオンの集い」幹部。強力なヒュミテ感知機能を備えている。人前ではきちんとしているが、素の彼女は少々口が悪い。
ノボッツ
タイプ:男
年齢:??
「オイル屋ノボッツ」の店主で、気の良いあんちゃん。実は、「アウサーチルオンの集い」アジトへ続く入り口の一つを守る門番の役目も務めている。
ガソット
タイプ:男
年齢:??
「ガソット工房」の主。少々偏屈なところはあるが、技師としての腕は超一流で、リルナたちも御用達にしている。
【ヒュミテ】
主に南のティア大陸に暮らす人間族。ティア大陸は汚染大陸とも呼ばれており、大半の場所が足を踏み入れただけで命を落としてしまうような死の大地である。彼らがまともに暮らせる場所はほとんどない。種族として衰退傾向にあり、このままではやがて滅びてしまうと予測されている。
[ルナトープ]
ヒュミテ解放隊。囚われた王を救出し、無事ティア大陸の首都ルオンヒュミテに連れ戻すことを目的とする。
ウィリアム・マッケリー
性別:男
年齢:31
ルナトープ隊長。年下ばかりの連中を一手に取りまとめている。隊員からの信頼も厚い。
ラスラ・エイトホーク
性別:女
年齢:21
ルナトープ副隊長。若干二十一歳ながら、歴戦を生き延びてきた女戦士。
ロレンツ・リケイズ
性別:男
年齢:22
隊のムードメーカー。少々お調子者なところはあるが、やるときはきちんとやる男。
ネルソン・グラフォード
性別:男
年齢:24
隊員。寡黙ながらも、隊長ウィリアムや副隊長ラスラをしっかりサポートする。
アスティ・トゥハート
性別:女
年齢:19
唯一の十代隊員。最年少ながらも、天性の戦闘スキルを持つ。根が明るい性格であり、ロレンツとともに隊のムードメーカー。
デビッド・ルウェン
性別:男
年齢:22
隊員。同い年のロレンツとは親友同士であり、ちょっとした諌め役でもある。
マイナ・スペンサー
性別:女
年齢:27
隊員。女性の中では最年長であり、頼れる姉さん的存在。
[その他のヒュミテ]
テオルグント・ルナ・トゥリオーム
性別:男
年齢:26
囚われしヒュミテの王。ルオンヒュミテの民からはテオと呼ばれ、親しまれている。不毛なティア大陸に追いやられ、ナトゥラに虐げられ続けてきたヒュミテの自由と尊厳をかけた戦いを続けていた。ヒュミテ最後の希望と言われている。
・基本設定・用語
【フェバル】
星(世界)を渡る性質を持つ者たち。各人固有の強力な特殊能力を持ち、その力は世界の条理を覆すとまで言われる。
決して老いることも成長することもない身体と、不死の性質(死なないということではなく、死んでも次の世界に移動してそこで何事もなく蘇る性質のこと)・修復の性質(身体欠損や精神の異常が世界を渡るときに自動的に修復される性質)、言語自動変換・自動翻訳能力を持つ。
彼らが世界を渡るのは、その世界に居られるタイムリミットが来たときか、その前に死んだとき、あるいは何らかの手段によって自力で世界を移動したときである。
彼らが世界を渡るとき、真っ暗な空間に所々淡く白いものが光る星の海のような、だが宇宙空間とも違う不思議な場所を流されていく。
この不思議な空間は星々を網の目のように繋いでいて、これが活動することによってフェバルは世界を流される。彼らはこの星の海のような場所のことを星脈と呼んでいる。
フェバルは何か大きな存在に運命を支配されていると感じている者もおり、同じ星脈という言葉を使ってその何か大きな存在を表すことも多い。
【気力・魔力】
気力とは自己の内部要素を外界に取り出して利用することのできる能力、魔力とは外界の要素を自己の内に取り入れて利用することのできる能力を指す。
二つの力のベクトルは互いに逆で反発し合うため、一方が強ければもう一方は弱まってしまう。
したがって、気も魔法も扱いに長ける人間は、通常存在しない。
魔力は距離に関係なく使用することができる。
一方、気力は大気中に放つとすぐに霧散してしまうという性質を持っているため、原則として使用者の身体と繋がっているか離れていてもごく近い近距離での使用しかできない。
一応物に気を纏わせることもできるが、あくまで気休め程度である。
その代わり、気では身体能力強化と回復を手軽に行うことができる。
魔法でこれらに相当するものは、直接には存在しない。
【許容性】
各世界には独自の理があり、それに従って世界は安定状態を保とうとする性質がある。
理は世界の安定を保つためにあらゆることに制限を定める。
その制限の範囲内で、世界すべての存在は自由を許されている。
この世界が許す度合いのことを許容性という。
許容性によって各種能力は制限される。代表的なものは以下の二つ。
気力許容性
世界が定める気力の限界値の基準のこと。これが高ければ本人の資質に応じて自在に気を利用することができ、低ければ本人の資質いかんに関わらずほとんど気を扱うことができない。
魔力許容性
魔力に関する気力許容性に相当する性質のこと。
【ユウの能力】
名称は【神の器】。
男にも女にも、いつでも瞬時に変身することができる能力。
男の身体は強い気力を、女の身体は強い魔力を持っている。
男のユウは気力を生かして気剣術で戦い、女のユウは魔力を生かして魔法で戦うのが基本スタイル。
実は変身能力は、真の能力のごく一部の機能に過ぎない。
ユウは宇宙のように果てしなく広い『心の世界』という独自の世界を持っており、そこと現実世界を自由に行き来することができる。
『心の世界』にはあらゆる経験がもれなく自動的に溜め込まれ、溜め込んだものは原理上百パーセントそのまま利用できる。
例えば、一度でも食らった技や魔法はすべ自動で学習し、原理上そのまま使うことができる。
また、どんな出来事であっても自動的に完全記憶される。
ただこの能力を使って何かをするのは精神・肉体両面においてかなり負担が大きい。
使うものがすごければすごいほど、本人へのダメージも計り知れないものになる。
なので、普段はほとんどまともに能力を使うことはできない。
結局はほぼ負担のない変身能力と無理のない範囲でのささやかな能力使用のみに限られているのが現状である。
ただしこの能力は、心の状態に性能が著しく依存する。
そのため協力者がいるなど、条件次第によっては能力の真価を発揮することも可能。
その際は本来の限界を超えた凄まじい強さを発揮する。
『心の世界』には主人格とは別の女性人格が住んでおり、ユウはもう一人の「私」と呼んでいる。
彼女の協力によって、女のユウは精神的にも女性でいることができる。
元々彼女は、幼少期の苦しい経験から逃れるためのサポート役として、幼いユウに無意識に身体ごと創り出されたという経緯がある。
変身能力は、そのときに生まれた偶然の副産物である。