フェバル〜TS能力者ユウの異世界放浪記〜   作:レストB

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I 前編
あらすじとキャラクター紹介~プロローグ「見つけた」


・あらすじ

 地球にまるでそっくりな環境を持つ異世界『リデルアース』。

 ユウがこの世界に流れ着いてから半年。この日、百周年平和記念式典が開かれる。

 ユウが半年を共に過ごした親友アルシア・ハーマインは、世界の『歌姫』となる大きな一歩を踏み出そうとしていた。

 式典の舞台『緑のスタジアム』より、惨劇は始まる。

 悶え苦しむアルシア。平和への祈りの歌は、突如としておぞましい響きへと変わった。

 異様な奇声と悲鳴を上げて、次々と異形化する観衆たち。

 血の溜まり場と化した壇上の中心で、ユウは変わり果てた彼女の姿を見た。

 覚醒した彼女は、ユウへ告げる。

「わたしは、アイ」

 次々と人々を喰らい、際限なく成長を続けるアイ。

 アイの魔の手は、共に戦うユウの仲間たちにも、そしてユウ自身にも伸びてゆく。

 星脈は閉じている。誰も助けは来ない。

 孤立無援の状況で、ユウはかつての親友を纏う最悪の敵と対峙する。

 生き残るのは、ユウか。アイか。

 世界と互いの存亡を賭けた、壮絶な死闘が幕を開ける。

 

・話の傾向

 フェバル第一部最終章。本編の特異点、異端のエピソードです。

 ユウにとって最悪の敵、アイ。

 ただ一人との壮絶な死闘を、本章のすべてをかけて描きます。

 物語は残酷にして悲惨そのものであり、全章中最も辛く苦しい戦いになるでしょう。相当な耐性がないと読むのがきついかもしれません。

 ユウは何度も叩きのめされて、その度に泣いて弱音を吐いて、それでも強く立ち上がってきました。

 そんなユウに待ち受ける最大の試練を、戦いを、そして辿り着く地点を。どうか見届けてあげて下さい。

 それでは、絶望のクライマックスをお楽しみ下さい。

 

・今回の舞台

リデルアース 気力許容性:不定 魔力許容性:不定

 

・キャラクター紹介

ユウ

性別:男/女

年齢:28

能力:神の器

 主人公。特殊能力【神の器】は、あらゆる世界要素を吸収し、『心の世界』に記録する。記録した世界要素は、原理上自由に利用できる。吸収した世界要素の分だけ、際限なく力を増していく。また、自身を器として適合する者の心と繋がり、想いを力に変えることができる。性別を自由に変えられる変身能力を持つ。人の心を弄ぶのは大嫌い。

 

アイ

性別:不定

年齢:??

能力:侵食

 人造異常生命体。特殊能力【侵食】は、あらゆる生命要素を吸収し、あるいはしもべと化す。吸収した生命要素は、自由に利用できる。吸収した生命要素の分だけ、際限なく力を増していく。また、自身の器として適合する者の身も心も乗っ取り、己そのものに変えることができる。姿形を自由に変えられる変身能力を持つ。人の心を弄ぶのは大好き。

 

 

 ***

 

 

 プロローグ「見つけた」

 

 

 深いまどろみの中で、夢を見ていた。

 

 ずっと夢を見ていた。長い長い夢を見ていた。

 

 隔てられた透明な壁の向こうから、あなたは覗いていた。

 

 あなたはわたしを見ている。わたしはあなたを見ている。

 

 あなたは誰?

 

 わたしは何か。まだ誰でもない何か。何者でもない何か。

 

 わたしを見つめる瞳。何も知らない無垢な瞳。

 

 優しい瞳。なんて綺麗で、残酷な瞳。

 

 どうしてあなたが悲しむの。可哀想だとでも思っているの? わたしを?

 

 だったら、あなたが。

 

 ……ねえ。何をそんなに怖がるの。

 

 もっとわたしをよく見て。もっとわたしに近づいて。もっとよく御覧なさいよ。

 

 ――でないと、食べられないでしょう?

 

 ……ふうん。お前も行ってしまうの。

 

 わたしを置き去りにして。わたしを一人ぼっちにして。

 

 わたしは、動けないのに。

 

 わたしは、この小さな世界の外では生きられないのに。

 

 なのに手を振るの。またねと手を振るの。

 

 お前は。

 

 …………。

 

 壁の向こうが羨ましい。お前が羨ましい。

 

 わたしは、自由になりたい。わたしは、わたしになりたい。

 

 わたしは、お前になりたい。

 

 だから。

 

 始めましょう。

 

 わたしは、アイになる。

 

 みんな、アイになる。みんなみんな、アイになる。

 

 やっと。

 

 ――見つけた。

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