自ら死を選んだ私は、無限にも続くと思われたアイの責め苦からようやく逃れることができた。
でも……本当にこれでよかったのだろうか。
本当にこうするしかなかったのかな……。もっと頑張ることはできなかったのだろうか。
冷たく恐ろしい、死の感覚――。
これまで、何度も味わったことがある。
一度味わえば、もう二度と味わいたくはなかったのに。
私の旅はいつも死と隣り合わせだった。
ただ……思えば。
ウィルと戦ったあのときも。
ヴィッターヴァイツと戦ったあのときも。あのときも。
私はほとんど死にかけていたけれど、真に殺されたことだけは辛うじてなかった。
ウィルは何度私を殺しても必ず蘇らせてきたし、今からすればどこか教育的ですらあった。
ヴィッターヴァイツのときはみんなに――特にJ.C.さんとアニエスに救われた。
だから。私が本当の意味で死んだのは……これが初めてだった。
そう言えば。
どうして私は、あんなにも必死に死を避けようとしてきたのだろう。
フェバルなんだから。もっとカジュアルに死ぬ選択肢だってあったはずなのに。
人によっては、移動手段として気軽に使っているくらいなんだから。
どうして私は、そこまで……。
――そうだった。
私はずっと、人でありたくて。
だって。人は一度死んだらおしまいだから。
私だけがずるをするのは、違うと思ったの。
死を手段にできるなんて、おかしいと思ったの。
だけど。とうとうやってしまった……。
でも、どうして。何をそこまで必死に思っていたのだろう。
かすかに嫌な予感がしていた。
なぜだか。簡単に死んではいけないような、そんな気がずっとしていて――。
今もずっと、そんな気がしていて。でも、もう遅くて。
死の感覚を通り過ぎると。
淡く白い、大きな流れが見えてきた。
星脈。
私たちフェバルの還る場所。
星脈は――アイの言う通り、閉じている。
決してどこにも向かうことはなく。また忌まわしきリデルアースへと戻っていく。
いつもならば、さっと流れに浸かってさっさと流れていくのに。
どうも今回は勝手が違った。
死の傷は深く。淡く白い流れの奥底にまで、私はどっぷり浸かろうとしていた。
そこに――向こう側に。
何かが、ある。
あれは――何だろう。
どうしてだろうか。
私はずっと。ずっと昔から、あれをよく知っていたような気がする。
――そうか。
『光』だ。
あまねくすべてを照らし、どこまでも広がる『光』。
『光』が、視える。
――ああ。
まだ「早かった」んだ。
まだここへ来てはいけなかった。
気付いたときには、遅かった。
けれど私にはもう、どうすることもできなくて。
『光』は私を温かく照らし、すべてを包み込んでいく。
『おかえりなさい』
誰かの、ひどく懐かしい声がして。
そして――。
【】
「」
《》
――――
そして星海 ユウは、二度と【運命】に逆らうことはできなかった。
TRUE END【】