「赤城さん、荷物多くないですか……?」
「そうかなあ。これでも絞ったんだけど……。」
「………………………」
「あー、諸君。この度は各々の南一号作戦への尽力に感謝する。持ち物などは各々に任せているが、必須なものは栞に書いてあった通りだ。スケジュールや行動予定、注意事項なども全て書いてあるので、もう読んだと思うが、再度、熟読しておいてくれ。」
「あの、司令官さん……」
「どうした電」
「たぶんこの栞を読み終わっている人はいないのです。」
「何故だ?こういう旅行の栞は読むだけでも楽しいものだぞ。」
「あのさあ、提督。暇だったのはわかるけど、いくらなんでも、ねえ。」
「分厚過ぎや!広辞苑ぐらいあるやないかい!」
「全て必要な事だ」
「それでもなあ……」
「でも、書いてある事、結構役に立ちましたよ。事前準備とか、しやすかったですし。」
「妙高、まさか……」
「はい。きちんと全て読破いたしました。」
「素晴らしい。皆なも妙高を見習うように。さあ、南西諸島沖へ、出発!」
「いや、ちょっと待ってくれ。」
「どうした、長門。」
「我々艦娘は自力で海を航海できるから良いが、提督はどうやって行くのだ?」
「俺はな、飛行機に乗って行くぞ」
「えっ、飛行機があったんかいな」
「司令部から、移動用に一式陸上攻撃機が支給されている。勿論、操縦も自分でするぞ。」
「提督、一式陸上攻撃機って、四人乗りですよ。」
「ああ、勿論そうだ。乗りたかったら乗ってもいいぞ」
一瞬、艦娘達の目がキランと光った気がした。俺は感じた。艦娘は兵器でない。その前に、欲望渦巻く人間だと。
「じゃんけんで決めましょうか」
あちこちでじゃんけんの輪ができる。喜ぶ者、悔しがる者。反応はそれぞれだ。
「やったー!」
最終的に、勝ったのは飛龍、加賀、そして川内の3人だった。
「わあ、飛行機って、こんなに楽しいんだ!」
「ええ、そうね。いつも発艦させてばかりだから。」
「ねえ、川内。あら?川内?」
「昨晩も夜戦訓練してたから……眠たいのでしょう。全く…」
「ねえ、加賀さんはどこで買い物してたの?」
「赤城さんと、提督の栞に書いてあった店で。」
「そうなんだ!なのに何ですれ違わなかったんだろう?」
「何回もすれ違いましたよ。全くもう。で、提督はあの問題の答え、わかっていましたか?」
「へっ?」
「近くできちんと聞かせていただきましたよ。私が代わりにここで大声で答えて差し上げましょうか?」
「ふ、ふみまへん。ひぁめへー(す、すみません。やめてー)」
「んー、どうしたんだ?プロペラが回って騒音がしてて、聞こえづらいのだが。」
「あ、提督。あのですねえ。」
「ひゃ、ひゃー。何でもございましぇん」
「そうか、ならいいんだが。」
飛行機の、中で繰り広げられる恋物語。
加賀さんの飛龍イジリがスゴイ。