「大丈夫?おーい、提督ー」
「ん?ここは?」
目を開けると飛龍の顔が目の前にある。
「なんか高そうな和食屋さんの個室だよ!」
「хорошо」
第六駆の子達もいる。
「で、そこのお前と飛龍とはどういう関係だ」
「二人は新婚さんなのねっ」
「いや、だから誤解だって……」
多聞中将は顔を赤くしてプルプルしているし、飛龍にいたっては、こちらも顔を赤くしているには変わりないが、顔を太ももに埋めているだけだ。
「ですから、そのようなことはなくてですね……」
「…………大切にしろよ」
「は?」
「浮気などしたら許さんからな」
あ、この人ダメだ。娘のことになると周りの話なんて聞きもしない人だ。うん。名将なのかもしれないけど、「ありがと〜たもんまる〜」といって抱きついてくる飛龍に対しては顔がフニャフニャだ。
「さて、そろそろ行かぬと間に合わんぞ」
また前の厳しい顔に戻った多聞中将はそう言って立ち上がった。
ここに来た本来の理由、提督会議が始まる。
「それでは皆さんお揃いのようなので、始めさせていただきます。ではまず、元帥の方より、一言賜ります。」
司会進行役の人が会議の始まりを宣言した。この会議一つで、今後の深海棲艦との戦い、つまり人類の行方が決まるというのだが、その会議はあっさりと開始される。
「……諸君の日々の働きには感謝するところである。我々の強い意志によって、前線の押し上げに成功し、まさに今、怒涛の勢いで進軍している。これもひとえに、日々の鍛錬の成果であると確信するところである。」
そして、元帥は語気を強め、
「しかし、しかし奥へと進軍するにつれ、敵の抵抗が強くなり、最序盤ほど簡単にはいかなくなっているのも紛れない事実である。既に、最前線の提督によっては、第一艦隊が大きな被害を受けた、との報告も上がっている。今はまだなんとかなっているが、この先はどうなるか、わからない状況だ。さらに、前線押し上げの結果、戦線が拡大している。我々としてはこれは望ましいことではない。どのような強い堤でも、一部破れたら水が入ってしまう。このままでは、前線は薄い膜と化す。我々は常に、一時の油断も許されない状況だ。そして、政府の最高のところから、要請もきている。派手な戦果が出たあたりで、議院解散に踏み込みたいそうだ。要は、上は派手な戦果を期待している。そこでだ。おい、資料を配布してくれ」
秘書の様な人が全員に資料を配り始めた。随分と分厚い資料だ。
「機密性を高く保ちたい。よって、この資料に書かれていることは、この会議に参加している者以外には、話してはいけない。もちろん、艦娘も含めてだ。艦娘に対しては、情報公開日を別に定める」
上からスクリーンが降りてきた。
「それではまず1ページを開いて……」