「お前らそんな雷撃で戦艦沈むと思っとんのか!お返しの射撃で飛行甲板焼けるぞ!次!さっさと収容しろ!」
作戦の発表から一夜明け、あちこちで轟音が聞こえる。特に作戦の中枢を担う空母組は熾烈だ。どんな雷撃音よりも、どんな爆撃の音よりも大きい多聞中将の声が響いている。鎮守府全体が、慌ただしく動き始めていた。
ちょうどその頃、MI作戦も完成しつつあった。モニターで俺も会議に参加している。元帥の前だと、モニターごしでも緊張してしまう。ああ、怖い……
「作戦海域には夜間に突入、敵の動きが速く、夜間に姿を現すようであれば、夜戦を行い、日が明けて、改めて艦隊決戦をいたします。昼に突入してくるようであれば、陣形を整え、相手に対しT字有利で迎え撃ちます」
「AL方面は相当な量の艦載機を使うことを考慮すると、相手もAL方面救済へと行くはずの部隊なのだから、相当な航空戦力を整えるはずだ。それに対しての対策は?」
「三式弾を使用いたします。これを戦艦の主砲で打ち上げ、敵航空戦力を撃滅します。また、駆逐艦の主砲は10㎝高角砲に置き換えます。水雷戦隊には自慢の酸素魚雷を載せれる限り載せます。主砲(高角砲)及び、魚雷。これが水雷戦隊の装備です。」
「よろしい、ただ、一隻ぐらいは空母を入れた方がいいだろう。敵の牽制にもなる」
「は。しかし、空母の艦載機では、敵の主力に穴は開けれないでしょう」
「それはどうかな。まあいい。そこは戦艦の仕事だ。空母には艦戦を満載にしてくれ」
「了解しました。ところで、ALの方は大丈夫でしょうか。ALがしくじると我々が待ち伏せても全て無駄になります」
嫌なやつだ、と思ったがそんなことを元帥の前でいくらモニターごしでも言えるはずがない。
「我々は今も艦載機の熟練度を少しでも上げるため、訓練中です。我々の最新鋭の艦載機ならば、やれます」
「それなら良いのだが……、まあいい。ところで元帥、政府の方からなにか言ってきていますか?」
「健闘を祈る、だそうだ。全く、自分達は東京に籠って何もしないくせに」
「何もしなくて悪かったな」
元帥の方のモニターからもう一人の声がする。
「おい、勝手に入るな。会議中だ」
「何を言う。同期じゃないか。それにおれはれっきとした赤レンガの役人だ」
「あの、元帥、そちらは……」
「どうも。赤レンガのものだがね」
赤レンガ。我々海軍の中央組織にして現場の永遠の敵。その役人が来たというのだ。モニターごしの提督達が総じて嫌な顔をする。
「今回の作戦は大掛かりなものだ。成功すれば、今後我が国が、我が海軍が深海棲艦に対しての戦いで主導権を握れる。必ず勝利してくれ、以上だ。じゃあな」
「全く、何しに来たんだ。儂の部屋に……。まあ、勝たなければいけないのは事実だ。各自、努力してくれ。作戦決行のxdayは二月一日。武運を祈る」
あと僅か。二月へとは準備期間が短すぎる気もしなくはない。だが、その中でいかにパフォーマンスするか。それが俺の仕事である。
次からAL作戦です!