「提督、お帰りなさい!」
トンネルをぬけると雪国だが、俺の私室では、ドアを開けると飛龍がいた。
「……部屋を間違えたようだな」
「あーちょっと待ってよ〜」
「なぜここにいるんだ?」
「ちょっとねぇ、なんか提督と話したくなったから」
「まったく……ちょっとだぞ」
「あのさあ、前夜にもなって今更だけどさあ、特に私とか艦戦多くない?第一次攻撃隊であれだけの戦果が必要なら私にももっと流星とか彗星を載せるべきじゃない?」
「多聞中将にも同じ事を言われたよ。ホントに敵わないなぁ……」
「二航戦ですから」
「俺はな、臆病なんだよ。あの実力不明の飛行場がとてつもなく怖い。彗星だって天山だって、特に流星なんかはいい機体だけど敵機を狩ることはできないだろ」
「それってさあ、私達空母を信じきれてないってこと?飛行場を使用不能にするなんて無理だから敵機が飛んでくることを考えてそうしたの?」
「いいや、とんでもない!信じれないならもっともっと艦攻とか艦爆を載せるはずだ。難易度が高くても、飛龍達ならできる。そう思ってのあの編隊だ」
「なんか不思議なんだよね。私は昔、ミッドウェーで沈んで、その後の彗星とか天山とか知らなかったけど、今となっては流星とか烈風まで載せているからね。提督に出会わなかったら載せることなんでなかっただろうし」
「まあ、その辺は運命だからな」
「ねえ提督」
「どうした」
「提督のタイプってどんな感じ?」
タイプ。俺は色々好きなのがある。色々なかわいいがあって一つには決めきれないが、やはり一番と言われたら
「流星かな」
「…………」
「機体の中に抱えた爆弾、吊るした航空魚雷。チャームポイントの中翼と逆ガル式。そしてあの天山よりも重たい機体を支える車軸。載せるエンジンは誉。爆撃、雷撃どちらもこなし、名前には爆撃機であることを示す『星』がついていながら区分上は艦上攻撃機。愛知航空が日本海軍お得意の無茶振りに応え、制作されたまさに夢のようで現実にある機体だ。そもそも流星は……」
「あ、もういいです。はい。私が言ったのは……」
「このプラモデルを見てもわかるように、被弾面積が大きく……」
「提督の飛行機の好みじゃなくて……」
「工場は空襲などで壊滅。さらに地震もあったりして……」
「話を聞けー!!!」
「よって、流星はかわいい!!!」
「私は提督のことが好きなのー!!!」
「へ?」
「あ……」
「あ、ああ。そうか。飛龍も流星の良さがわかってくれたか」
「い、いやそういうわけじゃなくて、言った通りの意味です」
「言った通り?す、すまん。頭が混乱してて……」
言った通りとはどういう意味だ?私は流星が好きだいう意味にしかとれない気がするのだが……。もしかして、俺のことを言っているのだろうか?おお、そうか!流星と同じぐらい俺のことが好きだと言っているのか!ん?そしたらものすごく恥ずかしいことを言っていないか?あの流星と同じぐらいだと!なんと言う好感度の高さだ!ああ、どうすれば……
「飛龍よ……」
「はい……」
「俺は流星ほどかわいくもないし、流星ほど強くもない。そして流星ほど素晴らしくない。それは確かだ」
「でっ、でも提督は提督なりの良さがあります!」
「すまない、一つだけ教えてくれ」
「は、はいっ!」
「こういう時、俺はどう答えたらいいんだ?」
「提督の気持ちを素直に答えて頂けたら……」
俺の気持ち、か。俺は流星が好きだ。飛龍のことは?飛龍にはお世話になっている。とても頼りにしている。飛龍のことを俺は……
「俺は流星が好きだ。そして飛龍のことも頼りにしている。そして飛龍は、まあ、その、十分に魅力的であると思うぞ」
「提督っ!」
「ど、どうした?」
「AL作戦、必ず成功させます!」
「あ、ああ。よろしく頼む」
ALまであと24時間の物語。