「提督、緊急事態です……」
鳥海さんの声は震えていた。
「提督、補給船、撃沈されました……」
「なに!撃沈?どこから敵がきた?」
「ALまであと少し、というところで、潜水艦による雷撃にあったとのことです」
「いかん。それはいかん。どうしようもなくなるぞ」
「多聞中将、どうすれば……」
「君がAL方面の司令官だろ。儂に言われても……」
鳥海さんの前の機械はさらに何かを伝えている。嫌な知らせだろうか。
「提督、本部より電文、『全作戦直ちに中止、作戦決行前のラインまで撤退せよ』です」
「なに、全作戦!なぜだ」
「続きです。『MI方面、敵水雷戦隊による夜間奇襲を受く。その後奮戦するも、戦線の回復は不可能なり。撤退せよ。』」
「MI方面の詳しい被害は?」
「不明です。回避などで陣形が崩れ、それぞれ単独で行動中らしく……」
「単独で大破艦が撤退できるものか!一体何を言っているんだ!それに、あと少しでAL方面の制海権を握れるんだぞ!」
「君、一回落ち着くんだ」
「多聞中将?」
「ALだって補給ができんのだ。冷静になって、この状況をどうするか考えろ」
「……鳥海さん、赤城と繋がる?」
「はい。繋ぎます」
「赤城、聞こえるか?」
「はい。聞こえます」
「あまり良くない知らせが二つだ。まず、補給船が撃沈された。潜水艦だ。次に、全作戦の中止、撤退が決まった。MI方面が壊滅したそうだ。あっちは散り散りになって、それぞれ単独で行動中だ」
「本部の命令に従うしかないのでしょうか……」
「ALは陥ちるか?」
「はい。陥せます。しかし補給がないとなれば……」
「赤城さん、補給ならありますよ」
「飛龍?」
「ほら、私達全員、出撃前に提督からおやつにしな、って言われて、羊羹とか飴とか結構色々持ってきてるじゃないですか」
「あ、忘れてた」
「確かにありますね」
「補給は大丈夫そうか?」
「はい。おかげさまで。あと、一つ疑問が……」
「どうした」
「MI方面の救援にいけないでしょうか?MI方面は敵の飛行機も多いと聞きます」
「危険だぞ。敵の主力艦隊がいる。それに遠い」
「私が行きます」
「飛龍?!」
「私は34ノットあるし、第一次攻撃隊にそんなに艦載機を出していないので被害もないです」
「今なんと言った?被害がない!?」
「一番最後に飛び立って、飛行場を爆撃したので、もうその頃には飛行場の対空砲火が沈黙していました」
「そうか。そんな事もあるんだな……。しかし、危険である事に変わりはないぞ」
「沈んでも構いません」
「だめだ!!!沈んではだめだ。必ず生きて帰るのだ」
「提督がそう言うなら、飛龍、必ず生きて帰ります」
「よし。空母機動部隊に伝える。これより、赤城、加賀、妙高、長良、陽炎、不知火はこのままALを攻撃せよ。まもなく長門達が到着する。また、飛龍、神通、川内、那珂、黒潮、秋雲は飛龍を旗艦とし、MI方面救援部隊を結成する。34ノットで直ちに南下。対潜警戒を怠るな。もうこの戦いは負け戦だ。最後に一矢報いるぞ!」
「提督、必ず戻ってきます」
「ああ、必ず、な」
「さて、次はこっちだな。MI方面へと補給に赴く艦隊を用意せねば。球磨、多摩、第六駆、いけるか?」
「もちろんよ。レディとして当然じゃない!」
「よし、直ちに準備。いや、ちょっと待て。少し電話してくる」
「ふふ、奴の人脈が発動するぞ」
「多聞中将、提督は何しにいったのですか」
「ふふ、しばらくしたらここに三式ソナーと三式爆雷が届くぞ」
「なあ、頼むよ。うちの鎮守府よく考えたら対戦装備いいのがないんだよ。ああ。今度おごるから。うん。よろしく頼む」
「提督、三式ソナー、三式爆雷は第一線の提督でも持っていませんよ。最近工廠の妖精さんがやっと出してくれたものだと聞いています」
「その工廠からさ。そこに同級生がいるのでね。さあ、始まるぞ。反撃の時間が!」