部下トノ交流ヲ重ク見ヨ
「ここが俺の鎮守府か……」
さすがに緊張する。今まで学生だった俺も、これからは人の上に立つ仕事だ。
「やけにデカくて綺麗だな……」
これからはここが俺の家。そして艦娘の寮。一つ屋根の下で……とはいかないが、艦娘とは食事も基本的には共にするし、艦娘にとってはおれが唯一の身近にいる男になる。俺は今まで付き合った彼女もいない。女友達もそんなにいなかった。数少ない女友達から、「よく見るとルックスはいいよね」その程度だった。
鎮守府には3つ棟があり、一つは建設中だった。もう一つの棟には一階には大きいホールが、二階には提督たる俺の執務室兼部屋が。三階には出撃中の艦隊の様子や、他の提督と会議をするモニタールーム。そして、もう一つは艦娘の寮。二階建てで、二階部分は俺の執務室がある棟の二階、つまり俺の執務室兼部屋の部分と渡り廊下で繋がっていた。
「あ、やっと来た!」
「はわわわわ」
「ん?君達が派遣されてきた艦娘か?」
俺の視線の先には6人の艦娘がいた。持っている艤装から推測するに、駆逐艦と軽巡洋艦だろうか。
「陽炎型のネームシップ、陽炎よ。よろしくね!」
「電です。どうかよろしくお願いします。」
「綾波型駆逐艦、漣です。」
「川内型軽巡洋艦、川内だよ。それと、こっちが姉妹艦の神通と那珂」
鎮守府白書においては、「部下トノ交流ヲ重ク見ヨ」と記されている。俺の特技は教科書通りに行動すること。よって……
「この度からこの鎮守府に着任することになった者だ。さて、早速だが飯でも食おうじゃないか!俺の奢りで。」
「へ?」
「はわわわわ」
「……何か俺はおかしいことを言ったか?」
「奢ってくれるのはありがたいけど……金あるの?まだ新米少佐でしょう。」
「ふふふ、俺を見くびるなよ。さあ、行こうじゃないか!」
「へ?鎮守府の外に出るの?」
川内が疑問を呈する。
「そうだが……どうかしたか?」
「鎮守府の中の食堂は価格がとても良心的ですが……」
その妹、神通が気にするように言う。
「司令に外食するだけの金なんてあるの?しかも合計で七人分」
陽炎は馬鹿にしたように言ってくる。
「いいからいいから。」
そうして俺は艦娘達を引き連れて、一つの店へと入っていった。
「ん、おいしい〜」
「なのです!」
「司令、なかなかいい店をしっていたのね。」
「ああ、それはな。」
俺は適当に返事を返して、「お手洗いに行ってくる」と言って、席を立った。
「じゃあ、これつけといてね」
「全くもう。給料が入ったら払えよ。新米少佐でも、給料は結構いいのだろ。お前だから許すけどな……」
縁とはこのようにして活用するものである。この店は言わずもがな、俺の高校時代の友達がやっている店だ。
「ああ、頼むよ。じゃあ、また来るから。」
「ああ、しっかりやれよ。」
「司令官さん、今のは友達なのですか?」
電がそう聞くが
「いや、ちょと今話していたら仲良くなっただけだよ。ここのは美味かったか?」
「なのです!」
話を逸らしておいた。
「縁」とは、活用するものである!