「やるからには叩き潰して差し上げましょう」
自分でも少々過ぎたことを言ったかと思ったが、まあいいだろう。
ガチャリ、とドアを開けると、そこには二航戦、それと川内、長良、陽炎、不知火がいた。このメンバーで演習を戦うつもりだ。戦力的には問題ない。だが……
「……」「……」「……」「……」「zzz……」
やはりこの前、加賀に拳銃を突きつけて、さらに撃ったことの影響があるようだ。あれは必要な行為だったので仕方がないのだが。しかも普段から夜戦夜戦言っている軽巡は眠ってるし、トレーニング狂と噂されている軽巡は部屋にいない。ならば、少し餌を与えるまでだ。本当に大事なことは隠しながら。
「知りたいか?なぜ今回のキス島撤退作戦には空母機動部隊を出さない、いや、出せないかを」
皆が身を乗り出して食いついてきた。ここまで軽いとは予想していなかった。やりやすいメンバーだ。
「よろしい。じゃあ、そこの川内も起こしてやってくれ。よし。話すぞ。これから言うことは他言無用だ」
「なぜこの場で他言無用のことを言うのですか?あの場では加賀さんに拳銃を撃ってまでも言わなかったのに」
一番この中で警戒心が強いのはやはり不知火か。良い眼をしている。人を疑る、良い眼だ。
「あの時は言えなかったからだ。もう時間的に、言っても大丈夫な時だからな。まあ、結論から言うと、上からの圧力だ。例のMI作戦で、提督は唯一の勝者だ。他からの嫉妬があるのも仕方がない。上は、提督に失敗を求めている。だから、空母機動部隊を使うのを禁止したんだ。さらに、水雷戦隊でキス島に突入を命じた。全ては彼を蹴落とすために」
すっ、と川内が物言いたげに手を挙げた。
「特務参謀、じゃあ、もしそれで提督が失敗したらどうなるの?」
川内は提督への想いが強いようだ。だから彼の身を案じてこのような質問をするのだろう。
「もし彼が失敗すれば、上はそれを理由になんらかのアクションを起こすだろう。まあ、この鎮守府からは消えるだろうな。私はそれを阻止するためにここに来た。別に私は皆から好かれようとは思わない。ただ、『人間性に問題があるが、作戦立案はできる奴』程度の認識にしたいのだ。皆、力を貸してくれ」
艦娘たちの反応が良いものとなった。こんなことで反応が良くなるなら、少し餌を撒くぐらい安いことだ。
「よし。ではその演習をどのように戦うだが……」
演習当日……
「え?何、俺が指揮するの?」
「ええ。一方の艦隊には特務参謀がいるのにもう一方には誰もいない、というのは不公平でしょう」
「じゃあ……」
俺は長門、陸奥、赤城、加賀、神通、黒潮を選んだ。
「只今より演習を実施する。どちらか一方が降伏、もしくは全滅、それか日付が変わった時点で終了とする。では両艦隊、開始位置へ!」
演習の幕が切って落とされた。