「提督…………、申し訳ありません」
妙高が暗い声で言う。入渠は終わり、傷は治ったのだが、敗戦のショックからまだ立ち直れていないようだ。
0900。今は検討会の場だ。だが、やはり敗戦の検討会はきつい。
「今回の敗因は……俺の慢心にある。上の人に関しては俺がなんとかする。君達はこれからもより一層厳しく訓練に取り組んでくれ」
「あのう、そのことなんですが……」
鳥海が言いにくそうに言った。
「組織の前の方で書類を詰まらせていたようで、実は今日になって届きまして、内容が………」
「ああ、なんてことだ……」
その書類は、「敵ノ正規空母ヲ発見セリ。航空戦力ノ装備ノ要アリト認ム」とあった。この書類さえ早く届いていれば……状況は変わっていたかもしれない。
「再発の防止を徹底しなくてはな」
「秘書艦を置くべきですね」
鳥海が提案する。
「業務は秘書艦に一本化しよう。書類は秘書艦を通し、俺に渡してくれ。今までの何処に書類があるのかわからない状況は改善しなくてはならない。なあ、鳥海さん、頼めるか?」
「私が、ですか?」
「ああ、もちろん無理強いはしない」
「私が提案したことですし、私がするのが筋でしょう。私ももう今回のような事はなって欲しくないので」
「そうか、助かるよ。じゃあ、これにて解散。鳥海さんは、俺の執務室に机がもう一つあるから、そこに荷物とか移動させといて。」
「提督、これが本日の報告になります。」
夕方の執務室で、俺は報告書を受け取っていた。
「鳥海さんが来てくれてよかったよ。業務が捗った」
「いえ、人数が増えれば効率も良くなる。私の計算通りです。」
しっかりした艦娘だ。秘書艦には適任だろう。
「よし。本日は終了だ。帰ってもらって結構だぞ」
「お疲れ様でした!」
気づけばもう梅雨前線も通り過ぎる頃になった。桜が咲いていた頃の鎮守府が懐かしい気もする。
そういえば最近は余り息抜きが出来ていなかったな。
息抜きはしすぎても駄目だが、必要なものだ。ここは一つ、もので釣る訳ではないが、少し、やってみようか。
俺の手は吸い付けられるようにパソコンへと向き、パチパチとキーボードを叩き始めた。
「あー、見てみて!」
朝の食堂で駆逐艦達の喜びの声があがる。それもそのはず。
「南西諸島防衛戦、つまり南一号作戦が成功し、安全が確認された場合、希望者で、バカンスを行います。がんばろー」
これが第二戦線の鎮守府の強みである。最前線では、いつ深海棲艦が襲ってくるかわからず、常在戦場の心持ちでいなくてはならない。しかし、うちのようになると、一定期間は休める。バカンスを楽しむことも大いに可能だ。これで艦娘達の士気も上がるだろう。「士気無キ部隊二勝利ナシ」これは大原則だ。