我が新生鎮守府日記   作:文若

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甘酸っぱい。さあ、誰だ?


淡い、夜の物語

夜はいい。

嬉しいこと、悲しいこと。全ての私の感情を包み込んでくれる。

だが、そんな夜でも解決し得ない感情があるとは初めて知った。

私は少しちょろすぎるかもしれない。甘すぎるかもしれない。

少し一緒に食事して、話して。出撃の際には激励されて。

それなのに廊下ですれ違えば顔を赤らめてしまう。あの人とどう接すれば良いのかわからない。そもそも私はあの人の事をどう思っているのだろう。あの人は私のことをどう見ているのだろう。

「ああ、もう。」

悩みながら撃った弾は夾叉する。いつもは初弾命中するのに。

「ほう、初弾夾叉か。しかも夜で。一朝一夕で出来ることではないな」

「ひぁあっ!」

「いや、すまんな。驚かせてしまったかな?」

「提督…………」

足は自然と陸の方へ進んでいく。もはや制御できるものではない。

「いや、気を使わなくていいんだぞ。続けてくれ」

「ちょうど休もうと思っていたところだから…」

するとその人は「そうか。」と言い、ポケットにてを突っ込んだ。

「ほら、食うか?間宮謹製の羊羹だ」

間宮謹製の羊羹は艦娘達のなかでは人気のお菓子だ。もちろん鎮守府外に外出すれば羊羹など売っているが、一度間宮謹製の羊羹を食べると、もう他の羊羹には戻れない。

「提督、いいの?」

「いいよ。二つあるから。」

口に入れるとその豊かな甘みが口の中をかけ広がった。そして、今までの羊羹とは違うものが入っていた。

「間宮さんが、栗羊羹を作ったから試食してみてくれって、さっき偶然食堂に行ったらくれたんだよ。それも二つ。」

「へえ、栗羊羹か〜」

「うまいか?」

「うん。」

「ねえ提督」

「ん、どうした」

「提督は私達艦娘のこと、どう考えている?」

「ああ、それは恐らく提督を務める者が常に考えさせられることだな。艦娘とは何かを講義する教官によって、ニュアンスが異なるから、大変なんだよなあ。ただ、もちろん艦娘は兵器と考え、深く関わりを持つべきでないと考える提督もいるのは事実だ。だがな、俺はできているか知らないが、艦娘達とは、普通の女の子と同じように接しようと思っている。業務に支障がない範囲でな。」

「なんで?」

「我々は深海棲艦を倒すという目的のもと、戦っている。その意味で、我々は仲間だ。その仲間のなかに、兵器だ、人間だという区切りがあるのはおかしいことだと思わないか?」

私は……ようやく気づけたようだ。自分のこの感情に。

「あ、あの提督、その……わ、私の事はどう?」

「ん、ああ、そのだな、その……、いや、私は異性と付き合ったことはないのでな、その、正しい判断はできないと思うのだがな、その…何というか、いや、川内は十分にみ、魅力的だと思うぞ。う、うん。そうだ。」

「あ、あ、あの、変なこと聞いてごめんなさい。じゃあまた。」

これ以上ここにいたら精神がどうかしてしまいそうだ。私は何とかしてここを離れた。

 

二人は気づいていなかった。物陰で動く四つのものに。

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