この鎮守府の艦娘の寮は非常に快適だ。全室冷暖房完備。一人部屋から六人部屋まで。様々なニーズに対応している。
艦娘寮部屋割り表
101 陽炎、電、漣
102 川内、神通、那珂
103 妙高、足柄、那智、羽黒
104 高雄、愛宕、摩耶、鳥海
105 赤城、加賀、飛龍、龍驤
この中で今最も賑やかなのは105だ。まだ来たばかりというのもあるし、飛行機が飛ぶ音がしたと言う者もいる。
「ねえねえ加賀さん、あの提督さん、結構かっこよくなかったですか?」
と聞くのは赤城。
「否定はしません。ただ、そういう男に限って浮気をします。」
クールにそう答えるのは加賀。
「でも赤城も加賀もかわいいから、どんな男でも他の女なんか目に入らんくなるやろ。なあ、飛龍」
と話すのは龍驤。
「zzz……」
気持ちよさそうに寝ているのは飛龍。
空母組は今日も夜遅くまで女子トークを繰り広げる。(一人を除いて)
朝。まだ寝ている他の空母を起こさないように、飛龍は食堂へと向かった。飛龍の朝は早い。まだ誰もいないと思っていたが。一人いた。
「あら、飛龍さん」
「愛宕さん、こんな早い時間から起きているんですか!」
「それはあなただって一緒でしょ。ねぇ、昨日の川内ちゃん、かわいかったでしょ〜」
「ええ、まあ……」
昨日のあれか。
「あれね、全部私が教えたの。あの子、そういうの苦手みたいで。教えたこと、きちんと遂行できなかったらしばらく夜戦はさせませんよ〜って、冗談で言ったら本気になっちゃって。」
「………。」
開いた口が塞がらないとはこのことだろう。どうりで台詞がしっくりこないと思ったら。
朝ご飯を食べ終わると、すぐに訓練場へ行った。昨日貰った(恐喝して奪った)天山、彗星、零式艦上戦闘機五二型の調子を確かめる。搭載数で一航戦に劣る飛龍は、熟練度で差をつける必要がある。そう考え、飛龍は前の鎮守府でも、訓練に勤しんできた。
「ほう、朝から訓練か。流石鬼の多聞丸の二航戦は凄いな。」
「へっ?!」
後ろを見ると提督がいた。
「どうだ?天山、彗星、零式艦上戦闘機五二型は。」
「九七式や九九式、零式艦上戦闘機二一型も悪い機体じゃないけど……やっぱりこっちの方が、飛んでいる姿がたくましいかな。」
「へぇ、天山とか、前の鎮守府では持っていなかったの?」
「前の提督は水雷屋でね。艦載機に関しては素人。その癖に空母に難癖つけるし、艦載機の開発とか一切行わなかったし、出撃することも遂になかったしなぁ。」
自然とあの悪夢の日々を思い出す。ただ、そこで気づいた。この人もひょとしたら水雷屋なのではないかと。恐る恐る顔をみる。怒ってはいなかった。いや、苦笑していたと言った方がいいだろうか。そして、口を開いて話し出す。
「俺は航空畑の人間でね。空母の運用については勉強したつもりだ。空母は運用次第で最強にも最弱にもなりうる。俺は言ってしまえば航戦至上主義者なんだが、この考えはまだ広がっていないようだな」
「提督、航空の人なの!?」
「ああ、そうだが。おかしいことか?」
「じ、じゃあ空母の事とか、大事にしてくれる?」
「ああ。勿論だ。と言うか、お前達空母組を引き取ったのは俺だし。」
「そうなの??」
「うん。ただ置物にしているならうちに異動させてくれって、人事課の同期に頼んだらやってくれた。」
「ねぇ。」
「ん?」
「飛行機って、かわいいよね。」
「ああ、かわいいな。個人的には流星の羽の曲がり方が好きなんだけど。」
「羽派か〜」
「うん。じゃあ、頑張れよ。」
この時。飛龍は決心した。私を使ってくれるこの人の元で、精一杯頑張ろうと。
空母組。これからがどうするか、考えるの楽しみです。