クリスと切歌は本部へと戻ると、そこにはギャラルホルンへと飛び込んだ響、翼、マリアの姿があった。
「あ!!クリスちゃんと切歌ちゃん!!おかえりー」
「およー?皆さんお揃いで」
どうやらこの3人は調の状態をエルフナインから聞いた様で、あまり調の事には触れないでくれた。
そして、翼達は向こうでの出来事を話し始める。
「向こうには櫻井了子が生きていました」
翼がそう言うと指令、風鳴弦十郎は
「櫻井了子だとォ!?」
と驚いていた。
なぜならこちらの世界の櫻井了子はフィーネとなって、姿を消していたからである。
マリアは了子さんから貰った資料をエルフナインによかったらと渡した。
「向こうの世界では人型のカルマノイズは出現してんのか?」
クリスが3人に聞くと、向こうの世界では天羽奏が生きていて、やはり人型のカルマノイズが出現しているらしい。
向こうでも出ては消えるの繰り返しでなかなか対処出来ないとの事だった。
「そろそろ私達は戻らないと奏1人で任せるわけには行かない」
「ええ、そうね。行きましょ」
すぐに戻らないといけないらしく翼、マリアという順番でギャラルホルンへと飛び込んだが、響は目の前で止まり、見る限り何か言いたそうな表情をしていた。
「響先輩どしたデスか?」
「クリスちゃん、、切歌ちゃん、、頑張って!!」
と言い放ち、響は飛び込んでいった。
「調の事……デスかね…」
「あぁ、こっちはこっちの問題、あたし達で何とかしないといけねぇんだ」
「イグナイトが使えないとなるとどうしたらいいもんデスかね…?」
切歌とクリスは3人を見送った後、目的もなく歩き始めた。
「イグナイト無しの状態でユニゾンを発動しても、第二形態には歯が立たなかったしな」
「第二形態に対抗できる方法を暫く考えて見るデス」
「…ん?あれは……」
クリスが足を止めて、ある方向を見つめる。
切歌もクリスの見ている方を見るとそこには調とエルフナインが楽しく、時には真剣な顔で話していた。
「最近、アイツらずっと2人で居るよな。んまぁ、あたし達がアイツを放っておいて何だが…」
その光景を見て切歌は何か糸が切れるような切なさを感じていた。
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「凄い……!これが…シンフォギアの……!」
調と別れ、研究室へ戻ってきたエルフナインはマリアから受け取った櫻井了子の資料に目を通していた。
「櫻井理論の…提唱者……ですよね?」
「し、調さん!?」
別れたはずの調が入口に立っていた。
何故そんな事が調に分かるのかエルフナイン理解出来ていない。
「すみません、ちょっとばかり情報を覗き見しまして……」
「そうでしたか」
「私も見ても良いですか?」
と、調はエルフナインと椅子を半分半分にして座り、資料に目を通した。
「これがあればもしかしたらシュルシャガナが修復出来るかもしれません!」
エルフナインがいきなり立ち上がった。
資料にはシンフォギアの事が殆ど書かれており、その情報を元に完成への道を開ければ、シュルシャガナは復活出来るかもしれないとエルフナインは踏んだのだ。
「およー!!?調!!!ななななんでここに居るデスか!!!」
エルフナインに用があって研究室に入ってきた切歌はそこに調が居て、驚きを隠しきれずにいた。
「少し資料を見たいと調さんが言うので、一緒に見ていたんですよ」
「ホントはエルフナインちゃんに用があったデスけど、後でで大丈夫デース!調!今日も一緒にお風呂入るデスよ!!」
「え…?でも、資料が……」
と調はエルフナインの方を見ながら呟く。
「良いですよ、調さんにも後で見せますから」
とエルフナインは言い、調は切歌に連れて行かれてしまった。
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少し休むことになりクリスと別れた切歌は調とお風呂へと向かった。
「切歌さん!私達1回も一緒にお風呂なんか…!」
「これから1回目になるんデスよ!」
「わわわっ…!!」
颯爽と服を脱ぎ、調を連れた切歌は調の脱服も手伝う。
調はそれに混乱する。
切歌と調はシャワールームの奥にあるお風呂へ入る。
「ふえぇぇ…あったかいデース」
「はぁ…なんでいきなり…」
そう言うと切歌は背を向けていた調の背中に額を付けて話し始める。
「やっと2人だけになれたデスよ」
「ぇえ?」
「最近はエルフナインちゃんが傍に居たり、友里さんとかもいるデスよ、2人きりになる時間が全く無かったデス……」
「……でも、切歌さんも忙しそうで私に会いに来る事も出来なかったでしょう?」
「…!?」
切歌は思いもよらない言葉が返ってきて、驚いて調の背中に付けていた額を戻した。
「た、確かにクリス先輩と特訓に付きっきりで調に会いに行けなかったデス…」
「エルフナインちゃんなんてそんなに私の傍に居ませんし、友里さんも飲み物を持って来てくれるだけ」
「で、でも……」
「切歌さんはクリスさんとの特訓などで忙しそうでしたし……」
「まあこれで話できました、私はここで上がりますね」
「調…?どうしたんデスか…?」
切歌は何かに怯えるような声で調を呼び止める。
「何が……ですか?」
「調は……そんな事を言う人じゃなかったはずデスよ…」
切歌は調とずっとそばに居るなのに、その調が遠くに行ってしまう気がしてならなかった。
「私は記憶を失ってしまった、ですがそんな理由で私がだらけてたら私のいる意味がないんですよ、その為にはこの世界を知らなきゃならないんです」
「調……待つデス調!!」
切歌は上がろうとした調の腕を掴む。
「ごめんなさい、離してもらえますか?」
切歌は何か大切な物を失う感じがして、調を懸命に止める。
「もう少し、もう少し話すデスよ!調!!」
「ごめんなさい!」
と調は切歌の腕を強引に取っ払う。
切歌はその反動で後ろへ倒れてしまった、その間に調はその場から立ち去った。
「しら…べ………し……ら………………」
地面の石に後頭部を強く打った切歌はその場で意識を失ってしまった。
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「……ぅぇ……?」
目が覚めた切歌はいつの間にかメディカルルームのベッドに横になっていた。
確か、あの時調に突き飛ばされて……
「調!!」
様子がおかしかった調を会いに行くべく、恐らく居るであろう研究室へと向かう。
「調!!!」
研究室の入り口に立った切歌は調の名前を叫んだ。
「切歌さん…」
調が声を上げる。調は案の定、エルフナインと2人で資料を見渡していた。
「調、何故避けるんデスか……?」
切歌は少しずつ調の元へ近づいてくる。
「切歌さんからしては私は友人で、昔から一緒に居るって思っているんでしょうけど、私は何も思い出せない……だから怖いんですよ、今まで私を気にしてなかった人が馴れ馴れしくしてくるのが」
「でも……調は私の大事な人デス!」
「それは貴方から見た意見、私から見たら見知らぬ人がいきなり寄ってきて、話しかけられる感覚なんです」
「調さんはずっと切歌さんは大丈夫なのかって私に訪ねてきました。私は調さんと切歌さんがいつも通りの関係じゃないのは少し嫌な気分です。ですが記憶が無くなってしまった以上、どう接するか考えないといけないと思うんです」
エルフナインが加えて切歌に伝える。
「ただ…私は……今までと一緒に……調と仲良くしようと………」
「今までの私なんて私は知らない……だからどの程度まで仲良かったのかも分からない…分かってあげたいのにどうすることも出来ない……この気持ちを分かって言っていますか……?」
「しら…べ………」
切歌は現実を受け止めきれず、その場から立ち去ってしまった。
(いつから……いつから進む道を間違えたんデスか……)
廊下を走っていると向い側からクリスが歩いてきた。
「おぉ、どうしっ………」
切歌は声を掛けたクリスを無視し、全速力で走っていった。
(今のは……調と何かあったか……?)
違和感を感じたクリスは切歌を追いかけた。
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「良かったんですか…?」
エルフナインが調に聞く。
「何が……?」
「一番頼りになるのは切歌さんですよ?それを切り離すって……」
「そうしないと、切歌ちゃんの苦痛でしかなかった泣き声をまた聴くことになっちゃうから……」
「調さんは本当に記憶は無いんですよね…?」
「うん、記憶は本当に思い出せない…ただ記憶の上書きはされてない」
そう、実際調は記憶の上書きなんてされていなかった。
調の企みは最後の最後で切歌に一番の笑顔になってもらう事。
何も知らなかった私に隅々まで教えてくれたのは切歌ちゃんの方だ。切歌ちゃんだって私の前で泣きたいと何回も思ったと思う。でも、私の前では涙一滴流さなかった。
『この世界の誰よりも可哀想じゃないデスかー!!』
一番悲しいはずなのに私を一番に考えてくれた。
『ッッぁああああああああああああああ!!!』
この狂うように泣き叫ぶ切歌ちゃんの声を聞いた。
私はあの苦しみの声以上の嬉しさの声が聞きたい。
苦しくて泣き叫ぶ声は聞きたくない。
私が求めるのは嬉しくて泣き叫ぶ切歌ちゃんの姿…
だから私は切歌ちゃんを切り離す……
◇
お風呂で倒れた切歌をベッドまで運んだ調は服を着せて、風邪ひかないように布団も掛けて気づかれないように、部屋から出ようとした。
「お前は何がやりたいんだ…?」
「今は……言えないですね…切歌さんには内緒にしてもらえますか…?」
調は廊下に居たクリスに記憶の上書きがされていない事を気づかれないためにあえて切歌さんと話した。
「それは無理な話だ、お前がアイツをここまで運んだ事は言わせてもらう」
「はは…ケチですね…」
調はそう言うとクリスの元から去っていった。
ご覧頂きありがとうございます!
シリアスな展開になってきました。この後もこれでもかと思うほどに切歌はドン底に落とされます。
お楽しみにしてください。