対魔忍世界に対魔忍♀で転生   作:VISP

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第六話 平穏は遠い

 校長であるアサギが重傷を負った事は生徒を始め、下忍等には伏せられた。

 しかし、先生方の物々しい雰囲気は隠せず、また任務も下火になった事もあり、生徒達は一様に不安がりつつも学業に専念していた。

 

 その当事者のもう一方の倉土灯はと言うと、趣味のネットサーフィンに勤しんでいた。

 部活にも所属せず、自室で趣味に耽る事が一番の幸福だと思っている彼女にとって、この時間は一番心安らぐ時間だった。

 無論、割としょっちゅう邪魔が入るのだが。

 

 『ンホおぉぉぉぉぉぉぉォ!逝き過ぎて脳みそ馬鹿になっちゃうぅぅぅぅぅぅぅ!』

 

 それは対魔忍(含む知り合いや教師)のアへ顔や逝き声が流れる時だったり、

 

 『ケケケ、此処が対魔忍の卵がいる五車学園の回線か!よし、手当たり次第クラックして、最後には情報やら盗撮でもしてやるか!』

 

 電霊やグレムリン、雷獣の類なんかが時折侵入してきてはエロ凌辱展開へと持っていこうとする時である。

 

 「死ね。」

 『へ?ぐぎゃッ!?』

 

 だが、そこは応用範囲の広い自己強化型の能力の持ち主にして、絶対凌辱許さないウーマンである倉土灯である。

 見つけ次第即行で始末していたりする。

 例え電子の海であろうと、一度認識さえしてしまえば潜れる様になるし、そこにいる馬鹿を殺す事も出来るのだ。

 

 「…ガ〇オンしよ。」

 

 ネサフで一気に萎えた灯は日課のオンラインゲームを始める事にした。

 

 

 

 緊急メンテナンスでプレイできず、結局不貞寝したが。

 

 

 ……………

 

 

 さて、アサギが重傷を負い、入院中であっても、どうしても緊急性の高い任務と言うものはある。

 その中には政府内の有力者の護衛であったり、米連や魔族の大規模作戦の兆候を掴んだ場合もある。

 

 「ヒヒヒ、この新人の対魔忍…芋っぽいし、多分処女だな!呼び出して手籠めにしてやる!」

 

 こんな豚の護衛をしなければならない時もある。

 

 「しかし、まだ来ないのか?もう随分時間が経ってるが…?」

 

 まぁ仕事は仕事だ。

 一応プロ意識を持っている者としては、ちゃんとこなさなければならない。

 とは言え、こんな豚の接待をしなければならない理由は無いので、先程から存在を薄れさせて誰にも認識できない様にしているのだが。

 

 その日、結局依頼人が屋敷から動かなかったので、スマフォしながら待機で終わった。

 

 

 ……………

 

 

 帰還してから数日後、流石に前回の依頼人からクレームがついた。

 曰く、ちゃんと仕事しろ、直接見える範囲で護衛しろ、との事だ。

 次も依頼すると言っているが、狙いははっきりしているので、仕込みをしておく。

 これならまぁ大丈夫だろう。

 

 「よし、今度こそあの対魔忍を…」

 

 ビシッ!と窓ガラスに穴が空くと同時、「前回」の依頼人であった男の額に穴が開いた。

 これで今回の依頼は終了だ。

 やった事は単純で、要はマッチポンプだ。

 態々この男の屋敷から敵対派閥に不利な情報を入手し、それを敵対派閥に情報屋を通してそれとなく流す。

 暗殺をしようにも、以前レインコートとしての依頼でこの派閥の私兵集団や懇意にしていた傭兵を皆殺しにした事があったので、戦力が足りていない。

 なので傭兵を雇うしかない、それも緊急で信用できる者を。

 そして、こと日本国内において活動中で信用の出来るプロの傭兵となると片手で数えられる程度だ。

 こうして、素早く「前回」の依頼人を排除する事で、面倒な依頼を無くす事に成功した訳だ。

 

 

 なお、今回の依頼人が難癖をつけて報酬の支払いを拒否してきたので血祭に上げた事をここに明記しておく。

 

 

 ……………

 

 

 今朝、学校に登校すると、机の中にハートマークのシールが貼られた便箋が入っていた。

 中身を見た後、その場で簡単な火遁の術を使って灰になるまで燃やす。

 放課後まで待ち、待ち合わせ場所に指定された校舎裏には行かず、そこを監視できる場所に狙撃態勢で待ち構える。

 装備しているのはM24 SWS。

 名作レミントンM700シリーズの派生品で、アメリカ陸軍や陸上自衛隊を始め、世界中の軍や警察でも採用されている信頼性の高い一品だ。

 アクセサリー類も豊富で、米連の鹵獲品でも割とよく見る。

 見れば、待ち合わせ場所にいる一人だけでなく、その死角になっている位置から4人の生徒が確認できた。

 

 (…やはり悪戯か。)

 

 膨れ上がる殺意を抑えつつ、インナーボックスマガジンから7.62x51mm NATO弾を装填する。

 ものは勿論ペイント弾だが、防弾装備をしていない状態なら例え対魔忍でも相応に痛いだろう。

 それを順番に馬鹿共へと発射する。

 一発目、一人だけ佇んでいた馬鹿を狙撃する。

 二発目、死角から覗いていた馬鹿を狙撃する。

 三発目、四発目も同上だ。

 どいつもこいつも狙撃への対応が遅すぎる。

 後で先生方へ狙撃への対応策をもっと密にすべきと具申…する前にやるべき事が多すぎるし、言っても無駄だな、うん。

 五発目、漸く気づいた馬鹿が逃げるが、死角に入って安心した所を予測位置に跳弾を叩き込む事で仕留めた。

 全員ヘッドショットだが、目や鼻、耳は避けたし、ペイント弾だから問題ないな、うん!

 狙撃銃を片付け、憂さ晴らしと懲罰を終えて悠々と帰還した私は、少しだけ機嫌がよくなった。

 

 後日、復帰したアサギ校長に「程々にしなさい」と小言を貰った。

 げせぬ。

 

 

 ……………

 

 

 傭兵レインコート。

 彼はつい最近、裏世界における最強の一角であり対魔忍の頭領である井河アサギを破った事で、以前から高かった評価が更に上がった。

 同時に、今まで高めだった依頼料が地味にUPしていた。

 とは言え、その成功率を考え、依頼しようとしていた者達はまぁこれ位なら…と渋々納得しながら支払った。

 無論、踏み倒そうとした連中の末路は言うまでもない。

 で、高くなった依頼料をどう使うのか、それは誰も知らない。

 ある者はいつもの売れ残り奴隷を買うのかと言い、ある者は装備品を買うのだと言い、ある者はついに娼館デビューか!?と期待し、ある者は私は飼われたいと言うが、真相はいつも通り誰も知らないのであった。

 

 何せ中の人の趣味は完全にインドアで、稼いでいる金額に比べれば、そこまで趣味に費やさない。

 まぁ例によっていつもの如く、また実務的な使い方をするのだが。

 

 

 ……………

 

 

 日本国某所、とある山中のセーフハウス

 

 「く、殺せ!」

 

 買ったのは名前も知らない対魔忍だ。

 多少火遁の術を使える程度の、本当に探せば何処にでもいるし、銃火器で代替できる程度の力しか持たない対魔忍。

 それこそ東京キングダムやヨミハラでは極当たり前に死体か娼婦か雌奴隷として転がっている程度の代物である。

 

 「これより訓練を開始する。」

 「く、訓練?」

 

 特殊な首輪と腕輪、足輪の効果により命令には絶対服従とは言え、言葉を発せる自由はある。

 

 「一、口答え・質問・抵抗をしない。

  二、脱走及び外部との連絡をしない。

  以上二つを訓練終了まで守れたら、奴隷契約を解除してやろう。」

 「く、誰が下賤な傭兵なんz」

 

 手の中に出現させた拳銃から、かなり大きな銃声が一発響いた。

 米連で使用される対対魔忍・魔族用の強装弾が元下忍現奴隷の頬を掠め、背後の壁にめり込む。

 防弾仕様の壁でも危うく貫通しかけるそれは、下忍程度の身体強度では確実に致命傷を負う事になるだろう。

 

 「一、口答え・質問・抵抗をしない。

  どうしても守れない場合、鉛玉をくれてやる。」

 「全面的に従いますので、どうか命だけは…。」

 「よろしい。それでは訓練を開始する。」

 

 下忍だけあって、どうやら志は低いらしい。

 そんな何処にでもいる下忍を相手に、プロの傭兵レインコートによるガチ軍事教練はスタートした。

 

 

 ……………

 

 

 元下忍・現奴隷は思う。

 どうしてこうなった、と。

 

 「走り続けろ。何があってもだ。」

 

 そうして走り続ける事、既に三時間。

 全身から汗が吹き出し、動悸は荒れ果て、女としてしちゃいけない顔をしている状態だ。

 だが、数m程後ろを走っている自分の飼い主、あの傭兵レインコートは小銃を担いだ状態で、息も乱さず同じペースで走っている。

 そして、少しでもこちらが止まるそぶりを見せたら、躊躇いなく銃撃を行うのだ。

 なので、こちらはもう死に物狂いである。

 通常は体内の対魔粒子の存在により、通常の人類よりも遥かに高い身体能力を持つと言っても、その生産量・貯蓄量には個人差が多く、一部の高位の忍具等に別に溜めておく事も出来るが、そんなものを下忍が手に入れられる筈もない訳で…。

 目下、元下忍現奴隷は対魔粒子を使い果たし、自前の体力のみでこの終わりの見えないデスマラソンに挑んでいた。

 

 (早く終わって~~!)

 

 なお、終了したのは2時間後、転倒と共に下忍少女が気絶し、それをレインコートが受け止めた時であった。

 

 

 ……………

 

 

 (やはり対魔忍だけあって反骨心は旺盛だな。)

 

 訓練を開始してから一週間、予想以上の食い下がりぶりに少し驚いた。

 衣食住に関しては他のセーフハウスごとの奴隷に任せており、栄養状態が抜群な事もあり、下忍とは思えない程の成長を始めていた。

 

 (うーむ、やっぱり通常の人類よりも成長速度も上限も上だ。)

 

 昔から魔族と戦ってきた(同時に交配してきた)だけあり、対魔忍の身体能力も成長の余地も普通の人間よりも遥かに高い。

 なので、真面目に訓練すれば、当然ながら強くなる。

 現に下忍である筈の少女はメキメキと強くなっている。

 だと言うのに今まで体系化された訓練をせずにいる。

 その原因を考えると、アサギの祖父への下克上が考えられる。

 無論、当時の情勢を余り知らないのでとやかく言わないが、此処で少なからずノウハウの喪失があったと思われる。

 現在はそれを再構築している段階なのだが…ここで対魔忍と言う組織の欠点が出てくる。

 それはふうまや井河、古くは甲賀や風魔、伊賀の様な有名処含む忍びと、対魔専門の武士や巫女の家系と言った古い家が多い事だ。

 そうなると、どうしても家々で目指す方向性は異なり、忍び系は諜報部門、対魔系は対魔族戦闘に特化しており、必然的に訓練内容も異なる。

 では部門別に分けて訓練しようと普通はなるのだが…ここで古い組織である事が裏目に出る。

 家々の派閥争いや後継者争い、更に魔族側や政治屋側の思惑も重なり、体系だった訓練の構築が阻害されたのかもしれない。 

 後は家々で好き勝手に家伝の技の修行をすればよい、名門と言われる家なら人数もそれなりなので、割と初期はそれでもどうにかなったのだろう。

 だが、現在の人手不足になる程に人数が減れば、話は変わる。

 少ない人数を特化させるよりも、ある程度平均化した方が戦力の数値化がしやすいし、何より管理しやすい。

 そのため、近代化に合わせてある程度組織として再構築、及び訓練の体系化が成されたのだろう、アサギの祖父の代で。

 無論、アサギの祖父は優秀だったが、米連や魔族との取引等、常に黒い噂の付き纏う人物だった。

 実際、アサギが邪魔だったので亡き者にしようと敵方に情報を渡し、捕えさせる等もしている。

 だが、老いたりとは言え実務と事務、双方のTOPだった祖父が下克上された事は、今まで彼が抑えていた問題が噴出すると言う事だ。

 具体的には名家間のいざこざとか、祖父が纏めてた訓練の体系化だとか。

 事務や政治方面では無能も良い所のアサギでは、それら発言力の強い名家を排除する事は(物理を除いて)難しい。

 と成れば、後はもとの時間の何倍もかけて技術の蓄積を行っていくしかない。

 勿論、その間に敵対勢力も雇い主である政府(売国奴が多数)も待ってくれはしない。

 そうなると必然的に人数不足も重なり、訓練未了の状態で現場に出さなければならない訳だ。

 

 うん、推測混じりだけど組織として終わってるな!

 政府はよくこんなボドボドな組織に金出そうと思うよ!

 そんなだから国営風俗デリヘル派遣業とか言われるんだよ!

 

 (今後、私一人では辛くなる任務が出るかもしれない。助手か使い捨ての駒で良いから、一人位人手が欲しい。)

 

 そうなると、頼りになるのは自分自身だが、倉土灯はチートとは言え一応人間だ。

 対処能力には限りがある。

 そして、対魔忍が頼りにならないのなら、頼りになる傭兵に依頼を…と言う事で厄ネタがこっちに来る可能性は高い。

 今の所どうにかなっているが、それでも用心に越した事は無い。

 しかし、誰かと組むと言っても、下手な相手ではその時点で裏切りフラグが立つ。

 なので、使える人材を自分で育てる事にした。

 教導の経験はないが、それでも他の傭兵(一番多いのはオーク、次いで他の下位魔族)を雇うよりは自分で育てた方が良い。

 幸い、練習用の使い捨てとして対魔忍の下忍が手に入ったので、こいつで凡その感覚を掴んで、改めて本式の方をセーフハウスの管理をさせている奴隷達に教えてみよう。

 無論、裏切り防止のための措置を今以上にきつくした上でだが。

 

 (さて、明日はどんな訓練をさせるべきか。)

 

 意外にも成長が早くて虐め甲斐があり、何だかS気が出てきた灯なのだった。

 

 

 

 

 なお、練習用の下忍はある程度成果が出たら、適当に学園近くで放流する予定。

 

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