駆け出しハンターと転生ペッコ教授   作:RGT

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UA2000ありがとうございました。
多くの方に見てもらえて、感謝感激です。
これからもクルペッコとアイラをよろしくお願いします


作戦会議

 

 クルペッコとロアルドロスの死闘とほぼ同時刻。

 

 駆け出しハンターアイラと上位ハンター神代秋人そして彼のパーティメンバーユキとジェイは集会所で料理の並んだ卓上を囲んでいた。この場は秋人の計らいでパーティを組むうえでの自己紹介・情報共有・作戦会議の名目で設けられた。

 

 その中で一人アイラは腑に落ちないといった表情を浮かべていた。

 

 別にアイラは催し自体にこれといった異論があるわけではない。むしろ大賛成だ。なにせアイラと秋人達が組むのは初のこと。加えて相手はあのクルペッコ。そんじょそこらにいるクルペッコとは訳が違う。舐めてかかれば今度こそ生きては帰って来れない。作戦が必要だ。そういった意味でも出席するのは当然のことだった。

 しかしアイラは思う。

 いったいなぜ私はジョッキ片手に食事を頬張っているのか?と。

 これって作戦会議だよね?と。

 

 アイラは思わず疑問を口にした。

 

 そんなアイラに秋一は、これがハンターの作戦会議の仕来りと言い放った。続けざまにアイラに周りで真昼間だというのにジョッキ片手に机を囲んでどんちゃん騒ぎをする数組のパーティを見るように促す。彼らもそうだと秋人は言う。

 アイラは駆け出しの身だ。ハンターの世界での常識はこれっぽっちもわからない。そうと言われればそうなんだと信じる他なかった。口から出任せを並べる秋人の横でユキとジェイが呆れた目をしているのにアイラは気づかない。

 

「ではカンパーイ!」

 

 誤解は解かれることがないまま、秋人の乾杯の掛け声とジョッキの音があたりに響く。

 

「さて、じゃあ最初は親交を深めるためにも恒例の自己紹介から。まずは俺から。俺の名前は神代秋人。武器は太刀でガンガン切りかかっていくぜ」

 

「「知ってる」」

 

「あ、それもそうか。ってお前らに行ってねぇよ」

 

 笑いが起こる。催しは和気藹々とした雰囲気で始まった。

 

「私はユキ。獲物は弓よ。援護は任せて。先に謝っとくけど射線が重なって当たった時はごめんね。わざとじゃないから」

 

「僕はジェイ。武器は狩猟笛です。夢は音楽家だったんですけど、どこで道を間違えたのかいつの間にかハンターを生業としていました」

 

「アイラです。武器は大剣だったけどつい最近片手剣に武器替えしました。よろしく」

 

「大剣から片手剣に?それはまた何でですか?」

 

「折れちゃったってのもあるし、ほかの武器のほうがあっているのかもって思って」

 

 話は数日前。アイラは折れた武器を新調する為、集会所近くの武器屋を訪れていた。

 そして新しい大剣を吟味している際ふと頭の中にある一つの疑問が思い浮かんだ。またクルペッコと殺り合うのに大剣で大丈夫なのかと。

 アイラはあの時のことを思い出す。攻撃は大振り過ぎて当たらなかった。ガードしようにも重すぎてワンテンポ遅れていた。動作が遅すぎてクルペッコの動きについていけてなかった。考えるまでもなくアイラ自身大剣は自分に合ってないことを察した。

 

 しかし武器を変えようにも一撃必殺にロマンを感じロマンを追い求めてきたアイラは、大剣以外の武器を使ったことはおろか手にしたこともない。そこで鍛冶大工にアドバイスを求めた。隙がなくスピードで翻弄でき、初心者にもお勧めで、もしもの時でも対応可能な前衛の武器。そうして勧められたのが片手剣だった。そうして使ってみること数回。いまでは大剣よりも扱いが手に馴染んできていた。

 

「太刀に、片手剣に、弓に、狩猟笛か。うん、いいな。バランスが取れてると思う。さて、知っての通りこのメンバーで今回はクルペッコを狩猟する。さっそくだが本題に入ろう。アイラ説明頼む」

 

「えっとどこから話そう。まぁ、まずは事の経緯から」

 

 アイラはクルペッコのことを事細かく語った。

 少女の声真似をすること、パーティメンバーの声真似をして翻弄してくること、知能がモンスターとは思えないほど高いということを。

 

 三人は終始無言のままアイラの話に耳を貸す。

 皆先ほどのおちゃらけムードとは一変して、その表情には真剣さが伺える。

 

「まさかそんなことがあり得るなんて。ある意味厄介な相手ね」

 

「どうしましょうか?少女の鳴き真似なんてされたら戦いにくくて仕方ありませんよ」

 

「うん。だから合流する前に私なりに考えてきた。まずお互いにハンドサインを決めておくってのはどうかな?」

 

「「「ハンドサイン?」」」

 

「そう。そうすることでしゃべらないでもコミュニケーションが取れる。例えば手を振るの意味は下がれとかさ」

 

「なるほど、考えたな」

 

 秋人は関心を示す。確かに声に発しなくとも連携は取れる。しかし欠点もあった。

 

「それだと前衛から後衛に情報を伝えることはできますけど後衛から前衛に情報が伝わりませんよ。前衛はモンスターに集中しないと危ないでしょうしそんな余裕ないでしょう」

 

「あ、そっか」

 

「じゃあこういうのはどうだ?全員とにかくしゃべる。でも一人の指示だけ聞く」

 

「また始まったわ。秋人の意味不明な作戦が。アイラちゃん聞かないでいいからね」

 

「いやいや今回のは十分実用的だって。まず全員最初は普通に声を掛け合ってお互いがお互いをサポートする。それで鳴き真似してきたら作戦2。後衛のジェイの声だけを全体の支持として聞く」

 

「でもそれってジェイの声を真似されたら意味なくない?」

 

「ちっちっち。ジェイは支持出さないときはいつも笛を吹いている。ってことは笛が聞こえているときに声が聞こえれば、それは偽物ってことだ」

 

「あ、なるほど」「いいですね」「考えたわね」

 

「じゃあそれでいこう。話をまとめよう。まずユキとジェイは俺とアイラの援護を徹底してくれ。指示はさっきも言ったようにクルペッコが鳴き真似を始めたらプラン2で。アイラは片手剣で死角に回り込むように立ち回ってくれ」

 

 決行は明日に決まった。

 アイラは期待に胸を躍らせ明日を待つのだった。

 




焼きサーモン様、5話での誤字報告ありがとうございました。
この場を借りてお礼させていただきます。
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