遊戯王5D's―破壊神を宿した希望の星は―   作:しえ&翼樹

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『遊戯王5D's―破壊神を宿した希望の星は―』第三話目!

 今回は初ライディングデュエル執筆。でもね、SPとか1枚も使わなかったわ。


第三話―ルーシア・セレスタイト

 夕方、先程D・ホイールの試運転に行っていた遊星は眠ってしまった。しかし――

 

『いくら疲れてても毛布もかけずに眠っては風邪をひくでしょうに』

 

 溜め息を吐く。そして遊星の意識を奥へと追いやって表に出た。

 

 スッと目蓋を開き、ダルい体を起こす。

 確かにまだ契約や憑依による変化が起きていない、人間のままの体ではあれほどに動けばこんな疲れも出るだろう。

 

「まったく、こんなところで毛布もかけずに眠って」

 

 私は薄い毛布を引っ張り出して体にかけ、眠る体制に入る。

 そして遊星の意識を元に戻して私はその体から離れた。

 

 私―ルーシア・セレスタイトは今、遊星に憑依している。

 全ては我が主、ユリア様の命によるもの。遊星が『死鎖』を断ち切る協力をし、彼に危害を加えるモノがいればそれらを全て破壊し守り抜く。

 

 それが私の役目だ。まあ、今はそんなこと関係なしにともに過ごす彼のことは大事に思っているが。

 

 今のところ、襲ってきた人ならざるモノは0、つまりはいない。

 しかし退屈ではない。ここには――

 

「遊星ー! ルシアー!」

 

 噂をすればなんとやら。飛び込んできたのは遊星の仲間の少年、ラリー。私は再び遊星の体を借りて起き上がる。

 私が表に出てるときは遊星の体で私自信の力が使える。力を使えば体の疲労は回復するので心配はない。

 

 では何故、遊星を起こさないのか。それは精神の疲れは眠ることでしか取れないからだ。

 では何故、私が起き上がるのか。大事な仲間の来訪を無下にはできないという遊星の意思……というわけではなく、私がただ退屈だからだ。

 

 ラリー達は私の存在を知っている。何故いるのかという理由は知らないが。

 最初はかなり警戒されたが今では仲は良い。

 

「ラリーか」

 

 なるべく遊星に似るように口調や雰囲気を似たものにする。

 まあ一発でバレるのだけど。

 

「ルシアか、今はお前が表に出てるのか」

 

「うわ、珍しいな」

 

 仲間の一人であるナーヴとブリッツがそう言う。

 ほうらね?

 

「やはりバレますか」

 

「いやいや、バレない方がおかしいから」

 

 ラリーのツッコミに苦笑する。

 私が表に出ると遊星のアクアマリンの瞳は私の血のような紅い色に染まってしまうのだ。

 

 だから私はそう頻繁に表に出ない。

 遊星が化け物のように見られてしまうからだ。「瞬きするだけで瞳の色を変える人間なんかどこにいるものか」とね。

 

 遊星の瞳は藍だと? えぇ、契約する前はね。

 契約のさい『死鎖命眼』を手に入れた遊星は人間であるためその力を制御できない。よって常時『死鎖命眼』が発動しっぱなし。

 

 よってあれから遊星の瞳は能力発動時のアクアマリン色なのだ。

 彼が能力を制御できれば藍の瞳をもう一度拝めるだろうが、それは彼が人間を止めたとき。

 

 ラリー達は最初は驚いていたし事情を説明すると悲しんでたり怒ってたりしたが、それが遊星の選んだ道ならと遊星を支えると言った。さらに今では私のこの紅い瞳が綺麗だと言う。

 しかしその度、遊星が自分のことのように嬉しそうな顔をするのは何でだろう?

 

 話を戻すがそんな訳で私はラリー達の前では頻繁に出ている。

 

「遊星は?」

 

「奥で眠っています」

 

「眠ってってことは疲れてるんだよな? 体使って大丈夫なのか?」

 

「回復魔術が使えるので問題ありません。

というより3日間寝てないんですからこのまま体を疲れさせきって死んだように3日寝続ければ良いんです」

 

 タカの言葉に私が答え、それに全員が苦笑する。

 まったく、これほどに心配されているのに遊星は……

 

『交代しろルシア』

 

 遊星、いつの間に!

 

 いつの間にか起きていた遊星が私に声をかける。

 まったく、もう少し休んでてもらいたいものだ。何だか口調が不機嫌そうだし、きっとまだ眠いのだろう。

 

『契約してから気配には敏感なんだ』

 

「毛布を引っ張り出したときには起きなかったくせに」

 

「え? 遊星起きたの? じゃあ変わって! 見せたいものがあるんだ!」

 

 私はラリーの言葉に遊星と交代する。

 遊星はラリーに尋ねた。

 

「どうした?」

 

「これ!」

 

 ラリーが取り出したのはチップ。

 おそらくD・ホイールの部品だろうが、サテライトにあるには似つかわしくないほどの真新しいチップ。

 

(十中八九、盗んだのでしょうね……)

 

 ラリーの窃盗癖は既に知れたこと。遊星を覗く皆はラリーに「盗んだのでは?」と聞くが、彼は「拾った」と言う。

 遊星は黙ってそれを受け取りD・ホイールにセットする。

 

 おそらくは早くシティに行きジャックに会いたいのだろう。

 普段の彼なら返してくるように言うはず。

 

 無理もない。

 かつての仲間、ジャック・アトラスが近々死ぬ運命にあるというのだからのんびりなど仲間を大切にする彼ができるはずもない。

 

 遊星がチップをセットしたD・ホイールを動かしてラリーがはしゃいでいる。そのときだった。

 

《ラリー・ドーソン! 窃盗の容疑が出ている。同行してもらおうか!》

 

『やはり盗んでいましたかって、遊星?』

 

 遊星がD・ホイールを動かしているのが目に入る。まさか囮?

 

『まったく、アナタらしい』

 

 私はD・ホイールの横について浮かびながら遊星を見る。

 予想通りセキュリティが追いかけてきた。

 

 まったく、乗っているのがラリーではないと何故わからないのか。いや、それともわざと追いかけてきた?

 

 少し行ったところで止まり遊星が言い放つ。

 

「おい、デュエルしろよ」

 

「デュエルだ?」

 

 その瞬間、セキュリティ隊員の背後からドス黒い陽炎のようなものが立ち上ぼり、ニタリと笑みを浮かべる。

 隣で遊星が少し驚いた顔をするが、遊星は人ならざるモノを視る能力は持ってないので私の勘違いだろう。持っているのはあくまでも『死鎖』を視る能力、死鎖命眼のみだ。

 

 私はデュエルの準備をする遊星に伝える。

 

『遊星、気をつけて。あの人間には私の同族が憑いています』

 

「というと、悪魔か?」

 

 D・ホイールの音によって我々の会話はあの男―名を牛尾と言ったか―には聞こえていないようだ。

 私は遊星の言葉に頷き、

 

『ただし、下級悪魔にすら及ばない名もない低級悪魔……

自分の本能のままに人間の心に入り込み操るのが得意ですがそれだけです』

 

 おそらく、遊星の魂を狙って来たのだろう。だからラリーではなく遊星を追ってきた。

 

『デュエルが終わり次第、私が代わってあの悪魔を片付けますから思いっきりやってください』

 

「わかった」

 

 スピード・ワールドがセットされる。

 遊星と牛尾は叫んだ。

 

「「デュエル!!」」

 

 先攻・遊星

 LP4000

 後攻・牛尾

 LP4000

 

 さて、終わるまで何をしてようか。ハッキリ言って遊星が低級悪魔に簡単に憑かれるような精神の持ち主に負けるはずがない。

 

 デュエルで負けて怯んだところで宿主から引き離すまでは私も手出しできない。

と、思っていたが……

 

『ケタケタ』

 

 とつぜん牛尾に取り憑いている悪魔が笑い始めた。

 遊星が不快そうに顔を歪める。まさか視えているのか?

 

 いや、視えてなければ他人に取り憑いている悪魔の声が聞けるはずない。

 

『遊星、アナタは視えているのですか?』

 

「あぁ。これも死鎖命眼の効果か?」

 

『いや、その能力はあくまで「死鎖」を視る能力です』

 

 そう。死鎖命眼はあくまで『死鎖』を視る能力。この能力で見えざるものまで見えるはずは――

 なのに何故?

 

「なら、これが人間を止め始めた変化なのか?」

 

『いえ、アナタはまだ契約や憑依による変化すら出ていない』

 

 私が交代してれば悪魔の目を通して視えるでしょうが……。本当にいったい何故?

 疑問に首を傾げていると途端、牛尾が悪魔とともに妙な笑い声をあげ始めた。

 

「『ケタケタケタケタ』」

 

『乗っ取られましたか』

 

 目が完全にイッてしまっている。どうやら、悪魔に体の主導権を握られてしまったようだ。

 

「っ!?」

 

 遊星が牛尾を――正確には悪魔から伸ばされ牛尾に巻きついた赤い『死鎖』を視て顔を真っ青にする。

 

(俺に巻きつく『死鎖』を視てるときとは全然違う、この恐怖はいったい……!?)

 

 体も震えている。

 当事者の『死鎖』を視るということは死を直接視てるのと同じこと。常人には恐ろしくて耐えられないだろう。

 私は遊星と交代する。デッキ内容も私のものに変わってしまうが問題はないだろう。

 デュエルはまだ始まったばかりなのだ。

 それにこのデッキは魔法カードをあまり使わない。

 

『ルシア!?』

 

「無茶をして倒れられては困りますので。私は『死鎖』を視慣れてますし。

後ろで慣れれるように視ていて限界だと思ったら引っ込んでてください」

 

『わかった。すまない』

 

「クスクス、こういうときは別の言葉を言うんですよ」

 

『そう、だな。ありがとう』

 

 遊星の言葉を聞いて私はもう一度笑みを浮かべる。そして悪魔を見据えた。

 牛尾に『死鎖』が巻きついた原因はあの悪魔。あんな男を結果的にとはいえ助けるのははっきり言って嫌なんですがあの悪魔を倒さないと遊星が危ないですからね。

 

 やりますか。

 

 D・ホイールと同じ赤色のヘルメット、そのバイザーの下から私の紅の瞳が妖しく光をおびた。

 

「名すら持たない低級悪魔が……キサマが誰に手を出そうとしたか――」

 

 ――思い知らせてあげますよ?

 

「先攻は私です。ドロー」

 

「『口調ガ変ワッタダト?』」

 

 なるほど、操られているという意識がないのですね。

 この様子だとこのデュエルでの記憶が残ってしまうかもしれない。

 

「なるべく能力を見られるのは避けたいのですが……」

 

 仕方がない、か。

 

「私はチューナー、魔轟神獣チャワを手札の魔轟神獣ガナシアを捨てて特殊召喚!」

 

 魔轟神獣チャワ/ATK200

 

「ガナシアの効果発動します。ガナシアは手札より捨てられたとき、自分自身を蘇生できる」

 

 魔轟神獣ガナシア/ATK1600

 

「この効果で特殊召喚されたガナシアは攻撃力を200ポイントアップする」

 

 魔轟神獣ガナシア/ATK1600→1800

 

「レベル3のガナシアにレベル1のチューナー、魔轟神獣チャワをチューニング!

異界より現れし魔獣よ、黒き鎧をその身に纏い、あらゆる理をはね除け現れよ!

 

シンクロ召喚!

 

魔轟神獣ユニコール、現界!」

 

 黒き鎧を纏いし馬が現れ、私の隣を走る。

 

 魔轟神獣ユニコール/ATK2300

 

「『シンクロ召喚ダァ? サテライトノ屑ガ生意気ナ』」

 

「屑……ですか。

サテライト住民全員が全員、屑だとお思いで?

その人をよく知りもしないで人を見下すあなたと我々――

 

――屑はどちらでしょうね?」

 

「『何ダトォ!?』」

 

『ルシア、お前……』

 

「思ったことを言っただけですが、何かおありですか?」

 

 ギンッと睨みつける牛尾に冷ややかな目でそう言う。

 そして遊星の方を見て微笑んだ。

 

「思ったことを言っただけですよ。私はカードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 遊星(ルシア)

 LP4000

 手札3枚

 モンスター:魔轟神獣ユニコール(ATK2300)

 魔法・罠:リバース×1

 スピード・ワールド(スピードカウンター×0)

 

「『俺ノターンダ! ドロー!』」

 

 スピードカウンター×0→1

 

「『ケタケタケタ! 俺ハ、インヴェルズの魔細胞ヲ特殊召喚!』」

 

 インヴェルズの魔細胞/ATK0

 

「『インヴェルズの魔細胞ヲリリース!

インヴェルズ・モース、アドバンス召喚!』」

 

 インヴェルズ・モース/ATK2600

 

「インヴェルズですか……面倒ですね」

 

「『ケタケタケタケタケタケタ!

インヴェルズ・モースノ効果発動!

ライフヲ1000払ッテ相手カード2枚ヲ手札二戻ス!

 

俺ガ戻スノハ、ソノ邪魔クセェセットカードトモンスターダ!』」

 

 牛尾(悪魔)

 LP4000→3000

 

「クッ」

 

 魔轟神獣ユニコールはシンクロモンスター……戻るのはエクストラデッキか。

 

「『ガラ空キダナア!!

インヴェルズ・モースでダイレクトアタック!!』」

 

「グアァァァァ!」

 

 遊星(ルシア)

 LP4000→1600

 

『ルシア!? 何で、怪我を負って……』

 

「種族特性、神の祈り第一小節―癒し」

 

 私が小さく唱えると体の傷はシュゥゥと音をたてて再生していく。

 これが契約した遊星や私に与えられたユリア様の恩知恵の一つ、癒しの力だ。神の癒しの力……やはり強い。

 

「すみません、あなたの体に傷を付けた……」

 

『いや、そんなのどうでもいい! 何故デュエルで傷を……』

 

「相手が悪魔ですからね。これはダメージを負う闇のデュエルとなっています。

受けたダメージは実際の傷となる」

 

『やはり俺が変わる!』

 

「いえ、ご心配なさらずに。私は戦闘ダメージを受けたことで彼を召喚出来ますから」

 

『何、を……!?』

 

 私の言葉とともに遊星の意識が闇に堕ちる。

 すみません、今のあなたではまだこのカードの重圧に耐えきれないでしょうから。

 

「ではいきますか。トラゴエディア、特殊召喚」

 

 闇を切り裂き巨大なモンスターが現れる。

 

 トラゴエディア/ATK?

 

 その存在の強大さに知性を持たない相手の低級悪魔も畏縮する。

 

「『ヒッ! ナンダソノモンスターハ……!』」

 

「最初に言ったはず……あなたが誰を敵に回したか、思い知らせてあげますとね」

 

 トラゴエディア/ATK?→2400

 

「『ヒィ! カ、カードヲ伏セテターンエンド!』」

 

 牛尾(悪魔)

 LP3000

 手札3枚

 フィールド:インヴェルズ・モース(ATK2600)

 魔法・罠:リバース×1

 スピード・ワールド(スピードカウンター×1)

 

「私のターン、ドロー」

 

 スピードカウンター×0→1

 

「トラゴエディアの効果です。手札より魔轟神ソルキウスを墓地に送り、同じレベル6のインヴェルズ・モースのコントロールを得る」

 

 トラゴエディアの障気がインヴェルズ・モースを絡めとる。

 

「『インヴェルズ・モースガ捕ラワレタ……!?』」

 

「再三に渡って言ったはず……あなたには誰を敵に回したか思い知らせると……

さらに手札のカードを2枚墓地へ送り魔轟神ソルキウスを特殊召喚!!」

 

 魔轟神ソルキウス/ATK2200

 

 さあ、彼らへの供物は用意した……存分に味わうと良い。

 

「地獄に送り返してあげましょう。3体のモンスターをリリース!!

 

闇の象徴の邪悪なる神よ!太陽を覆い隠し世界を闇に引きずり込め!!

現界せよ、最悪にして絶望の邪神、アバター!!」

 

 邪神アバター/ATK?

 

 空が暗雲に包まれ、それが晴れると空に浮かんでいるのは暗黒の太陽。

 牛尾――正確に言えば取り憑いている悪魔が真っ青になってアバター、それを従える私を見る。

 

「『来ルナ来ルナ来ルナァァァァァ!!』」

 

「手札を2枚捨てて墓地のソルキウスを特殊召喚!」

 

 魔轟神ソルキウス/ATK2200

 

「アバターの効果を発動!

このカードの攻撃力はフィールドに存在するモンスターの攻撃力に100プラスした攻撃力になる!」

 

 邪神アバター/ATK?→2300

 

 アバターの姿が全身黒のソルキウスへと変化する。

 

「ソルキウスで攻撃!」

 

 黒い翼と尾を持った悪魔が黒い波動を放った。

 

「『ト、トラップを、トラップ……何デトラップガ発動シネェンダヨ!?』」

 

「アバターを召喚したとき、相手ターンで2ターン経過するまで相手はマジック、トラップを発動できない。

それがアバター、神を越える邪神のもうひとつの能力ですよ」

 

「『ギャァァァァァァ!!』」

 

 牛尾(悪魔)

 LP4000→1800

 

「良かったですねぇ、ここが神域でなくて。でなければあなたは宿主もろとも消し飛んでいますから。

アバターでダイレクトアタック」

 

「『ヤ、止メロォ!』」

 

「ミラージュ・ブラック」

 

 アバターが黒い発動を放つ――先程より威力は大きいが。

 

「『ギィィィィィィアァァァァァァァァァァア!!!!!!!!』」

 

 牛尾(悪魔)

 LP1800→0

 

 牛尾のD・ホイールが横転し、牛尾の体が空中に放り出され地面に叩きつけられる。

 瞬間、悪魔がその身から離れ『死鎖』は消え去った。

 

 悪魔はそのまま闇に身を潜めようとする。

 

「逃がすとお思いで?」

 

 私はペロリと唇をなめるとヘルメットを脱いでその紅い瞳を細める。

 

「本当に、おめでたい方だ」

 

 遊星に手を出そうとして無事でいられると?

 

「まったくもっておめでたい方だ」

 

 そう言いながら影から飛び出してきた悪魔の頭を掴む。

 

『ギァ!?』

 

「あぁ、私が何者なのか知りたいのですか?」

 

 憑依している遊星の体から悪魔としての身の丈ほどもある巨大な漆黒の翼が現れる。

 感情が高ぶると片鱗を見せてしまうのはなんとかできないものか。

 

「そこは私の我慢しだいですかね」

 

 人前でだけはなるべく避けなければ。

 そうしなければ遊星が化け物として見られてしまう。

 

「彼はその身は化け物になる運命ですが、心は人間のままですからね」

 

 化け物として虐げられるのはとても辛いだろう。

 

「と、心を改にしている場合ではないですね」

 

 この悪魔、どうしてくれようか?

 

「手始めにこのうざったい腕を折ってやりましょう。逃げられないように足も折って、それから折った傷を蹴りまくって最後に頭をぐしゃっとね♪」

 

 ユリア様の愛し子である遊星に手を出したのだ。

 このくらいは当然。だが――

 

「服にコレの汚らわしい血が飛び散ったらそれを着る遊星まで汚れてしまいますね。

なら一瞬で殺しましょう」

 

 私は悪魔を放り投げ、手袋を外し、爪を鋭く長く伸ばす。

 そしてその爪で悪魔の体を――

 

 ザシュッ

 

 綺麗に切り裂いてやった。

 

 

 ――治安維持局――

 

 

「なんという存在――」

 

 監視カメラの映像で一部始終を見ていた男は遊星、正確には彼に憑依するルシアが邪神を従える姿を見て笑みを浮かべる。

 

「シグナーでなくとも、彼を決戦の場へと導けば冥界の王を倒せるやもしれません。

……いや、それは早計か。

彼が冥界の王に付く可能性もある。まずは――」

 

 彼が敵か味方かを確かめ、味方の場合は引き入れ、敵の場合は――

 

「すぐさま抹殺しなければならないでしょうね。イェーガー」

 

「ハッ」

 

「彼をフォーチュンカップに招待しなさい。例えどのような手を使っても――」

 

 その場で彼が敵か味方かを見極めようではないか。

 男―レクス・ゴドウィンはカメラに写るルシアの背を見据えた。




 新設定について

『魔族』
 一番弱い順に「低級悪魔」「下級悪魔」「魔獣or魔物」「中級悪魔or魔人」「上級悪魔」「最上級悪魔」「魔神」

 となっています。

「魔人」は悪魔をその身に宿して悪魔化した元人間です。
 人間に化けられるけど魂を見れば一発で見分けられる。

「魔神」は神と同等の力を持ってる悪魔。
 神と契約したり悪魔に堕ちた元悪魔だったりするけれど稀に純粋に生まれつき力がとんでもなくデカい奴がいます。
 そいつは「幻魔(げんま)」と呼ばれ、詳しい数はわかっていませんが2桁に満たないです。
 GXに出てきた三幻魔とは全く別物です。
「魔神」や神はリアルファイトすれば三幻魔が瞬殺されてしまうくらい強いです。

 ルシアはこの幻魔に入ります。普段は最上級悪魔程度の力ですがマジ切れすれば幻魔並の力を出します。

 ルシアがマジ切れする予定? 今のところは……遊星を狙ってきた他の魔神とのガチバトル。
 早ければ勝手に勘違いして逆恨みした鬼柳とのデュエル1戦目で時空崩壊しかねない勢いで実態化した地縛神素手で捻り潰す感じ。


『種族特性』
 神や悪魔が持つ体質もしくは会得してる術の一部を契約することで恩知恵の形で会得できることです。
 これで契約の影響を受けてない初期段階でもある程度の人間離れしたことができるようになります。

 ゲームなら初期の段階で覚えてる魔法ってところです。契約の影響で人ならざるモノになっていくのがレベルアップしてたくさんの魔法を覚えてくみたいな感じです。

 神なら術は防御や回復、体質としてはインチキレベルの強運。悪魔なら術は攻撃や呪術、体質としては強靭な肉体と人間の限界を超えた身体能力。

 遊星、ルシアはユリアと契約しているので神の「種族特性」を受けており、遊星は防御と回復の術。ルシアは強運を授かっています。

 今回、ルシアは憑依している遊星が会得している回復魔術を遊星として行使しました。
 憑依してれば憑依してる相手の「種族特性」が使えるので。


『悪魔化』
 今回は牛尾さんに悪魔が憑いていましたが牛尾さんは遊星とルシアの関係のように悪魔化はしません。
 遊星とルシアの関係はある意味、「魔人」と同じです。
 牛尾さんは相手に無理やり心の中に入り込まれたので魂同士の反発が常に起こっています。

 悪魔化とは人間が悪魔をその身に受け入れたときに起こるいわば魂の反発がないことでお互いの魂が融合したような感じです。

 ので、牛尾さんは悪魔化しません。


 こんなところです。

 そして次回は瓜生戦。ここで遊星、悪魔化の片鱗を見せます。
 さらにジャック戦ではジャックのある言葉に悪魔としての力に飲み込まれかけてしまい――

 感想くれるとモチベーション上がって更新早くなるかもです。
 え? 誰も待ってない? あ、そう。

 それではー。
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