普通の魔法使いが行く!Fate/Grand Order   作:秋塚翔

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お久しぶりです!半年ぶりの秋塚翔です。
復帰……と言うか、ようやく重い腰を上げてリハビリがてら書き上げた新作。ある方に提案され、脳細胞がトップギアになって書いた東方とfgoのクロスオーバーとなります。

fgoにかまけ、ドラクエ11をやり込み、最近ハマってる『転生したらスライムだった件』がアニメ化しないかな~と悠々自適にブランク積んでたリハビリ新作品、どうぞご覧くださいませ!


第一節 メイガスマスター

ビュウビュウと、防音ガラス越しでも聞こえてきそうなほど吹雪いている外の世界。元々変わり映えしない雪山の中だったが、激しい吹雪で真っ白に染まってしまった景色を一人の少女が窓際に腰掛け、ただただ何を思うでもなく眺めていた。

 

「──フォウ!」

 

「……?」

 

そこへ小さな足音を立てて白い小動物が近寄ってくる。

猫とも狐とも見える容姿にフワフワの毛。少女にとって見慣れたその小動物は近寄ったかと思いきや踵を返し、かと思えば少女の方に振り返る。まるで着いてこいと言わんばかりの仕草だ。少女は立ち上がるとその後を着いていった──

 

 

 

追い越さないよう遅い足取りで着いていくと、小動物は曲がり角で走り出し姿が見えなくなる。少女がその角を曲がると、すぐそこに小動物が居り、その下には……一人の少女が倒れていた。

どうやら眠っている様子の少女。この施設で支給される白い制服にウェーブがかった金髪が良く映える。そんな少女の顔を、飛び乗った小動物はペロペロと小さな舌で舐めていた。

 

「……ん、あ?燐、じゃあないか。何だコイツ?」

 

ほどなくして金髪の少女は目を覚ます。顔を舐めて起こしてきた小動物に対して眉をしかめ、状況が飲み込めていないようだ。

 

「あの、おはようございます。朝でも夜でもありませんから、起きてください、先パイ」

 

「ん、おお、何だって私はこんな所で寝てるんだ?」

 

「不明です。私も今来たところなので……」

 

そう話しながら金髪の少女は反動をつけて起き上がる。そして徐に頭を触って周囲を見渡すが、「そうだ。今は被ってないんだった」と一人で納得し、少女と向き合った。

 

「とりあえずおはようさん。ところでお前は何者だ?」

 

「はい、改めておはようございます。私は……えっと、すみません。名前が無い訳ではないのです。ただ自己紹介する機会が無かったもので……」

 

少女は申し訳なさそうに顔を暗くする。それに金髪の少女が首を傾げていると、対角の通路から足音が近付いてきた。

 

「そこにいたのか、マシュ。ダメじゃないか、断りも無しに移動するのは良くないと……おっと、先客がいたんだな」

 

どうやら少女──マシュを探しに来たらしいシルクハットにスーツの男は、親しげに笑顔を浮かべる。

 

「君は今日から配属された新人さんだね?私はレフ・ライノール。このカルデアで働かせてもらってる技師の一人だ……マシュとはもう名前を聞き合っているかな」

 

「いいえ、これからでした。遅れましたが、私はマシュ・キリエライトと申します。こちらの毛並みが魅了的な小動物はフォウ」

 

「フォウ!フォーウ!」

 

「あの、宜しければ先パイの名前を伺って宜しいですか?」

 

「ん?ああ、私は……」

 

言って金髪の少女はふと思い立ち、まるで被っていない帽子を押さえるように格好を付ける。そして不適な笑みを浮かべて名乗りを上げた。

 

「──私は、霧雨魔理沙。普通のマスター候補生だぜ!」

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~

 

「さて……と、シミュレートとやらでまだ頭が冴えないし、こう言う時は部屋でしっかり寝るに限るなっ」

 

一通り区画を確認し終えた金髪の少女──魔理沙は、ぐっと伸びをすると宛がわれた自室に向かい出した。その肩には白いフワフワの小動物──フォウが一緒だ。

因みに本来ならこの後、ここ『人理継続保証機関フィニス・カルデア』の所長による説明会があったのだが、

 

『あー、私はパス。眠いし、人の話は聞き流す質なんでな』

 

『良いのかい?遅刻でも、あの所長に一年は睨まれるぞ』

 

『そう言うのを気にしない質でもあるぜ。マシュ……だっけ?お前も一緒に昼寝でもどうだ?』

 

『とても魅了的なお誘いですが、後学のために説明会に立ち会わせていただきます。また機会があれば』

 

と、見事なバックレをこいていた。どうせ行っても何かしらのいざこざ起こして結局睨まれるだろうし、今回の目的やレイシフトなるものに関しては、()()()()に来る前に聞いているので、問題は無いのである。

 

「お、ココか」

 

そうこう経緯を話してる内に魔理沙は自室に着いた。自動扉と言う見慣れない設備に戸惑いつつ、魔理沙が部屋に入ると……そこには、ベッドでくつろぐ男の姿があった。

 

「──え、うぇえええええ!?だ、誰だ君は!?」

 

「アンタこそ何者だ。乙女の部屋に入り浸るとは太い野郎だ」

 

「あ、も、もしかして今日から配属されたマスター候補生?参ったな、このサボり部屋ともオサラバかぁ……」

 

ガックリと肩を落とす髪をポニーテールに纏めた男。どこか憎めない柔らかな雰囲気を感じる。男は気を取り直すと魔理沙に名を名乗った。

 

「僕は医療部門トップ、ロマニ・アーキマン。皆にはDr.ロマンと略称されてるから、君もそう呼んでくれ」

 

「そうか、私は霧雨魔理沙だ。皆には異変解決の専門家と呼ばれてるから宜しくな」

 

「ハハハ、異変解決の専門家と来たか。これは凄い逸材をスカウトしてきたものだね」

 

本気にしていないのか(事実、自称だし)男──ロマンは軽く笑って流す。

 

「ところで今は確か説明会の時間だろう?もう終わったのか、はたまた所長に叱られて追い出されでもしたのかい?」

 

「ああ、サボったぜ」

 

「な、何て正直かつ大胆な……!君は大物になれるよ。じゃあ同じサボり仲間として今後とも仲良く……」

 

《ロマン、あと少しでレイシフト開始だ。万が一に備えて来てくれないか?》

 

「…………」

 

「仕事だぜ、サボり仲間?」

 

ニヤける口に手を当て、意地悪そうに魔理沙は笑う。対して苦労人感を漂わすロマンはニヤける魔理沙を尻目に通信機を押し、通信相手のレフに応答した。

 

「分かったよレフ。そちらの現状は?」

 

《Aチームは安定、だがBチームの意識が乱れている》

 

「なら麻酔薬を打つとしよう。少し待っててくれ、すぐに行く」

 

《そこは医務室だろう?五分で着くと思うが》

 

ロマンはしまったと手で頭を押さえた。

この個室は中央管制室からかなり離れている。サボりの代償。五分以上遅れでもすれば、今頃マスター候補生の指揮に当たっている所長にまた叱られる事だろう。次は減給も免れない……!

 

「……はぁ、仕方ない。インドア派だがダメ元で走るとしよう。とりあえず行ってくるよ」

 

「送ってやろうか?私もレイシフトってのを見てみたいからな。ブレイジングスターでひとっ飛びだ」

 

「え、できるのかい?願わくばお願いした──」

 

と半信半疑でロマンが言いかけたその時、二人の視界が暗転。目の前が闇に包まれた。

 

「あれ?何だ、停電かな……?」

 

──ドガアァァァンッ!

 

《緊急事態発生。緊急事態発生。中央発電所及び中央管制室で火災が発生しました。中央区画の隔壁は90秒後に閉鎖されます。職員は速やかに第二ゲートから避難してください。繰り返します。中央発電所及び──》

 

直後、遠くからの爆発音とけたたましいサイレン、尋常ではない警報で白い室内は真っ赤に染まる。赤いライトに照らされるロマンの顔は、耳を疑っているように驚愕を表していた。

 

「火災!?それも中央管制室だって!?それじゃあ今の爆発音は……!」

 

(! 確か管制室じゃ説明会が……そこはマシュが……!)

 

「フォウ!」

 

思うが早いか、驚くロマンを放って魔理沙(とフォウ)は飛び出す。目指すは第二ゲート……ではなく中央管制室。場所はさっき区画の確認で覚えている。

 

「お、おい!一体どこへ……あぁもう、僕も行くよ!」

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~

 

辿り着いた中央管制室は、炎と瓦礫に包まれていた。その中には息絶えた職員たち、筒上の装置(コフィン)内で血を流しているマスター候補生たちの姿もある。唯一無傷な中心に座す真っ赤な太陽のような物体を囲う装置、あれが話に聞いたカルデアスだろうと魔理沙は判断した。

 

「くっ……こりゃ酷いな……」

 

魔理沙は袖で口を覆って火中に踏み入る。

そうしてすぐに少女は見付かった……頭に血を滲ませ、下半身は巨大な瓦礫に押し潰されたマシュが。

 

「……ぁ……良かった、無事、だったんですね、先パイ……」

 

「……そう言うお前は、不運だったな」

 

「みたい、です……私の事はいいので、先パイだけでも逃げ、て……」

 

医療に覚えのない魔理沙でも分かる。これは助からない。そして助からなかった人間なら何度も見ている魔理沙だからこそ、冷静かつ冷酷に死にゆくしかない者に『不運だった』と言えた。

ではこのまま放って自分は逃げるのか?

 

……否。そこまで冷酷にはなれなかった。

 

「っ?……先、パイ?」

 

黙り込んで立ち尽くす魔理沙に、マシュは顔を見上げる。すると魔理沙はポケットから八角形状の物を取り出す。魔術を知識程度しか知らないマシュにも何となく分かる。それはただの物ではなく、魔術道具だと。

 

「マシュ、ちょっと目が眩むが我慢しろよ。どうせ死ぬなら、こんな熱い場所じゃなくてベッドの上で死ぬ方がマシだろ?」

 

そう言って魔理沙は取り出した八角形の物体を、瓦礫に向けて突き出す。中心の穴に魔力らしき光が溜まっていき、凄まじいパワーを感じる。マシュは察した。一般人枠で入ったはずのこの少女、魔理沙は瓦礫を壊す気だ。

と、そんな燃え盛る管制室の中でアナウンスの機械的な音声が流れる。

 

《……確認しました。適正番号48 霧雨魔理沙 を マスターとして再設定します。

 

アンサモンプログラム スタート。霊子変換を開始します。

 

レイシフト開始まで あと3

 

 

 

全工程 完了(クリア)

ファーストオーダー実証を開始します》

 

魔理沙が何かするのが早いか、カルデアスが起動するのが早いか。どちらにせよ魔理沙とマシュの体は光の粒子に包まれ、何も分からなくなってしまった──




いかがだったでしょう?まだちょっと紙芝居形式が抜けきらなくて、だいぶ端所ってプロローグを詰め込んだので話が飛び飛びだったり分かりにくかったりなら申し訳ない。これから修正、精進していく所存です。

この作品における魔理沙や東方サイドですが、方向性としては原作遵守で行きます。今までの作品では二次創作寄りでしたがfgoサイドが真面目なので、クロスオーバー相手として郷に入らせようかなと。なのでカップリングや二次創作設定は申し訳程度やネタ的な感じになりますね。
タグにある『オリジナルサーヴァント』は東方サイドのものになります。どういう意味かは察してるでしょうが、次回辺り。fate側の新しい英霊を作ると言う意味のオリジナルではないのでご了承をば。

因みに魔理沙、説明会バックレたせいでチームから外されてた事については「こっそり忍び込んでレイシフトする」と言う思惑からロマンを送ろうとした模様。原作の魔理沙らしい行動を出せたかな。

それでは説明足らず感が否めませんが、長くなるのでまた次回。乞うご期待を!
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