普通の魔法使いが行く!Fate/Grand Order   作:秋塚翔

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清姫「ふふふ、嘘はいけませんよ、ま・す・た・ぁ……?」

一ヶ月かからない(大嘘)
きよひーに焼かれても仕方無いこの体たらく。クリスマスプレゼントです!と誤魔化そうにも少し過ぎましたね……大変長らくお待たせしました(土下座)

何だかんだ手こずってたらUA10000突破、お気に入り登録は200人の大台間近。何かイベントで砂集めてたの優先してたが申し訳ない。こんな不甲斐なさはこれっきりにしたい所存です。

長いお詫びと言い訳はこの程度にして、どうぞご覧くださいませ。今回ちょっとだけ短か目。書きたい事書き切ったんだがなぁ。


第六節 決着(KNOCKOUT)

「うわっと!?」

 

追い込まれ、思わず地上に不時着した魔理沙へと大量の御札が降り注ぐ。それらを慌てて掻い潜り再び箒に飛び乗った魔理沙は、頭上で浮かぶ霊夢に向けて憤慨した。

 

「何するんだ!今のは反則だろ!?」

 

「関係無いわ。私は妖怪退治を邪魔するアンタを蹴散らす。遊びに付き合う暇は無いのよ」

 

「ったく、遊びの無い奴め……それを言うんなら、もっと退治すべき奴を遊ばせてるのはどうなんだ?」

 

呆れ気味に言って指で指し示す魔理沙。そちらを見ると、マシュ達三騎がかりで尚も圧倒するセイバー──セイバーオルタの姿があった。

キャスターの火球、武蔵の剣技、そしてマシュの必死の守りも押し返し、オーラの如く赤黒い魔力を噴出させるセイバーオルタ。それは騎士王の名に相応しい強さと言えた。だが、異変の中心である彼女は妖怪退治と謳う今の霊夢からすれば真っ先な対象なはずだ。

それを一瞥した霊夢は、しかし事も無げに答える。

 

セイバーオルタ(あれ)は一旦見逃してるだけ。アンタ達を片付けたら、その後で退治して私の役目は終わりよ」

 

「……お前、おかしくなったついでにつまらなくなったな」

 

「どう思おうが勝手。これが私の在り方よ」

 

「なるほど。だったらお前こそ退治しなきゃな。面白おかしくピチュってやる!」

 

──黒魔「イベントホライズン」──

 

言いながらスペルカードを宣言。渦を描くように魔方陣が回り、色とりどりの星をばら蒔く。

大空洞を彩る、場違いにも芸術的な星の弾幕。しかし霊夢はそれに気も留めず、流れるように合間を縫ってすり抜ける。飛んでくる矢を目視で避ける魔理沙も大概だが、霊夢はそれ以上だ。

そして掠りもしないで、お返しとばかりにスペカを掲げた。

 

──霊符「夢想封印」──

 

「! くッ!」

 

宣言し、両手を広げた霊夢から大きな光弾が放たれる。物理法則を無視した軌道を描くそれらを魔理沙は咄嗟にガードで防ぐ。

バキィンッ!──受けて分かる、常よりも馬鹿みたいな霊力(魔力)が籠められた数発きりの光弾に、派手な音を上げてガードが解かれた。それでも魔理沙自身は無傷で済む。と、ガードの解かれた直後を狙って死角から霊夢の直接攻撃が襲った。

再びのガード間に合わず、まともに喰らう魔理沙。弾き飛ばされて態勢を立て直し、霊夢の方に向き直ると……

 

「……おいおい、私はただの邪魔者だろ?嫌に容赦無いな」

 

「抜け目無いアンタを甘く見るほど馬鹿じゃない。宝具(これ)で終わらせるわ」

 

「そりゃ有り難迷惑な評価だぜ……」

 

目を離した隙に七つもの陰陽玉を出現させ、その内の一つが先程の攻撃をカウントするように発光させている霊夢の姿を魔理沙は苦々しく見上げた。

()()()()である魔理沙は良く知っている。それは霊夢天性の究極奥義、その準備段階だ。恐らくあと六回の攻撃を許したら手が付けられなくなる……魔理沙は怖さ半分スリル半分で笑みを浮かべ、ならばと右手を突き出した。

 

「そっちがそう来るなら、私もマスターとしての力を使うか。令呪を以て命じる──『そろそろ起きてこい、妖夢』!」

 

そう述べると、手の甲にある紋様──二画残る令呪が赤く光り、魔理沙の前に一つの影が突如現れる。それは長刀を一振りして溜め息混じりに口を開く。

 

「……サーヴァント使いが荒いですよ、()()()()?」

 

「出番を作ってやるんだ。寝込むのは後にしな」

 

皮肉っぽく言う影改め妖夢に、魔理沙は無遠慮に返す。妖夢は先の霊夢との戦闘でダメージを受けているが、怪我を気遣う心優しい人種は幻想郷でも中々いない。それを重々承知する彼女は、魔理沙をサポートするため霊夢に刀を向けた。

 

「反則なんて今更言うなよ?最初にズルしたのはお前だからな」

 

「構わないわ、纏めて片付けられるから」

 

短く受け入れた霊夢、言うが早いか巨大な御札(ホーミングアミュレット)を繰り出す。対して魔理沙と妖夢は二手に分かれ回避、それぞれに攻撃を仕掛けた。

 

「ッハアァ!」

 

「ふッ!」

 

接近した妖夢の刀の一閃。それを霊夢は霊力で強化したお祓い棒で弾き、返す刀より早く昇天脚──言わばサマーソルトキックを炸裂させる。そうしてまた一つ陰陽玉を光らす。

入れ替わる形で魔理沙がイリュージョンレーザーを射出し、霊夢を狙い撃つ。だが光の速さで迫る光線すら霊夢は華麗にグレイズ。空間移動で魔理沙の背後に回り込み、強烈な一撃を見舞ってきた。立て続き陰陽玉の輝きが増える。

 

「チッ、あの強さも反則だぜ……!」

 

「これならどうだッ!」

 

──人鬼「未来永劫斬」──

 

魔理沙が舌打った端で、妖夢が空を滑るように駆け出す。刀を構え、目にも留まらぬ神速で斬りかかった。

それを霊夢はあっさりと喰らう。ズバッ!と衣を裂く音を立てて妖夢の刀が霊夢を斬る……が、その攻撃を甘んじて受けたはずの霊夢は、バラリと御札の塊に崩壊。バラけた御札が妖夢を襲った。

 

「!? 変わり身……!」

 

「──フッ!」

 

迫る御札の奇襲を慌ててかわす妖夢。そうするのを誘ったのか本物の霊夢が急接近、お祓い棒を繰り出した。妖夢は殴り飛ばされ、次いで飛ばした先に霊夢が先回り。更なる追撃で打撃数を稼いだ。

 

「こんのォ……!」

 

──魔砲「ファイナルマスタースパーク」──

 

それを目の当たりにし、業を煮やした魔理沙はミニ八卦炉を構えて極大のマスタースパークを解き放つ。広域を覆う魔砲に霊夢の姿は飲み込まれたように見えた。

「……やったか?」──ふと呟く魔理沙。しかし、いつだってその一言は逆の結果に終わる。背後にまた現れた無傷の霊夢が魔理沙を蹴り飛ばしたのだ。

こうして六つの陰陽玉が輝く。あと一つで発動する宝具で魔理沙も妖夢も纏めて片付け、それから地上の奴らも退治。これで霊夢の役目は終わりだ。決してそれが人間のためでなくても、黒く染まった彼女は気にしない。たとえ人類が滅ぼうと今の霊夢は妖怪退治と言う目的に"囚われて"いた。

 

結果、陰陽玉を粉砕した一撃を()()ではない霊夢は避けるどころか砕け散った陰陽玉を見るまで反応する事すら叶わなかった──

 

「…………なっ……!?」

 

「……ふぅ、アサシンらしく上手く行った。これでチャラですよ、霊夢さん」

 

いつの間にか前方にいた妖夢が後ろ向きで言う。何が起こったのかは分からない。ただ一つ分かるのは、自分と同じランクの敏捷と踏んでいた妖夢が、反応できない速度で陰陽玉を破壊(スペルブレイク)してきたと言う事だ。

『従者』──主の無茶ぶりをも遂行すべく、自身のステータスを上昇させる妖夢のスキル。妖夢はこれを用いて敏捷のランクをBからA+へと瞬間的に上げ、霊夢の虚を突いたのだ。

この手を考えたのは魔理沙。交戦の最中、念話で妖夢に指示したのだ。本来の霊夢なら得意の勘により何か企んでると感付いていただろう……が、それはできなかった。逆にそれを感付いていた人物が霊夢に迫ってくる。

 

「やっぱおかしくなって、つまらなくなった上に勘も鈍ってるな、霊夢!」

 

──「サングレイザー」──

 

「──!」

 

妖夢の方に意識を向け過ぎたせいで、霊夢は魔理沙の接近を許してしまう。黒化し、妖怪退治に囚われ、結果本来の彼女たらしめる力を失った今の霊夢を見抜いていた魔理沙は、スペカ宣言と共に凄まじいスピードで特攻。霊夢が何か言うよりも早く、霊夢を撥ね飛ばした。

間髪入れず箒の上に立ち、打ち上げた霊夢めがけて再び突撃、箒の柄で突き上げる。

 

「く、あッ……!?」

 

「私のイメージカラー(白黒)をパクったのが運の尽きだ。大人しくいつものめでたい色(紅白)に戻ってな」

 

そのまま打ち抜き、爆散。大空洞を明るく照らす爆発に呑まれ、霊夢はあえなく墜落する。地面へと落ちながら、その体は光の粒子へと変換された。

 

──後は頼んだわよ、魔理沙……

 

口に乗せたか否か、正気に戻ったように霊夢は笑い、消滅する。そこに残された『緑色のアイテム』を手に取り、魔理沙はもう届かないだろう声で呟く。

 

「次会う時は、勝った暁にお茶一杯淹れてもらうぞ?」

 

「──霧雨!」

 

と、そこへ下から良く通る声が届く。未だ一回休みのフランドールを背負ったオルガマリーだ。魔理沙と妖夢は地上に降りる。

 

「おう、所長。忙しくて悪いが、私はマシュ達の方に行くからな」

 

「勝手になさい。こちとら引き受けといて返り討ちで格好つかないったら無いわ……」

 

バツが悪そうに、あるいは不満そうに口を尖らせるオルガマリー。しかし先の戦いを見て認めざるを得ないのだろう。魔理沙に託す。

 

「妖夢はご苦労さん。まだ万全じゃないだろ?後は任せろ」

 

「あ、一応気遣ってくれるんですね」

 

「一応お前らのマスターだからな。ホワイトなマスターに恵まれた事を感謝しな。それじゃあ一丁解決してくるぜ!」

 

言って魔理沙は飛び立つ。目指すは激戦の音が依然響くマシュ達の元。星の光を撒き散らし、魔理沙は決戦の場に急ぐ。

その姿を見、先の戦いを思い返しながらオルガマリーはふと独りごちる。

 

「……弾幕、良いなぁ……」

 

 

 

~~~~~~~~~~

 

「脆い。数で来ようとこんなものか」

 

「なんて、強さ……!」

 

「クソッ……伊達にアーチャーやバーサーカーを倒してねえってか……!」

 

一方でそのマシュ達の方。こちらも決着が近い。

余りある魔力を惜しみなく噴き出し、いかんなく力を発揮するセイバーオルタ。キャスターや武蔵の猛攻、マシュの必死の守りもものともせず、とうとう膝をつくマシュ達の前で毅然と立つ。

 

「終わりだ。失せるが良い」

 

ドウッッッ!と、言いながらセイバーオルタの掲げた黒い聖剣が魔力を上乗せし、空気を震わせる。天を貫かんばかりの黒い光。その威圧感は宝具であると嫌でも分からされた。

それを見上げて息を呑むマシュ達。必ず勝利をもたらす聖剣の光は、さしものキャスターも戦慄する。

 

だが、それでもなお立ち上がり身構える少女がいた──マシュだ。

 

「マシュちゃん!?」

 

「おい、どうするつもりだ!」

 

「っ……大丈夫です、武蔵さん、キャスターさん……お二人は、私が守ります……!」

 

積み重なったダメージで満足に動かない体に力を込め、巨大な盾を支えるマシュ。宿る英雄も、宝具の真名も分からない身で余りにも無謀な行動だ。しかし、マシュは決して退かない……魔理沙(マスター)なら、そうしないから。

先輩(魔理沙)のサーヴァントとして、仲間を守らず恥ずかしい姿は見せられなかった。

 

「良い覚悟だ。その宝具の力で、我が宝具を受けてみろ──『卑王鉄槌、極光は反転する……

 

光を呑め!約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガ)ァァァン!!』

 

──ドンッッッッッ!!!

 

放たれた聖剣の光。全てを呑まんとする黒い光が一点、マシュと正面衝突する。

 

「うあぁぁぁぁッ……!!!」

 

悲痛さにも似た、力みの声をマシュが漏らし、盾をあらんばかりの力で踏ん張る。少しでも気を緩めれば消し飛ばされる、最早キャスターや武蔵の介入も叶わないエネルギーの奔流。だからこそマシュは仲間を守るため、魔理沙にあの時(爆破事故)の礼を言うため死力を尽くす。

だが、いかな気の持ちようで何とかなるほど黒き騎士王の力は容易くない。際限ない高エネルギーの光線は容赦なくマシュを食らわんと力を叩きつけてくる。もう、駄目だ……!──そうマシュの頭に弱音が過った時、

 

魔理沙の手が盾を握るマシュの手に重ねられた。

 

「……!先、輩……?」

 

「まだまだ気張れよマシュ!大トリの私のために!」

 

マシュはもちろん、後方の武蔵達も驚く中、駆け付けてきた魔理沙は快活にニッと笑いかける。

それを見て、マシュは不思議な力が込み上げてきた。実質的なものではなく、気持ち的なもの。自信に満ち溢れた魔理沙の笑みに、マシュも活力が湧いてくる。

今なら何でも出来る気がする──そう思えた時、魔理沙の残り一画の令呪が独りでに魔力を受け渡し、マシュは溢れん限りの力に任せて叫んだ。

 

──それは全ての■、

 

        全ての■■を癒す、

 

               我らが■■……

 

 

 

顕現せよ、『■■■・■■■■■■』──!

 

 

 

「! なにッ!?」

 

驚愕の声を上げたのはセイバーオルタだった。

マシュのところどころ霧がかった詠唱と共に現れた半透明の城壁。それが聖剣の一撃を受け止め、防ぐ。

そしてその防壁に遮られたエネルギーは行き場を失い逆流。宝具の正体に動じたセイバーオルタに轟音を立てて打ち返された。

 

「……ぐうッ……!」

 

しかし、セイバーオルタは倒れない。放たれる方と返される方のエネルギーがぶつかり、最小限のダメージに抑えられたのだ。

が、そのダメージが決定的な隙を生み、反撃を許す事となる。

 

「──大した火力だが、幻想郷じゃ二番目だぜ!」

 

「!」

 

煙が晴れ、最初に姿を見せたのは魔理沙。その傍から気力尽きかけながらも身構えるマシュ、立ち上がった武蔵とキャスターが続いて現れる。先頭の魔理沙はミニ八卦炉を突き出し、既に発射寸前まで整えていた。

実は霊夢との戦いで魔理沙は魔力をほぼ使い果たしている。そこで取り出されたるは霊夢から託された緑色のアイテム──『ボム』。それを燃料に魔理沙は放つ。霊夢が託し、マシュが守り、武蔵達が繋いでくれた極大の一発を。

 

──恋符「マスタースパーク」──

 

「マスタァァァァァ……スパァァァーーークッ!!」

 

「ッ!『約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)!!!」

 

咄嗟にセイバーオルタも宝具を再発動。白と黒。一瞬すら無い間を置いて光線と光線がぶつかり合い、形容しがたい衝突音を響かせる。

 

片や光を呑む反転した極光。片や光と熱の魔砲。

 

片や人間である事を捨てた騎士王。片や人間のまま成り上がった魔法使い。

 

全く逆の拮抗。伝説と幻想、力の差は誰が見ても圧倒的だろう。しかし、その衝突にある勝機は何かが違った。

 

「ぬうぅッ……!」

 

「吹っ飛べぇぇぇぇぇッ!」

 

それは何なのか。上手く言えないが、果たして神が定めたろう結果を裏切り、力が全ての眩い光が勝利を約束されたはずの黒い光を逆に飲み、セイバーオルタをも巻き込む。

あらゆるものを吹き飛ばす魔砲の一撃。黒すらも染める白い光に包まれ、セイバーオルタは耐える。耐えて、耐えて……そして呟く。

 

「……そう、か……穢れなきあの者らしい。良きマスターを得たな、■■■■■■──」

 

言って、セイバーオルタはその耐えた力を緩める。その無表情を貫いていた顔には笑みを浮かべて光を甘んじて受け止め、自身の敗北を受け入れたのだった──




霊夢とセイバーオルタ、ダブル決着(KNOCKOUT)
実は書き始め当初、今回は霊夢だけにしてセイバーオルタは次回に回す予定でした。でも次回の展開的に纏めた方が良いかなと、試行錯誤してダブル決着に持ち込んだ。結果削り過ぎて、書き足しても6000文字越えなかったけどペースはどうだったでしょう?個人的には書きたい事も書けて満足ですが……投稿に一ヶ月以上かけてしまったのが反省点。

霊夢は最初宝具を使わせるつもりでした。ですが、いかんせん描写が難しい。霊夢が無闇に強いのもネックでしたが貴重なアドバイスをもらいまして阻止する形で失敗に。妖夢のスキルを活用できたので行幸です。

そしてセイバーオルタも、結局魔理沙の手柄総取りで撃破。ボムって原作ではチートアイテムですよね。fgo風に例えれば『無敵付与+敵単体に超強力な攻撃』……うん、宝具クラス。なので使う機会は今回限りか、今回の使い方通りただのブーストアイテムになりますね。原作通りの性能で使わせたら六章や終局なんかがヌルゲーと化します。

次回は満を持してあのエセスピードワゴン登場。作者はそう呼んでます。ただで帰すと思うなよ……?(黒笑)
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