球磨川禊は実力至上主義の世界で何を思うのか。   作:しゅうや

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ようこそ、夢のような学校生活へ。
第一敗 球磨川禊の自己紹介は一筋縄にはいかない。


突然だけど、この世界の人間は平等であると思う?

今のこの御時世、現実社会は平等だと訴えて

止まない。しかし結論から言おうと思う。

この世界は間違いなく不平等であるとね。

この世に生をもらった瞬間から2つに分けられている

のさ、幸せ者《プラス》と不幸せ者《マイナス》に。

馬鹿は天才には頭脳勝負では勝てないし、

不細工はイケメンに嫉妬を露にするし、

貧乏人は飢え、金持ちは肥える。

勝者が存在する限り、敗者も必ず存在するのだ。

ダメな人間がどれだけ努力したって価値ある人間

にはなれっこない。

努力すれば報われるなんて言ってる人がいるけど、

努力が成功を生むなんて、とんでもない誤解だよ。

世界がそんな簡単なわけないじゃん。

つまり、ダメな人間がどれだけ努力したって

ダメな人間のままなんだ。このように、

才能ある人間は「なる」もんじゃない。

最初からそれだけの才能をもって生まれてくる

ものなのだから。

 

よって、この世界の人間に平等な人間など存在しない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1年Dクラスの教室に入ると、既に多くの生徒が

グループを作って談笑していた。

最近の若者はコミュニケーション能力が高い。

流石の僕もこれには少し驚いた。

まあ、そんなことを思いながら自分の席を探す。

机にはそれぞれネームプレートがあり、

自分の席はすぐに見つかった。窓際の一番端か…。

悪くない。ここでぼくが足をクロスさせて

少年ジャンプを

読む姿にクラスの女の子が惚れるって訳だね。

この学校は将来日本を支えるエリートを育てて、

社会に出すなんて、世にもおぞましいことを

平然とやってのける胡散臭い学校だとは思っていたけ

ど、ぼくにこんないい席をくれるなんて、

なかなかにいい学校だね。見直したよ。

またそんなくだらない事を永遠に考えながら、

教室を見渡してみると、ぼくが教室に入ってきた

ときよりも、人数はかなり増えていた。

一人でボーッとしている人間はぼく含めて3人くらい

だ。他は仲睦まじくおしゃべりをしている。

ざらーっと見渡して思ったことは、このクラスの女子。

かなりレベルが高い。いや冗談とかじゃなくて、

正直外れの子はいない。この中に今後ぼくの彼女に

なると思う人がいると思うとにやけが止まらない。

裸エプロンに全開パーカー、ぼくが彼女にやってほしい

ことは山ほどあるからね。また妄想を広げていると、

隣に鞄を置く音が聞こえた。重いため息を吐きながら

座った女の子は、可愛かった。美少女だった。

なんていうか、雰囲気がめだかちゃんそっくり。

そう思って見惚れていると声がかかってきた。

 

「さっきからニヤニヤ見ていて気持ち悪いの

だけれど、何か用かしら?」

 

・・・えぇ、第一声がそれ?

まぁいい、こんな扱いはもうされ慣れている。

ぼくは彼女に向かって最高の笑顔で《ヘラヘラ顔》で

 

「『いやぁ、君があまりにも可愛かったからね。

見惚れていたんだよ』」

 

決まった。これで彼女はぼくの虜だ。間違いない!

そう思い今後のことについて妄想に浸っていたら、

 

「死んでくれないかしら?」

 

真顔で言われた。全く、最近の若者はすぐ死ねだの

殺すだの簡単に言ってくれるね。まぁ別にこれも

言われ慣れてるからね。全然問題ない。うん。多分。

 

「『ぼくの名前は球磨川禊。きみは?』」

 

「あなた、さっき言った言葉、

聞こえなかったのかしら?」

 

おそらく彼女は死んで=もう関わらないでという

ことを伝えたかったんだろう。でも関係ない。

ネームプレートを見て名前を確認するのもいいが、

彼女の口から聞きたい。よって、

 

「『うん、聞こえたよ。

で、きみの名前は?』」

 

「・・・堀北鈴音よ」

 

おそらく諦めたのだろう。あっさり名前を教えて

くれた。それにしても堀北鈴音って・・・

 

「『堀北鈴音?かなり適当な名前だね。

ぼくでも思い付きそうだ。大丈夫?

親からちゃんと愛されてる?』」

 

 

 

その瞬間。ぼくたちの周りの空気が一瞬凍った。

しかし周りはそれに気付いておらず談笑続きだ。

鈴音ちゃんはなんだかピクピクと今にも怒りそうな

表情を思い浮かべている。可愛い子はどんな顔をして

も、可愛いんだね。

 

「『なぁーんて、冗談だよ。

可愛い子の名前は早く覚えたくてね。

いい名前だね。鈴音ちゃん。』」

 

しかし彼女は反応しない。相手にするのを面倒だと

判断したのだろう。無視を決め込まれてしまった。

入学初日早々に女の子に嫌われるなんてついてない。

そんなことで落胆していると、始業のチャイムが鳴

り、スーツ姿の女性が入ってきた。これまた美人。

ぼくを萌え殺す気かここは。っていうか、

いつの間にかクラスメイト全員が揃っていたらしい。

 

「おまえたち、席につけ。Dクラスの担任となった

茶柱佐枝だ。この学校にクラス替えはない。

卒業まで3年間、私がお前たちの担当となる。

まずは本校の資料を配る。前から後ろへ回してく

れ。本校には独自のルールが存在する。

まず全寮制で、在学中に敷地内から出ることと、

外部からの連絡を制限している。だが心配無用。

学園にはあらゆる施設が揃っている。

生活に必要な物も全て手に入るからな。

娯楽も含めて。買い物には、学生証端末に保有

されているポイントを使う。この学校では、

あらゆる物をポイントで買うことができる。

ポイントは毎月1日に振り込まれる。

1ポイントで1円の価値だ。お前たちにはすでに、

今月分の10万ポイントが支給されている。」

 

その瞬間、クラス全体が騒ぎ出した。そりゃそうだ。

高校1年生でいきなり10万円分の価値のお金が

自分の物になったのだから。

 

「支給額の多さに驚いたか。この学校は、

実力で生徒を図る。入学を果たした

お前たちには、それなりの価値と可能性が

あるということだ。そのことに対する評価

みたいなものだ。遠慮なく使え。

ポイントをどう使うかはおまえたちの自由だ。

自分が使わないと思ったら、誰かに譲渡

するのもありだ。だが、無理矢理カツアゲを

するような真似はするなよ?この学校は

いじめに関してはかなり敏感だからな。」

 

それから色々、説明を聞いて、担任の先生は、

職員室に戻っていった。

まずこの学校は他の学校と違ってかなり特殊だ。

卒業までの3年間、肉親を含む外部との連絡を

一切禁止。これを聞いたら大抵の人はまるで

囚人にでもなったような気分になりそうだ。

しかし娯楽はある。勿論本屋もある。

よかった。もしジャンプを買えなかったらぼくは

早々にこの学校を出ていっていただろうね。

そしてこの学校にはSシステムという物があり、

学生証端末にあるカードがそのままお金になる。

要はクレジットカード。しかもいきなり10万円。

 

「思っていたほど、堅苦しい学校では

ないみたいね。」

 

ぼくに向かってポツリと漏らす。以外だ。

もう話すらしてくれないと思っていたのに。

 

「『そうだねー、というか随分緩い

んじゃないかな?』」

 

まぁ正直これくらい優遇してもらわないと皆は、

困るんじゃないかな。この学校の生徒は

国の未来を立つ人材だからね。

 

「でも少し優遇され過ぎていて、

怖いわね。」

 

おっ、いいね鈴音ちゃん。うまい話には必ずと

いっていいほど裏があるからね。

そんな当たり前の事には気づかずに

そこら辺の10万ポイントだー。やったぜー。

と、呑気に言ってる奴等とは一味違うぜ。

彼女はぱっと見ではかなり優秀だ。もしかしたら、

この学校で記念すべき一番最初に螺子込む相手は

鈴音ちゃん。きみかもしれないね。

そんなことを考えていると

 

「みんな、ちょっと話を聞いて

もらってもいいかな?」

 

いかにもモテそうな男が皆の前で喋り出した。

 

「僕らは今日から3年間、同じ仲間として

一緒に過ごすことになる。だから皆で

自発的に自己紹介をしたらどうかな?

皆も1日でも早く、友達を作りたいと

思ってると思うんだ。」

 

自己紹介か…。悪くないね。ぼくだって早く

可愛い女の子と友達になりたいからね。賛成だ。

どうやら周りの人達からも賛成という声が

上がっている。

 

「僕の名前は平田洋介。中学では普通に洋介

って呼ばれることが多かったから、気軽に

下の名前で呼んでほしい。趣味はスポーツ全般

で、特にサッカーが好きなんだ。この学校でも

サッカーをするつもりなんだ。よろしく。 」

 

くっ、流石だね平田くん。隣の女の子の目が

ハート型になっているよ。こういう人がクラスの

中心になって、卒業まで皆を引っ張っていくんだね。

そして、大抵学年で一番可愛い子と付き合う。

そこまでが一連の流れとして予想できる。

これはぼくも見習わないといけないね。うん。

 

「じゃあ次は私だねっ。」

 

元気よく立ち上がったのはこれまた美人。

そして最近まで中学生だったとは思えない

胸のデカさ…。

 

「私は櫛田桔梗と言います、中学からの

友達は1人もこの学校に進学してないので

一人ぼっちです。だから早く顔と名前を

憶えて、友達になりたいと思っています。

私の最初の目標として、ここにいる全員と、

仲良くなりたいです。皆の自己紹介が

終わったら、是非私と連絡先を交換して

くださいっ。」

 

そういって彼女の自己紹介が終わった。

彼女は終始笑顔を浮かべていた。人当たりのいい

皆から好かれそうな作り物の笑顔だった。

そして次の瞬間。髪を真っ赤に染めた

典型的な不良が怒鳴りだした。

 

「俺らはガキかよ。自己紹介なんて必要ねえ。

やりたいやつだけやれ。」

 

そう言って、教室から出ていった。

そしてそれに合わせて数人の生徒が教室から

出ていった。慣れ合うつもりはない…と。

隣の席に座る鈴音ちゃんも立ち上がって

出ていこうとする。鈴音ちゃんはチラッと

こちらを見たが、ぼくが動かないと知ると

すぐに教室から出ていった。なんだろう?

寂しかったからぼくについてきてほしかった

のかな?だったら悪いことをしちゃったかな。

いくらなんでも言葉にしないと分からないこと

だってあるんだぜ。だからぼくは悪くない。

空気が悪くなったが、皆が自己紹介をしてる

うちに明るさも戻っていった。そして遂に、

 

「えーっと、次の人---そこの君、

お願いできるかな?」

 

おっと、ぼくの番が来たようだね。

ぼくはこうみえても、自己紹介にはかなりの

自信があるんだ。しかしなぜだろう。

ぼくは中学の頃はなぜか、自分が通っている

学校全てが、3日ほど通って廃校になっている。

そのせいでぼくは転々と転校を繰り返していた。

だから自己紹介に自信をもっているんだ。

こんなのぼくにとっちゃ朝飯前だからね!

見せようじゃないか、ぼく、球磨川禊の渾身の

自己紹介をね!

 

「『週刊少年ジャンプから来ました、

球磨川禊です。

高度育成高等学校のみなさん

よろしく仲良くしてくださいっ!』」

 

その瞬間、クラス内が大笑いの渦に飲み込まれる。

なかには拍手をしている人もいる。

どうやらぼくの自己紹介は大いにウケたらしい。

 

だから、ぼくは

 

「『笑 う な。』」

 

「『人の冗談を笑うなんて、

人として最低だぞ、おまえたち!』」

 

螺子込んだ。

ぼくが精一杯考えた冗談を笑うなんて、

どうしてそんな愚かなことができるんだ!

きみたちがそんな血も涙もない人間なんて、

思わなかったよ!見損なった!

ぼくが投げた螺子はみんなに一寸の狂いもなく、

みんなに突き刺さっていた。

そしてぼくは、クラスの皆に螺子込んだ螺子を

なかったことにした。

身体のあちこちを触ってあたふたしている

皆は未だ何が起こっているのか理解できてない

様子だ。そしてぼくは皆に軽い問題を出すことに

した。

 

「『えーとじゃあ改めてっ!』」

 

「『挨拶代わりにクイズを出しまーす。

もんだーい!』」

 

「『朝は読みきり

昼は締め切り

夜は打ち切り

これなーんだっ!』」

 

「『答!

新連載!』」

 

---だれ一人、にこりともしなかった…。

 

 

chapter1

 

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