ルーリッド村創設の英雄《ベルク―リ》の話をしよう。
ざっと三百年程前に数多くの冒険譚をルーリッド村に残した彼だが、これはその中でも一番奇想天外な展開を描いた物語だ。
『ベルク―リと北の白い竜』。
ある夏、ベルク―リはこの村の東に流れるルール川で大きな氷を発見した。それを不思議に思ったベルク―リはひたすら川の上流を目指し、やがてたどり着いた場所はこの《人界》の最果てに位置する《果ての山脈》、その洞窟だった。
その洞窟から吹き付ける凍えるような風に逆らいながら洞窟を進み、待っていたのは人界の東西南北を守護すると伝えられる巨大な白竜だった。財宝に囲まれながら丸まっている白竜にベルク―リは眠っていると判断し、白竜に気取られないように忍び足で近付いた。
そして、白竜の下にあった業物の剣に目を惹かれ、豪胆にもそれを盗もうとしたところで──。
「──というのが、話の大筋だ。ここまでいいか? ユージオ」
「うん。わかった。分かったから。落ち着いて食べよう?」
片手に林檎とクルミのパイを、もう一方にシラル水が入った木製のカップを持ちながらハカリはまるで劇場の語り手のように手を広げ、すっかり語りに熱が入っているようであった。それをやつれた顔で聞きながら終幕させようとしているのはブロンド頭の少年、ユージオだ。
傍らには《果ての山脈》のごつごつとした岩肌に、穏やかな流音を周囲に響かせるルール川。そして、風なりで唸り、ルール川をばっさりと切り落としたかのように錯覚させる暗闇が奥へと続く大きな洞窟が一つ。
穏やかな印象を与える周囲の景色と比べてその洞窟だけは一重に言って不気味なものだ。だが、ルーリッド村随一の腕白組はそんなものの事など気にも留めず、アリスが持ってきた昼食に舌鼓を打っていた。
「またやってるぞ。アリス」
「いつもの事よ。冷めるまで待っていればいいわ」
「む? 何を言ってるんだ。クライマックスはここからだろ? 冷めるどころかヒートアップだ。この後がベルク―リが白竜に──」
「『竜の懐にあった《青薔薇の剣》を盗もうとして白竜に追いかけられる』、だろ? 僕の頭が可笑しくなっていなければ、ご飯中にそのクライマックスを迎えたのこれで四回目だけど?」
アレ、そうだっけ? などとアホな事を抜かすハカリにユージオはわざとやっているのかと一瞬疑心暗鬼になったが、首を傾げて頭の上にはてなを浮かべ続ける彼を見てやっぱり素なんだと悟り、諦めを込めた溜息を吐く。その様はソルスが最高点に達した日中には相応しくない重いもので何処か疲れが滲んでいた。
頭は悪くない彼だが、
取り敢えず、今の徒労を誤魔化す為にユージオは手に持った魚と豆のパイにかぶりついた。
ユージオが何を血迷ったのか、死んだミルクを仰いで腹を壊した事件から丁度一日前に当たる先日、ハカリ達村随一の腕白組はルーリッド村のずっと北にある世界の果て、《果ての山脈》の洞窟に探検がてら、足を運んでいた。
週一の《天職》の休息日を利用した探検の目的とは『ベルク―リと北の白い竜』にも出てくる洞窟の氷だ。全ては良き昼食の為。あのユージオが犠牲になったあの忌々しい事件(全面的に自業自得な気がするが)のような事態を今後も起こさないという大義名分の為だ。
そして、丁度探検の
まあ、結果はハカリのベルク―リ超リスペクトのエンドレスライブなのだが。
「む? 待てよ、ユージオ。案外お前の頭が可笑しくなっているって強ち間違いじゃないかもしれないぞ」
「〝え」
「あー、あるかもね。考えてみればハカリのアホに一番振り回されてるのってぶっちぎりでユージオじゃないかしら」
その直後、無言で俯いて泣きそうな顔になるユージオの姿にラストアタックの立役者であるアリスとキリトでさえ同情せざるを得なかった。まあ、遠回しに友人から真面目に頭おかしくなってんじゃないのかと言われれば、泣きたくもなるだろう。ちなみに全ての黒幕であるハカリは呑気にパイを喉に詰まらせている。
ユージオもハカリの行動に全て反応しなければいいのに、と思わなくもないが最早体質レベルで勤勉と言える彼がハカリの奇行を無視するなど、多少なりとも出来る筈がない。
だがユージオというツッコミに関しては逸脱した説得力を持つ彼がハカリの奇行を無視するようになったらそれこそお終いな気がするが。
やがて、昼食を終えると広げた白布をハカリがコンパクトに畳み、アリスが持ってきたバスケットの中にしまう。悲しい事にユージオは絶賛、キリトに慰められ中である。
「ハカリ~、ユージオが立ち直らんぞ」
「よし、この干したすももをやろう」
歩きながらかじろうと思っていた干したすももをユージオに上げると、すももって……、とユージオが今度こそ泣き崩れかけたがハカリは構わず洞窟に入る準備に入る。
「はーいそこ! 漫才やってないでさっさと準備済ます! 日が暮れる前に氷を持って帰らなきゃならないんだから」
アリスに促され、ユージオが涙を拭いながら渋々立ち上がり、洞窟の入口へと足を運ぶ。
ハカリも念を込めて武装の為に持ってきた《竜骨の斧》を背中に背負い、昼食の入っていた籠を腕に括り付け、ついに洞窟へと入り込んだ。
だが──
((((……真っ暗……))))
それが一同の洞窟に入った時の感想である。
最初こそ、洞窟の入り口からの光で前に進めてこれたものの、数分歩いた辺りでついに誰も視覚では認識できないレベルにまで暗くなったのだ。
「さーて、入ったは良いけど、文字通りお先真っ暗だぞ」
キリトの能天気な声が洞窟内に響き渡ると、それにユージオが反応する。
「待ってよ、これじゃあ蝋燭も取り出せないじゃないか」
「ユージオ、俺氏、蝋燭なんてもん持って来てねぇ」
「……」
「痛い⁉ おい、お前見えないとか嘘だろ⁉ 肩パン痛い! 俺氏とか言ってごめん! ピンポイントだって!」
「隙あればこんな所でも漫才できるあんた達が凄いわ」
ハカリの言い分にユージオがどんな特殊技能に目覚めたのか、視認せずともハカリに無言で肩パンを決めるという暴挙に出た。アリスはそんなユージオ達の行動に呆れつつも、その適応性に凄みを抱いた。日頃の恨みとは時に人を想像以上に強くするのだ。
でもこのままじゃあ埒が明かないのも事実。斧を持ってきて蝋燭を持ってこなかった
「あれ? これもう詰んでない?」
「やめろよキリト。不安になるだろ」
「なーに、どんな奴が来ようが、俺の斧でイチコロさぁい⁉」
元はと言えばお前の所為だろ、という言葉を込めてユージオが渾身の力を込めてハカリの足をイチコロした。
そんな状況をアリスは再び呆れたように溜息を吐きながら聞いていた。
完全に攻守が逆転しているのを良い事にユージオがハカリに攻撃的になっているのを傍らで耳にしつつ、自身のエプロンのポケットに入っている一本の草穂を取り出した。洞窟に入る前にあらかじめ調達しておいたものである。
暗闇のなかで手探りで探し当てた草穂の先端に手を触れ、ユージオ達でも知りえない術式句を唱え始める。
そして、最後に素早く複雑な印を組むと、草穂の先端にぽうっと青白い火が灯った。
すると、その光は徐々に強さを増し、周囲の暗闇を洞窟の奥へと押し込めた。
「さ、アホなことやってないでさっさと進むわよ」
アリスが洞窟の奥に踵を返し、わんちゃわんちゃしてる現場に目を向ける。
そこにはイイ笑顔で体中から大量の冷や汗を流し続けるハカリがユージオの振った斧を白刃取りしている光景があった。
もう、なんというか、どうツッコんでやればいいかアリスには分からなかった。神聖術を唱えている間に一体全体どんな起承転結があってそんな結果に行き着いたのだろうか。
「ほんとに何やってるのよ……」
「ハァーリィーッ‼」
「イカレたな。さっさと行こうぜ」
ハカリの口から反射的に出てきてしまった聞き慣れない謎の神聖語を、必死に口から垂れ流しながら洒落にならないレベルで攻守が逆転してきてしまったユージオとハカリにアリスはさも面倒臭げに溜息する。この空間、人間の性質に反してツッコミ役が少なすぎるのではないだろうか。そして、この光景を見てもワンコメントだけ言い残して構わず奥へと進もうとするキリトももはやプロフェッショナルとしか言いようがない。
取り敢えず乱入したアリスの鉄拳制裁によって、謎の喰い合いは何とか終わりを告げた。
「し、死ぬかとおもた……あ、あと灯りありがと、アリス」
「さっ! 行こうか!」
「ユージオ……何て輝かしい笑顔なんだ……」
「一体あの暗闇の中でどれだけの物を発散したのよ……あ、うん。どういたしまして」
何かが色々と吹っ切れたのか、過度の緊張(自業自得である)によって普段の元気は見る影も無くなっている程ゲッソリとした様子のハカリと違って、ユージオの表情ときたら実質一番付き合いの長いキリトでも眩しく見えてしまう程、彼の顔は晴れやかだった。それこそ、アリスの灯した明かりが陰るくらいには。
そんな面白可笑しくユージオが静かに発狂した事実を皆胸の中にしまい込みつつ、洞窟の奥の奥へと足を進める。
生き物の気配は無い。
ただ水が地面を流れる音と、洞窟の中を通る風が唸る音が僅かにするだけ。光のお陰で幾分か和らいだものの、先が見えない暗闇の不気味さというのはどうしても拭えない。
青白い光を放つ草穂を持つアリスと、いざというときの為に斧で武装したハカリを先頭に、暗闇をどんどん奥へと押し込んでいく。何気にハカリの袖を片手で掴んで合法的にくっ付いている辺り、アリスは相当ちゃっかりしている。
「……この奥に、あの《ダークテリトリー》があると思うと感慨深いなぁ……」
「でも、それってかなり前の話だろ? 全部おとぎ話の線だって出てくるぞ」
延々と続く洞窟にユージオが不安を覚えたのか、そんなことを口走る。
だが、キリトの意見には先頭で歩きながら会話に耳を傾けていたハカリもたたずね同意見である。
と、いうのも、村からここまでの道のりで思うところがあるからだ。
ハカリ達のような子供も、果ての山脈への道のりは言伝で耳にしている。だが、村人から聞けることはどれも曖昧で、最終的に違う誰かに聞きなさい、というやり取りの繰り返しとなる。これが表す事はつまり、誰もその詳しい内情を知りえないのだ。
だから、この果ての山脈の洞窟に到着した時のキリトとユージオの反応はとてもじゃないが、信じられないという様子だったのだ。
先週の休息日にハカリとアリスの二人はあらかじめ果ての山脈の洞窟まで到達していた為、驚愕の度合いこそ少なかったものの、村の認識に対して違和感が深まったばかりだった。
「ま、下手すればうちの村は三百年以上あの《天職》のサイクルを繰り返している可能性があるからな。当然開拓だって進まないだろうし、開拓が進まなかったら新たな《天職》だって生まれない。開拓する気が無いからこうして半ば《オーク》とか《ゴブリン》みたいな存在が空想かするんだろうよ。……アリス、近ぃ……」
キリト達の言い分にハカリが先頭を向きながら答え、後ろからユージオ達の納得の声が聞こえるも、それから先を耳で拾う余裕をみるみる無くしていく。
アリスが、近い。
現在、アリスはハカリの右腕の裾を掴んでいる──筈だったのだが、次第に接近して最終的に服を掴むどころじゃ収まらずに腕に手を回す事態になっている。妙な所で奥手である彼にこの急接近は大分応えるのだ。
だが、そんなハカリの様子にアリスは不満げに両目をジト、と細める。
「な、何よ。か弱い女の子をほったらかす気?」
「い、いや、そういう訳じゃないんだが……その~何と言いますか?」
この前《衛士》のおっさんの所の息子を木の棒で打ち負かしていたような気がするが。
流石のハカリも女の子に対してそれを言うのは無粋だろうと思ったので、ギリギリの所で留めておく。実際、アリスはハカリをコケにした息子を許せなくてそのまま試合に持ち込んだだけなので、彼女に対する非は全く以って存在しない。
「あ~、何だか熱くなって来たなぁ……なぁ!」
「これは直ぐにでも氷を探さなきゃね」
外野が何か言っているが、ハカリがそれに答える事は無い。いや、聞く余裕すらない。
洞窟の中でソルスは差し込まず、それなりに涼しい筈なのに、ハカリは自分の体がじわりと少しづつ熱っていくのが分かる。それはアリスも一緒で、彼女自身も大胆な行動に出ているとは自覚している為、顔周辺の温度上昇と同じく恥ずかしさも通常の何倍にもなっている。
「そ、そういえば、昨日から気になっていたんだけど……」
「な、何だよ……」
会話が途切れるのは不味いと思ったのか、今度はアリスが話題を振ってきた。このハカリという男、たまにはしっかりとすればいいんじゃないだろうか。
今ではキリト達も空気を読んでか、二メル以上と露骨に距離をとっている。空気を読んだのではなく、空気に耐え切れなかったというべきかもしれない。
「どうして、あの樹を倒そうって思ったの? どうして、剣士になろう躍起になっているのよ?」
だが、アリスのそんな様子から零れたのは純粋な疑問だった。アリスからしてみれば、少し気になった程度の内容ではあるが、何故かハカリはそうはいかなかった。
そこで、ハカリは少しばかり真剣に考えてみる。
自分はどうして、騎士になろうとしたのかを。
どうして村を出ようと思ったのかを。
キリトは騎士に憧れて。ユージオはおとぎ話の英雄《ベルク―リ》の所業に惹かれたからだ。ちゃんと
ハカリにもベルク―リに対する憧憬はある。だが、それはあくまで尊敬しているだけだ。敬っているからって、それになりたいと思うかは全く別の話。その点、ハカリは凄いと感じ、かっこいいとは思っても、
では、ハカリは何なのだろうか。
一瞬のうちに何度も、何度も頭の中で自身の内で問い、議論したが、頭が混乱するだけだ。結論は簡単には出ない、という事が分かっただけ。
だが、それも無理な話だろう。彼が騎士になろうと躍起になっていたのは、無意識のうちの抱いた
あとは本人が気づくかどうかだ。
だが、今の所分かっている事は──
「──悪い、うまく言葉に出来ねぇ」
「は? 何よそれ」
──こうして、目の前にいるアリスが関係している。
ハカリもそこに関しては確信に近いものを抱いていた。
「む……もしかして私に言えない事情でも?」
「いんや、そんなんじゃない──「にっきしっ!」──ぞ……?」
アリスに妙な疑いを掛けられる前にハカリが訂正しようとするが、突然発生したくしゃみによって妨害される。
「ああ、悪い。なんか急に冷えて来たからさ」
「いいんじゃない? ひと段落着いたみたいだし……にしても何だか本当に寒いね……」
「……! ハカリ、見て!」
バツが悪そうにキリトが言い放つが、寒いという意見にはユージオも同意のようだった。
すると、アリスが何を思いついたのか、青色の灯りに向かったほうっと息を吐いた。すると、アリスの吐いた息が洞窟の空中をほんの少し、白染めする。
「外は夏だよな……? と、いう事は氷も近いってことか」
「洞窟って事もあるんだろうけど、これだけ寒くなるっていったいどれだけ大きい氷があるって言うんだ……」
「ま、全部持っていくわけじゃないし、問題ナシさ」
「そうと分かれば話は早いわ。とっとと行くわよ」
先程よりも少しばかり距離を詰め、四人組で纏まりながらハカリ達は洞窟を歩き進めていく。歩き進める程洞窟の温度が下がっていくのを感じて、ハカリ達は自分らの目的のものがこの先にあるという期待感に満ち、自然と歩む速度も速めていった。
一定のリズムで洞窟に響き渡る靴底の音と今でも流れ続けるルール川が反響する。
ふとそこで、アリスが期待感の裏に残るちょっとした心の不安を吐露した。
「──もし、本当に白竜に遭遇したら?」
「まあ、大丈夫じゃないか? ベルク―リが白竜に追いかけられたのは《青薔薇の剣》を引き抜こうとしたからだし。氷貰うくらいだったら鼻で笑って許してくれるだろ」
「それで怒ったら?」
「はっはっは」
「何とか言いなさいよ」
ハカリの空笑いにアリスがハカリの腕を小突きながら文句を言う。
だが、そこまでは流石に保障しかねるだろう。ぶっちゃけ、白竜が襲ってくる可能性の方が高い訳で、いざとなったら逃げの一択に限る。
「おい、見ろよ」
アリス達がじゃれ合っているのを他所にキリトとユージオは早速手がかりを見る毛ていた。洞窟のごつごつとした岩肌にあった窪みに溜まっていた水が薄く氷を張っていたのだ。
キリトがそれを砕き、ユージオが大きく散った欠片を拾い上げるが僅か数秒でその氷は溶け、水滴へと変わった。
「氷だね。きっともう直ぐなんだと思うよ」
嬉しそうに顔を綻ばすユージオに釣られてハカリ達もその顔に笑顔を浮かべる。
そして、早く進もうとアリスが草穂を正面に向けると、同じように凍った水が青白い光を反射させ、洞窟をもっと明るく照らす。
そこから、ハカリ達は胸躍る期待感に身を任せ、転ばないように一応気を付けながら小走りで進む。すると、百メル程進んだ辺りで洞窟の奥の奥に光る何かを見つけた。
そこは絶景だった。
光を目指しながら小走りで駆け抜けた場所には、先程ハカリ達が歩いた道とは比べようが無い程、夢想的な光景が彼らの視界を奔ったのだ。
洞窟と称するにはあまりにも広すぎる。壁いっぱいに張り付く氷は氷と称するにはあまりにも綺麗すぎた。極め付けにはルーリッド村の教会前の広場より大きく見える広大な湖。いつしか見た宝石よりも綺麗な天井から下りる六角柱の氷柱は神聖術によって作った草穂の光を反射させ、周囲をより幻想的に照らしつける。
音も、あのルール川の源泉なのだろう湖から流れる水のせせらぎのみというのがまた、ハカリ達の息を呑ませた。
「──これなら村全体を冷やせそうだな」
「違いない」
キリトの呟きに対して、ハカリが即座に答え、周囲に笑い声が広がる。
「湖の中心、行ってみようよ」
そして、この光景には普段アホなハカリと若干そのきらいがあるキリトを諫めるユージオも好奇心が優る。皆もそれに賛同し、草穂を持つアリスと武装するハカリを先頭に氷の湖へと足を踏み込んだ。
「……ッ⁉」
「え……」
だが、嬉々として踏み込んだハカリとアリスの足は氷の上で見事に急停止した。その表情に明らかな動揺を浮かべて。
「どした? ハカリ、アリス」
「急に止まって何かあった……の……か?」
目の前の、具体的には照らされた山に注目した。
それは氷の頭蓋だった。その背後には様々な形をした骨が山を作り上げている。
そして、頭蓋に数えきれないほど並んだ牙、頭から伸びる角、細長く伸びている鼻孔。
「白竜の……骨……?」
それは間違いなく、《北の白竜》、その骸だった。
長く……苦しい戦いだったぜ……具体的には話を切るか切らないかで。
そして、さらっと補足説明。いや、文章中で何とか説明しろよ、と思えるけどそこは大目に見て欲しい。
ユージオ達はハカリーンというアンダーワールドにおける不穏分子の影響で違反指数がかなり上がっている感じで。ユージオも胃を痛めつつ、目録に反する事をギリギリで犯しているため、アリスが神聖術を使っても反応しなかったのです。
この章書き終わったら少しばかり更新遅らせているfateに戻ります。まあ、こっちも頑張って更新しますが。そこもよろしくお願いしまーす。
ところで……ギャグれてるか? コレ。