問題児たちが異世界から来るそうですよ?【二人の神】 作:mikazuki
とある寂れた村に、双子が生まれた。
二人は、「アダム」、「イブ」と名付けられ、大事に育てられた。
二人はとても仲が良く、喧嘩しても、すぐに仲直りするほどだった。
そしてそんな二人を、村の皆は優しく見守っていた。
しかし、その二人の歳が10になった時、ある事件が起きた。
村では、10歳になった子供は悪に染まりやすいと、村の教会にある宝剣で、子供を悪意から守るまじないをする習慣があった。
アダムとイブにもそのまじないが行われたが、アダムに宝剣を掲げると、突然宝剣が輝きだしたのだ。
さらに、アダムが宝剣に触れると、とてつもない輝きが教会内に放たれた。
周囲にいた大人たちが、あまりの眩しさに目を覆い、アダムはその輝きの中にいた。
ようやく光が治まり、大人たちが目を開けると、そこには、先程とは全く形が変化した宝剣と、それを両手で持っているアダムの姿があった。
大人たちは、この子は神様の生まれ変わりだと騒ぎ、アダムを讃え始めた。
しかしイブは、宝剣を掲げても、何も起きなかった。
しかし、イブが宝剣に触れると、宝剣が黒く変色し、突然ヒビが入ったかと思うと、たちまち宝剣は砕け散ったのだ。
村の大人たちは、あの子は邪神の生まれ変わりだと、イブにひどく怯えた。
中には、村を出ていけと言う大人まで現れた。
しかし両親は、アダムとイブを相変わらず可愛がり、愛情深く育てた。
そのことを良く思う大人たちは、それまで通りに過ごしたが、やはりそれを悪く思う大人も多かった。
そうして二人は元気よく成長して行ったが、アダムは色々な行事に出ているため、イブと遊ぶ事も少なくなった。
そうして過ごしていくうちに、二人の間には、溝ができてしまっていた。
そうして二人が15歳になったある日、事件は起こった。
両親の事を悪く思う大人たちが、アダムが行事で家から離れているスキをついて、イブと両親を襲い、両親を惨殺したのだ。
それを間近で見たイブは、両親を失った悲しみと、両親を殺した大人たちへの憎しみ、そして死にたくないという気持ちが込み上げてきた。
その時、視界が真っ暗になったかと思うと、イブの意識は闇の中に吸い込まれた。
それと同時に、アダム達の家から爆発音が鳴り響いた。
それに気づいたアダムが、村の大人たちと一緒に家に戻ると、そこには、瓦礫と化した家に、串刺しにされた男たちと、血まみれで倒れている両親に倒れこんでいるイブの姿だった。
イブが気がついたときには、村の病院にいた。
アダムや村の大人たちが、イブのベッドの横に座っていた。
村の長老は、何が起きたかをイブに問いただしたが、イブは何も覚えてないという。
ただ一つ、村の男たちが両親を惨殺した事だけは、はっきりと覚えていた。
それを聞いたアダムは、イブに怒り、「真実を話せ」と言ったが、イブは、「知らないものは知らない」と言い返し、取っ組み合いになる所を周りが止めた。
それから、二人の関係はますます悪化していき、一人で行動するようになった。
そんな時、イブが突然姿を消した。
最初はアダムも気にしなかったが、次の朝になっても帰ってこないのは流石におかしいと感じ、村の敷地内を探したが、イブは見つからない。
アダムは、村の大人たちと協力して探したが、結局イブは何処にも居なかった。
村の外側も見てまわったが、イブは見つからず、イブを見たという人もいなかった。
アダムは直感で理解する。
イブは今、この世界から消えたと。