ソードアート・オンライン ~幻想となった少年~   作:紅風車

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護衛は過剰戦力

俺は朝早くから起きる癖がある。

確かシリカが11時ごろでそこから2時間後に俺は寝たはずなのだが。

 

「3時って・・・まぁ良いか」

 

テーブルに置きっぱなしだった記録結晶を手に持つとストレージに入れた。

この記録結晶は俺の宝だ。

ミヤビがラフコフに入る前に録音して渡してくれた。

現実世界でミヤビが良く歌っていた曲が録音されている。

 

「ん・・・あぅ・・・ソウタ・・・さん?」

 

「・・・悪い、起こしたか」

 

「さっきの・・・」

 

「あぁ、記録結晶っていうアイテムだ。録音が出来る」

 

「何が・・・録音されてるんですか?」

 

「さーな、教えん・・・てか朝風呂とか入るのか?」

 

「へっ?は、はい」

 

「なら入ってこい、もうすぐ行くぞ」

 

俺がシリカを急かせると急いで脱衣所に入る。

中から音がする辺り慌ててるのだろうな。

 

「あー、ゆっくりしていいぞ。慌ててまでじゃない」

 

「は、はい!」

 

その間に俺はアイテムストレージを整理する。

SAOの世界では持ち切れる容量に限界がある。

これはアイテムやスキルによる容量拡張が可能だが出来るだけ容量は空けておきたい。

すると一つの武器が目に入る。

 

「『夢陽炎』・・・?PCメイドじゃないとなるとドロップか」

 

俺は気になりをそれをストレージから出すと一つの刀が現れた。

鞘には花びらと雪の結晶が描かれている。

そして刀を引き抜くと陽光に照らされる銀色の刀身。

 

「綺麗だな・・・」

 

「そうですね・・・」

 

俺が隣を見るとまだほんのりと顔を赤くしたシリカがいた。

さっき上がったばかりなのだろうか、所々濡れておりそれとなく髪の毛から女の子特有の良い匂いがする。

 

「・・・シリカ。風呂上がりに男に近付くのはいただけないな」

 

「ふぇ?」

 

「俺は何とも思わんが、他の男にそれをやると良くないってことだ」

 

「あ・・・ごめんなさい・・・」

 

「構わん・・・さて、朝食取って47層に向かうぞ。知り合いを待たせてるかも知れん」

 

「は、はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宿屋で朝食を取り終えると転移門で47層へと俺達は向かった。

 

「わぁぁ・・・!すごく綺麗ですね!」

 

「ここは有名なデートスポットだ。いつか相手が出来たら連れて来るといい」

 

「で、デートスポット・・・」

 

「さて、知り合いと合流するぞ」

 

「は、はい!」

 

俺は知り合いと合流すべく、先に進んだ。

すると中央広場にその人物がいたが、周りに男プレイヤーが纏わり付いていた。

 

「君ってユウキちゃんだよね?」

 

「そ、そうだけど」

 

「なら俺と一緒に組まない?これでも強いからさ!」

 

「ごめんね、待ってる人が居るんだ」

 

「じゃあその子も一緒に!」

 

「い、いや・・・それは・・・」

 

待ち合わせの人物はユウキだ。

無論キリトとアスナも来れそうなら来てもらうようユウキを伝って連絡はしてある。

 

「ソウタさん、あの女の人・・・」

 

「はぁ・・・名のある、特に二つ名付きはあういうのが多いんだ」

 

「そうなんですね・・・」

 

「しゃーない手助けするか」

 

俺は迷惑そうにしているユウキを放って置けず近付いた。

男プレイヤーは俺見るとあからさまに嫌そうな顔をした。

 

「ソウタ!」

 

「ん、お前がユウキちゃんの待ち合わせの人?」

 

「そうだが」

 

「へぇ・・・弱そうだね。俺のが絶対強いよ、ユウキちゃん」

 

「んなことはどうでもいい。ユウキは俺の貸し切りだ、他者が突っ込んで来るな」

 

男プレイヤーの言い分に少しイライラする俺だが何とか我慢して抑える。

元より俺が呼び出す場所をもう少し考えれば良かったな。

 

「ユウキ、行くぞ」

 

「ふぇっ、うん」

 

「待てやごらぁ!」

 

「だからなんだよ」

 

「ちょっと調子乗ってない?絶剣のユウキちゃんとどんな関係か知らないけどさぁ、俺が先にここで会ってるんだから俺との事が先でしょ?」

 

「はぁ・・・なら決闘で勝った方で良いだろ、強いなら俺は負けるはずだし」

 

「良いよ!それでやろうじゃんか!」

 

完全に頭に血が昇っている。

ユウキをシリカの所へ連れていくと心配そうに俺を見る。

問題は無いけど一応本気で相手をしてやろうじゃないか。

そうして決闘が始まると俺は片手剣をただ持つ。

 

「そおぉぉぉらぁぁぁ!」

 

「・・・読みやすい弾道だな」

 

男プレイヤーは同じ片手剣だが装飾が華美だった。

ソードスキルも発動せず突っ込んで来るため俺は『ソニックリープ』を発動させると男本体ではなく片手剣に狙いを定める。

 

「どーこねらってんの?」

 

「お前こそそんな状態でどうするんだ」

 

本当ならば男の攻撃が当たるはずだったが、俺が狙ったのは装飾が多い片手剣。

武器には耐久値があり、無くなると武器が壊れる。

そして装飾がある武器というのは総じて脆くなるという特性がある。

見た目としては最高だが能力は最低・・・と考えていい。

俺が狙ったのは一番脆い部分の装飾部分だ。

そこを一定の速度、一定の強さ、一定の角度という技術力が問われるが成功すると。

 

「お、俺の剣が・・・」

 

この男のように片手剣が折れる。

 

「メイン武器があるなら別だが、なさそうだな。負けたんだ、どっかに去りな」

 

「くそ、くそが!」

 

悪役の様に逃げ台詞を言うと走ってどこかに去っていく。

その入れ代わりで来るか怪しかった二人がやってきた。

 

「ソウタ」

 

「ソウタ君」

 

「・・・久しぶりだな、アスナ。キリトは度々会うけど」

 

「そうだな・・・で、用件は?」

 

「俺の予感が当たれば一人じゃ心許ないからな。過剰戦力と言われても構わんぐらいが良い」

 

俺がそういうとシリカを見やる。

シリカはやってきた人物に驚いているのだろう。

 

「俺とキリトは周囲警戒。アスナとユウキがシリカのサポートしてやってくれ」

 

「シリカってこの小さい子?」

 

「ち、小さくないです」

 

「間違ってない。こいつが用件のシリカだ。ビーストテイマーと言えば47層の用件がわかるだろ?」

 

「え、えとシリカって言います!一応ビーストテイマーです・・・」

 

いわずともこの3人は攻略組の筆頭に挙げられる。

47層の使い魔蘇生アイテムの話は知っているようだった。

 

「ここは宙吊りにするモンスター多いからそういう面でユウキとアスナを呼んだ訳だ」

 

「あー確かに、そういうモンスター多いね」

 

「なるほど・・・シリカちゃん、よろしくね?」

 

「は、はい!・・・あのお名前が・・・」

 

「わわ、ごめん。ボクはユウキだよ」

 

「私はアスナ。『血盟騎士団』副団長です」

 

「俺はキリト。ソロだ」

 

「んじゃキリト。俺らは警戒な」

 

「ああ、意味は分かってる」

 

俺らは先に進む。

俺とキリトは周囲警戒をするが前方はあまり見ないようにしている。

47層のモンスターにはプレイヤーの足を掴んで宙吊りにするものがいる。

シリカの装備はスカートがあるため、宙吊りになると仕方ないとはいえあれが見えてしまうのだ。

だから同性であるユウキとアスナを呼ばせてもらった。

 

 

前方から3つの悲鳴が聞こえた気もするが気のせいだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

程なくして深部に到着し、奥には台座がある。

 

「あの台座に使い魔蘇生アイテムがある」

 

「は、はい」

 

使い魔蘇生アイテムはビーストテイマーがいなければ入手が不可能とされている。

台座には一輪の可愛らしい花が咲いている。

 

「それ、手に持ってみて」

 

「『プネウマの花』・・・これが蘇生アイテムなんですね」

 

「ああ・・・さて、いつまで覗き見てるつもりだ?」

 

「え?」

 

俺が言うと木の影から一人のプレイヤーがやってくる。

それは昨日会ったロザリアだった。

 

「あら、あたしの《隠蔽》を見破るなんて侮ったかしら?剣士サン」

 

「抜かせ、昨日の盗聴全部分かってたぞ。あえてこの場所に呼ぶために説明したんだ」

 

「そこまで分かってて・・・あんた馬鹿?」

 

「生憎俺以外にも用件があるらしい・・・だろ、キリト」

 

「ああ。ロザリアさん。あんた少し前に小規模ギルドを襲ったな?」

 

「あぁ、あの貧乏ギルド。それがどうかしたの?」

 

「あのギルドのリーダーは転移門で必死に懇願した。それがわかるか?自分のギルドの敵討ちで転移門でプレイヤーに懇願したリーダーの気持ちが」

 

「知らないわよ。どうせここでやったとしても現実じゃばれないのよ。それに現実の法律とか規律をいれないでくれる?」

 

「はぁ・・・キリト、お前が赤髪やってろ」

 

「ああ」

 

ロザリアが呼び出すと周りから20人ほどプレイヤーが出てくる。

その20名全員がオレンジプレイヤーだった。

 

「やっちまいな!」

 

「「「キリト(さん)(君)!」」」

 

「問題ない。あいつのHPをよーく観察してみろ」

 

シリカ達はキリトのHPを見続けた。

俺も一応確認したが少し減ってはいるがすぐに回復している。

 

「あれは『戦闘時回復』スキルだ。恐らくあいつらの10秒間の総ダメージよりキリトの自然回復のが多い」

 

「な、なんだこいつ!」

 

「しなねぇぞ!」

 

「あんた達何やってるんだい!」

 

「10秒間に800ってとこか。それがあんたらが俺に与えれる総ダメージ量だ。それに対して俺のレベルは86。HPは14620。『戦闘時回復』スキルによる回復量は1200だ。いつまでやっても俺を殺せない」

 

「そ、そんなのありかよ・・・」

 

「ありなんだ。これがレベル制MMOによる格差だ」

 

「だ、だからってなんだい!あたしを傷つければあんたがオレンジに・・・!?」

 

俺はキリトより先にロザリアの首に片手剣を押し当てた。

 

「・・・ここで死ぬか、牢獄で生きるか。どっちがいい」

 

「なっ・・・」

 

俺の威圧でロザリアは武器を落とす。

それの合図でキリトが回廊結晶でロザリア組を全員黒鉄宮という牢獄へ送還する。

ロザリアだけは足を進めなかったが足で蹴り飛ばして中に放り込んだ。

 

「・・・タイタンズ・ハンドのリーダーだよ、ロザリアは」

 

「なるほどな・・・さて、用件も済んだしシリカを宿屋に送るか」

 

「は、はい」

 

「復活させるなら安全な宿屋内でやっとけ。ここじゃまだ危険だからな」

 

「わかりました」

 

俺が今度先頭になり、湧いた瞬間モンスターを斬り飛ばしたため、ほとんどシリカ達は帰りの戦闘は無かった。

 

「ふー、ユウキ、アスナ。ありがとうな、手伝い」

 

「ううん、ボクがやりたかったから」

 

「私も久々に楽しかったから良いわ」

 

「んじゃ俺は用事があるからこれでおさらば」

 

俺はパーティーを解散するとまた一人で活動を始める。

今じゃオレンジの動きは減っている。

恐らく攻略組と関わりがあるとの噂でオレンジ自体減ったのだろう。

だが、ラフコフの状況は掴めていない。

いつになったらミヤビを救えるのだろうか。

 

「やはり、一人が心地好い。パーティーはどうにも俺がやりづらいな」

 

宿屋に入ると俺はすぐに部屋に入り、アイテム整理を少しして俺は眠りに付いた。

 

 

 

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