俺は今、とある所にいる。
まぁ場所は59層の草原なんだが。
何故このような場所にいるかと言うと俺は昼寝が好きだ。
現実でも素晴らしい昼寝が出来るポイントを持っている。
だがSAOではそれが無かったため、どうにかして探していた結果がこれだ。
今日はSAOで最高の気象設定で最高の温度設定となっている。
これは昼寝をしなければ損というものだ。
するとどこからか人がこちらにやってくる。
「・・・ん?先客がいるとはな」
「ソウタ、どうしたんだ?」
「お前とほとんど目的は一緒だ」
「なら俺も一緒に寝ようかな」
「木の上で俺は寝とくわ」
俺はキリトも同じ目的だと分かり木の上で寝ることにした。
木の上はなれると良い寝床となる。
時間は7時だったから18時ぐらいまで寝ることにした。
だが、それは他者によって防がれる。
「何してるの」
「・・・何って昼寝」
「あのね・・・!こうしてる間にも私達の現実での時間が少しずつ失われていくのよ?」
「だからってなんだ、今日は最高の気象設定に温度設定だ。こんな日に迷宮にもぐってっちゃ勿体ない」
「あなたね・・・!」
「あんたも一度寝そべってみればわかるさ・・・」
どうやら血盟騎士団の副団長アスナだった。
生憎俺は女性にたいしてそこまで興味はないので気にしない。
一応《隠蔽》は使っているからよほどの事が無いかぎりばれはしない。
昼寝に嵌まっていると7時だった時間が17時まで過ぎていた。
もう少し寝ようか考えたがキリトは既に起きていたようでレンガ塀の上であぐらを作っていた。
「キリト、おはー」
「ああ、おはようソウタ」
「何してるのかと思えば・・・なるほどな」
キリトが何故移動していないかはすぐに理解した。
アスナが本当に寝てしまっていたのだ。
SAOの世界では睡眠PKという物がある。
寝ているプレイヤーを狙い『全損決着モード』でHPを全て削って殺す方法。
アスナにそんなことをする者は居ないだろうがキリトなりの配慮なのだろう。
「アスナ任せたぞ。俺は攻略でも行ってくる」
「・・・ああ」
「攻略組で先に死ぬのは俺かもな?」
「縁起でも無いことを言うなよ」
「良いじゃねぇか、そっちのが緊迫した戦闘が出来る」
「・・・生きろよ」
「片隅にでも留めておくさ」
俺はキリトと別れると前線である62層の迷宮区に向かった。
一応俺はソロで基本的に活動する。
理由は簡単でソロのが何かと行動がしやすい。
またソードスキルの熟練度上げも出来る。
SAOの世界では『ユニークスキル』という特別なスキルがある。
俺には《天帝剣》、キリトには《二刀流》が出ているらしく、まだ公表はしていない。
情報屋のスキル一覧にも載っていない辺りユニークスキルという物なのだろう。
現在俺が分かっている限りでは。
俺の《天帝剣》
キリトの《二刀流》
ヒースクリフの《神聖剣》
の3つだ。
出現条件が不明で時期も不明な点からユニークスキルだと思っている。
「誰もまだ居ないし・・・ボスやってみるか」
一応俺はボス部屋を見つけている。
マッピングデータを公表しているが攻略隊が集まらないためまだ倒していない。
危なくなれば転移結晶を使って脱出すれば些か問題はない。
「・・・《天帝剣》使ってみるか」
《天帝剣》には熟練度が無い変わりに制限がついている。
《天帝剣》スキルの発動条件にレア度20武器装備時のみという制限があった。
SAOの世界では階層が5上がる毎にレア度が1あがる様になっている。
レア度20の装備は100層近くじゃなければ入手が難しい。
だが俺のストレージにはそれをクリアする武器が一つだけあった。
いつの間にか入手していた一振りの刀『夢陽炎』。
「装備してみたが・・・本当に綺麗だな」
《天帝剣》スキルの『パッシブスキル』はかなり強力だ。
・全武器種熟練度1000固定
・全ソードスキル硬直時間短縮
・武器装備欄拡張
・攻撃力&敏捷力2倍
・《武器防御》スキルの防御率上昇
上記5つの常時発動スキルがある。
使用条件が難しい部分があるがその分を凌ぐスキル。
「武器装備欄拡張・・・ああ、なるほどな」
俺は説明文の疑問の一つである【武器装備欄拡張】の意味を理解した。
《天帝剣》スキルを習得すると装備画面に新たな部位が表示されていた。
『背中1』・『背中2』と表示されている装備欄があった。
このスキルは恐らく多種の武器を扱えるのだろう。
『夢陽炎』は刀カテゴリの武器なので残り二つの装備欄には刀が装備出来ない。
だが他の武器種・・・片手剣や細剣ならば装備出来る。
「こりゃチートスキルだな・・・しかも全武器種の熟練度最大だし」
他の武器種を装備出来るに従って熟練度も全て最大値になっていた。
熟練度の最大値は1000で、《天帝剣》スキルの効果により強制的に1000固定になっている。
だが生産スキルまでには効果が及んでいない。
「・・・レア20武器を2つも用意出来るのかねぇ・・・」
《天帝剣》を使いこなせるか不安になるも今はボス部屋の前。
ボスだけを倒すことを考え俺は扉に手を触れる。
「・・・やるか」
戦闘を開始して5時間。
ボスのHPゲージは4本あり、内2本が削られていた。
俺の方は回復薬系をほとんど消費しており、残るは結晶アイテムのみだった。
「・・・一か八か使ってみるか」
俺は《天帝剣》スキルの『次元斬』を発動させた。
ボスに1発当てると一気にボスのHPが1割減る。
その減少量に驚くも俺はそのままボスを斬りまくる。
「はぁぁぁあぁぁあ!!」
「ゴガァァァ!」
しかしボスもやられているだけはなく抵抗してきた。
そこで『次元斬』をすぐに止めると今度はスキルの発動の構えをとる。
ボスの攻撃が当たると同時にスキル『飛燕』を発動、それによってボスの攻撃を反射する。
『飛燕』は相手の攻撃を反射スキルのようで猶予は0.5秒。
早すぎても遅すぎても成功しないスキルだが成功すれば相手に全てのダメージが反射され、尚且つ5秒の強制硬直を与える。
無論俺も硬直があるのだが《天帝剣》スキルの硬直短縮によりボスより素早く行動をした。
ボスのHPは残り3割。
俺はそれを一気に削るべく《天帝剣》上位スキル『無明剣』を発動。
刀を一度鞘に戻し、居合いの構えをとる。
そして一度後ろにステップを取ると一気にボスに突進する。
後ろのステップはフェイントでメインはそのあと。
ボスに突進すると一気に鞘から刀を引き抜き、斜めに切り上げる。
そこから一文字と斬って最後にまた斜め下に叩き斬った。
「グゴガァ・・ァァァ・・・」
「・・・」
最後の悲鳴を挙げるとボスはポリゴンとなって消える。
それと同時にボス部屋の扉が開いた。
「ソウタ君!?」
「はぁ・・・はぁ・・・」
先程まで緊迫した戦いをしていたせいか終わると一気に疲れが襲う。
「アスナか・・・ここのボスはさっき・・・倒した・・・」
「そ、それよりHPが!?」
「ん・・・?あぁ・・・ポーションが切れて回復出来なかっただけだ」
アスナは俺のHPを確認すると驚愕していた。
一応パーティーじゃなくとも至近距離であれば見ることは可能だ。
俺のHPは1ドッドぐらしかのこっていない。
まぁ驚かせるのも無理はないな。
「どこだ・・・あぁ、あった。ヒール」
腰につけていた回復結晶を使うとHPを回復する。
そしてボスのLABを確認した。
「・・・『エリュシオン』・・・?」
俺は一度それをストレージから取り出して見てみる。
黒塗りの片手剣でキリトの片手剣と酷似していた。
だが一つ不思議な点があった。
装備が出来ない。
また説明文には【神話ノ楽園、封サレシ英雄ノ魂眠ル】と表示される。
「・・・とりあえず後にして、アスナはどうするんだ?」
「攻略が終わっちゃったし・・・一先ず団長に報告するわ」
「ん、そうか。んじゃ俺は帰る」
ボス攻略も終わったこの層に居続ける意味も無いので自分のホームへと向かう。
俺の家は48層にあり、近くに良い腕を持つ鍛冶屋がいる。
家に俺は戻るとLABの武器の意味を解読していた。
一応神話はすこしなら分かるためどうにかできないか考えていた。
まず、エリュシオンというのはギリシャ神話に出てくる死後の楽園だ。
神に愛された英雄の魂がエリュシオンにて暮らすとされている。
・・・英雄の魂?
確か俺はどこかで手に入れた用途不明の素材アイテムがあったはずだ。
「あった・・・」
それは『壊れた歯車』と『壊れた槍』。
どちらもギリシャ神話として考えれば関係性はある。
ギリシャ神話の大英雄『アキレウス』。
「・・・ならばやってみるか」
俺は顔見知りの鍛冶屋に足を運んだ。
「入るぞー」
「ようこそ、リズベット武具店へ・・・ってソウタじゃない」
こいつは48層に店を持つ鍛冶プレイヤー『リズベット』。
アスナやユウキの武具メンテをやっており、また素晴らしい程の腕を持つ。
「今日は何のよう?」
「合成してくれ」
「素材は?」
「これだ」
俺はストレージから『エリュシオン』と『壊れた歯車』、『壊れた槍』をカウンターに置いた。
「な、なに?これ」
「まぁ良いから、やってみてくれ。失敗しても文句は言わん」
「まぁ良いけれども・・・」
リズは渋々それを受けて工房へと向かう。
俺もついていったが中はやはり暑い。
「ふー・・・」
リズが深呼吸するとハンマーを取り出し、エリュシオンの上に歯車と槍を置いた。
そして思いっきりそれらをたたき付けるようにハンマーを振る。
何度も、何度も。
そして数十回叩いて変化が起こる。
「出来たわよ・・・『神剣エリュシオン』?見たこと無いわね」
「やっぱりな」
「?」
「エリュシオンというのは元は神話の事で先程の素材も神話繋がりなら関係性が高かった。だから合成をやってほしかったんだよ」
「ふーん・・・じゃあこれ・・・って、おっも!?」
リズが持ち上げて俺に渡そうとしたのだろうが筋力不足で一ミリも微動だにしなかった。
まぁ俺は軽々と持ち上げたがな。
「重過ぎないな。どれでいて振りやすい」
「代金は要らないわ。そんだけ良い武器出来たの久しぶりだから」
「ん、そうか。ならばここを贔屓にしてやる」
俺はリズにトレードで今まで集めた金属を全て押し付・・・渡した。
「ちょ、ちょ!?あんたどんだけ持ってるのよ!」
「今までずっと使ってなかっただけだ、持ってても宝の持ち腐れ」
渡した金属には『ブラックパープルクリスタル』や『クリスタライトインゴット』も混じっていたが俺には扱えないし不要だ。
売っても良いが生憎金には困っていない。
「それじゃあな」
「え、ええ。これからもご贔屓にね!」
「ああ」
俺はリズの店を出ると新たな武器『神剣エリュシオン』を一度家で見ようと思い帰ろうとしたのだが、見たことのある人物がいた。
「ユウキ・・・?なんでまた」
一応俺の家は一部を除いて知られていない。
キリトは知っている。
だがユウキは知らないはずなのだ。
「まぁ良い、窓から入ろ」
ユウキに気づかれないように近付き家の窓から帰宅した。
ばれた気がしなくも無いが。
今日はもう疲れたし確認は明日にしてもう寝よう。
俺はベッドに入るとすぐに寝てしまった。