今、ボクはソウタの家の前にいる。
場所はとある情報屋に教えてもらったよ。
ソウタが中に居なかったから帰ってくるまで待ってるんだけど・・・。
「ふぁ・・・ふ・・・」
まったく帰ってこない。
場所違うのかなぁ・・・?
それに眠たくなってきた・・・。
「何してんだ」
「・・・ぁぅ?」
「・・・はぁ、コード押さないでくれよ」
誰かがボクを抱えていく。
眠気に負けてるボクはそれをほとんど認識出来ずに目をつぶった。
ずっと《索敵》スキルで家の近くの範囲を指定した瞬間反応するってどういうことだよ。
どうせユウキ辺りだろうし、追い返そう。
だが扉を開けると下には船を漕いでいるユウキがいた。
目はほとんど開いておらず呂律も回っていない。
「・・・はぁ、コード押さないでくれよ」
ユウキを抱えて家のベッドに寝かせる。
さすがに外に放って置くと色々とまずいからな。
「ったく・・・」
しかし俺も言ってしまうと眠い。
だがベッドはユウキに使わせてるので今日は頭をベッドに乗せて寝ることにした。
「・・・おやすみ、ユウキ」
俺が起きると時間帯は8時。
ユウキはまだ寝ていたが何故か俺の手がユウキに握られていた。
「・・・なぜに?」
「んむ・・・」
ユウキを起こさないように手を動かすと、とりあえず体を伸ばす。
現実での癖になってるからかこれをしないと動く気力がない。
「さて・・・どうすっかなぁ」
いつも通りやることがない俺は基本暇だ。
キリトとアスナが結構良い線行ってて相談に呼ばれるがそれ以外になると攻略しかない。
俺にはそういう相手が居ないし、そもそも俺より良い奴いっぱい居るしな。
そんなことを考えているとドアが叩かれる音がする。
《索敵》を使って人数を確認すると2人。
「あー、はいはい。出ますよーだ」
「ソウタ君、ユウキは!?」
「ユウキならそこだ。ついでに引き取って行ってくれ」
ドアを開けると慌てたようにアスナが入ってユウキを見つける。
なんかあったんだろうと思うが俺には関係が無いから触れないようにする。
「何もしてないでしょうね?」
「誰がするか。飢えてる訳じゃないし、昨日俺の家のドア前で寝られそうだったから寝かせたまでだ」
「そ、そう・・・なら良いわ」
俺の返答に求めていた言葉では無かったのかアスナは少し暗くする。
「早く引き取れ。早くどっか行きたいんだよ」
「う、うん」
「ソウタ、何もしてないのか?」
「しねぇよ、しても気まずくなるだけだろうが」
「そうか」
アスナが寝ているユウキを背負うとキリトと一緒に家を出た。
無論俺も迷宮に行くから同じく家を出て鍵を閉める。
「あー・・・一応言うけどな、ユウキとかにそういう感情は抱いてねぇから安心しろ」
「え、ええ・・・じゃあ私達もう行くね」
「ん、じゃあな」
俺は必要以上に関わりを持とうとは思わない。
SAOなんてクリアしてしまえばそれまでの関係。
例え俺にそんな感情があっても口にはしない。
「好意・・・ね、人殺しにそんな感情あるわけねぇだろ」
俺はもうその事を考えたくなかったのでさっさと迷宮へと潜りに向かった。
私はユウキを背負って自分のホームへと行った。
キリト君も一緒だったけど仕方ないかな。
「ユウキ、起きてる?」
「・・・うん」
ユウキは起きてたみたいだったけど声は震えていた。
どことなく泣き出しそうな感じも。
「ボクは・・・邪魔なのかな・・・」
「ユウキ・・・」
「ボクの気持ちは・・・ソウタにとって邪魔にしかならない・・・だったら・・・」
「ユウキは簡単に諦めるんだな」
「・・・」
「俺が知ってるユウキは負けず嫌いでそれでいて一途な所。今までにも告白されても断ってたのはどうしてだ?」
「ソウタが・・・好きだから」
「ソウタは俺らとの関係の間に壁を作ってる。深くまで関わりを持たないように。それを取り払ってからでも遅くは無いと思う」
今までキリト君がこういう話には入らなかったけど、真剣に言っているのは初めてみる。
ユウキもキリト君のおかげで自信を取り戻したのか元気が少しずつ戻っている。
「そう・・・だね。ありがとうキリト」
「良いよ、ユウキの為だから」
「よしっ!ボクもう一度ぶつかってみる!」
「うん、応援してるからねユウキ」
「俺からも。頑張れ」
「ありがとう、二人とも!それじゃ行ってきます!」
すっかり元気になったユウキは家を出るとソウタ君の元へと行ったのかな?
「さて、俺は迷宮攻略してくる。ボス戦でな」
「うん、気をつけてね」
キリト君も迷宮攻略でどっか行っちゃった。
私もお仕事しなくちゃだ。
俺は今63層の迷宮にいる。
今回はボスではなく新たな武器『神剣エリュシオン』の試し切りだ。
装備画面の『背中1』にエリュシオンを選択し装備する。
すると背中に重みが増える。
「キリトの《二刀流》を使えたりはしないか・・・」
武器種が違うが二本の武器を装備しているため《二刀流》スキルが使えるかと思ったがそんなに甘くは無かった。
まぁ使えても俺は使わんが。
「これ二刀流ならぬ三刀流が出来るのか?でも扱えない気がする」
とりあえず俺はさっそく二刀流で出来る攻撃をしてみる。
《武器防御》スキルを習得しているのでモンスターの攻撃を剣を交差させて防ぐ。
HPの減少量が微々たる物だったのでかなり防御率が上がっているみたいだ。
「《天帝剣》スキル自体まだ公表されていないスキルだからなぁ・・・迂闊に使えんな」
《天帝剣》スキルの事を考えていると《索敵》が引っ掛かった。
人数は50人で動きはバラバラだった。
《隠蔽》スキルで姿を隠して警戒をすることにした。
少しすると姿が見えてきたので見てみると見知った顔、アスナだ。
後ろには血盟騎士団の団員が見え、攻略組もいた。
「アスナじゃねぇか」
「ソウタ君!」
「ボス攻略か?」
「ええ、ソウタ君も参加してくれない?」
「悪い、パーティーは嫌いなんだ・・・その代わりこれをやるよ」
俺はトレードを開きアスナに63層迷宮のマップデータを送信する。
63層迷宮の行けるところ全てを踏破してあるのでボス部屋だけが残っている。
「良いの?」
「参加できないからな、ボスは任せた」
「分かったわ、それじゃあ」
「じゃあな」
エリュシオンの試し切りも出来て今日はやることを終えた俺は迷宮から出ることにした。
一応レベルあげも少しはしたし問題は無いだろ。
マップデータも街で公表する予定だったがアスナ達が討伐すればまた未知の64層を探検すりゃ良い。
そういや最近オレンジ共がまた動いてる。
あんだけ処理したのに懲りない奴らだ。
「ラフコフが動いてるからか・・・?」
「いい勘してるじゃねぇか・・・」
「・・・PoH」
PoH。
レッドギルド『笑う棺桶』のリーダー。
魔剣『友切包丁』を武器として使い、異常なカリスマ性や行動力で全プレイヤーから恐れられる。
「oh、覚えていてくれていたとはな・・・」
「当たり前だろ・・・で、何のようだ」
「交換条件だ、俺達と組まないか?」
「何度も言ってるだろ、断る。生憎人殺しを快楽として受けれないんでね」
「残念だ・・・」
「用が無いならどっか行け、お前と居るといらっとする」
PoHは俺がいらついていることに気付き、すぐに撤退した。
PoHは殺人プレイヤーだが実力は持っている。
自分と相手の実力を見抜けない奴はすぐさま死ぬだろう。
「・・・ちっ、そのうち潰してやるよ。レッドギルドを潰せばオレンジも静まんだろ」
ミヤビが生きている事は生命の碑で確認はしているがそれでも大丈夫なのかと思う。
あの時一緒に誘わなければ。
一緒にSAOをしようと言わなければこうはならなかったんだろうな。
「・・・善人は終わりだ。ここからは『暗躍者』の時間だ」
俺は顔が見えないようフードを被る。
武器は特別製の麻痺毒ナイフを装備する。
このナイフはLv10の麻痺が付与されていて、左腕及び頭の行動などの行動を妨害する最強クラスの麻痺。
「・・・行くか」
63層迷宮を出ると俺はオレンジとレッドを殺すべくまた殺人鬼へと変わっていった。