63層攻略から2週間ほど経過したある日。
SAOの世界での街では人々がざわついていた。
掲示板に書かれている内容によるもの。
【ついにPKK『暗躍者』の情報を血盟騎士団、掴む】
という内容だった。
暗躍者はSAOで最も恐れられているプレイヤー。
正式なプレイヤーネームを知るものはおらず、影で動いていることから『暗躍者』という二つ名が付けられていた。
「ねぇ、キリト、アスナ。これって・・・」
「・・・ユウキ、来てくれ」
それを見たユウキは親友のキリトとアスナに聞いた。
この場で話せない内容なのかキリトは場所を移した。
俺は『暗躍者』をよくは知らない。
何でもPKKのプロだという情報しかまず流れていなかったから。
しかしそれは覆された。
アスナが所属するギルド『血盟騎士団』の団員情報で『暗躍者』がどこにいるかを突き止めた。
「・・・ユウキ、暗躍者自体は知ってるか?」
「うん・・・PKKが専門のプレイヤーなんでしょ?」
「ああ。ただ少し気掛かりなんだ。暗躍者が表に出てソウタの連絡が付かない」
「気のせいじゃないの?キリト君」
ソウタがここ最近姿を見せなくなっていた。
フレンドからの探知機能を切られ、情報屋にも依頼するが手がかり一つも掴めなかった。
「俺は・・・『暗躍者』がソウタなんじゃないかと思ってる。アルゴにも聞いたがその線が怪しいと言われたしな」
「ソウタ君が・・・?」
「ソウタはそんな事しないもん!」
「・・・二人とも、確証はあるのか?俺も確かにそうは思いたくないけど情報屋の中で結構噂されてる」
「・・・へぇ?おもしれぇ話だなぁ」
「「「!?」」」
「うわ、ひでぇ反応。まぁ良いけど」
俺達はすぐさま移動し、その声から距離をとった。
姿はローブで隠されており、人物の特定が出来なかった。
「誰だ!」
「誰でも良いだろ?」
「何の用だ」
「用件ねぇ・・・おめぇらPKK、暗躍者追ってるんだってなぁ?なら60層迷宮に来な。おもしれぇもん見れるかもなぁ」
そういうとローブのプレイヤーはどこかに去って行った。
《索敵》で探すも相手の《隠蔽》が高いからか探知が出来なかった。
「今の・・・」
「聞かれてたな、しかも60層?」
「キリト君・・・暗躍者の情報がね・・・60層に潜伏してるみたいなの」
「・・・アスナ達は行くのか?」
「うん、団長は参加しないけど他の団員を集めて60層迷宮に行くつもりだよ」
「ユウキはどうするんだ?」
「ボクも行くよ。もしソウタが暗躍者なら止めたいから・・・」
「なら俺も行くよ・・・って誰かからメッセージがきてる」
「ボクにも来てるよ」
「私にも」
ユウキとアスナも・・・?
俺はメッセージを見てみた。
ダイレクトメッセージのようで誰から来たのか分からなかった。
プレイヤー名は『Miyabi』と書かれている事。
【笑う棺桶は60層潜伏】
「・・・
「ラフコフってあのレッドギルドの?」
「ああ、多分。でもなんで繋がりがあるんだ?」
「それを確認するために60層に行くんでしょ?」
「そうだね、私一度ギルドに戻るね」
「ああ、俺も準備があるから行くよ」
「一回解散だね、次はソウタを入れて集まろうね」
「ああ」
「うん」
俺達はパーティーを解散し、移動した。
俺はいざという時のために結晶アイテムなどを買い揃えた。
60層に向かうのは本日だったみたいで60層の街には血盟騎士団を初めに聖竜連合などや風林火山といったギルドが参加していた。
「クラインじゃないか」
「おー、キリト!おめぇも参加するのか」
「ああ、何でも
「
クラインの言葉で周りのプレイヤーが俺達を見る。
確か60層には暗躍者が居るという情報だけで
「一応そういう情報があったんだ。警戒は必要だろ」
「だな・・・キリト、死ぬなよ」
「おまえもな」
俺はクラインと別れるともう一度装備などを確認した。
念入りにチェックをして準備が完了するとアスナが声をかけた。
「皆さん、準備は良いですか!」
アスナの声に皆は反応する。
それは準備が出来たという証だった。
「今回、PKKの『暗躍者』がいるという情報だけで集まってくれた皆さんに感謝します!・・・ですが、新たな情報が入りました」
「副団長様、それは何ですか?」
「レッドギルド・・・
「なぁ!?」
「嘘だろ・・・?」
いきなり
「なので皆さんにはここで離脱していただいても構いません。これはボス攻略などではなくプレイヤー同士の戦いとなります」
そう、これはボス攻略・・・SAOクリアの道ではなくプレイヤー同士の戦闘だ。
AIで動くモンスターと違い、複雑な動きをするプレイヤーは今までとは違うだろう。
モンスター以上に死亡するリスクが高い。
「俺は聖竜連合所属のタンクリーダーの『シュミット』と言う。アスナさんが言ったようにこれは攻略じゃない。相手はプレイヤー、AIのモンスターとは違う。死亡リスクはモンスター以上に高いと思ってもらって良い」
「そしてもし
タンクリーダーのシュミットの言葉はあっているだろうな。
相手は殺人ギルドで殺すことに関しては容赦をしない。
あまりの抵抗ならば殺さなければならないだろう。
「シュミットさんが言ったようにこれは強制参加ではありません。ここで離脱していただいても責めはしません」
シュミットとアスナの宣告に誰も離脱するプレイヤーはいなかった。
それだけの覚悟があるのだろうな。
「それでは皆さん、行きましょう!」
アスナがプレイヤーを見やると60層迷宮へと突入していった。
現在の戦線は70層でこの場にいるプレイヤーは安全マージンのLv80を超えている者が多い。
60モンスターに遅れを取ることもなく、潜伏場所へと足を進めていった。