今回は過去編です。成り代わりチチさんが成り代わったと自覚してからの数年間のお話です。次回も引き続き過去編となります。
今回から“成り代わり”要素が強くなりますので、苦手な方はご注意ください。
また、次回に向けての導入として成り代わりチチさんの能力について軽く触れております。微混合(念能力)タグがここから活用される事になりますので、こちらも苦手な方はご注意ください。
――――――――――――――チチが悟空に離婚を求めた瞬間から
その頃のチチは、いつの日か悟空が迎えに来てくれる事を夢見て、日々武術と花嫁修業に励んでいた。しかし、チチが13歳になって間も無く、運命の分かれ道が訪れる。
父‐牛魔王との組手の最中に誤って頭部を強打し、意識を失ったのである。
そして目覚めた時には、チチになる以前の
「…世の中不思議な事が多いべ。」
ベッドに横になったまま手鏡を覗き込み、そこに映った自分の姿をまじまじと見詰めながらチチが呟く。
そこには、昨日までと全く同じ姿で、しかし
「“孫悟空”と“ドラゴンボール”、“亀仙人”って言ったらアレだべなぁ……。」
これまで生きてきた13年分の記憶と、
すなわち、自分が生まれ変わったこの世界は“ドラゴンボール”という架空だった
「……しかも、“チチ”ってアレだな、確か主人公の奥さん。」
自身も既に癖になってしまっている、東北弁にも似た特徴的な喋り方には覚えがあった。
………意外と重要な役回りとして生まれた事にじっとりと汗が出て来る。
「………もしかして、“孫悟空”と結婚出来なかったらマズイんでねぇかな…。」
確か、2人の間に生まれた子供たちも重要な人物だった
「…責任重大だべなぁ…。」
記憶を取り戻すまでは確かに自分は“孫悟空”に恋い焦がれていた
しかし、“チチ”が“孫悟空”と結婚しないと物語のキーパーソンともなり得る2人の息子が生まれて来ない事は分かっていた。やはりここは、“孫悟空”に“約束”を守ってもらうしか無いだろう。
はぁ、と重い溜息を1つ
―――――――その後、およそ6年間、チチはそれまで以上の武術の修行に励み、並行して花嫁修業も行っていた。“原作”が未読である為に、“チチ”と“孫悟空”が結婚した時期が全く分からず、最近ではどうしたものかと悩みの種となっていたが、6年の間には大きな収穫もあった。
チチが前世で最も好きだったマンガ、“ハンター×ハンター”の念能力の体得に成功したのである。
きっかけは修行中の父‐牛魔王の1言。
「チチは筋が良いべ。おめぇならもしかして、“かめはめ波”を使えるようになるかもしれねぇだな。」
“かめはめ波”。その言葉に、“チチ”としての記憶が刺激される。
“フライパン山”と称される程に燃え盛っていた、城と山。その炎を見事に消し去った、亀仙人の最終奥義。確かに
「……お
こう、自分なりの必殺技というのが欲しかった。
生まれ変わってからの修行により、自分が一般人とは群を抜いて強くなっている事は分かる。しかし、せっかくそういう技が使える世界に転生したのだから、何か1つでも身に付けたかったのだ。
「何でも、
チチなら出来るかもしれねぇべ、と続けた牛魔王が使用人に呼ばれた事で、その日の修行はそこで終了となった。
「潜在エネルギー…。
“オーラ”、と言えば1つ試してみたい事があった。
「もしかしたら……。やってみる価値はあるべな…。」
―――――――――それから半年の間、チチは朝晩修行の後に
“
“
本来、人間の“
世界は異なるが、“ドラゴンボール”と“ハンター×ハンター”は、活用方法や呼び名が異なるものの“オーラ”を使うという点では同じ。もしかしたら、使えるようになるのではないか、という仮説は当たった。
そこから先の修行は、面白いように進んだ。
基本中の基本である、“
すなわち、
・“オーラ”を体の周囲に留める“
・逆に“
・“
の3つである。
“
・“
・“
・“
・“
・“
・“
・“
これらの応用技を全て体得するのに更に半年。間違いなく“体得”した、と思える手応えを感じた後でいよいよ“念能力”の集大成にしてそれぞれの個人差が現れる“
そして、構想から1年半を得て、
それからは、より強さと“念能力”に磨きをかけながら、今まで以上に花嫁修業に励んでいた。そしてその1年半後の5月9日、彼女にとって生涯記憶に刻み付けられる出来事が起こった。
―――――――――時間にしてわずか数秒、しかしその時確かにチチは、“孫悟空”に2度目の恋をした。