Cheat Breakers~欠陥チートを以てチートを制す~ 作:九戸政景
戒人「どうも、千歳戒人です。異世界に行ってみたいねぇ……行ったところでそこに適応できなかったら、結局意味ないんじゃないのか?」
政実「あはは……まあ、そうなんだけどね。
でも、行けるなら一回は行ってみたいかな?」
戒人「ふーん……まあ、良いけどさ。
さて……それじゃあそろそろ始めていくか」
政実「うん」
政実・戒人「それでは、第3話をどうぞ」
第3話 初異世界と能力調査
「……ん」
窓から射し込む朝日を感じて、俺は声を上げながら目を開け、そのまま体をゆっくりと起こした。
そして、寝ぼけ眼のままで周囲を見回した時、俺はその光景に疑問を覚えた。
……あれ、ここってどこだ……?
俺の周囲にあったのは、少しこざっぱりとしているものの、女の子らしい小物や角が丸い家具にクリーム色の壁紙、そして床には小さな机とピンク色のカーペットが敷かれていた。
……何ともまあ、可愛らしい部屋だこと。
俺の部屋とはまったく異なるその部屋の様子に、俺は少々苦笑いを浮かべた。
向こうでの俺の部屋は、まだ住み始めてから日が浅いため、家具などは元々用意されている物しかない。
そして俺の部屋の家具などは、全て黒や青といった色で統一されているため、この部屋の様子とは真逆と言っても良いだろう。
……まあ、別に今のままでも問題は無いけどな。ああいう雰囲気なのも嫌いでは無いし。
さて……それじゃあそろそろ起き――
起き出そうと思い体を動かしたその時、ふと頬に少し長めの髪の毛が触れたような気がした。
髪の毛……? でも俺はそんなに長くはないし……?
その事に疑問を覚えた後、ふと視線を下へ向けたその瞬間、俺は自分の目を疑った。
……え、この服と服の膨らみってまさか……!?
そう、何故か俺は白いパジャマのような物を着ていた上、本来俺には無いはずの膨らみが視線の先にあった。
な、な……!?
「何だよ、これ……!?」
驚きのあまり俺は大声を上げたが、その声もいつもの声とは違う、少し高めの女子っぽい声だった。
え、はぁ……!? どういう事なんだ!? 俺はいつの間に性転換の手術なんてされたんだよ……!?
自分の身に訪れたその大きすぎる変化に気付き、俺の頭の中がグルグルとしていたその時――
「……電話……の音?」
どこからか電話のコール音が聞こえてきたため、俺は今の状況について考える事を一度止め、その電話に出る事を優先する事にした。
そしてそのコール音の主が、枕元に置かれた俺の暗い緑色の携帯電話から発せられている物だと気付いた後、俺は携帯の画面を見た。
「白羽……?」
画面に表示されていたのは、正直なんだかよく分からない存在、白羽の名前だった。そしてその瞬間、俺は何故俺がこんな事になっているのかを察した。
……そうだ、俺は『仕事』でここに……
ぼんやりとしながら今の状況について思い出した後、俺は静かに携帯を操作し、白羽からの電話に出た。
「……もしもし?」
『あっ、出た出た。やっほー、戒人。
初の異世界の目覚めはどう?』
「……ああ、混沌と混乱に満ちた最高の朝だったよ」
俺が皮肉を交じえながら答えると、白羽は電話の向こうで楽しそうな笑い声を上げた。
『あははっ! まあ、そうだろうね。何せ、性別が反転してるんだもん、そりゃあ混乱もするよねー!』
「……笑い事じゃねぇよ。おかげで朝から頭が痛くなりそうだよ……」
『まあまあ。女の子の体になるなんて中々無い体験なんだし、『仕事』をしながら楽しんじゃえば良いんじゃない?』
「楽しむって……」
この状況をどうやって楽しめってんだよ、絶対にこれから色々と大変だろうし……
この先に待っているであろう性別の違いによる生活の違いに深くため息をついていると、白羽が楽しそうな声で話し掛けてきた。
『ところで……色々と触ってみたりは、した?』
「するか! たとえ、今は自分の体だとしても、そんなにベタベタ触るのは何だか申し訳ないだろ!」
『あははっ、戒人らしいね。
でも、そこにいる間はその体で過ごすわけだし、少しはそういう事にも慣れないとね?』
「……そうだな」
白羽の言う通り、『仕事』の間はこの女子の体で過ごさないといけないため、嫌でも色々と見たり触れたりする事になる。誠に不本意ではあるが。
……こうなったら、ストレスを解消できる方法でも探しておくかな……
生活の中で感じるであろう罪悪感によるストレスの解消法を探す事を決意していた時、俺はある事に気付いた。
「……そういえば、あんなに大声を出してたのに、誰も部屋に来ないな……?」
そう、さっきまでそれなりに大きな声を出していた筈なのだが、それを聞きつけた家族が来るような様子が一切なかった。
……もしかして、ここはかなり複雑な家庭とかだったりするのかな……?
そんな疑問を抱いていると、電話の向こうで白羽が再び楽しそうな笑い声を上げた。
『あははっ! そりゃあそうだよ。
今、その家には戒人しかいないんだもん』
「……どういう事だ?」
『うーんとね……簡単に言えば、今の戒人のご両親は仕事の都合で海外にいて、戒人は一人でこの国に残ったっていう設定だね』
「設定……」
『そう。さっきも話したけど、戒人はその世界ではその体で過ごしてもらうわけなんだけど、その世界には元々今の戒人の姿の子はいないんだ。
つまり、その姿は僕が今回の『仕事』用に作り出した物で、その世界に戒人がいる間は、その子自体が元々存在しているようにその世界の人達は思い込まされてる感じだね』
「……要するに、今回の『仕事』の間はこの女子を演じなきゃないって事か」
『そうだよ。因みに、名前とか趣味とかみたいな細かい設定は後でメールで送るから、後でしっかりと目を通してね。
今日は入学式だから遅れるわけにもいかないだろうしね』
「……入学式?」
その単語に疑問の声を上げた後、俺は部屋の時計に視線を向けた。
すると、時計の針は午前7時頃を指していた。
……良かった、この時間ならまだ余裕だな。学校の位置とかはまったく分からないけど。
時計を見ながら安堵をしていると、電話の向こうから白羽がクスクス笑う声が聞こえてきた。
『……ふふっ。今、完全に焦ってたよね?』
「……そりゃあ焦るだろ。こういう展開の時は、大体が遅刻寸前とかだからな」
『ふふっ、確かにそうだね。
さて……これ以上話してても本当に遅刻させちゃいそうだし、そろそろ切るよ。
初仕事、頑張ってね、戒人』
「……ああ」
俺が返事をした後、白羽はそのまま電話を切り、携帯の画面は白い花の待受画面へと変わった。
……演技か。中学と高校の時は演劇部だったし、そういうのは出来るけど、まさかの配役だよな……
自分に割り振られた役柄に対して大きくため息をついていると、携帯が突如震えだし、白羽からのメールが届いた事を報せてきた。
……仕方ない、やった事ない役ではあるけど、それなりに頑張ってみるか。
諦め気味にフッと笑った後、俺は白羽からのメールを開き、この女子についての設定などに目を通した。
「……んん、あー、あー……」
朝食を食べ終え、学校に行く準備を終えた後、俺は玄関で声の調子を整えていた。
正直な事を言えば、声自体は俺自身の声とは違うため、本当はこんな事をしなくても良い。しかし、これからこの女子の事を演じるに当たって、今の自分はこういうものなのだと思い込ませるためにも、こういったルーティンみたいなのは割と必要になる。
「あー、あー……うん、これでオッケーだね」
この体――
肩まで伸びた黒いセミロングの髪に人懐っこそうな雰囲気を醸し出した顔、そしてこれから通うことになる学校の制服を着ている姿を認めた後、俺は鏡に向かってコクンと頷いた。
……さて、そろそろ行くか。
そして、玄関のドアをゆっくりと開けた後、俺は家の外というまた別の異世界へと足を踏み入れた。
……どうやらここは、俺がいた世界と大体同じ感じの世界みたいだな。
俺がイメージしていたような異世界とは違い、ここは俺が以前いた世界とほぼ同じような世界のようだった。
まあ、ファンタジー小説みたいな本当に突拍子もない世界じゃなかっただけマシか。そんなとこが最初の仕事場だったら、かなり辛かっただろうし。
その事に一人でうんうんと頷いた後、俺は携帯のメール画面を呼び出し、白羽がメールに添付してくれた学校までの地図を表示した。
ふむふむ……学校まではこんな風に行けば良いのか。
学校に『怪力』がいるかまでは分からないけど、とりあえず入学式に遅れるわけには行かないし、ささっと学校に行くとするか。
そして、携帯をカバンにしまった後、俺は久しぶりの学校へ向けて歩き出した。
「……えー、であるからして、新入生の諸君には、この学校の生徒としての自覚を持って……」
あはは……やっぱ長ぇよな、校長の話って……
壇上に上がり、長々と話を続ける校長の事を見ながら、俺は心の中で苦笑いを浮かべた。
学校に着いた後、俺は昇降口に貼られていたクラス表を頼りに自分のクラスへと向かった。
そしてチャイムが鳴り、クラスへとやってきた担任らしき教師からの挨拶などを聴いた後、俺達は揃って講堂へと向かい、校長の長ったらしい話を聴いてるのだった。
……まあ、この校長が話してる間、『怪力』の持ち主について考える時間にでもするか。
心の中でそう決めた後、俺は『怪力』の能力者の事について思考を巡らせ始めた。
だがその時、突然俺の左肩を誰かがトントンと叩いてきた。
……ん、誰だ?
不思議に思いながら左に視線を向けると、そこには茶色の短髪の少女が立っていた。
少女は見るからに活発そうな印象で、こういった静かな場というのが苦手そうだったため、隣にいた俺に興味が移ったのだろう。
はぁ……せっかく『怪力』の能力者について考えるのに丁度良い時間だったのに……
その事を残念に思いながらも、俺は小さな声でその少女に答えることにした。
「えっと……どうかしたんですか?」
「どうかしたっていうか……校長の話が長すぎて暇だったから、かな?」
「あはは……やっぱり長いって思いますよね」
「うんうん。そりゃ入学式だからしょうがないけどさ、でもどうせ他の時も長々と話すんだろうし、今日はもうここまでにしとけって感じだよね」
「うーん……まあ、確かにそう、かも……?」
『怪力』の能力者捜しをしたいからそれについては同感だけど、この程度の長さならまだ聞いてられなくはないかな?
そんな事をぼんやりと考えていると、
「あ、私は
少女――松野晶が訊いてもないのに自己紹介をしてきた。
はぁ……こういうタイプ、本当は苦手なんだけどな。
心の中で深くため息をついた後、俺は仕方なく自己紹介をした。
「私は春日璃乃。よろしくね、晶ちゃん」
「うん、よろしくね、璃乃」
そう言うと、晶はニコッと笑いかけてきた。
……仕方ない、この世界にいる間はよろしくしといてやるか。コイツを足掛かりにしてクラスに馴染んでおけば、『怪力』の能力者についての情報も集まるかもしれないし。
そんな打算的な事を考えつつ、俺は晶に対して微笑み返した。
入学式を終えた後、俺達はクラスへと戻ってきた。
……結局、入学式の間はずっと晶が話し掛けてきてたな……
そんな事を思いながら俺は席に着き、そしてクラスの全員が席に着いた後、教師が教卓に手をつきながら俺達に声を掛けてきた。
「えー……入学式お疲れ様でした。
今日は授業は無しですが、これからこのクラス内での簡単な自己紹介タイムにしようと思います。
出席番号順に名前と何か一言を述べていって下さい」
その教師の言葉と同時に出席番号1番の生徒が席を立ち、簡単な自己紹介を始めた。
……ふんふん、なるなるほどほど。
演劇部だった時の経験を活かし、俺は役の台詞を覚えるようにしながらクラスメート達の情報を頭の中へと入れていった。
ささっと台詞を覚えて、後は動きとか感情の表現とかの方を工夫する方が俺的には良い芝居が出来るからな。このくらいの情報量を覚えるなんて本当に余裕過ぎる。
そして俺の前の席の奴の自己紹介が終わった後、俺は静かに席を立った。
「春日璃乃といいます、趣味は読書です。皆さん、よろしくお願いします」
簡潔に自己紹介を終え、クラスメート達からの拍手を聴きつつ、俺は席に座った。
まあ、このくらいで充分だな。コイツらは一応クラスメートではあるけど、俺から見れば『怪力』を捜すための情報源にしか過ぎないし。
クラスメート達の事を冷ややかな目で見ながら再びクラスメート達の情報を頭の中に入れていた時、一人の生徒がスッと席を立った。
その生徒は、爽やかそうな見た目と銀色の短髪にスラッとした体格、そしてスポーツマンのような雰囲気と、いわゆるイケメンと言われるような部類の奴だった。
……まさか、コイツじゃないよな、『怪力』って。でも、転生者ってこういう風にスゴく出来すぎた見た目にする傾向があったような気がするし……
「俺は
生徒――皆藤力は白い歯をキラリと輝かせながら爽やかに自己紹介をした。
……もうコイツだろ、絶対。名前に『力』って入ってるし、力が強いのが自慢とか言ってるし……もしコイツじゃなかったら、俺はこの『仕事』やっていく自信ないぞ……
俺の不安にも似た考えをよそに、皆藤はクラスメート達に爽やかな笑顔を振りまきながら席へと座った。
そしてその瞬間、男子は皆藤に対して敵意を向け、女子は皆藤の事をチラチラと見ながら顔を赤らめ始めた。
……これは中々荒れそうだな。まあ、俺には関係ねぇけど。
そんな事を思っている内に自己紹介タイムは何事もなく終わり、教師からの簡単な次の日の説明などを始めた。
……さて、どうやって『怪力』――皆藤力の相手をするかな……
そんな事を考えつつ、俺は教師の話をぼんやりと聴いていた。
「はぁ……疲れたぁ……」
家に帰った後、俺はリビングのソファーに倒れ込むようにして体を預けた。
……アイツ――晶と帰るのは何となく予想がついてたけど、まさか話の大部分が皆藤の事になるなんてな……
あの自己紹介によって、他の女子と同様に晶はすっかり皆藤に惚れてしまったらしく、帰っている間は皆藤の容姿などについての話しか俺達はしていなかった。
……どいつもこいつもイケメンだの美少女だのって、その顔の裏には何があるかなんて分からないってのに。見た目だけでしか判断できない奴らって本当に滑稽だよな……
ぼんやりとそんな事を考えながらソファーに寝転がっていたその時、カバンの中の携帯電話から着信のコール音が聞こえてきた。
……ん、誰だろう……?
ゆっくりとカバンの中から携帯電話を取りだし、画面の表示に目を向けると、そこには白羽の名前が表示されていた。
白羽か、一体何の用だろ……?
不思議に思いながらも、俺は携帯電話を操作して白羽からの電話に出た。
「……もしもし?」
『あっ、出た出た。戒人、学校はどうだった?』
「……個性的なクラスメートと『怪力』らしい奴と遭遇、明日から『怪力』の隙を窺う予定……」
『あははっ、だいぶ疲れてるみたいだね。それにもう『怪力』らしい奴を見つけるなんて、やっぱり戒人はスゴいねー』
「……全然スゴくねぇよ。アイツ、名前に『力』って入れてるし、自分から力が強いのが自慢だってバラしてたしー……」
『ははっ! それはラッキーだったね』
俺の言葉に白羽は楽しそうな笑い声を上げた。
……ラッキーはラッキーだけど、『怪力』をどうにかする前に俺がどうにかなりそうだけどな。
そんな事を思いつつも、俺はソファーに寝転がったまま白羽の言葉に答えた。
「まあな。
……ところで、用はそれだけか?」
『いや? これだけじゃないよ』
「……それじゃあ何なんだ?」
『戒人ってさ、自分の能力のチェックってした?』
「能力のチェック……」
……そういや、まだしてなかったな。
「……いや、まだしてないな」
『ふふっ、そうだと思った。まあ、能力のチェックくらいはやっておいた方が良いと思うよ? チェックしておかないと、能力者との戦いで苦労することになるだろうし』
「……それもそうだな。ありがとうな、白羽」
『どういたしまして。それじゃあ、頑張ってね、戒人』
「……ああ」
白羽からの言葉に答えた後、俺は白羽との通話を切ってから携帯電話を傍らに置いた。
能力のチェック……うん、少し経ったらやっておくか。今は少し眠い、し……
そんな事をぼんやりと考えている内に、俺の意識は眠りの渦の中へと呑まれていった。
「……ん」
そんな声を上げつつ、俺は体をゆっくりと起こし、キョロキョロと周囲を見回した。
……あ、そっか。俺、白羽との電話の後にそのまま居眠りしてたんだ……
寝起きのぼんやりとした頭でその事を思い出した後、俺はリビングの時計に視線を向けた。すると、時計の針は大体午後2時頃を指していたおり、どうやらそれなりの時間を居眠りに費やしてしまったようだった。
……まあ、良いか。とりあえず制服を着替えてから昼飯を食って、その後に能力のチェックでもするかな。
ぼんやりとした頭を瞬時にシャキッと切り替えてこの後の事を決めた後、俺は早速その考えを行動に移した。
「……よし、こんなもんかな」
俺は自分の能力の情報を纏めたノートを閉じながら独り言ちた。
昼食を終えた後、俺は早速自分にもたらされた能力を軽く使用し、それぞれの特徴などを正確にノートへと写し取った。
そしてそれにより、能力を得た時に白羽が言っていた言葉の意味をようやく理解することが出来た。
「……能力の欠陥、確かにあるみたいだよな……
軽い物から重い物まで……」
俺はそう独りごちながらチラリとソファーの方へと視線を向け、小さくため息をついた。
すると――
「……何じゃ、戒人。そんなため息なんぞついとらんで、その『怪力』とやらについての情報を集めたらどうじゃ?」
俺にとって一番の欠陥だと感じる存在――ベージュ色のローブを着た爺さんがお茶を啜りながら俺に話し掛けてきた。
……あの召喚を司る能力、普段は絶対に強いんだろうけど、この人が出て来る可能性があるのは少々厄介だよな……
そう、この人は召喚を司る能力を試している時に偶然出現した人で、召喚を司る能力で呼び出せる存在――神話などに登場する存在の中にこの人に該当する存在は一切見当たらなかった。
……試した結果、7/10で成功の1/5で失敗、そして1/10でこの人が強制で出て来るみたいだし、この人とも仲良くならないといけないな……
俺がもう一度小さくため息をついていると、爺さんはもう一度お茶を啜ってから、何かを懐かしむような表情を浮かべた。
「しかし……お主があの白羽に救われた存在だったとはのぅ……
どうやら
「え……爺さん、白羽と知り合いなのか?」
「そうじゃぞ? 後、儂は爺さんではなく、ソルという名がある。これからは名前で呼ぶようにするんじゃぞ?」
「ソル……か。分かったよ、ソル爺さん」
「やれやれ……結局、爺さんは付けるんじゃな……」
ソル爺さんは仕方ないといった表情を浮かべながら立ち上がった後、持っていた湯呑みを静かにテーブルへと置いた。
「……さて、それでは儂は帰るとするかの。戒人、中々美味い茶じゃったぞ」
「ほいほい、お粗末様。
……って、まだ白羽との関係性について聞いてないんだけど?」
「ふぉっふぉっふぉっ、まあそう焦るでない。彼奴の事は機会があったら話してやるわい。
……まあ、彼奴が自ら話していない状態で話すのは少々気が引けるがのぅ」
「……そりゃあそうだけど……」
「安心せい、戒人。儂は約束を違えたりはせんの。
……ではな、戒人」
そしてソル爺さんは、どこからか一本の杖を取り出すと、それを軽く一振りしてそのままどこかへと消えていった。
……ソル爺さんって、こんな事も出来たんだな……
ソル爺さんの底知れぬ実力の一部を見ながら少し冷や汗をかいていたが、ソル爺さんの言葉を思い出し、すぐに気持ちを切り替えた。
『怪力』の奴についての情報を集めるか……よく考えてみれば、俺の能力には情報収集に長けてるのがあるよな。
言葉を司る能力は、少しだけやり方を変えれば式神みたいな物を作ることが出来るし、召喚を司る能力だって、諜報とかに長けてる奴を召喚して使役すれば良い。
結局のところ、やはり何事も考え方一つなのかもしれない。
……よし、こうなれば明日から学校にいる間はそういった手段を使って、とりあえず皆藤の情報を集めとこう。
そしてアイツが本当に『怪力』だったその時は――
「……とりあえず話を聞いて、弱体化で済むなら弱体化にしといてやるか」
流石に俺だってポンポン誰かを殺す気にもならないしな。ただ、どうしようもない奴だったりこっちを逆に
『仕事』を請け負った事で俺が常に背負う事となった『重石』の重みを改めて感じつつ、俺はこの『仕事』を完遂する決意を改めて固めた。
政実「第3話、いかがでしたでしょうか」
戒人「……まさか、初異世界で女子として過ごす事になるとはな……」
政実「あー……うん、そうだね。ただ、これからも色々な世界で色々な役を演じてもらう事にはなるんだけどね」
戒人「……少々気が重いが、承知した。
ところで……次回の投稿予定はいつ頃になるんだ?」
政実「未定だけど、出来る限り早めかな」
戒人「分かった。
そして最後に、この作品についての感想や意見、評価などもお待ちしています」
政実「さてと……それじゃあそろそろ締めていこうか」
戒人「そうだな」
政実・戒人「それでは、また次回」