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原作別週刊ランキング 1位
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いったい何が起きたの?
投稿する前はたしか評価バーはカレーのシミだったはずなのに、なんで血がついてるん?
思いつきの小説なのにこんなに人気が跳ね上がるとは正直思いもしなかった。
やっぱりみんなグレビッキー大好きなんだね。
のんびりとゆったりと自転車を扱ぐ。
その容姿ははたから見たら少女であろう男の娘が一人で歩道を通っていた。日本が誇る大都市であるはずなのに通路がこんなに人が少ないのはやはり場所が沿岸付近だからであろうか。まあそのおかげでもうすぐ夏休みになる時期でましてや都会なので暑い気候のはずなのに少し涼しいので月華にとってはいろいろと嬉しいところである。それでもセミのBGMのやかましさはどうすることもできないが。
月華が自転車で向かっている図書館は都会にしては小さい図書館であるが、そのおかげか人も少ない。またそれなりに品揃えのいい場所である。
そこは最近では昭和のアニメや映画などが見れるようになった。一昔古いもの限定ではあるが機会があれば見ようと思う。クラスメイトがやたらとあるカードゲームのキャベツ頭についてよく語るのでその作品があるかどうかは一緒に探してみようと思う。
そんなことを考えているうちに目的地に着いた。駐輪場に自転車を止める。
「ふい~。でもやっぱり、日差しが暑いわ。」
やはりこれからはできる限りの外出は控えよう。涼しいとはいえ日射病でやられそうだ。
それに彼女、"立花響"のこともある。
今朝見ることができた、彼女のほんの一瞬の笑み。
いつも見る暗く沈んだ顔とは明らかに違う彼女の別の一面をあの時確かに見た。彼女の経歴についてあえて踏み込まないようにして様子を見ようとしたが、特に変化も感じられなかったので何も変わらないのではないかと沈痛な思いで過ごしていたが、一応月華が望んだ良い方向に物事が進んでいるようだ。
「・・・・・・このまま良い傾向であるといいんだけどね。」
何事にも予想外やイレギュラーというものは存在する。人間よりも正確に事をこなすコンピュータですらも95パーセントは確証を持てても、残りの5パーセントは確証を持つことができないらしい。
この世に絶対なんてことは滅多に無いのだ。少なくとも普通の人はそう感じているだろう。対象をしっかり知ることでその絶対に近づくことはできるが、たいてい起きる予想外とは対象のものと"別のもの"によって生じるものだ。
例えば今回のことでいうならば、響は良い傾向であるが、もしこれが他の人と関わり、トラブルが起きて悪い傾向になるということ。立花響という少女を理解していても、その"他の人"は理解しているどころか知ってもいないので未然に防ぐのはちょっとした偶然が必要だろうから正直難しい。
「・・・・・・さすがに家でおとなしくしているとは思うけど、・・・・・・なんか不安だなぁ。」
この考えがフラグにならなければいいが。そんなアニメのようなお約束を思いながら図書館に入館する。
冷房によって十分に冷え切った空間にいるのは受付で読書をしている女性と定位置で読書をしている常連の人が少し。メガネをかけた受付の女性が入館した月華に気づき読書を中断する。金髪のロングヘアーが嬉しげに揺れているように見えた。
「いらっしゃい。月華君。」
「こんにちは、モニカさん。前に借りた本を返却に来ました。」
鞄から出した複数の本を受付のテーブルに置き、図書カードを渡す。モニカは図書カードと借りた本達のバーコードを専用の機械で読み取る。
「月華君、勉強の調子はどう?」
「順調ですよ。モニカさんが薦めてくれた参考書や問題集のおかげでもう3年間の予習内容が終わりました。さすが現役東大合格者は違いますね。」
「フフフ、ありがとう。あとは過去問を解き続ければいいわね。この参考書でやったことはほとんど出るから多分スラスラできると思うわ。私もそうだったからね。」
「そうなんですか。じゃあ思ったよりのんびりできそうですね。」
「そうね。今のペースだと少しぐらいクールダウンしてもいいんじゃないかしら?昨日も徹夜したんでしょう?」
「・・・・・・クマひどいですかね?」
「ええ、くっきりできているわ。」
そういえば今日は彼女が食べた昨日の食器を洗った後に2時間程度しか寝ていなかった。やはり徹夜は身嗜みに悪影響をもたらすとモニカの後ろについている鏡を見て改めて実感する。疲れ切ったひどい顔だ。
そんなたわいのない会話をしているとモニカは作業を終え、図書カードを月華に返す。
「はい、終わったわ。これは返却するわね。」
「はい、ありがとうございます。しかし・・・・・・やはり疑問ですね。」
「うん?なにがかしら?」
月華の疑問。それはモニカについてのことだ。
「モニカさんは、東大に主席で合格して入学後も常に成績トップでそのまま卒業したというのに・・・・・・どうして、ここで図書館の受付の道を選んだんですか?」
東大。日本人なら誰もが知っている大戦時から存在する名門校。その名と偏差値は今も揺るがない。努力すれば世界にだって名を示すことはできるであろうし大手企業に入ることもできるはず。ましてはモニカは理系少女で、入った学部は工学部のシステム創成学科だ。
現代社会はITが急速に発展している。モニカが入った学部で常に成績トップをキープし続けていた状態で卒業し、IT系の国家資格をいくつか持っているのだから面接で特にミスがなければ入社は容易のはず。
にもかかわらず彼女はこの図書館の司書に正社員として入社した。当然給料は行けるであろうIT業界と比べて低い。
その疑問に対し、モニカは微笑み返答した。
「もちろん私は本が好きだからよ。でもね、最初は月華君の言う通りIT系に行くつもりだった。」
「そうなんですか?じゃあなんで?」
「それはね・・・最初は自分のことをよく見ていなかったからよ。」
「自分を・・・よく見ていなかった?」
どういうことだろうか。不思議そうな顔をしている月華に言葉を紡ぐ。
「そう。元々勉強はトップをキープしてたし、好きだったわよ?私から見れば勉強ってゲームみたいな感じだったしね。だからレベルの高い困難な大学の東大に通用するか・・・腕試し・・・といえばいいかな?まあ、両親の期待に答えたかったからっていうのもあるわ。」
でもね、とモニカは続ける。
「その先に目的がなかったの。受かった後どうするかとかそういうことを全然考えてなかったの。システム創世学科を選んだのは仲良かった友達がそこに行くっていうからじゃあ私もそれでって、何も考えずに決めたのよ。就職先もね。そのことに両親も特に文句を言わなかったわ。」
「でも、入学したあとにいろいろと知る機会があったのではないですか?」
大学に進学した人は将来の進路のビジョンをしっかりできているか、とりあえずこれに興味を持ち、その分野を学ぼうとする。そしてその分野に合わなかったら別の道を探すかそのまま進むか悩む。
例え勉強がゲーム感覚だとしてもIT系の国家資格をたくさん持っているし、それを生かせばいい。たいていの人はモニカの経歴を知るとそう思うはずだ。
での彼女は違った。その時に
「確かに情報収集はやっていたわ。でもね、いままで私は周りに流されて生きてきたのよ。情報収集していたのは全部IT系のものばかり。幼少の頃から親の言いつけで勉強ばかりして、習い事も勝手に決められていたわ。これからのために今のうちにやっておけて言われて、特に思うこともなく実行していたわ。まあ楽しかったからてのもあるけど。でもね、うちの親は普通より厳しくてね、それが怖くて・・・・・・そのせいで"すれ違い"が起きたのよ。」
「すれ違い・・・・・・ですか?」
「そう。お父さんもお母さんも本当は私のことを思って厳しく育ててくれたし、そう考えて教育していたのよ。なのに私は、厳しい両親が怖くて・・・・・・だんだんと自分の人生は両親中心に考えるようになったの。自分の意思は二の次で親を納得させることや褒められること、認められることが第一だった。」
すれ違い。今の時期にはよくあることらしい。親子の場合、その原因の多くは世代の違いにある。
親は昭和生まれで平成と比べてまだまだ厳しかった時期だ。親の親、つまり祖父母の世代が戦争の時代であったため厳しい環境だった。それが原因で自分がされたことを参考に我が子にしているというもの。モニカもなぜこんなに厳しいのかというのを自力で調べた時にそこにたどり着いた。
「月華君の言う通り、就活はIT系の王手企業を受けて一発合格したわ。」
そのことを親に報告したらもちろん喜んでくれたことをよく覚えている。しかし・・・
「テレビで就活について特集があったのよ。就活が終わらない人についてや有名校に行ったのに苦しい生活をしている人についてとかね。」
周りは就活や卒業論文について忙しい中、自分は卒業論文も終わり完全にやることがなくなってしまった時にその番組を見た。取材を受けた人はこう答えている。
「やりたいことがないから就活が終わらないとか、第一希望に入社したのにこんなはずじゃなかったとか言ってたわね。」
だが一番胸に突き刺さったのはこの言葉。
「"自分は親の言いつけにしか従っていないことを就職部の人に指摘されてもう何が何だか分からなくなった。"ってその人は言ってたのよ。」
それはまるで自分の事みたいだった。
そのことを両親に話すと、両親から謝られた。苦しめてすまなかったと涙を流して。自分はなんて愚かだったのだろう。勝手に怖いからと怯えて、両親の本当の姿をよく見ないで。
それから自分と向き合い始めた。その時はまだ6月。就活の前半戦も終盤に近いがまだ十分間に合うと思い再び就活を行う。
「そしてたどり着いたのが、この図書館ってことよ。わたし、本に囲まれた状態で死にたいって思うくらいに本が好きなのよ。」
「そうなんですね。でもここじゃなくても国立図書館とか本屋とか行けたんじゃ?」
「・・・・・・全部落ちたのよ。」
「あ・・・すいません。」
もともと本屋の正社員の就職率は低い。運よくここが受かったのだ。
「もともとここは常連ってほどじゃないけどよく利用していたし、すぐ溶け込むことができたわ。」
「でも給料安いんでしょう?」
「昨日、株で600万稼いだからなんの問題もないわ。」
「そりゃ・・・マジヤバでちゃけパねぇですね。」
その歳で株でそんなに稼ぐなんてどんなテクニックを使ったのか、というよりどうやって身に付けたのか。最近の株関連の本に載っているテクニックとかは当たりそうで当たらないようになっているのに。大体儲かる話をやすやすと他人に話すはずがないのだ。
そんなことを思っているとモニカから人生のアドバイスを説かれる。
「わたしはなんとか自分にとっての幸せの道を歩むことができたわ、今のところはね。だからね月華君も勉強もいいけど大学に受かった後、将来どうなりたいかよく考えてほしいの。夢とか、やりたいこととかね。」
「・・・・・・そうですね。ありがとうございます。」
「うん♪じゃあ頑張りなさい若者よ。」
「はい。」
軽くお辞儀をして新しい本を借りるために本棚に向かう。もちろん向かう本棚は入試関連。向かう途中にある本が目に入り、止まる。
自分にも夢はあった。しかしもうそんな熱意はなくなった。
「・・・・・・夢か。」
静かに零したその言葉。月華の瞳には、ある音楽家が載った雑誌が映る。
―――――その音楽家の名は世界的に有名なヴァイオリニスト
―――――"川島ゆかな"
―――――今は亡き、月華の母親の名でもある。
◆
「いらっしゃいっ!!」
「すいませーん!これください!!」
「奥さん!!今日は生きがいいの入っているよ!!」
「ママ~。あれほしい~。」
川島家の家から歩いて5分程度歩いたところにある商店街。一昨日では天気が悪かったせいで活気がなかったが週末であることと、天気が快晴であるおかげでバーゲンセールやサービスなどが行われており、大変活気にあふれている。その賑やかな空間を外から静かに傍観する少女が一人。
「・・・・・・。」
響はそんな光景を羨ましそうに見ていた。その恰好は浮浪者だった時の格好とは違い、少しはオシャレな格好をしており、サングラスをかけている。髪留めで髪を後ろにまとめており、フードをかぶっているそのためすぐに"立花響"だとは分からないだろう。
何の変哲のないただの日常。それが今、目の前で知らない人々が楽しそうに過ごしている。仕事をしている人に子供と買物に行っている人。共通なのは楽しそうで笑顔であるということ。
そう、あれが普通なのだ。
その"普通のこと"が、"当たり前なことをできるということ"がどんなにすばらしいことなのか、響は改めて痛感した。そして今も憧れ続けている。あの惨劇後に起きた魔女狩りで崩れ落ちた響の日常。もしあの騒動が行わなければ、私もこの賑やかな空間の住人の一員になっていたのだろうか。
―――――もし叶うのなら平凡な日常に戻りたい。
それは浮浪者だった頃から望んだこと。だがその時でも無慈悲な迫害を受け続けたため、もうそれは叶うことのない儚い夢だと思っていた。既に諦めていた。
―――――彼に会うまではそうだった。
月華に会ってから響は少し変わった。生きることに必死で周りの事なんて考えてもなければそんな暇もなかった。心に余裕がなかった。汚いや臭いなどと知らない人からそう言われる始末だし、誰も助けてくれないのならそうするしかなかった。
そんな中で、彼だけは違った。身の上も知らない私を嫌な顔一つせず拾い、休ませてくれた。見返りなんてないのに自分のことを気遣ってくれた。自分のことを心配してくれた。優しく、温かく、安らかで居心地がとてもいい。あんな思いをしたのは一体いつ振りだろうか。至福の時だった。楽しかった。
だからだろうか、今の響は段々と諦めたはずの願望を持ちはじめている。
その願いは叶わない願望だろう。どこかもどかしい感情が響の胸を駆け巡る。神様がいるなら残酷な人だと思う。自分が救済を望んでいる時に救おうとせず、死を覚悟した時に助けるのだから。普段は自分の願い事をかなえてくれない癖に、ここぞとばかりに自分の願い事を叶えてくれるのだから。もしその法則が正しいのならば、あの時間にもいずれ壊されるのであろう。
そしてその破壊者は今も素知らぬ顔で、のうのうと生きているのだろう。
多くの人を破滅に導き、殺し、奪い、否定し今視界に移る人たちのように幸せに善人面で生きている。今すぐこのどす黒い感情をどこかにぶつけたいが、ここで感情的になったとしても自分が悪者になるだけ。ただの八つ当たりだ。そんなことをしても彼に迷惑をかけてしまう。
胸の奥底から湧き上がる衝動を抑え込む。もう一度フードを深く被り、散歩を続けようと振り返ると知らない男性の肩にぶつかる。
「って。」
「・・・・・・すいません。」
わざとではなくてもぶつかったので軽く非礼を詫びて立ち去ろうとするが、ぶつかった方は気に入らなかったようだ。
「ちょっと待てよ。ぶつかっといてそれで済むと思ってんのか?」
面倒事は本当にいやなのに真逆なことが起きる。本当に神様というのはどこまでもひどい人だと心底そう思う。金髪でサングラスにちょび髭でトラの刺繍が入った上着を着ている。どこぞのヤクザか世の中なめてますよ的な人の見た目だ。こういう人はねちねち因縁つけてきて金を要求したりするし、響は女だからふしだらな要求をしたりするだろう。
「すいません。」
「すいませんじゃねえよ。それで済むんならお医者さんはいらねぇんだよ。」
「でも・・・お医者さんて・・・怪我してないし。」
「知ったこっちゃねぇんだよそんなこと。」
ほんとにしつこい。ホームレス時代の頃と違って体は回復しているし、調子もいいから隙を見て逃げるかと冷静に考えていると男性はあることに気づく。
「あん?お前・・・・・・確かテレビで―――――」
「っ!!」
(まずいっ!!)
びくっと体が反応する。あのニュースを見ていたのなら、必ずそれで罵倒するはず。そうなるとまるでウイルス感染のごとく広がり、せっかく逃げてきたのに振出しに戻ってしまう。
条件反射で響は走り出した。
「っ!!おい!待ちやがれ!!」
◆
「――――――はぁ・・・はぁ・・・。」
しばらく走り続け、何とか撒くことができた。だがこの炎天下の中走り続けたので相当体力を使ったし、身体も高熱を帯びている。悲鳴を上げている。もともと病み上がりみたいなものなのだ。気を失うことなくよく持ったと自分を褒めたい。しかし今は、とにかくどこか涼しいところで休みたいところだ。
(・・・・・・どこだろ。)
周りを見渡すと知らないところについてしまった。このままじゃあの家に帰れない。少しぐらいなら大丈夫だろうと思っていたあの時の自分を少し殴りたくなる。今回は大事にならずに済んだが、次回もそうなるとは限らない。そのことに後悔しながら、これからどうしようかと悩んでいるとガラガラと店が開く。
「おや?どうしたんだい?」
中から出てきたのは白いエプロンを腰に付けた優しそうな女性が現れた。
「いえ・・・なんでもありません。」
そう言いその場から離れようとすると、響のお腹からグぅ~と音が鳴る。そういえばお昼過ぎだった。クスクスと目の前の女性のから小さな声が聞こえる。どうやら聞かれたようだ。そのことを理解しすると顔が林檎色に染まる。
「ふふ、どうだい?家でお昼を食べて行かないかい?」
「え・・・でも・・・私お金ないですし・・・。」
「いいのよ。おばちゃんのおごりだから。それに汗で服がびっちょりよ?お風呂貸してあげるから汗落として来たら?」
「で・・・でも―――――
ぐぅ~~~
―――――はぅ・・・。」
またお腹が鳴る。どうしようかと考えていると別のほうから声が聞こえた。最近よく聞く声の彼だ。
「あれ?響ちゃんなにやっているの?」
「あ・・・月華さん・・・。」
月華が自転車でこちらに近づく。響の顔の状態に疑問を持ち、響に問いかけた。
「大丈夫?なんか顔真っ赤だけど・・・もしかして日射病?」
「っ!?なんでもありません・・・っ!!」
「あらあら♪」
プイッとその赤い顔を逸らす。なんでもないのならそっとしておこうかと思い、この光景に微笑みながら上機嫌に眺めている女性に月華はあいさつをする。
「こんにちは、おばちゃん。」
「ええ、こんにちは月華君。」
「その子は月華君の友達かい?」
「はい、そんなところです。何を話していたんですか?」
「店の中から人影が見えてね、しばらくその場から離れなかったからね、気になって見てみたらその子がいたのよ。お腹もすいていたし、汗で服もびちょびちょだったからせめてお風呂でも入れさせようと思ってね。」
「そういえばもうお昼過ぎだったね。でも・・・いいんですか?お風呂を借りても。」
「いいわよ♪月華君の友達だからね、悪いようにはしないでしょうし。困っている人を見捨てて置くわけにはいかないからね。」
「・・・・・・。」
(・・・困っている人は見捨てない・・・か。)
本当に自分の心に突き刺さるようなことが最近多くなった。この二人はまるで当時の自分みたいで、羨ましいと思う。自分も迷いなくまっすぐに行ける二人のような存在のままであったらよかったのに。
どこまでも神様とは憎たらしい存在だ。
「―――――ん・・・きちゃん。響ちゃん!!」
「っ!!・・・なに?」
「うん、ここでお昼にしようと思うんだけど、どうする?お風呂貸してくれるっておばちゃんも言ってるし、汗流して来たら?着替え取ってくるからさ。」
「・・・・・・わかった・・・そうする。」
「うん♪じゃああとでね。おばちゃん、ご迷惑をかけます。」
「いいわよ♪じゃあ後でね。」
「はい。」
そういって、月華は自転車を扱ぐのを再開し一度帰省した。
「それじゃ中にはいろうか。」
「・・・お邪魔します。」
中はいい感じに冷房が効いており冷えていた。炎天下の中、全力で走り続けたその疲労と汗で湿った身体が冷えるのを感じる。ふと疑問に思ったことをおばちゃんに聞く。それはこの店についてだ。
「ここはなんのお店なんですか?」
「ここはね、お好み焼き屋さんよ。店の名前は"ふらわー"て言うわ。」
いらっしゃい♪と優しく微笑みながらふらわーのおばちゃんはそう答えた。まるですべてを包み込む聖母のような温かい笑み。その笑顔は響にとってもうできないであろう。
――――――眩しい。
――――――眩しすぎる。
――――――苦しい。
感想・評価お待ちしております。
それでは次の機会に。