魔界戦記ディスガイア~魔界の王子とプリニー教育係~   作:あららどろ

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#11 地獄のプリニーズ

「へぇ~。ここが地獄の最深部ですか」

「質素なところだな」

「なんか変なにおいしない? ちゃんと掃除してるの?」

 

 ヴァルバトーゼたちについてきて、拠点にやってきたラハールは見慣れない地獄に対し口々に感想を漏らした。

 あまりよろしくない感想に、眉をひそめるフェンリッヒに対し、ヴァルバトーゼは気にも留めていない様子だ。

 

「フェンリッヒよ。政腐の動向はわかったか?」

「今プリニーたちに調べさせています。じきに報告に来るでしょう」

「そうか。ならば今は待つとしよう」

 

 2人のやり取りを見ていたフロンが、ポンと手を叩く。

 

「そう言えば、自己紹介がまだでしたね。私はフロンと言います。元天使で、今は堕天使としてラハールさんの家来をしています」

「元天使の癖に魔王と共にいるのか?」

 堕天使自体も珍しいというのに、その中でも異例なフロンに、ヴァルバトーゼが思わずつぶやく。

 

「まあ、色々ありまして……」

「話せば長くなるしね~。殿下がこんなんなっちゃったのもフロンちゃんが堕ちたのも説明すると大変だし」

「主をこんなん呼ばわりするな!」

 ラハールが怒鳴ると、エトナは舌を出してフロンの後ろに隠れるように逃げる。

 

「こっちの悪魔がエトナさん。こっちのプリニーさんが、魔王のラハールさんです」

 

 フロンがにこにこしながら2人を手のひらで示す。ふんすと胸を張るプリニーを見て、ヴァルバトーゼが首を振る。

 

「む、いかんな。頭では理解していても俺のプリニー教育係としての誇りがどうしてもこのプリニーに教育を施そうとしてしまう」

 

 そう言うと、ヴァルバトーゼはどこからか取り出したイワシをほおばった。それを見たラハールの腹が、ぐうと唸りを上げる。

 

「……むう。そう言えば腹が減ったな。おい、貴様。客をもてなせ」

 

 視線だけをフェンリッヒに向け、ラハールが言い放つ。それを聞いたフェンリッヒの額にピキリと筋が走る。

 

「誰が客だ。お前らが勝手についてきただけだろう」

「ほう。無理やりおもてなしをさせてもいいんだぞ?」

 ラハールに瞳が、僅かに輝く。それを見たフェンリッヒがギラリと牙を見せる。

 

(この傍若無人な身勝手さ。必ずヴァル様の覇道の妨げとなる……何か手を打たねば……)

 

「ああ~! ダメですよ、ラハールさん!」

 その間にフロンが割って入る。

 

「どけ、フロン! こいつには身をもって俺様の恐ろしさを……!」

「暴力では何も解決しません! 愛を持って話せば、きっとわかってくれるはずです!」

「ごはっ!?」

 

 フロンの言葉に、ラハールが大きくのけぞる。

 フェンリッヒは一瞬、何か強力な魔法でも放ったのかと思ったが魔力は感じられなかった。だというのに、あの魔王はまるで巨大な魔法を喰らったかのように顔を青くしてぜいぜいと荒い呼吸をしている。

 

「……どうしたんだ?」

 様子がおかしいと、ヴァルバトーゼがエトナに聞く。

 

「ん、ああ。殿下ってば、愛だとか友情だとか、とにかく前向きな言葉に弱いのよ。そりゃもう、物理的なダメージを喰らうくらいにはね」

 

(……思わぬところであの魔王の弱点がわかったな)

 

 いざとなればこの弱点をついてラハールを消してしまおうとフェンリッヒがほくそえんだところで、1匹のプリニーがどたばたと埃を巻き上げながらこちらへ走ってきた。

 

「た、大変ッス! 大変ッスー!」

「……どうした?」

「襲撃ッス! 変な女の子が、地獄に全面戦争を仕掛けてきたッスーーー!!」

 

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