魔界戦記ディスガイア~魔界の王子とプリニー教育係~   作:あららどろ

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#3 次元のプリズム

 ラハールの転生に、暗黒議会の議員は猛反対した。だが、反対した議員たちは今はぴくりとも動かず地面に倒れている。

 

(うわ~……プリニーの姿でも戦闘力は健在なのね)

 ぴくりとも動かなくなった議員たちを見て、エトナは感嘆のため息を漏らした。

 

 これは全てラハール1人でやったことだ。

 力尽くで願いを聞いてもらって当然の魔界では議員たちもそうならないように並みの悪魔では相手にすらならないほどの戦闘力を有している。

 相手はプリニーだと高を括っていた議員たちは賄賂目当てに議案を否決。戦闘を仕掛けてきたラハールに勇敢にも立ち向かった結果、屍の山となり果てた。

 

 暗黒議会から奪い取った転生先一覧を見て、ラハールは苦悶の声を漏らす。

 

「……うーむ、まともな悪魔がないではないか!」

「ほら、殿下、これなんてどうです?」

 

 エトナが指さしたのはサキュバス。男どもを一発で悩殺する露出度の高い衣装を着たボンキュッボンのセクシーな女悪魔だ。

 それを見たラハールの顔が青ざめる。ラハールは、大きな胸ような女性的な身体が大の苦手なのだ。

 

「ふ、ふざけるな!」

「じゃあこれは?」

 次にエトナが指さしたのはネコマタ。これも、大きな胸のセクシーな女性型悪魔だ。

 

「貴様~! 完全に遊んでいるだろう!」

「あ、わかりました?」

 

 ラハールがエトナを怒鳴ると、フロンが目をキラキラさせながら飛んできた。

「ラハールさん、ドラゴンさんなんてどうですか!? 強いしでかいしかっこいいですよぉ~!」

「お前、そんなこと言って俺様がドラゴンに転生したら何をしたいんだ?」

「当然、ラハールさんには怪獣役をしてもらいます! くぅ~、私の作った1/1スケール地球防衛軍戦艦の主砲を怪獣にぶっ放せる時が来るとは……感激です!」

「却下だ」

「え~っ。ラハールさんのケチ……」

「俺様を殺す気か!!」

 ラハールはその短いプリニーの腕でフロンを突き飛ばした。

 

「ええい! 何とかならんのか!」

「なんともなりませんね~。やっぱり、罪を償うしかないんじゃないですか? ささ、そうと決まれば殿下も働きましょ? 昔のよしみで給料倍にしてあげますから」

「お前のとこのプリニーの待遇は休みなし、福利厚生なしの1日22時間労働で給料はサンマではないか!」

「えーっ。これでも昔と比べて労働環境改善してるんですよ」

「どこがだ!! 労働時間が丸一日ギリギリではないか!!」

 ラハールが触覚を立てて怒鳴る。エトナはそれを笑って流す。

 そのやり取りをそばで見ていた1匹のプリニーがぼそりと呟く。

「そう思っているなら殿下も労働環境を改善するようエトナ様に言ってほしいッス……」

「何か言ったか?」

「言ってないッス!!」

「そうか? それよりお前、プリニーについて詳しい悪魔に心当たりはないか?」

「プリニーに詳しい悪魔ッスか? うーん……」

 

 プリニーがうーんと考え込むしぐさをする。

 

「やっぱり、プリニー教育係じゃないッスか?」

「プリニー教育係だとぉ?」

「あれ、殿下。プリニーになったのにあの訓練を受けなかったんスか?」

「……いや、待てよ。もしかして、俺様がプリニーになった時に何やらごちゃごちゃ言っていたゾンビか?」

 ラハールの脳裏に、やる気のないゾンビの顔が思い浮かぶ。

 

「多分そのゾンビッス」

「……まずいな。俺様に昼飯抜きなんてふざけたこと言ったから殺してしまったぞ」

「あーあー。殿下やっちゃった~。もう、一生そのままでいるしかないですね~」

「ふざけるな!」

 エトナが茶化すとラハールは触覚をぴんと立てて怒鳴った。

 

 ラハールは時空の渡し人を呼び寄せるとすぐに準備するように命令した。

 

「俺様はなんとしてでも元の姿に戻ってやる! おい、別次元の魔界でもいい! 俺様を適当なプリニー教育係の元へ連れていけ!」

「適当でいいんですか? 殿下?」

「……む。やっぱり腕のいいプリニー教育係の元へ連れていけ」

 

「また無茶な注文を……あんまり期待しないでくださいね。適当に繋ぎましたから」

 時空の渡し人が言うと、別次元への扉が開く。

 

「ささっ。行きましょ、殿下!」

「おい、エトナ。こいつ今適当に繋いだと……」

「殿下の聞き間違いですよ~。ささっ。入った入った」

 

 エトナがラハールの背中を押して時空の裂け目にラハールを押し込む。

 ラハールの姿が別次元に消えると、エトナは一仕事終わったかのように額の汗を拭くしぐさをした。

 

「ふ~っ。ようやく片付いた。さーて、帰ろ帰ろ……って、えっ?」

 

「ああ~っ、待ってくださいラハールさ~ん!」

 エトナが踵を返すと、眼前に迫っていたフロンがエトナを巻き込んで時空の裂け目に飛び込んだ。

 

「あーあー。行っちゃった」

 

 3人の消えた時空の裂け目を見て、時空の渡し人はつぶやいた。

 

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