魔界戦記ディスガイア~魔界の王子とプリニー教育係~   作:あららどろ

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#5 魔王、それは破壊者

 その威力を目の当たりにした悪魔たちの動きが思わず止まる。

 

 

 

 爆炎の中から、真っ赤な目を光らせたプリニーがマフラーを翻して登場した時、数匹の悪魔が情けない悲鳴をあげた。

 

「うっ、うろたえるな、お前たち! う、宇宙最強なんて頭の悪い称号を掲げるプリニー如きに、大統領府直属の特殺部隊が負けるはずないんだ!」

 

 そう言ったエミーゼルの足は震えている。

 

「フン……この程度か? 直属部隊がこの程度とは、大統領の力も底が知れるな」

 ラハールが余裕たっぷりに言い放つ。

 

「まだだ! たかが数人倒しただけで勝ったつもりか!? こっちにはまだ20人以上いるんだ!」

 数で有利に立つアバドンの悪魔たちは、再度ラハールに攻撃を仕掛ける。

 

「フン! 100人いようが1億人いようが同じだ!」

 

 先頭の悪魔の一撃をかわしたラハールは、両手を天に掲げた。その手からラハールの魔力が宙へと集められていき、巨大な球体をかたどっていく。

 

 その魔力の量は、先ほどの獄炎ナックルの比ではない。

 

「な、なんだ……この魔力は……」

 

 禍々しい圧倒的なオーラに、アバドンの悪魔たちの動きが完全に止まる。

 

「何をしている! 戦えっ!」

 エミーゼルの叱咤で、ようやく我を取り戻した悪魔たちが武器を構えなおすが、もう遅い。

 

「魔王玉!!」

 

 ラハールの掛け声と共に、凄まじい魔力の波動を放つ巨大な球体は四散し、小さな無数の火球となってエミーゼルたちを取り囲む。

 まるで光虫や妖精に囲まれているような、一種の幻想的な空間が広がる。だが、その先に待ち受けるのは圧倒的な暴力だ。

 

「砕けろッ!!」

 ラハールが手を振り下ろす。

 それを合図に宙に浮かぶ無数の球体が悪魔たちへと襲い掛かった。凄まじい爆炎と爆音が響き、あたり一帯が世界の終末の時のように激しく震える。

 

「ハァーッハッハッハッハッ!」

 

 灼熱の業火と阿鼻叫喚の中、1匹のプリニーの高笑いが響く。

 

「ば、化け物……!」

 暴力の渦から何とか逃げ出したエミーゼルは立ち向かおうともせず無様に逃げ出す。

 ラハールはエミーゼルの背を鼻で笑うとマフラーを翻した。

 

「……フン、口ほどにもない」

 

 

 

 

 ――ラハールたちとエミーゼルの戦闘が終わってからしばらくして。

 ラハールの魔王玉により大きく地形が変わったその場所に、2人の男が現れた。

 

「これはどういうことだ。フェンリッヒよ」

「おそらく何者かが特殺部隊と一戦交えたのでしょう」

 

 1人は、漆黒のマントに身を包む赤い瞳の男。

 1人は白銀の髪が特徴的な男。

 

 白銀の髪の男はまるで執事のようにマントの男に頭を下げた。

「いかがいたします。閣下」

「俺の答えは決まっている。プリニーを助け出し、プリニーたちとの約束を守るのだ!」

 

 マントを翻し、両手を天に掲げて、男はそう叫んだ。

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