魔界戦記ディスガイア~魔界の王子とプリニー教育係~ 作:あららどろ
その威力を目の当たりにした悪魔たちの動きが思わず止まる。
爆炎の中から、真っ赤な目を光らせたプリニーがマフラーを翻して登場した時、数匹の悪魔が情けない悲鳴をあげた。
「うっ、うろたえるな、お前たち! う、宇宙最強なんて頭の悪い称号を掲げるプリニー如きに、大統領府直属の特殺部隊が負けるはずないんだ!」
そう言ったエミーゼルの足は震えている。
「フン……この程度か? 直属部隊がこの程度とは、大統領の力も底が知れるな」
ラハールが余裕たっぷりに言い放つ。
「まだだ! たかが数人倒しただけで勝ったつもりか!? こっちにはまだ20人以上いるんだ!」
数で有利に立つアバドンの悪魔たちは、再度ラハールに攻撃を仕掛ける。
「フン! 100人いようが1億人いようが同じだ!」
先頭の悪魔の一撃をかわしたラハールは、両手を天に掲げた。その手からラハールの魔力が宙へと集められていき、巨大な球体をかたどっていく。
その魔力の量は、先ほどの獄炎ナックルの比ではない。
「な、なんだ……この魔力は……」
禍々しい圧倒的なオーラに、アバドンの悪魔たちの動きが完全に止まる。
「何をしている! 戦えっ!」
エミーゼルの叱咤で、ようやく我を取り戻した悪魔たちが武器を構えなおすが、もう遅い。
「魔王玉!!」
ラハールの掛け声と共に、凄まじい魔力の波動を放つ巨大な球体は四散し、小さな無数の火球となってエミーゼルたちを取り囲む。
まるで光虫や妖精に囲まれているような、一種の幻想的な空間が広がる。だが、その先に待ち受けるのは圧倒的な暴力だ。
「砕けろッ!!」
ラハールが手を振り下ろす。
それを合図に宙に浮かぶ無数の球体が悪魔たちへと襲い掛かった。凄まじい爆炎と爆音が響き、あたり一帯が世界の終末の時のように激しく震える。
「ハァーッハッハッハッハッ!」
灼熱の業火と阿鼻叫喚の中、1匹のプリニーの高笑いが響く。
「ば、化け物……!」
暴力の渦から何とか逃げ出したエミーゼルは立ち向かおうともせず無様に逃げ出す。
ラハールはエミーゼルの背を鼻で笑うとマフラーを翻した。
「……フン、口ほどにもない」
――ラハールたちとエミーゼルの戦闘が終わってからしばらくして。
ラハールの魔王玉により大きく地形が変わったその場所に、2人の男が現れた。
「これはどういうことだ。フェンリッヒよ」
「おそらく何者かが特殺部隊と一戦交えたのでしょう」
1人は、漆黒のマントに身を包む赤い瞳の男。
1人は白銀の髪が特徴的な男。
白銀の髪の男はまるで執事のようにマントの男に頭を下げた。
「いかがいたします。閣下」
「俺の答えは決まっている。プリニーを助け出し、プリニーたちとの約束を守るのだ!」
マントを翻し、両手を天に掲げて、男はそう叫んだ。