「ここは………」
幸人の詠唱が終わり、美遊は景色の変化に戸惑っていた。
歪んでいた空は一面を白で塗りつぶされている。
地面も黒一色で所々に人の亡骸があり、『生』と『死』を表しているよう。
そして、至る所に規則的に本棚が天高くそびえ立っていた。
〔これは…固有結界……でしょうか〕
「そう、此処は、俺が創り出した世界だ。」
その声に反応し、美遊が振り返ると、
「っ、ユキお兄ちゃん!?」
大きな振り子時計の上に座り、此方を見ていた幸人だ。
「ようこそ、“俺の世界”へ。」
美遊たちを歓迎すると、時計から降りて、美遊の元に向かう幸人。
「ここは、本当にユキお兄ちゃんの固有結界?」
美遊は幸人に疑問を投げかけた。
「ああ、そうだが、どうしてだ?」
「見覚えがある。この世界に。」
そう、美遊は見たことがあるのだ。この世界を。
ここは、美遊が自分の兄を失った場所とひどく酷似していた。
「なるほどな…そういや、見せたことあったっけ」
「え?まさか………」
「ま、気にしても仕方がない。やるべき事をやろう。」
そこで話を区切ると、幸人は前方を睨む。
「■■■■■……………」
そこには、バーサーカーの姿が。
「美遊、セイバーのクラスカードを使うんだ。」
「分かった。」
幸人の指示に従い、美遊はカードを取り出した。
「ユキお兄ちゃん、サファイア。これからの事は、誰にも言わないで。」
「ああ、了解。」
〔お二人共、来ます!!!〕
「■■■■■!!!」
バーサーカーが迫る得物を振りかぶるが、
「ッ■■■!?」
突如現れた鎖によって縛られてしまう。
「天の鎖…言い忘れたが、この世界じゃ俺は宝具も生成できるぜ?」
これが幸人の固有結界の力。
ここでは、完全でないにしろ、彼が記憶したものであれば、宝具でさえも生成できる。
バーサーカーが動けないのを確認し、美遊は詠唱を行う。
「…告げる!
誓いをここに!
我は常世総ての善となるもの!
我は常世総ての闇を敷くもの!
汝、三大の言霊を纏う七天!
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!!!」
詠唱が終盤へ。
「…
詠唱が終わり、美遊は光に包まれた。
「ここで全部終わらせる!」
次に現れたのは青い衣装と鎧を着て、聖剣エクスカリバーを持つ美遊だった。
「それが、本来の使い方か。」
「行こう、ユキお兄ちゃん」
「ああいや、ちょっと待ってくれ。」
美遊が突っ込もうとした時、それを幸人が止める。
「どうしたの?」
美遊は小首を傾げる。
「実は前にあれと戦っててね、その時の経験から、ちょっと頭数が足りないと思って」
そう言って幸人は何処からか本を取り出す。
「……我は求める、我が記憶に記されし英霊の力を………
……我が呼ぶは数多の戦いを共に乗り越えた戦友………
……呼びかけに答えたまえ、アルトリアッッッ!!!!!!」
幸人がそう詠うと空気が変わる。
そして、二人の目の前に、光が集まり、人の姿を形成する。
「…問おう、貴方が私のマスターか?」
姿を現したのは、今の美遊と同じ様な姿をした、
「ああ、そうだな、セイバー。」
「え、く、黒!?何故貴方が……」
困惑するセイバーに説明を行う。
「なるほど、そういうことならお任せを。」
「協力感謝する。」
「いえ、お気になさらず、それに、他でもない貴方の頼みですから……///」
「……………」
戦場とは思えないほどのんびりとした様子である。
「まあこの世界の維持もあと10分ほどが限界なんだな…取り敢えず、始めるぞ!」
「はい!!」「うん!!」
そして、改めて戦いの火蓋が切って落とされたのだった。
どうでしたか?
しばらくは、短い物を沢山投稿する事になると思いますが、これからもよろしくお願いします。
では、さようなら。