唯我独尊自由人の友達   作:かわらまち

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更新が遅くなってしまい申し訳ありません。
仕事が忙しい+体調を崩すのダブルパンチで中々時間が取れませんでした(´;ω;`)
お待ちいただいていた読者の方々にはご迷惑をかけました(__)

それでは続きをどうぞ。



再集結の勉強会

 僕たちが教室に入ると、クラスの大半の生徒がこちらを見てざわつく。何かあったのだろうか。不思議に思いながらも、ホームルームがもうすぐ始まるので、席へ向かう。すると、急に後ろから肩を組まれた。池君と山内君だ。

 

「よう!倉持!」

 

「うわっ、どうしたの?」

 

 やけにテンションの高い二人に絡まれる。ニヤニヤ顔で山内君が話しかけてくる。

 

「聞いたぜ~。お前、軽井沢と付き合ってるんだってな」

 

「何だ。またあの噂か」

 

 その件については前にも聞いてきたはずなんだけど、なんでまた聞いて来たんだろう。

 僕のその疑問は池君の言葉で解消される。

 

「違う違う。昨日の夜に軽井沢が倉持の部屋から出てくるのを見たんだよ!やっぱりお前らそういう関係だったのな」

 

「え!?」

 

 まさか見られていたとは。確かに入るときは周りに注意していたが、帰りは色々あって注意していなかった。それを偶々、よりにもよって池君に見られていたとはな。もうクラス中には広まっているのだろう。教室に入ったときの好奇の視線はそれがあったからだ。

 

 でもなぜ二人はこんなにも嬉しそうにしているのだろう。彼女ができた、なんて聞いたら恨み妬み嫉みの嵐になると思うんだが……。いや、待てよ。櫛田さん関連か。僕が軽井沢さんと付き合っていて、敵でないことが分かったから嬉しそうにしているのか。特に最近は怪しまれていたからな。ここで否定する意味はないか。

 

「そうだね。付き合う事になったよ」

 

「やっぱりか!いいなー、軽井沢みたいな可愛い彼女がいて羨ましいぜ」

 

 思ってもないことを言うな。可愛い、とは思っているけど羨ましくはない。そんな感じか。それにしても、嘘とはいえ、交際を認めるのは地味に恥ずかしいな。

 そんな事を考えていると、ホームルームの開始を告げるチャイムが鳴る。僕は急いで席に座った。勉強会の事を聞きたかったのだが、仕方がない。後で聞くことにしよう。

 

 ホームルームが終わり、僕は堀北さんに勉強会の事を聞きに行こうと思っていると、向こうからこちらに来てくれた。

 

「おはよう、倉持君。少し話をしてもいいかしら」

 

「おはよ。勉強会の事だよね。僕も聞きに行こうと思ってたから大丈夫」

 

 僕が了承したことで堀北さんが話し出す。なんでも、放課後に勉強会を開くのをやめたらしい。その代わり、授業を真面目に受けさせ、休み時間の度に勉強会を開き、分からなかったところを教える形に変えたそうだ。良い考えだとは思うが、これはそう簡単な話じゃない。現時点で授業についていけていない須藤君たちが、休憩時間の短い時間で学習できるのだろうか。

 それについては堀北さんが授業中に全ての問題に対して分かりやすく解答をまとめておき、それを堀北さんと綾小路君と櫛田さんの3人でマンツーマンで教える事で10分と言う時間を無駄なく消化することにするみたいだ。

 

「うん、いい考えだね。僕にできる事は?」

 

「あなたには綾小路君のサポートと、昼休憩の20分を使って図書館で勉強会をするからそれに参加してほしいの」

 

「勉強会の参加はいいけど、綾小路君のサポートはいるのかな?」

 

「彼がどの程度できるのかが未知数なのよ。だからあなたにも勉強を見てもらいたいのよ」

 

 人に教えるほど勉強はできない、って言ってたもんな。それが本当なのかは分からないが。

 

「分かった。洋介の勉強会は放課後だけだから大丈夫」

 

 これによって両方の勉強会に参加できるようになったのだからよかった。クラス全体の状況を把握しやすくなった。

 

 

 授業が始まり、僕は少し驚いた。正直、3人はすぐに諦めて寝てしまうのではないかと思っていた。だが、そんな考えを否定するように、必死に授業を理解しようとしている3人の姿があった。須藤君は時折意識が朦朧としているのか、首が前後に揺れるが、ギリギリ踏みとどまり、黒板を見ている。その姿を見て、僕も頑張ろうと思った。

 

 

 昼のチャイムが鳴ると同時に、須藤君たちは一目散に食堂へと駆けて行った。昼休みは全部で45分、勉強会が20分だから25分で昼飯を食べなくてはならないからだ。僕も急ぐとしよう。そう思い、席を立つと軽井沢さんから声がかかる。

 

「倉持君っ、お昼食べに行こっ」

 

「構わないけど、ゆっくりはできないよ」

 

「なにかの用事?」

 

 軽井沢さんに堀北さんの勉強会に参加する旨を説明する。

 

「それって櫛田さんも参加するんだよね?」

 

「そうだよ」

 

「……そっか。じゃ、早くいかないとねっ!あたし、パンケーキが食べたい」

 

 一瞬、深刻そうな顔になったがすぐに笑顔に戻り僕の手を引いて歩き出す。軽井沢さんにも櫛田さんについて何か思うところがあるのだろう。

 

 そうして僕たちは軽井沢さんの提案でカフェに来ていた。メニューのほとんどが、パンケーキやパスタなどの女子受けが良い物ばかりとあって、店内は女子生徒であふれていた。

 軽井沢さんは食べたいと言っていたパンケーキを頼み、僕は一番量がありそうなパスタを頼んだ。頼んだものを受け取り、奥の席が空いていたのでそこへ向かう途中、声をかけられた。

 

「おや?そこに居るのはマイフレンド勇人ではないか」

 

「ん?高円寺か、って何やってんだよ」

 

 声がする方へ向くと多人数用のテーブル席で女子に囲まれる高円寺の姿があった。おそらく上級生だろう。いつも、「女性は年上に限る」と言っているし。

 

「見れば分かるだろう。レディーたちと楽しいランチタイムを満喫しているのだよ」

 

 そう言って、隣の上級生の女性とに昼飯を食べさせてもらっていた。あーんとか別に羨ましくないからな?

 

「勇人も加わるかね?君もレディーたちに食べさせてもらうと良い」

 

「やめとくよ。一緒に来てる人がいるしね」

 

 高円寺の提案を断る。元々この空間に入るつもりは毛頭ないが、横の軽井沢さんの視線が痛いから。

 僕の言葉に高円寺は、同行者がいることに今気付いたのか、視線を軽井沢さんに向ける。そしてニヤリ、と不敵に笑い余計な事を言う。

 

「誰かと思えば昨日のリトルレディーか。あの後は楽しめたかね?」

 

「あの後?何のこと?」

 

「何の事、ときたか。私に言わせたいのかね?おもしろい」

 

「ストップ!そろそろ食べないと時間がヤバいから席に座ろう!あっちのテーブルが空いてるみたいだ。じゃあね高円寺」

 

「へ?あ、ちょっと!」

 

 高円寺に別れを告げ、軽井沢さんの背中を片手で軽く押して退散する。もし、昨日の事を思い出されたら、絶対面倒なことになる。それだけは避けなければ。

 

 そうして僕たちは空いてる席に座り、食事を始めた。しかし、軽井沢さんは何か納得していない表情をしていた。

 

「えっと、どうしたの?」

 

「さっき、高円寺君に誘われたとき、同行者がいるから、って断ってたけどさ、あたしがいなかったら参加してたわけ?」

 

 ジト目でこちらを見ながらそう言う。よかった、そっちか。昨日の事を聞かれると思い焦った。

 

「しないよ。あの中に入る勇気は無いかな」

 

「でも、あーんしてくれる、ってゆってたけど?」

 

「……それでもいかないよ」

 

「なに、今の間」

 

 本当に行く気は無いのだが、間を空けてしまった。だって女の子にあーんしてもらうなんて、男としては羨ましいだろ。本能には逆らえないのだ。

 納得してない様子で食事を進める。取り敢えず、話題を変えよう。

 

「パンケーキはおいしい?食べれて良かったね」

 

「うん、おいしいよ。……食べる?」

 

「いいの?じゃあもらおうかな」

 

 パンケーキなんて食べる機会があんまりないからちょっと嬉しい。軽井沢さんが一口大に切り分けてくれた物をフォークで取ろうとすると、先に軽井沢さんがそれをフォークで取った。不思議に思っていると、それを僕の前へ突き出す。

 

「えっと、軽井沢さん?」

 

「食べるんでしょ?だから……あ、あーん」

 

 恥ずかしそうに軽井沢さんがそう言う。確かにしてほしいとは思っていたが、いざするとなると、尋常じゃないくらい恥ずかしい。それでも、食べない訳にはいかないので、顔を近づけパンケーキを食べる。

 

「う、うん。おいしいね。ありがと」

 

「こ、こんなのいつでもやってあげるしっ」

 

 正直、味なんて全く感じなかったが、甘いのだけは分かった。

 それから僕は食事を終え、軽井沢さんと別れて図書館へと向かった。

 

 

 

 約束の時間に少しだけ遅れて綾小路君と櫛田さんが来て、全員が揃った。池君が、2人で昼食を取っていたのか、と怪しんでいたが、櫛田の肯定に親の仇を見るように綾小路君を睨んでいた。そんな彼らに一瞥もくれず、堀北さんの一言で勉強会が始まった。

 

 今日受けた授業の内容から櫛田さんが問題を出すと、3人はすんなり、とではないものの答えることができた。これも授業を真面目に聞いていた成果だろう。このまま行けば赤点を免れることができそうだな。

 

 

 

 

「おい、ちょっとは静かにしろよ。ぎゃーぎゃーうるせぇな」

 

 勉強会が順調に進む中、隣の机に座っていた生徒の一人がこちらに顔を向ける。

 

「悪い悪い。ちょっと騒ぎ過ぎた。問題が解けて嬉しくってさ~。帰納法を考えた人物はフランシス・ベーコンだぜ? 覚えておいて損はないからな~」

 

 へらへらと笑いながら言った池君に対して、隣の生徒は訝しげに聞いてくる。

 

「あ? ……お前ら、ひょっとしてDクラスの生徒か?」

 

 その言葉に、隣の男子たちが一斉に顔をあげ、僕たちを見回した。その視線が癇に障ったのか、須藤君が少しキレながら食ってかかる。

 

「なんだお前ら。俺たちがDクラスだから何だってんだよ。文句あんのか?」

 

「いやいや、別に文句はねえよ。俺はCクラスの山脇だ。よろしくな。ただなんつーか、この学校が実力でクラス分けしててくれてよかったぜ。お前らみたいな底辺と一緒に勉強させられたらたまんねーからなぁ」

 

「なんだと!」

 

 山脇という生徒は、ニヤニヤ、と笑いながら僕たちを見回し、馬鹿にしたようにそう言った。最初は食ってかかった須藤君に短気だな、と思っていたが、僕もさすがにイラっと来た。その中でも、やはり真っ先に怒りで立ち上がったのは須藤君だった。しかしそんな須藤君を怖がることなく山脇は続ける。

 

「本当のことを言っただけで怒んなよ。もし校内で暴力行為なんて起こしたら、どれだけポイント査定に響くだろうな。いや、お前らには失くすポイントが無いんだっけ?って事は退学になるのかもなぁ?」

 

「上等だ、かかって来いよ!」

 

 あまりにも馬鹿にした態度の山脇に須藤君が吠える。静かな図書館にその声が響き、周囲から注目されてしまう。まずいな。このままだと問題になりかねない。

 

「須藤君、落ち着いて。ここで騒ぎを起こせば、どうなるか分からない。退学だってあり得るかもしれない。これまでの努力を無駄にしてはダメだ。それに、山脇君。君にそこまで言われる筋合いは無いと思う。君もそこまで上のクラスではないだろ」

 

 僕の言葉に須藤君は少しだけ落ち着きを取り戻す。今日一日だけでも、頑張ってきたんだ。それを無駄にはしたくない気持ちがあるのだろう。それでも、山脇は僕たちを馬鹿にしてくる。

 

「C~Aクラスなんて誤差みたいなもんだ。お前らDだけは別次元だけどなぁ」

 

「随分と不便な物差しを使っているのね。私から見ればAクラス以外は団子状態よ」

 

 次は山脇に堀北さんが返す。それにムカついたのか睨みながら山脇が反論する。

 

「1ポイントも持ってない不良品の分際で、生意気言うじゃねえか。顔が可愛いからって何でも許されると思うなよ?」

 

「脈絡もない話をありがとう。私は今まで自分の容姿を気に掛けたことはなかったけれど、あなたに褒められたことで不愉快に感じたわ」

 

 堀北さんの返しに更にムカついたのか、山脇が机を叩き立ち上がる。それを周りのCクラスの生徒が止めていた。ここで手を出してきてくれたら()()()()のに。

 

「今度のテスト、赤点を取ったら退学って話は知ってるだろ? お前らから何人退学者が出るか楽しみだぜ」

 

「残念だけど、僕たちからは退学者は出ないよ。みんな頑張っているからね。僕たちを心配する暇があったら自分たちの心配をすると良い。足元をすくわれても知らないよ」

 

「く、くくっ。足元をすくわれる? 冗談はよせよ」

 

 僕の言葉を一蹴する。何故こいつはこうも自信に溢れているのか。その疑問も山脇の言葉にかき消される。

 

「俺たちは赤点を取らないために勉強してるんじゃねえ。より良い点数を取るために勉強してんだよ。お前らと一緒にするな。大体、お前らフランシス・ベーコンだ、とか言って喜んでるが、正気か? ()()()()()()のところを勉強して何になる?」

 

「「え?」」

 

 僕と櫛田さんが同時に発した。()()()()()()だと?どうなっている?確かに僕たちは茶柱先生に聞いた範囲の勉強をしていたはずだ。山脇が言っていることが事実だとすれば、クラスごとで範囲が違うのか?いや、それだと公平性が無い。実力を測るこの学校でそれは無いだろう。もしかして茶柱先生が嘘を言っていた?それも何のメリットがある?ただの嫌がらせか?もし、全ての教科の範囲が間違っているとしたら……。

 

 そんなことを考えていると、須藤君が山脇の胸倉を掴み上げ、殴ろうとしていた。まずい!ここで殴ってしまえば、間違いなく停学、あるいは退学だ。

 

「はい、ストップストップ!」

 

 止めなくては、と思い席を立つと同時に1人の女子生徒が割って入った。僕はそれに驚く。

 

「んだ、テメェは、部外者が口出すなよ」

 

「部外者? この図書館を利用させてもらってる生徒の一人として、騒ぎを見過ごすわけにはいかないの。もし、どうしても暴力沙汰を起こしたいなら、外でやってもらえる?」

 

 須藤君のすごみにも全く動じず、淡々と正論を言う彼女に須藤君もたじろき、手を放す。そして今度は山脇に向かって話し出す。

 

「それから君たちも、挑発が過ぎるんじゃないかな? これ以上続けるなら、学校側にこのことを報告しなきゃいけないけど、それでもいいのかな?」

 

「わ、悪い。そんなつもりはないんだよ、一之瀬」

 

 一之瀬、と呼ばれた女子生徒の言葉に山脇を筆頭にCクラスの生徒がこの場を去っていった。

 

 一之瀬がこちらを向く。僕は未だに驚いたままだった。それは須藤君と山脇君が大人しく引き下がったことや、それを女子生徒1人がこの場を治めたからでもなかった。

 

 その()()()()()()()()に僕は驚いていた。

 

「君たちもここで勉強を続けるなら、大人しくやろうね。ってあれ?勇人君?」

 

 高円寺とは違った色合いの綺麗な金髪の美少女、一之瀬 帆波(いちのせ ほなみ)が驚いたように僕の名前を口にする。

 

「久しぶりだね。一之瀬」

 

 まさか彼女がこの学校にいるとは思いもしなかったんだ。

 

 

 




先に言っておきますが、一之瀬さんはヒロインではありません。
一之瀬さん押しの方々すみません。
一之瀬さんの髪色は原作通り、金髪と表現しています。

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