ある日の図書館。
冬夜「ま〜た図書館に入り浸ってる。」
雄也「相変わらず読書日和ですか?」
今日もリーンは図書館で絶賛読書中。
雄也「そろそろミスミドへ行って婚約報告と説明しなきゃならねぇんじゃね?」
リーン「そうね。親善大使の件とか諸々片付けましょうか。まぁ問題なく皆祝福してくれると思うけど。ミスミドは一応獣人族の王が国の王として君臨しているけれど、七種族の長としては対等の立場とされる場合が多いわ。妖精族の長である私が決めた事だし反対はされないでしょう。」
ライザーク「それは何よりだ。」
リーン「ただ1人例外がいるとしたら・・・」
ライザーク「ん?」
???「私は反対ですわ!!」
ミスミド王国宮廷魔術師のエリスがリーンの婚約を断固反対。
リーン「エリス・・・あなたねぇ。」
エリス「何でリーン様がブリュンヒルドに嫁入りしなければならないのですか!妖精族としての長の責務は!?」
リーン「ここ100年位、私何もしてないもの。いてもいなくても変わらないdしょう?あ、ついでだから長の座もあなたに譲るから頑張ってね。」
エリス「聞いてませんよ!?大体何でこんな若造がリーン様のお相手なのですか!100歳にもなってない小僧ですよ!?きっとまだおねしょしてるに決まってますわ!」
冬夜「人聞きの悪い事言うなコラ。」
雄也「妖精のスパンで決め付けてやがる。」
リーン「愛に歳の差なんて関係ないのよ?そんな事だからあなたも相手が・・・」
エリス「わ、わ、わ、私の事はどうでもいいんですぅ!」
雄也「図星だ。」
エリス「兎に角認めませんよ!どこの馬の骨とも分からぬ輩にリーン様を渡す訳にはいきません!」
リーン「いやどこのって思いっきりハッキリしてるわよ。王様だってば。」
エリス「どーにーかーくー!リーン様に相応しい実力を持っているか試すまでは絶対に認めません!」
ミスミド王国・大闘技場。
エリス「試練です!妖精族に於ける試練を乗り越えたらリーン様の伴侶を認めましょう!ダメなら婚約を破棄して貰いますわ!」
雄也「急な展開だな。」
ライザーク「リーンがどっちに渡るかの対決か。」
「妖精族は魔法に長けた種族!その才のない者を長の結婚相手と認める事は出来ないわ!魔法において最も大切なコントロール!それを見せて貰うから!」
冬夜「コントロールって何をすれば良いんだ?」
エリス「今から私がアンタに魔法をぶちかます!それを相殺して打ち消せば良いのよ!属性は問わないわ!だけど強過ぎても弱過ぎてもダメ。私かアンタに魔法が届いたらアンタの負けよ!あ、言っとくけどウォール系の魔法は無しだからね!」
雄也「要するに、エリスの魔法が冬夜に届く前に打ち消す。」
冬夜「随分簡単だね。」
エリス「ふん!強がっていられるのも今の内よ!まずは小手調べ!炎よ来たれ、紅蓮の炎槍、ファイアスピア!」
炎の槍を冬夜に向けて打つ。
ライザーク「おぉ。妖精族は火属性の魔法が苦手だって噂で聞いたが、リーン以外の妖精が使える妖精がいたもんだな。」
冬夜「アブソーブ。」
炎の槍を一瞬で消した。
エリス「はあ!?何よそれ!?」
冬夜「無属性魔法アブソーブ。魔法を吸収して魔力に変換する魔法ですが何か?」
エリス「コントロールを見るって言ってんでしょうが!吸収はズルい!無属性禁止!」
冬夜「えー?属性問わないって言ったじゃん。」
雄也「明らかに理不尽過ぎませんかねぇ〜?エリスさんよぉ〜。」
エリス「巫山戯た真似して・・・見てなさい!雷よ来たれ、白蓮の雷槍、サンダースピア!」
冬夜「雷よ来たれ、白蓮の雷槍、サンダースピア!」
両者のサンダースピアが激突。見事相殺した。
雄也「まあまあだな。」
エリス「くっ!氷よ貫け、氷結の尖針、アイスニードル!」
冬夜「氷よ貫け、氷結の尖針、アイスニードル!」
エリス「光よ来たれ、輝く連弾、ライトアロー!」
冬夜「光よ来たれ、輝く連弾、ライトアロー!」
その後も次々とエリスの魔法を相殺していく冬夜。
そして。
雄也「かれこれ1分経過か。」
エリス「ちょっと!アンタ属性幾つ持ってるのよ!無属性も入れたら六つ!>リーン様と同じだって言うの!?」
冬夜「え?違うけど・・・」
リーン「エリス。その人全属性持ちだから私より上よ。」
エリス「何ですと!?」
リーン「雄也は無属性だけだけど、全属性の使い魔もいるわ。」
雄也「俺をついでみたいに紹介すんな。」
エリス「この・・・!調子に乗ってー!炎よ来たれ、赤き連弾、ファイアアロー!水よ来たれ、清冽なる刀刃、アクアカッター!」
炎の矢と水の刃を同時発動。
冬夜「おお。属性の違う魔法の同時起動か。炎よ来たれ、赤き連弾、ファイアアロー!水よ来たれ、清冽なる刀刃、アクアカッター!」
これも見事相殺した。
エリス「・・・・・・・!!このこのこのこのこのこのこのこのこの!!!!」
冬夜「よっ。ほっ。はっ。やっ。とっ。」
凡ゆる魔法を全て相殺した。
そして。
雄也「かれこれ5分経過か。」
エリス「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」
ライザーク「息切れしてる。そろそろ限界じゃねえの?」
リーン「そうね。そこまで。エリスの魔法切れね。」
エリス「まだやれますわ!」
リーン「痩せ我慢はおよしなさい。」
ポーラがエリスの足を軽く突っついた。
エリス「きゅう・・・」
リーン「ほらごらんなさい。」
雄也「軽く突っつかれて倒れるレベルまで疲弊してる。」
リーンが疲弊してるエリスの魔力を回復させてあげる。
リーン「魔法使いにとって魔力切れは命に関わるのよ。あれほど必ず一割二割の魔力は残すようにって言ったでしょう?」
エリス「しゅみましぇん・・・」
魔力が回復して起き上がり、冬夜をキッと睨む。
エリス「これで終わったと思わない事ね!魔法の才能だけでリーン様の伴侶になれると思ったら大間違いなんだから!」
雄也「懲りないねぇ〜。諦めるのも肝心だぞ?」
エリス「五月蝿い!次行くわよ!」
向かった場所は、森の前。
エリス「この森は迷いの森。森の心を読み取らなければ永遠に出る事が出来ないと言われている森よ。妖精族なら簡単だけど、果たして人間がこの森に入って出て来る事が出来るかしらね?怖気ついたのなら辞めても良いわよ?その代わりリーン様には二度と近付かないで貰うけど。」
リーン「エリスあなたねぇ・・・」
冬夜「まあ入れって言うのなら入るけど、どうすれば良いんだ?」
エリス「森の中央に大きな林檎の木があるの。その実を採ってここに戻ってくれば良いわ。あなたもこれに参加しなさい。」
雄也「え〜?何で俺まで〜?」
エリス「最もそこに辿り着けるかどうかも分からないけどね。ま、2日経っても帰らなかったら救助に向かってあげるわ。」
冬夜「救助ね。本当に来てくれるかちょっと怪しいが。」
雄也「救助来なかったらしばくからな。」
エリス「言っとくけど、この森では魔法は使えないわ。転移魔法や検索魔法を使おうったってダメなんだからね。」
冬夜「げ。」
雄也「ほほう面白い。ライザーク行くか。」
ライザーク「ああ。」
リーン「大丈夫?いちいちエリスに付き合う事はないのよ?」
冬夜「大丈夫大丈夫。魔法がダメでもどうにかなるよ。」
リーン「雄也も大丈夫?エリスの試練に巻き込まれちゃってるけど。」
雄也「心配すんな。森でちょいとピクニックしに行くだけだから。」
冬夜「じゃあ行って来る。」
雄也「行って来まーす。」
エリス「ふん。強がりを言っていられるのも今だけなんだからね!」
1時間後。2人は帰って来た。
エリス「何でぇ!?何でこんな早く出て来られるのよ!それにその子誰よ!?」
2人と一緒にいたのは、嘗て大樹海でお世話になった大樹の精霊だった。
冬夜「大樹海が近いから声が届くだろうとは思ったけど助かったよ。」
精霊「いえ。これ位大した事では・・・えっと、その人大丈夫なんですか?」
エリス「虫しないでよ!だから誰だって聞いてるの!!」
雄也「彼女は大樹の精霊。大樹海を司る大神樹の化身様。道案内頼んだら喜んでガイドしてくれたぜ。」
エリス「は?何でその精霊様があんた達の道案内しなきゃいけないのよ!!失礼でしょハッキリ言って!」
ライザーク「お〜お。情緒不安定だな。」
リーン「エリス。あなたも一国の王と公爵にかなり失礼な態度を取ってるって分かってる?国の一角を担う者ならそこらへん少し考えて発言しなさい。」
エリス「う・・・と、兎に角!精霊様のお力添えで勝てたって事を感謝しなさいよね!でなきゃ泣きながら私に助けを求めたに決まってるんだから!」
冬夜「はいはい分かりましたよ。」
雄也「んで、勝負は以上か?」
エリス「まだよ!あんたの実力は兎も角、妖精族の長だったリーン様が突然結婚なんて他の皆が許す訳ないわ!長老達皆の許しがあれば認めてあげる!」
冬夜「長老って、妖精族の長老?」
リーンを見ると、彼女は気不味そうな顔をしている。
雄也「どした?風邪か?」
リーン「長老達は・・・別にいいんじゃないかしら?後から手紙を送っておくし・・・」
ライザーク「なあ。長老さんって長のリーンより偉い人なのか?」
エリス「当たり前じゃない。長老達は歴代の妖精族の『長』なのよ?今代の『長』が間違った方向に行かないように道を指し示すのが長老達の役目なんだから。」
リーン「指し示された事なんかなかったけどねぇ。」
エリス「兎に角長老達に会って貰うから!」
冬夜「いや、僕は別に構わないんだけれども。」
雄也「俺も構へんぞ。挨拶がてら行ってみたいし。」
リーン「や、やっぱり会わなくてもいいんじゃないかしら?長老達だって忙しいだろうし。」
エリス「反対されるからそんな事を言うのですね?大丈夫です!長老達は最近『将棋』と言う物にハマって毎日バチリバチリやってます。そんな時間を割いたって少し位どうって事ないです。」
雄也・冬夜(そんな所まで将棋が広まっているとは。)
精霊「妖精族の長老達がいる集落ならば、私がお連れする事も出来ますが。」
エリス「ありがとうございます!精霊様!」
リーン「・・・余計ナコトヲ。」
雄也「あんなに不安定なリーン珍しいな。」
ライザーク「何か面白くなりそうだな。」
妖精の集落。
???「やや!?リーンではないか!」
1人の妖精がリーンを出迎えてくれた。
リーン「ぐ。スレイジス・・・久し振りね。」
スレイジス「おお!久し振りだな!かれこれ400年ぶりか!?お前がエルメラの家を吹き飛ばしてからだから・・・」
リーン「余計な事覚えてんじゃないわよ。」
スレイジス「あの妖精族の里一の暴力娘と呼ばれたリーンが長老達に顔を見せに来るとは・・・お前にもやっと長としての自覚が・・・」
話してる最中にリーンが火球を生成していた。
リーン「余程消し炭になりたいようねスレイジス・・・」
雄也(火魔法が苦手って言ってなかったか?リーンさんよぉ。)
スレイジス「お、おっと!こうしてはおれん!皆に知らせねばな!で、では!」
一目散に走り去った。
冬夜「・・・・」
リーン「その・・・昔ねちょっと無茶してた頃があって・・・私もまだ若かったから意にそぐわない事があると力で解決してたって言うか・・・昔よ昔!今はそんな事ないからね!」
冬夜「それが長老達に会いたくなかった理由か。」
雄也「意外と可愛いなリーン。」
リーン「笑わないでよ・・・」
冬夜「ゴメン。そんなの気にしないでいいのに。若い時ってのは皆そうだろ?僕だってそうだった。」
雄也「勿論俺も。」
リーン「あなた達は今でも若いでしょうが・・・」
???「わあ!本当にリーンよ!」
そこに2人の妖精がやって来た。
???「久し振りだな!元気にしてたかい?」
リーン「ネーナ。アティ・・・久し振りね。」
ネーナ「聞いたわよ?遂に結婚するんですってね!おめでとう!」
アティ「お隣の彼が噂の相手かい?随分と若い子を捕まえたね。」
雄也「え?挨拶してないのに知ってる?」
リーン「何でもう話が伝わっているのよ!?」
アティ「ふふん。長老達には長老達の情報網があるって事さ。もう既に全員知っているよ。」
冬夜・リーン「え?」
雄也・ライザーク「あらま。」
その夜。集落で冬夜とリーンの婚約を祝すパーティーが催された。
妖精「では!リーンとブリュンヒルド公王の婚約を祝しまして!」
妖精達「カンパーイ!」
エリス「ぐぬぬ・・・」
祝杯ムードの中、エリスは悔しがってる。
雄也「ネタ切れか。」
悔しがるエリスの隣にリーンが座る。
リーン「エリス。」
エリス「リーン様・・・」
リーン「もういいのではなくて?あなたも本当はもう彼を認めているはずよ。あなたはそんな馬鹿じゃない。ねぇエリス。私は誰よりもあなたに祝って貰いたかったのよ?」
エリス「・・・私は・・・リーン様が私達から離れてしまうのが寂しくて・・・今までずっと皆でやって来たじゃないですか!亜人達の国を作るんだってずっと・・・やっと私達の国が出来たのに・・・たった20年・・・それだけでリーン様がいなくなるなんてそんなの・・・!」
リーン「いいえ。私の役目はここまで。ここからはあなたが引き継いでいくの。私がこの地で手に入れた物を全てあなたに譲るわ。そしていつかあなたもそれを誰かに・・・私達の想いはそうやって受け継がれていく。引き渡した後は外から見守るだけよ。ここにいる長老達のようにね。」
エリス「リーン様・・・」
リーン「ただし気を付ける事ね。腑抜けた事を言ったり傲慢さからミスミドを腐敗させたりしていたら容赦無く殴りにいくからね?まず伸びきっているだろうその鼻を折るわ。物理的に。」
エリス「ひっ!」
立ち上がって冬夜の方へ歩いて指差す。
エリス「不本意だけどあなたとリーン様の仲を認めてあげるわ!だけど絶対幸せにしないと承知しないわよ!」
冬夜「言われるまでもない。訳即するよ。必ず彼女を幸せにする。」
エリス「フン!」
不貞腐れながら去った。
雄也「収束したみたいだな。」
冬夜「ま。何とか認めてくれたって事かな?」
リーン「始めからあの子は認めていたんじゃないかしら?ちょっと意固地になっただけでね。」
雄也「面倒な性格の持ち主です事。」
琥珀『主。主聞こえますか?』
突如琥珀からの通信。雄也のギアレットハンターも共有して聴いてる。
冬夜「ん?琥珀か?どうした?」
琥珀『ええっと今どちらに・・・あ、や!奥方!ちょ!』
雄也「何だ?琥珀どうした?」
ユミナ『冬夜さん?雄也さん?今どちらにいらっしゃるのですか?』
雄也「ゲッ、ユミナ・・・」
冬夜「いや、ユミナ。あのね今ね・・・リーンと妖精族の里に来ていて・・・雄也も一緒に・・・」
ユミナ『そうですか。リーン様も一緒ですか。楽しそうですね。ですが遅くなる時は連絡をとあれ程。』
雄也「しまった!忘れてた!」
ユミナ『兎に角後でお話を。』
冬夜「待って!今すぐ帰るから!30秒以内にそっちに行くから!ゲートゲート!」
雄也「巻き添えはゴメンだ!!」
エリス「ちゃんと幸せにしなさいよ!!」
帰る直前。エリスからの激励を貰い受けた。
リーン「幸せにしてねダーリン。」
冬夜「精進します。」
雄也「お幸せにお2人さん。」
あれから数日後のある日。
紅玉「城の西側にある平原に赤いフレームギアが立っているとの報告が入りました。」
冬夜「赤いフレームギア?」
雄也「エンデのドラグーンか。」
冬夜「何だってそんな所に?」
ゲートを開いて西側の平原へ向かう。
西側の平原。
エンデ「あ、冬夜。雄也。」
雄也「ようエンデ。久し振りだな。」
エンデ「ここで待ってればそっちから来てくれると思ったよ。」
冬夜「一体何でこんな所に?」
エンデ「いや、コイツが急に動かなくなったからさ。2人なら直せるかと思って。」
雄也「エーテルリキッドのバッテリー切れか。」
冬夜「うーん、新型機と同じくエーテルリキッドがいらないように改装するか。いちいち来られても面倒だし・・・」
エンデ「そうして貰えるとありがたいね。」
雄也「ただし3日程費やすが大丈夫か?」
エンデ「構わないよ。その間僕はこの国を見て回るから。3日で直るならありがたいね。流石に生身で上級種と戦うのは面倒だからさあ。」
冬夜「・・・・何!?」
雄也「上級種!?」
エンデ「たまたま空間の歪みを見付けてね。あの様子だと3週間から1ヶ月後って所かな?この前よりは少ない出現数だと思うけど。」
冬夜「ちょ、ちょっと待て!何処に歪みが見えたって!?」
エンデ「え?えーっと、ここから東の・・・あ、地図ある?」
マップを表示してエンデに見せる。
エンデ「ここだね。少しはズレるかも知れないけど。」
ライザーク「ロードメア連邦辺りか。」
雄也「確か7つの州が集まった連合国家だ。発見場所はその中央州の外れか。けど首都から離れてるとは言え、確実に被害が被ってるな。」
冬夜(何とか近くの住民を避難させたい所だけど、他国の領地だ。警告をしてもきちんと受け取って貰えるかどうか・・・ユーロン側があるから全く信じて貰えないって事はないと思いたいが・・・)
ライザーク「それで、出現率は100%か?」
エンデ「100%出現するね。」
冬夜「確実か・・・取り敢えずロードメアの国王・・・あの国では全州総督って言うんだっけか?話を聞いて貰うしかないか。」
ブリュンヒルド城に総督のフォルク・ラジールを招いて上級種出現を報せるが。
冬夜「避難しないってどう言う事です!?ユーロンの時のような事がまた起こるかも知れないんですよ!?」
フォルク「いえ、避難しないと言う訳ではなく。状況を正しく判断して、それから国として適切な対処をしたいと考えている訳でして。そもそもその情報は何処から入手したのですかな?」
雄也「詳しくは言えないが、協力者の者から得た情報だ。」
フォルク「協力者ですか。その者は信用出来るのですか?失礼ながらそれをそのまま鵜呑みにするのは些か問題があるのでは?」
雄也(ぐうの音も出ねぇ。)
フォルク「正直、他の州総督達の中でも意見が分かれています。直ちに避難するべきだと言う者。そんな必要はないと言う者。我らの手で討伐すべしと言う者・・・様々でしてな。すぐに決断する事は出来ません。」
ゼフィルス「全州総督は今『討伐する』と仰ったが、フレイズの力を知った上でのお言葉か?」
フォルク「我が国にもフレイズと言う水晶の魔物は現れております。更にあなた達のユーロンでの戦いの情報からある程度の対策は考えていますよ。」
ロードメア連邦のとある屋敷。
フォルク「そうですな。実際に見て貰いましょう。その方が早い。」
そこで4人が見た光景は・・・
冬夜「ウッドゴーレム・・・」
ゼフィルス「何故こんな所にウッドゴーレムが!?危険ではないか!」
フォルク「ご安心を。あのゴーレムは完全に支配されております。暴れるような事はないですよ。」
ライザーク(支配されてるって言ってるけど、何れ暴走しそうだぞ。)
雄也(ああ。一応コイツも敵として認知しておこう。)
ゼフィルス「しかしこの大きさは・・・本来ウッドゴーレムは10メートルもないはずだ。どうしてこんな・・・」
冬夜「巨獣化してるんですよ。特殊な毒を用いて品種改良した奴です。」
雄也「大樹海のリベット族が成功させた技術と同じだな。」
???「ほう。流石は噂に名高いブリュンヒルド公王陛下と公爵様だ。ご存知でしたか。」
おでこ丸出しの男が現れた。
冬夜「・・・総督こちらは?」
フォルク「ああ。我がロードメアの若き天才魔工学士エドガー・ボーマン博士です。」
雄也・冬夜・ライザーク(・・・若き?)
フォルク「このウッドゴーレムの生みの親ですよ。」
エドガー「こいつのベースは確かにリベット族の改良したウッドゴーレムの種が元となっている。闇ルートで入手したその種に僕の持つ知識を加えて更に改良を重ね遂に完成した作品です。装甲板はミスリルを使い特に火属性の魔力耐性を備えていましてね。成長過程で『隷属化の首輪』を融合させ完全に命令に従うようにさせました。弱点である核には何重にも強固な殻で多い勿論再生能力も備えていますよ。おまけに低コストで量産する事も出来、既に数十体の武装ゴーレムが完成しています!」
雄也(めっちゃペラペラ喋るやん。オタク特有の早口か?)
エドガー「例えフレイズと言えど僕のこのゴーレム軍団には一溜まりもないでしょう。何かご質問はありますか?」
冬夜(僕らに負けたコレが幾ら改良しようと、フレイズを相手に立ち回れるとは思えないが・・・)
雄也「なぁ。魔工学博士って事は専門はアーティファクト研究か?」
エドガー「如何にも。古代パルテノの遺産を研究しております。今はデボラ・エルクスの残した魔学書を研究中です。今回のゴーレム制作にもその成果が活かされてますよ。」
雄也「デボラ・エルクス・・・」
冬夜(ああ。バビロン博士にはボロクソ言われてたけど。)
エドガー「公王陛下と公爵様の所有する巨人兵もデボラ・エルクスの作品じゃないかと僕は睨んでいるんですよ。あのような作品は彼女のような天才でなければ作れないと・・・」
冬夜「あ、それは違います。フレームギアはレジーナ・バビロンって博士の作品ですよ。」
エドガー「バビロン博士・・・?聞いた事がないが・・・いずれの書物に記載されている人物です?」
雄也「それは不明だ。」
ゼフィルス「しかし総督。果たしてこの武装ゴーレムでフレイズの襲来を防げますかな?我々はユーロンでフレイズとの戦いをこの目で見た。あまり過信し過ぎるのは如何なものかと。」
エドガー「聞き捨てなりませんな。皇帝陛下は我が技術の粋を集めたこの武装ゴーレムがフレイズに及ばないとでも?失礼ながらブリュンヒルドの巨人兵よりコイツの方が優れている事をお分かりにならないとは・・・」
騎士「貴様・・・!」
ゼフィルス側近の騎士が激怒するが、ゼフィルスが宥める。
フォルク「ボーマン君。口を慎みたまえ。失礼だぞ。申し訳ありません皇帝陛下。しかし彼の言う事も分からないでもありません。このゴーレムに何か不安な点でも?」
ゼフィルス「不安な点と言うか、な。命を預ける訳でもない操り人形で果たして国民を守る戦いが出来るのかと疑問に思ったまでよ。」
フォルク「ほほう。では人が操るブリュンヒルドの巨人兵はこの武装ゴーレムを上回ると?」
ゼフィルス「冬夜殿。雄也殿。ここはひとつ、フレームギアの力を見せ付けた方が良いのではないか?フレイズに対する認識の甘さを正す為にもな。」
雄也「そうだな。理想よりも現実を見せてやるのが得策だ。俺のハンターで相手してやろう。」
フレームギア・ハンターが武装ゴーレムを瞬殺。
エドガー「バカな・・・私の最高傑作が・・・」
ライザーク「当然の結果だな。ガウストのエンチャント無しで勝てたな。」
冬夜「やっぱり事前に確かめておいて良かったな。総督。フレイズの中級種はハンターより下の火力を持ってるシュバリエ数体掛かりでやっと倒せる強さを持っています。それが数千。更にそれよりも桁違いに強い上級種を伴ってこのロードメアに出現するのですよ?やはり住民達を避難させた方が良いと思います。」
フォルク「あ、ああ。他の州総督とも検討してみますよ。決まったら連絡を致します。」
冬夜「宜しくお願い致します。」
ハンターから雄也が降りた。
雄也「少々やり過ぎたかな?」
冬夜「いや、人の命が掛かってるんだ。中途半端は良くないかと。」
雄也「そうだな。これで避難する事を考えてくれると良いな。」
するとそこに、2人の女性がやって来た。
???「お初にお目にかかります。ブリュンヒルド公王陛下。公爵様。私はロードメア連邦丘陵州総督オードリー・レリバンと申します。こちらは丘陵州騎士団団長リミット・リミテクス。」
冬夜「はあ、どうも・・・」
雄也「ご丁寧に。」
オードリー「この度はお伺いしたき事があり参りました。少々時間を頂けますか?」
冬夜「はあ。構いませんが、一体何でしょうか?」
オードリー「フレイズが現れると言う出現位置を正確に教えて欲しいのです。そしてその後の行動予測なども。」
マップをすぐに表示して、フレイズの出現位置を割り出す。
冬夜「ここですね。多少ズレるかも知れませんが。」
オードリー「これは・・・やはり・・・!」
リミット「総督・・・!」
オードリー「・・・失礼しました。この地点のすぐ隣は我が丘陵州。もしここにフレイズが出現した場合、お2人はどう動くと見ますか?」
冬夜「そうですね。フレイズは人間や亜人の殺戮を目的に行動します。」
雄也「ここからだと、丘陵州の町へと一直線。甚大な被害は免れないだろう。」
オードリー「やはりそうですか・・・出現したフレイズを東西同盟の方々で撃退してくれるとの事ですが、それに対する見返りは何でしょうか?」
冬夜「特にありません。最早そのような段階の話ではないのです。何もしなければ他の国も全て古代文明崩壊の時と同じ道を辿る事になるでしょう。」
雄也「ユーロンの時は間に合わなかったが、今回は事前に出現が予測される。何とか被害を最小限、出来れば0で食い止めたい。」
その言葉に、オードリーが決心する。
オードリー「分かりました。我が丘陵州は独自に避難を敢行致します。また東西同盟の立ち入りも全面的に許可します。全州総督の許可はまだですが、反対されたとしてもこれは丘陵州の決定です。文句は言わせません。」
ロードメア連邦・丘陵州の協力を得た。
冬夜「僕達もやれる事はやっておかないとな。」
雄也「備えあれば憂いなし。それまでに準備しないとな。」
来る時に備えて・・・!
『END』
キャスト
伊狩雄也:増田俊樹
望月冬夜:福原かつみ
ユミナ:高野麻里佳
リーン:上坂すみれ
琥珀:甲斐田ゆき
紅玉:桑島法子
ライザーク:梅原裕一郎
エリス:本渡楓
ゼフィルス:高瀬右光
フォルク:三宅健太
オードリー:新谷真弓
リミット:岡咲美保
エドガー:増岡大介
エンデ:内田雄馬