ポケットモンスター アナザーベストウイッシュ   作:ぐーたら提督

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夢の跡地の二匹

「ここが、夢の跡地か」

 

 ボロボロに壊れた建物ばかりが写る、廃墟と言って場所。夢の跡地。そこにロケット団がいた。

 

「ここである者達が、未来のエネルギーとやらを開発していたのね」

 

「にしても、ボロボロにも程があるにゃ」

 

 夢の跡地と呼ばれるこの地ではかつて、とある研究が行われていた。しかし、現状の無惨な様子を見れば、その研究が失敗に終わったのは容易に推測出来るだろう。

 

「まぁ、ここがどんな場所で、今がどうかなんてどうでも良いわ。任務開始よ」

 

「あぁ」

 

 鞄から複数の部品を取り出し、組み立てて一つの装置にしていく。

 

「システム起動。エネルギーの痕跡を検出し、そのデータを本部に送るわ」

 

 ニャースが装置本体の起動をし、装置が動き出す。二枚のパネルを地面に向け、特殊な波を送って調べながら移動する。

 

「これは……早速来たか!」

 

 調査を開始してから直ぐに、装置が対象のエネルギーを感知。同時に周りの景色がピンク色に染まり出し、何かの波が鼓動の様に発生する。

 

「大きくなって行くにゃ……」

 

 それは徐々に強くなっていく。そして、その場所の一ヶ所にいるあるポケモンが目を開いた。

 

 

 

 

 

「お願いしまーす!」

 

 一方のサトシ。ジム戦が終わり、戦ったマメパト、ポカブ、ミジュマルを治療しようと、ポケモンセンターで三体が入ったモンスターボールをケースに置く。

 

「はーい」

 

 そこに、このポケモンセンターで務めるジョーイがやってきた。

 

「あれ? カラクサタウンでも会いましたよね?」

 

 カラクサタウンのジョーイと全く同じ顔であり、サトシは同一人物だと判断した。

 

「カラクサタウン? あぁ、あの子は私の妹なの」

 

 ジョーイが近くに置いてある写真立てをサトシに見せる。

 

「この子がカラクサのジョーイ。で、こっちが私」

 

 ジョーイが微妙に違うでしょと言いたげに説明するも、サトシからすれば差が分からなかった。

 

「あはは……やっぱり、皆そっくりなんだ……」

 

 他の地方でも同じ事が有ったため、サトシは苦笑いを浮かべる。

 

「宜しくね。あと、その子ピカチュウよね? 珍しい子を連れてるのね」

 

「俺達、カントーから来たんです」

 

「そうなの。遠くからようこそ。ちなみに、ジム戦は明日?」

 

「ジム戦はもう終わりました」

 

「……デント?」

 

 聞き覚えのある声に振り向くと、そこにはデントがいた。

 

「彼、強いんですよ。僕達三人と戦って、全試合に勝利したんです」

 

「彼等三人に全勝? 凄いのね、君」

 

 この街のジョーイとして、当然ジムリーダーのデント達の事は良く知っている。その彼等に全勝したのだ。彼女が驚いていも仕方がない。

 

「ポケモン達が頑張ってくれたからです。ですから、治療お願いします」

 

「分かりました」

 

 ジョーイはボールを丁寧に持つと、奥へと入っていた。

 

「ところでデント。何でここに? ヤナップの治療?」

 

「それ自体は済ませてるよ。用が有るのは――君さ」

 

「俺?」

 

「そっ、君が良ければ話をしてもいいかな?」

 

「俺なら構わないよ」

 

「じゃあ、立ったままもなんだから、座って話そう」

 

 サトシ達はロビーの端の席に座ると、デントが話を持ち出す。

 

「今日は実り多い、実に良いバトルだった。トレーナーがポケモンの力を引き出し、ポケモンがトレーナーの指示に見事に応える。その関係の強さと魅力さに酔いしれたよ」

 

「そ、そう言われると少し照るな……」

 

「ふふふ、謙遜しなくていいよ」

 

 サトシとしては、トレーナーの役目を果たしただけと思っているので、褒められると照れてしまう。

 

「ポケモンソムリエとしても、またジムリーダーとしても後学に役立てようと、君に聞きたい事が有るんだ」

 

「俺で良ければ――」

 

「じゃあ早速。どうやったら、君の様にポケモンの香りや持ち味を限界以上に引き出せるんだい?」

 

 メモ用の手帳とペンを用意し、サトシに詰め寄るデント。

 

「僕もジムリーダーとして、挑戦者を迎え撃つために、ポケモンの味を百%発揮させることは常に心掛けているつもりさ。だけど、君は百%以上を引き出した。その為の調理法の秘密を是非とも知りたいんだ!」

 

「え、えーと、正直分かんないかな。ただ、常に挑むことを忘れず、あらゆる物を上手に使って、指示するって心掛けてるぐらい……かな?」

 

「危険を恐れずに新たな味を見出だし続ける。また、あらゆる調味料を程好いタイミングを使い、深さを引き出す。なるほどなるほど……」

 

「あはは……」

 

 テイスティングの時にも思ったが、デントは少し変わっているようだと、サトシは思っていた。

 

「――おや、サトシくんじゃないかい?」

 

「ゾロ」

 

「ジカ」

 

「えっ、Nさん!?」

 

 そこに一人の少年がやってきた。カラクサタウンで出会った、不思議の雰囲気を持ち、ゾロアを連れた人物、Nだ。今回はゾロア以外にもシキジカもいる。

 

「知り合いかい?」

 

「いや、カラクサタウンで一度会っただけだから、知り合いって程じゃないかな?」

 

「そうだね。今日が二度目だし、知人ではないよ。ただ、折角こうして再会した訳だし……ボクも同席して良いかい?」

 

「構いません」

 

「僕も良いですよ」

 

「じゃあ、お言葉に甘えて」

 

 デントが奥に移動し、さっきまで自分が座っていた席にNを案内する。

 Nがそこに座ると、ゾロアは彼の隣のソファに、シカジカはその逆の隣で腰を下ろした。

 

「Nさん。このシキジカは……」

 

「近くで仲良くなってね。少し間、一緒にいることにしたんだ」

 

「そうだったんですか」

 

 前のやり取りから、このシキジカも野生なのだろうとサトシは推測した。

 

「ところで、キミは?」

 

「自己紹介を。サンヨウジムのジムリーダーの一人、デントと申します」

 

「ジムリーダー」

 

「何か?」

 

「いや、ちょっとね」

 

 露骨な不快感を出すNだが、少し考えたあと、デントに訪ねる。

 

「デントくん。一つ質問して良いかな?」

 

「僕で良ければ」

 

「キミはポケモンバトルについてどう思う?」

 

「ポケモンバトルについて、ですか?」

 

「そう」

 

 デントからすれば、当たり前の答えしかない問い。それだけに戸惑うも目の前の青年の瞳には真剣さしかなく、冗談やからかっていないのは明白。それゆえ自分が思っていることを口にする。

 

「トレーナーとポケモンの関係を深め、また力と心を鍛えるもの。そう思っています」

 

 真剣な表情で告げたデントだが、Nの表情に変化は無く、またゾロアに至っては呆れた様子である。

 

「ポケモンを傷付ける、野蛮な戦い。そうは思えないかい?」

 

「野蛮、ですか?」

 

「そう。だって、勝つには相性や強さを意識する必要がある。となれば、当然その時に適したポケモンを野生から捕まえなくてはならない。無理矢理に」

 

 Nは偏見があるとは自覚しているが、それでもポケモンバトルを人が満足するためにポケモン同士を傷付き合う、娯楽という風にしか見ておらず、はっきり言って嫌いなのだ。

 その戦いの一つ、ポケモンジムのジムリーダーには嫌悪感を抱いていた。リーグも同様である。

 

「それにキミだって、今の手持ちを戦って捕まえただろう?」

 

「……えぇ」

 

「そんな人が優先的な今の関係が、本当にポケモン達の為になるのかな? 人とポケモンはもっと、対等に生きていくべきではないのか――ボクはそう思っている」

 

「……一理はありますね」

 

 今の世に対した、辛辣な批判ではあるものの、決して間違っているかと言えば否である。ポケモンバトルに関しても、否定は出来ない。

 

「しかし、にしてはあなたもポケモンを連れていると言うのは矛盾していませんか?」

 

「ボクは彼等を力で連れてはいない。モンスターボールも使っていない」

 

 これには、デントも流石を隠せない。何しろ、自分のポケモンにしていないのだから。しかし、そうだとすれば彼の主張に矛盾は無い。

 

「どうかな?」

 

「なるほどと思いました。しかし、先程のバトルや捕獲に関しても、納得しているポケモンもいます」

 

「だろうね」

 

 ポケモン達は、戦いに対する本能が強いのが多い。この為、ゲットされても納得することや、バトルを望むことはある。

 

「だけど、人がそれぞれ違う性格をしているように、ポケモンの中にはバトルやゲットを嫌がるのもいるだろう」

 

「それについても、否定出来ないところですね……」

 

 事実、そんな性格の彼等に会ったことは何度もあるのだから。そんなデントの態度にゾロアが嘲笑を浮かべていた。

 

「しかし、今のままだからこそ、物事がスムーズに解決出来る事態が有るのも事実です」

 

「例えば?」

 

「野生のポケモン達が暴れ、鎮める時には彼等の力が無くてはどうにもなりません」

 

「彼等の『声』を聞けば、力が無くても問題は解決出来るはず」

 

「聞けても、彼等に聞く気がなくては意味が無いのでは?」

 

「……確かにね」

 

 確かに、『声』が聞ければ問題を解決しやすくなる。しかし、『声』が聞こえたからと言って、全ての問題が解決するかと言えば否だ。

 相手にその気がない、愉快犯だった、邪悪な性格のポケモンだった場合、力で直ぐに退治しなければ被害は瞬く間に広がってしまうだろう。それを防ぐには力は確かに必要だ。

 

「それに、彼等といるからこそ、僕達は武器を使わなくても済む。今の関係は言わば、無益な争いを防ぐための秩序とも言えるかもしれません」

 

「秩序、か」

 

 それも確かに一理ある。ポケモンバトルというルールが存在するからこそ、ポケモンと人の揉め事こそは有れど、争いは無い。

 捕獲も多くはしても大量にはない。一度戦える数が決まっているため、意味が薄いからだ。やるのは金儲けを企む悪人ぐらいだろう。

 

「だけど、その秩序の為に一部のポケモンに皺寄せが寄っているのかもしれない。それは正しいのかな?」

 

「そう言われると、僕も実に悩ましい所です。ジムリーダーとしても、一人の人間としてももっと考え、努力して行きたいと思います。今以上に互いの関係を良くするために。――これで僕の意見です。どうでしょうか?」

 

「参考になったよ。キミと話せて良かった」

 

「こちらこそ、考えさせられる内容に感謝します」

 

 先程まで少々険悪だったが、今ではそんな雰囲気はなく、二人は握手していた。

 そんな二人にサトシとピカチュウは良かったと笑顔になり、ゾロアは渋々だが、納得の態度だ。シキジカはそもそも、赤の他人なのでゆっくりしている。

 

「サトシくん。お預かりしたポケモン達は元気になりましたよ~」

 

「ごめん。ちょっと迎えに行ってくるよ」

 

 コミカルな音がし、次のジョーイの言葉が聞こえた。サトシが先に一階に着くと、あるポケモンに運ばれたカートの上にいるマメパト、ポカブ、ミジュマルと対面した。

 

「皆、元気になったな」

 

「ポー」

 

「ポカ」

 

「ミジュ」

 

「タブンネ~」

 

 ポケモン達に混ざり、聞いたことのないポケモンの鳴き声がした。

 見ると、大きな耳が特徴で、ピンクと肌色の肌をした可愛らしいポケモンが三体が乗るカートを運んでいた。

 

「このポケモンは……」

 

「タブンネさ。ポケモンセンターでジョーイさんお手伝いをしているんだ」

 

「タブンネはその耳でポケモンの健康や感情を把握する事が出来る。それに、ポケモンを癒す技も覚えれる。ここには最適のポケモンだろうね」

 

「どれどれ……」

 

『タブンネ。ヒヤリングポケモン。大きな耳をポケモンに当てると、健康状態や感情まで感じ取る事が出来る』

 

「凄いんだなあ」

 

 正に、ジョーイの手伝いとして最適のポケモンである。

 

「――ジョーイさん!」

 

「アイリス?」

 

「どうしまし――そのキバゴ……」

 

 そこにアイリスがポケモンセンターに入って来た。胸にはピンク色の光に包まれ、寝ているキバゴを抱えている。

 

「外で突然大量に出てきた変なピンク色の光を浴びて、こうなっちゃったんです!」

 

「これは……!」

 

 アイリスが説明すると、Nがキバゴに近付いて具合を確かめる。

 

「あ、貴方は?」

 

 アイリスにとっては初めての人物のため、無意識に警戒する。

 

「Nさんって言うんだ。それよりも、Nさんはこれを知っているんですか?」

 

「少しだけ。でも、どうして……?」

 

「あの、知っているのなら治せませんか!? お願いします!」

 

 よく知らない相手だが、サトシとは知り合いそうなので問題はないだろう。また、原因を知っていそうなため、アイリスはNに助けを求めた。

 

「ごめん。これを治すにはムンナかムシャーナじゃないと……」

 

「そんな……!」

 

「ムンナとムシャーナ?」

 

 サトシはキバゴを助けるため、情報を知ろうとポケモン図鑑で検索する。

 

『ムンナ。夢喰いポケモン。人やポケモンの夢を食べた後、身体から出す煙にその夢を写し出す事が出来る』

 

『ムシャーナ。夢現ポケモン。ムンナの進化系。食べた夢をおでこから漏れた煙で実体化させる』

 

「この二匹なら、治せるんですね?」

 

「うん。夢の跡地にいれば良いんだけどね……」

 

「夢の跡地?」

 

「ここから、北西にある場所の事だよ。確かにそこではムンナの目撃情報があった」

 

「だったら、直ぐに――」

 

 アイリスが夢の跡地に向かおうとした時、ポケモンセンターまた一人入って来た。性別は女性で白衣を着て、眼鏡を掛けている。そして、その隣には――ムンナがいた。

 

「やっぱり……!」

 

「それ……ムンナ!」

 

「ムンナ、キバゴを起こしてあげて」

 

「ム~ンナ~~」

 

 女性の指示に従い、ムンナが口を開けるとキバゴに覆う光がムンナの口内に吸い込まれていく。

 ムンナは光を吸い尽くすと、食べ物を味わうように口を三度ムグムグ動かす。

 すると、花柄の身体の模様がピンク色に光り、薄い紅色の煙がおでこから出てきた。

 

『キバキバ~』

 

「これは……」

 

「キバゴが見ていた夢よ」

 

 直後に光が消えてキバゴは目を覚まし、サトシ達と一緒にその夢を見る。

 すると、キバゴの身体が白い光に包まれ、二倍ほどある身体と手足、長く太い牙を持つポケモンへと変化していく。

 

『キバーー……! ――オノンド……!』

 

「進化した?」

 

「オノンド。キバゴの進化系よ」

 

「キバキバ」

 

 アイリスが説明し、彼女の腕の中でキバゴが手を出す。そうなりたいと告げるように。

 

『オノー……! ノノークス』

 

「オノノクス。キバゴの最終進化系」

 

 夢はまだ続き、オノンドが更に光ると、黄色と濃い目の灰色のスマートながらも堅牢そうな身体に、口からの刃を思わせる二枚の灰と赤の牙。キバゴの最終進化系、オノノクスだった。

 とそこで、夢が終わったように煙が散り、大気に消えていった。

 

「あれはキミの夢なんだね。それにしても――オノノクス、か……」

 

「Nさん?」

 

「いや、何でもないよ」

 

 キバゴの夢を見て、Nが意味深げにかつ小声でオノノクスの名を呟いた。サトシが尋ねるも、Nは何でもないと返す。

「ところで、貴女は?」

 

 デントが名前を尋ねると、女性は令嬢の様にスカートを持ち、自己紹介する。

 

「皆さん初めまして。私はポケモンの不思議な力を研究する、夢見る乙女、マコモ博士と申します」

 

 その名前にいち早く反応したのは、Nだった。

 

「貴女がマコモ博士?」

 

「Nさん、マコモ博士を知っているんですか?」

 

「ある程度だけ」

 

「そう……。じゃあ、研究の結果についても?」

 

「はい」

 

 その返答に、マコモは少し暗い表情になるも仕方ないと受け入れた。

 

「だけど、今はこの事態を収拾する方が先決。違いますか?」

 

「貴方の言う通りだわ」

 

「と、とりあえず……今はどうなっているんですか?」

 

「そうね。貴方達にも話しておくわ。先ずは外に」

 

「だけど、光を浴びたらまた寝ちゃうんじゃあ……?」

 

「それなら大丈夫だよ。シキジカ、ポケモン達になやみのタネ」

 

「シキ!」

 

 Nが頼むと、シキジカは口から種を出し、ピカチュウ達の前でポンと炸裂させて花粉を浴びせる。

 

「これは?」

 

「なやみのタネ。ポケモンの特性を一時的に『ふみん』にして、眠らなくさせるんだ」

 

「そんな技が……。って、さっきこの技を使えば良かったんじゃ?」

 

 そうすれば、わざわざムンナが来るまでを待つ必要が無かったはず。

 

「寝ている状態に使うと、身体に負担が掛かるんだ。特にこのキバゴの様に身体が小さいポケモンには大きい。だから、出来るだけ避けたかった」

 

「そうね。先の眠りは特殊な力によるもの。無理にすると負担も大きいでしょう。彼の判断は正しいわ」

 

 ポケモンの身を重んじるNからすれば、直ぐになやみのタネを使うのは躊躇いがあった。

 

「とにかく、対策も出来たことですし、外へ」

 

 外に出ると、サトシ達は街一帯に拡がるピンク色の煙、降り注ぐ同色の光が見えた。

 

「アイリス、これが?」

 

「うん、これからの光を浴びてキバゴが眠っちゃったの。今は大丈夫?」

 

「キバ」

 

 今は特性が不眠になっているため、キバゴは勿論、ピカチュウ達も眠く無かった。

 

「けど、これは一体……」

 

「これはおそらく、ムシャーナの夢の煙が作り出したものだわ」

 

「ムシャーナって、確かムンナの進化系ですよね?」

 

「えぇ」

 

「ムシャーナもムンナ同様、夢の煙を作れるポケモンなんだ」

 

 マコモが肯定し、Nが説明する。

 

「――そこの君達」

 

「ジュンサーさん?」

 

 そこに一台のパトカーがサトシ達の前で止まり、ジュンサーが出てきた。

 

「ポケモン達を直ぐにモンスターボールに」

 

「どういうことですか?」

 

「この光のせいで、街中でポケモン達が眠ってしまっているの。だから早く」

 

「それなら大丈夫です。この子達は今、なやみのタネでふみんになっていますので、影響は受けません」

 

 眠り対策のため、ジュンサーはピカチュウ達にモンスターボールに入ることを勧めるも、すでに対策をしているとNが説明する。

 

「そうなの?」

 

「はい。それに彼のピカチュウは、モンスターボールに入るのが苦手なんです」

 

「えっ、そうなの、サトシ?」

 

「あぁ、それで俺のピカチュウは何時も出てるんだ」

 

「それはまた珍しい」

 

 サトシのピカチュウがモンスターボールに入るを嫌うのもそうだが、サトシと一度しか会っていないNがその事を知っている。

 それもデントは気になっていたが、サトシが話したのだろうと推測した。

 

「ところで、ムンナは大丈夫なんですか?」

 

 ピカチュウ達と違い、ムンナはなやみのタネを受けていない。この煙で寝てしまうのではとサトシは考えていた。

 

「大丈夫よ。ムンナとこの光は惹かれ合ってるから」

 

 ムンナは既にかなりの量の光を浴びているが、全く眠る様子はない。

 

「この煙と光、どうやったら収まるんでしょうか……」

 

「その鍵は多分……」

 

「夢の跡地、ですね」

 

「夢の跡地……さっき言っていた場所」

 

「とりあえず、解決するためにも行きましょう。ただ、このパトカーには私を含めて、四人までしか乗れないわ」

 

「となると誰が乗るかだけど……」

 

 先ず、研究者のマコモは必須だ。次に実力的にジムリーダーのデントもいた方が良い。後は二人だが。

 

「では、サトシとNさんに同行をお願いしては? サトシは僕達ジムリーダー三人に勝利する実力の持ち主。Nさんは多少なりとも事実を知っている。また、なやみのタネを使えるシキジカを連れています。いた方が良いかと」

 

「決まりね」

 

「……あたしは待機ってことね」

 

「仕方ないわ。それに、万一の為にもキバゴと一緒にポケモンセンターで待機した方が安全よ」

 

 確かに、キバゴの事を考えるとポケモンセンターで待っていた方が良い。アイリスはその提案に頷いた。

 

「じゃあ、行きましょう」

 

 こうしてジュンサー、サトシ、デント、N、マコモの五人がパトカーに乗り、夢の跡地へと向かう。

 

「ところで、デント、Nさん、マコモ博士。そもそも、夢の跡地ってどんなところなんですか?」

 

「僕が知っているのは、町外れの廃墟と言うことと、数年前には何らかの研究が行われていたが、事故で大爆発を起こした。この二つだよ」

 

「正解よ、デントくん。あそこはかつて、ポケモンエネルギー研究所と呼ばれていたの。そこではムシャーナの夢をエネルギーに返還する研究が行われていたわ。私もその一人」

 

「夢をエネルギーに……?」

 

 夢への特別な力を持つポケモンとは言え、そんなことが可能なのだろうか。

 

「えぇ、その研究が完成すれば、そのエネルギーは究極のクリーンエネルギーとして、多大な貢献を世にもたらすはずだったわ。何しろ、エネルギーの元は人やポケモンが作る夢」

 

 際限なく、尚且つ、デメリット無しに生み出せるエネルギー。確かに、成功すればエネルギー革命すら起こせただろう。

 

「だけど……」

 

「何かあったんですか?」

 

「サトシくん。無限にかつ安全に生み出せるエネルギー。そんな便利な物が有ったら、キミはどうしたい?」

 

「それは、欲しいです。……まさか?」

 

「……えぇ、そのまさかよ。夢のエネルギーを求め、様々な欲望を持つ人達が現れたわ。彼等の抱く想いも、ある意味では夢……。それらの負に満ちた想いも、夢として吸収し続けてしまったムシャーナは、処理をしきれずある日遂に――」

 

「……暴走し、数年前の大爆発を引き起こしてしまった」

 

 サトシの言葉に、マコモはコクンと後悔に満ちた顔付きで頷いた。

 

「ムシャーナは……?」

 

「……爆発と共に、姿を消しました。その一件をあって嫌気が差して、研究も中止し、街からも離れました。だけど――」

 

「だけど?」

 

「ムンナが何かを感じ取って、私はここに戻って来たの。そして、この煙と光……おそらく、ムシャーナは生きている。それもおそらく、夢の跡地にいる」

 

「その可能性は非常に高いと思います。こうして、夢の煙が出ている以上、少なくともムンナかムシャーナが関係しているのはほぼ確実かと」

 

 そうでなくては、夢の煙が発生するわけがない。Nの意見に全員が納得していた。

 

「あら、あの光は……」

 

 街を覆う光と全く同じ色の光が、前の空を桃色に染めていた。

 

「急ぎましょう!」

 

 ジュンサーはアクセルを強く踏み、パトカーを全速力で進ませた。

 

 

 

 

 

「凄い反応ね……!」

 

「あぁ、これなら良いデータが採れる」

 

「後はこれを本部に送るだけにゃ」

 

 夢の跡地で調査を続けていたロケット団。結果も上々、後はそのデータを本部に転送するだけ。その時、彼等の背後からパトカーが現れた。

 

「警察!?」

 

「予想よりも速いにゃ!」

 

 パトカーからサトシ達が現れ、ロケット団に近付く。

 

「貴方達、そこで何をしているの!」

 

「夢の残り香を探しているのさ」

 

「あの機械……! ここに残っているエネルギーの残滓を増幅している……!」

 

「じゃあ、今回の現象の原因はムンナやムシャーナじゃなく、彼等が?」

 

「そう言うことよ」

 

「貴方達、何者?」

 

 ロケット団は、何時もの口上を高らかに述べる。

 

「ロケット団……?」

 

 初めて聞く組織の名に、デントやマコモは疑問符を浮かべ、Nは瞳を鋭くする。

 

「確か、カントー地方を拠点とする組織……! どうしてこのイッシュに……!?」

 

「イッシュ地方制圧プロジェクトが動き出したのよ」

 

「かつて失敗した、夢のエネルギー。それを我等の手で完全復活させ、制圧の為の力とするのさ!」

 

「邪魔は許さないにゃ!」

 

「夢を悪用する人がまだ……」

 

 かつての者達と同じ、夢を利用しようとするロケット団にマコモは辛い表情を浮かべる。

 

「マコモ博士、先程ムンナに呼ばれたと言っていましたが、もしかするとムシャーナがこの事をムンナを通して伝えたからでは?」

 

「ムシャーナが?」

 

「ムンナとムシャーナは、同じ夢に関しての特殊な力を持つポケモン。その可能性は有り得ます」

 

 デントの推測に、Nが有り得ると賛同。また、ムンナもそうだと言うようにコクンコクンと頷いていた。

 直後、辺り一帯が揺れ、火花や波動が溢れ出し、鳴き声が響く。

 

「この声……ムシャーナ!」

 

「ムシャーナ?」

 

「確か、ここの研究を手伝っていたポケモンか」

 

「となると、ゲットすればエネルギーのデータどころか、エネルギーそのものを確保出来るにゃ」

 

「――そんなこと、ボクや彼等が許すと思うかい?」

 

 氷の如く、冷たい声が響く。その発生源はN。その瞳は声同様の冷たさが宿っている。ロケット団だけでなく、サトシ達も怯むほどだ。

 

「キミ達がポケモンの――トモダチに望まぬことをすると言うのなら、ボクが持てる力を駆使して阻止する。絶対に」

 

「な、何だあいつは……?」

 

「分からないけど……ヤバそうね」

 

「それに、戦力的に見ても難しそうだにゃ」

 

 であれば、自分達が取る選択は一つ。ロケット団はムサシが出したコロモリの風で姿を覆い、その間に機械ごと姿を消した。

 

「去った……」

 

「……Nさん?」

 

「ふふっ、上手く威圧出来たみたいだね」

 

 先の雰囲気に、サトシが恐る恐る聞くと、Nが微笑んだ。その様子にはさっきの冷たさは欠片もない。

 

「それより、マコモ博士。貴女はムシャーナをどうする気ですか?」

 

「それは……」

 

「ムシャーナにここで安らかな生活を送ってもらうか。それとも、一緒に暮らしたり研究を再開するか。かつて、夢のエネルギーを研究した者として、今ここで決断してください」

 

「Nさん――」

 

「サトシくん。これは当事者の彼女が判断すべき事だ。また、この判断がムシャーナの今後に大きく影響するだろう。残念だけど、キミ達には口を出す資格はない」

 

 Nの言うことは正しかった。これはムシャーナとマコモの問題。その件に関して、当事者ではない自分達には口を出す資格が無いのだ。

 

「改めて聞きます。マコモ博士、貴女はどうしますか?」

 

「私は……」

 

 Nの言葉にマコモは迷う。マコモとしては、ムシャーナと暮らしたい。しかし、この惨状を作り出した一人であり、また今まで気付けなかった自分にそんな資格は有るのだろうか。

 

「ムナ……」

 

「ムンナ……」

 

 ムンナの瞳。ムシャーナに会いたい想いで満たされたその瞳。そして、何よりもムシャーナとこのまま離ればなれになるのは、嫌だった。

 

「私は――あの子と暮らしたいです」

 

「それは研究者としてですか?」

 

「無いと言えば嘘になるかもしれません。ただ、その前にあの子との日々を過ごしてきた一人の人間として、私はあの子と暮らしたいのです」

 

 研究の中で一緒に過ごし、共有してきた時間。時には共に笑い、悔しがり、ちょっと喧嘩したり。それらの思い出が、マコモに再会を願わせていた。

 

「――だそうだよ。ムシャーナ」

 

 マコモの答えに、Nは満足げな笑みを浮かべて呟く。すると、一ヶ所の空間が波が揺れるように歪み出した。

 

「ムシャーナ……!」

 

「シャーナ……」

 

 歪みが消えると、ムシャーナが姿を表す。

 

「ムシャーナ……また私といてくれる? こんな私と」

 

「――シャナ」

 

 ムシャーナは頷いた。確かに不満はある。しかし、それ以上にマコモとムンナと一緒にいたいのだ。その想いはさっきの言葉を聞き、強まっていた。

 

「――ありがとう」

 

 ムシャーナを優しく、されど暖かく抱き締めるマコモ。ムンナも彼女達の側に駆け寄り、再会を喜んでいた。

 

「一件落着、だね」

 

「あぁ」

 

 この場の全員が、マコモ達の再会を喜んでいた。

 

「じゃあ、ボクはここで失礼するよ。用事もあるしね。行こう、ゾロア、シキジカ」

 

「ゾロ」

 

「シキ」

 

「――Nさん」

 

 いち早く夢の跡地を出ようとしたNとゾロアだが、マコモが呼び止める。

 

「ありがとうございます」

 

「ボクは何もしていない。貴女の想いがムシャーナに再び一緒にいることを選ばせた。たったそれだけです」

 

「それでも、貴方に言われて良かった。そう思っています」

 

「それなら、ボクも問い掛けた甲斐はありました。お幸せに」

 

 一礼すると、Nは改めてゾロア、シキジカと共に森に入って行った。

 

「今日はありがとう。助かったよ」

 

「シキシキ」

 

 こっちこそ、力になれて良かったとシキジカは笑うと、Nとゾロアにバイバイと告げ、彼等に見送られながら森の中へと走り去って行った。

 

「――N様」

 

「この声……アスラか」

 

 直後、呼び止められる。Nが声をした方向を向くと、青い帽子とマント、釣り目と福耳が特徴の老人が現れた。

 

「どうしてここに?」

 

「異常な力を感じましたので、偶々いた私がここに」

 

「そうか。来たのが貴方で良かったよ」

 

「私もです」

 

 彼や一部以外の誰かがここに来ていた場合、一悶着は避けられなかっただろう。

 

「ちなみに、何が?」

 

「夢のエネルギー」

 

 その一言で、アスラは全てを悟った。

 

「……あのエネルギーですか」

 

「そう、ボク達も関わっていたあの、ね」

 

 実は、Nとアスラ達と夢のエネルギーは接点があった。彼等は支援者なのだ。つまり、間接的だが、事故の当事者とも言える。

 

「その当時、N様はまだお勉強中でした。あなた様は関わっておりません」

 

「まあね。だけど、完全に無関係かと言われれば、答えは否だよ」

 

「……しかし、あれは数年前の事故以来、封印された研究のはずですが」

 

「ロケット団とやらが狙っていた」

 

 その名前に、アスラは聞き覚えがあった。

 

「ロケット団……カントーの組織ですな。それがこのイッシュに?」

 

「そう。夢のエネルギーのデータを侵略の為に使おうとしていた」

 

「分かりました。直ぐに対策を練るよう、報告して置きます」

 

 勿論、Nの事は伏せておくが。

 

「頼む」

 

「それと、さっきから周りを動き回るポカブがおられますが」

 

「あの子が鍛錬してるんだ。意外と活発でね」

 

 

「N様のトモダチでしたか」

 

「――カブ」

 

 タンタンと音を立てた後、ポカブがNの足元に着地する。身体中が汚れているが、それだけ頑張っている証だ。

 

「では、私はこれにて失礼します。あと、彼等は最近人を増やしております。警戒は怠らないでください」

 

「よく覚えて置くよ」

 

 話を終えたアスラは、静かにその場を後にした。

 

「さて、ボク達は明日に備えて休むとしようか。それに、体も洗わないとね」

 

「カブ」

 

「ゾロアも明日は頼むよ」

 

「ゾロ」

 

 彼等は適度な休み場所を探しに、森の奥深くへと進んで行った。

 

 

 

 

 翌日。サンヨウジムの前でデントが兄弟達とある話をしていた。

 

「本当に行くのか、デント?」

 

「うん」

 

「理由を聞かせても良いですか?」

 

「彼とのバトルや話の中で、僕は思ったんだ。今のままだと行けないってね。だから、ジムリーダーとしてじゃなく、一人のトレーナーとして旅をして、経験を積みたいと思う。ジムリーダーとしても、またポケモンソムリエとしても成長するために」

 

 デントがポッドやコーンに話していたのは、自分が旅に出るという話だった。

 サトシとのバトルや話、Nとのやり取りの中で、今の肩書きではなく、一人のトレーナーとして旅をしたい。それがデントの考えだった。

 

「考えは変わらないのですか?」

 

「全く。……ただ、君達と離れたり、責務を押し付ける形になっちゃうのは心苦しいけどね」

 

 今まで三人で頑張ってきたサンヨウジムだ。なので、離れることに抵抗が無いわけではない。しかし、それ以上に旅をしたいという想いがあった。

 

「おいおい、そんなんで旅出来んのか? ったく……。――俺達がちゃんと守ってやるから、一回りも二回りもでかくなって帰ってこい!」

 

「えぇ、コーン達に手間を掛ける分、しっかりと学んでください。デント」

 

「ポッド……コーン……」

 

 何だかんだ言いつつ、自分の意志を尊重してくれた二人に、デントは目頭が熱くなる。

 

「頑張ってこいよ!」

 

「ベストウイッシュ、良き旅を」

 

 二人の見送りを受け、デントはサトシと一緒に歩き出す。

 

「良いな~、兄弟って」

 

「ピカ~」

 

「僕もそう思うよ」

 

「あとさ、デントはどこに向かうんだ?」

 

「君達が向かう場所。色々な出会いが有りそうだからね」

 

「つまり、俺と旅をするってこと?」

 

「正解。嫌かな?」

 

 サトシが嫌がるのなら、無理はさせたくないので遠慮する気だ。

 

「まさか! 楽しくなりそうじゃん!」

 

「そう言ってくれて嬉しいよ」

 

 デントと一緒に旅をする事が決まるも、サトシはふと思い出した。

 

「そういや、アイリスどこに行ったんだ?」

 

「アイリスって……君といた子だよね?」

 

「うん」

 

 何故か、自分と今まで一緒にいた少女。今はどこにいるのだろうか。

 

「――ばぁ~!」

 

「うわぁ!?」

 

「ピカ!?」

 

「おぉ~、これは驚きのテイストだね」

 

 歩いていると、道に植えられた木の枝から逆さまになったアイリスが現れ、サトシとピカチュウ、デントは驚く。

 

「あはは、驚いた?」

 

「キバキバ」

 

「そりゃそうだろ……」

 

 人がいきなり逆さまで出てきたのだ。驚かない方がどうかしてる。

 

「子供ね~」

 

「それで良いよ。俺達、先に行くから」

 

「ち、ちょっと!」

 

「待って、サトシ」

 

 サトシは先に行こうとしたが、そこをデントが止める。

 

「なんだ、デント?」

 

「折角だからさ、この3人で一緒に行こうよ。僕的には、この組み合わせが凄く良い感じに思えるんだ」

 

「まぁ、俺は良いけど」

 

「サトシ達がどうしてもって言ったら、一緒に行って上げるわよ?」

 

「やっぱ無しで」

 

「わ~、冗談冗談!」

 

 上から目線の発言に少しイラッとしたのか、サトシは反対するも、アイリスが慌てて冗談と謝る。

 

「と言うか、アイリスには俺やデントと旅をする理由は無いだろ?」

 

 デントがサトシとの旅を望んだのは、デントがサトシに興味がある。また、彼となら出会いが豊富だろうと感じたからだ。

 

「……有るわよ」

 

「どんな?」

 

「参考にしたいから。……これじゃ、ダメ?」

 

 アイリスは不安に満ちた表情を浮かべる。彼女その理由にサトシはよく分からなさそうな表情を浮かべるが、デントは対照的になるほどと納得していた。

 

「まぁ、良いけど」

 

「――ホント!?」

 

「うん。ピカチュウやデントも良いよな?」

 

「ピカ」

 

「僕はさっき言った通りだよ」

 

 生意気さや、上から目線さは伝わるも、アイリス本人は悪人ではない。それに助けられたこともある。

 何より、こんな表情での彼女の頼みを断るほど、サトシは子供ではないつもりだ。

 

「ありがと!」

 

「じゃあ、さっさと行こうぜ。俺はポケモンマスターになるために」

 

「僕はポケモンソムリエとても、ジムリーダーとしてもより相応しい人物になるために。アイリスは?」

 

「あたし? ……秘密! あと、先に行くからね~!」

 

 サトシとデントはそれぞれ目的を語るが、アイリスは悪戯っ子の様な笑顔で秘密と言うと走った。

 

「あっ、待てよ!」

 

「ふふ、楽しくなりそうだよ」

 

 先に走るアイリスを、サトシとデントが追い掛ける。こうして、彼等の三人旅が始まったのだ。

 

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