ポケットモンスター アナザーベストウイッシュ   作:ぐーたら提督

41 / 66
迫る強敵

「やれやれ、こんなに多いとは」

 

「それだけ、ロケット団が力を入れていた証ですね」

 

 サトシ達が戦っている一方、彼等もまた暴走したロケット団のポケモン達と交戦していた。

 

「おまけに、手強いのが三体もいますねぇ」

 

「えぇ、よく鍛えられてます」

 

 彼等は数を一ヶ所に集中させていたため、次々と来るポケモン達にも多少の余裕を持って対応していたが、少し状況が変わっていた。

 目の前の三体が他よりも強く、少し押されていたのだ。

 

「仕方ありません。我々も戦いましょう」

 

「ですねー」

 

 二人はモンスターボールを取り出し、構える。

 

「申し訳ありません、手を煩わせる事になりました……!」

 

「構いません、相手はあの大組織。我々も手を尽くすまでです」

 

 スムラやリョクシは良くやっている。もっと多くにすべきだったかもしれないが、そうなると後が怪しまれる。これは仕方ない。

 

「貴方達も協力してくださいねー」

 

「勿論です!」

 

「では、始めましょう」

 

 二人はモンスターボールのスイッチを押し、ポケモンを出した。

 

 

 

 

 

「ピカチュウ、エレキボール!」

 

「ゾロア、ナイトバースト」

 

「ハハコモリ、シザークロス!」

 

「ピカピカ……ピッカァ!」

 

「ゾロ……ーーーッ!」

 

「ハッハーーーン!」

 

 ピカチュウ、ゾロア、ハハコモリを筆頭に、無数の技が放たれ、複数のポケモン達が悲鳴を上げながら倒れていく。

 

「やれやれ、次から次へと出てくるよ……!」

 

「一体、どれだけのポケモンを出してきたんだ、ロケット団は……!」

 

「どう見ても百や二百じゃありませんね……」

 

 今ここにいる彼等は既に三十を超えるポケモンを倒したのだが、それでもイッシュにはいないポケモン達があちらこちらで暴れていた。

 

「――こっちに来ないでよ~!」

 

「攻撃が通じない……! 炎だけじゃなく、悪タイプも持っているポケモン……!?」

 

「もう片方は氷と悪っぽいよ~!」

 

「ムンナ……!」

 

「シャナ……!」

 

「ヘルル……!」

 

「ニュラ……!」

 

「この声……! マコモさんとショウロさん!」

 

 聞いたことのある四つの声に、サトシが向かう。到着すると、マコモとショウロ、ムシャーナとムンナが二匹のポケモンと交戦していた。

 

「あれは……ヘルガーにニューラか!」

 

 彼女達が戦っていたのは、地獄にいる番犬のようなポケモン、ダークポケモン、ヘルガーと、深い藍色の身体に赤い左耳や尾が特徴の鉤爪ポケモン、ニューラだった。

 

「二匹のタイプは!?」

 

「両方悪タイプを持ってます! ただ、ヘルガーは炎タイプ、ニューラは氷タイプもあります! 行け、ミジュマル、ポカブ、ツタージャ、クルミル!」

 

「――ミジュ!」

 

「――ポカ!」

 

「――タジャ」

 

「――クルル!」

 

 タイプを説明すると、サトシはハトーボーと預けたズルッグを除いた残りの四匹のポケモンを繰り出す。

 

「ミジュマル、ツタージャ、ヘルガーにシェルブレードとアクアテール! ポカブ、クルミル、ニトロチャージとむしくい!」

 

「ミジュ……マーーーッ!」

 

「ター……ジャッ!」

 

「ポカポカ……カーブーーーッ!」

 

「クルルルル!」

 

「ヘル!?」

 

「ニュラララーーーッ!?」

 

 ムンナやムシャーナに注意を向けていたため、ヘルガーは水の刃と尾を、ニューラは炎の突撃とかじりをまともに食らう。

 

「――ガーーーッ!」

 

「――ニュッ!」

 

 しかし、二匹は体勢を立て直すと口から技を放つ。ヘルガーはかえんほうしゃ、ニューラはこおりのつぶてだ。

 

「皆、かわせ!」

 

「ミジュマ!」

 

「タージャ」

 

「ポカ!」

 

「クル!」

 

 サトシの素早い指示により、四匹は軽やかにかわす。

 

「Nさん! アーティさん!」

 

「分かってるよ。ポカブ、ヘルガーにころがる」

 

「任せたまえ! ハハコモリ、ニューラにシザークロス!」

 

「カブ! ガブガブ……カブーーーッ!」

 

「ハー……ハーーーン!」

 

「ルガーーーッ!」

 

「ラーーーッ!」

 

 反撃をしたヘルガーとニューラだが、軽々とかわされ、その隙にポカブのころがるとハハコモリのシザークロスを受けて倒された。

 

「大丈夫ですか、マコモさん、ショウロさん!」

 

「助かったわ、サトシ君……」

 

「あたし達だけじゃ危なかったですよ……」

 

「ムナムナ……」

 

「シャーナ……」

 

 ムンナとムシャーナはエスパー。ヘルガーとニューラはそれを無効にする悪タイプを持っている。分が悪いのは当然。況してやその前から戦って疲弊していれば尚更。

 

「無事で何よりだ。ショウロちゃん」

 

「アーティさ~ん……」

 

 ショウロはヒウンシティにいるため、アーティは彼女とそれなりに顔見知りだった。

 

「にしても、このポケモンや他のポケモンもやはり見たことが無いね……」

 

 この二匹もやはり、N達は見たことがなかった。

 

「あの……俺、このヘルガーやニューラ、俺はカントーじゃなくてジョウトで初めて見たんです」

 

「ジョウト……。確か、カントーの隣の地方だね。なるほど、ロケット団は他方のポケモンも戦力にしてるのか……」

 

 ジョウトはカントーと隣接した地方。ゲットするのに大した労力は使わない筈だ。

 

「つまり、今この街ではカントーとジョウト、場合によっては更に他の地方のポケモンもいるかもしれない……」

 

 今までロケット団が来たことがあるのは、順番にオレンジ、ジョウト、ホウエン、シンオウの五つ。ただ、オレンジはカントーと出るポケモンは大差ないので除外される。

 つまり、今このヒウンシティでは四つの地方のポケモン達が暴走している事になる。

 ただ、最後の二つはカントーやジョウトからは離れている上、時間を考えるとそんなにはいないかも知れない。特にシンオウは。

 

「……他地方のポケモン達か。こんな状況でなければ、じっくりと見たいものだよ」

 

 アーティの言葉に四人は頷く。イッシュにはいない、大量のポケモン達。こんな事態でなければ、どんなポケモン達なのか、是非ともじっくり知りたいものである。

 

「ところで、皆さんはどちらに?」

 

「バトルクラブだ。怪我人達の避難場所にしたい。してる場合は防衛か、救護に向かう。貴女達は?」

 

「あたし達はジュンサーさんに報告に外に出たアララギ博士を助けに来たんですけど……」

 

 アララギは無事に到着してはいるが、この状態ではマコモ達には確かめようがなかった。

 

「アララギ博士は無事なんですか!?」

 

「……分からないの。だけど、もし無事なら彼女なりの役目を果たしていると思うわ。だから、私達はアーティさん達の手伝いをします」

 

「ムナ」

 

「シャナナ」

 

 友人や知人としては、アララギの安全を確認したい。しかし、今は下手に動くと自分達まで危ない目に遭うリスクがある。ならば、彼女の無事を信じ、自分達に出来る最善を尽くすまでだ。

 

「助かります。こっちに」

 

 アーティの案内に、姉妹とムンナ、ムシャーナは従う。

 

「サトシくん、ボク達も」

 

「……はい!」

 

 Nもだが、サトシもアララギが心配だ。しかし、今は出来る事をするしかない。Nと一緒に走り出す。

 

 

 

 

 

「ジャノビー、グラスミキサー!」

 

 

「ジャノォ!」

 

「ヤナップ、タネマシンガン!」

 

「ナー……プ!」

 

「トドォ!」

 

「カククッ……!」

 

 草の渦と無数の種が二匹のポケモンに炸裂。片方は効果抜群の技な為、そのポケモンはかなりのダメージを受けた。

 

「やれやれ、まさかカントーだけじゃなく、ジョウトやホウエン地方のポケモンまでいるとは……!」

 

「この二匹、トドグラーとカクレオンと言う名前だそうですね……」

 

 別方向から他のトレーナーや警官達と救助活動をしていたシューティーとデントは、二匹のポケモンと交戦していた。

 ジグザグの模様が特徴の、カメレオンが立ったような色変化ポケモン、カクレオンと、トドの様な体躯に青い身体、白い髭らしきものが特徴の球回しポケモン、トドグラー。

 どちらもホウエン地方限定とは言えないが、そこに生息するポケモンだ。

 

「タイプはカクレオンがノーマル、トドグラーが水と氷だったね?」

 

「間違いありません」

 

「――カク!」

 

「――ドグーーーッ!」

 

「したでなめる! ヤナップ、かわしてかわらわり!」

 

「こっちはアイスボール! ジャノビー、かわしてエナジーボール!」

 

「ヤナ! ナー……プッ!」

 

「ジャー……ノォ!」

 

 伸びてきた舌と、氷の突撃をかわし、ヤナップは手刀、ジャノビーは草のエネルギー弾を叩き込む。

 

「トドッ!」

 

「カク! クレレ……!」

 

「あれ……?」

 

「ナプ?」

 

 トドグラーと同じく、効果抜群の技を食らったカクレオンだが、それなり程度のダメージしか受けてない様子だ。タフなのだろうかとデントは思ったが。

 

「……! デントさん! カクレオンの特性はへんしょくと呼ばれる物で、自身のタイプを受けた技のタイプに変化にします!」

 

「なんだって!?」

 

「ヤナ!?」

 

「カクク」

 

 シューティーも妙だと判断し、カクレオンを調べると見たことない特性、へんしょくと言う単語があった。

 それにより、本来なら効果抜群のかわらわりがそれなりのダメージになった理由を察する。

 

「そうか、先にタネマシンガンを受けたからさっきまでカクレオンのタイプは草になっていたのか……!」

 

 そして、今はかわらわりを受けて格闘タイプになっているのだ。

 

「カークク……!」

 

 不敵に笑うカクレオン。この特性が有る限り、自分は有利だと考えていたのだ。それは間違ってはいない。しかし、正しいとも言えない。

 

「――行け、ハトーボー! ドッコラー! ハトーボーはカクレオンにつばめがえし!」

 

「ハトー……ボーーーーッ!」

 

「カク!? レオーーーッ!」

 

「デントさん!」

 

「分かってる! ヤナップ、がんせきふうじ!」

「ヤナナーーーッ!」

 

「カーーーッ!」

 

 ハトーボーのつばめがえし、ヤナップのがんせきふうじにより、カクレオンは連続で大きなダメージを食らう。

 確かに特性、へんしょくは厄介だ。次々とタイプが変わるのだから。しかし、ならば効果抜群になり続ける様に繋げれば良い。格闘、飛行、岩と言う風に。

 そして、がんせきふうじにより、今のカクレオンは岩タイプになっている。

 

「ドッコラー、ローキック!」

 

「ドッコォ!」

 

「カクーーーッ!」

 

 最後に岩タイプに効果抜群のローキックを受け、カクレオンはやられた。

 

「――ヤナップ、トドグラーにタネマシンガン!」

 

「ヤナナナッ!」

 

「トドド……!」

 

 だが、一安心ではない。まだトドグラーが残っている。口かられいとうビームを放とうとしていたが、タネマシンガンで怯む。

 

「ジャノビー、グラスミキサー! ハトーボー、エアカッター!」

 

「ジャノジャノォ!」

 

「ハー……ト!」

 

「ドグラーーーッ!」

 

 草葉の渦による連撃に風の刃が加わり、トドグラーはかなりのダメージを食らう。

 

「ドッコラー、ばくれつパンチ!」

 

「ドッコ……ラーーーッ!」

 

「ドーーーッ! グラ……」

 

 渦が消えた直後に、ばくれつパンチを叩き込まれ、トドグラーも倒れた。

 

「はぁ、はぁ……キツいですね……」

 

「このポケモン達、鍛えられてるからね……」

 

 この街の制圧の為に派遣されただけあり、このポケモンは達充分な能力を持っていた。

 暴走していなければ、或いは側にトレーナーがいれば、一匹倒すにももっと手こずっていただろう。

 

「――デント兄ちゃん、シューティー兄ちゃん!」

 

「ヤブヤブー!」

 

「この声!」

 

「子供達とヤブクロン!」

 

 自分達を呼ぶ声に、二人はそちらを振り向く。育て屋保育園の子供達とヤブクロンがおり、二人は急いで側に駆け寄って保護する。

 

「無事かい!?」

 

「う、うん。でも、ユリ先生とキクヨ先生がまだ……!」

 

「タマゴを助けないとって……! 部屋、燃えてるのに……!」

 

「タマゴ……!」

 

 そう言えば、彼女達は人がいなくなるため、保育園にあるポケモンのタマゴを全て持って来ていたと言っていた事をシューティーもデントも思い出す。

 

「早くユリ先生とキクヨ先生を助けて……!」

 

 子供達は一人残らず涙目だった。ぼろぼろのヤブクロンが守ってくれたのだろうが、こんな惨状を前にすればこうなっても仕方ない。

 

「あぁ、二人は必ず助けるよ」

 

「君達は、彼等に付いていってヒウンジムに避難するんだ」

 

 子供達とヤブクロンはコクンと頷くと、他の救助された人々と共に警官に案内されながらヒウンジムに向かう。

 

「早く二人の元に向かわないと……!」

 

「えぇ、確かこっちのはず――」

 

「ドッコォーーーッ!?」

 

 暴走するポケモン達を鎮圧しながら、彼女達が外泊するのに使っていた場所に向かおうとした直後だった。二人の斜め後ろから、何かが高速で通るとドッコラーに命中した。

 

「――ディン!」

 

「ラーーーッ!」

 

 吹き飛んだドッコラーに、真上から一つの影が落下。発生した煙が晴れると、そこには倒されたドッコラーと一匹のポケモンがいた。

 両手のスプーン、金色の体毛と髭、腕や腹、肘が茶色をした二足歩行のポケモンだ。

 

「あれは……!?」

 

『フーディン、念力ポケモン。ユンゲラーの進化系。強い超能力と高い知能を持っている。それらを活かし、戦いを有利に進めていく』

 

「フーディンと言うのか……!」

 

 ドッコラーを戻しながらシューティーが得た情報により、目の前のポケモンがフーディンだと二人は理解する。

 

「フー……」

 

「シューティー、このフーディン……!」

 

「えぇ……!」

 

 強い。他の倒したポケモン達とは、明らかに雰囲気が違う上、感じられる力が大きい。つまり、他よりも一回りか二回りは確実に上の強敵。

 これまでの様には行かず、苦戦は必須だと、シューティーとデントを冷や汗を流していた。

 

 

 

 

 

「ビーーーッ!」

 

「ハーデリア、まもる!」

 

「ハー!」

 

 無数の塊の攻撃を、ジュンサーのハーデリアのまもるが防ぐ。

 

「フタチマル、みずのはどうよ!」

 

「フター……チッ!」

 

「ビークーーーッ!」

 

 圧縮した水の塊がそのポケモンに命中し、渦の様に展開されてダメージを与える。混乱の追加効果も発揮され、そのポケモンは混乱する。

 

「チャンス! チャオブー、ヒートスタンプ!」

 

「チャオーーーッ!」

 

「ビーーーッ!」

 

 混乱で隙だらけの所に、炎を纏ったチャオブーが跳躍。落下して衝突する。効果抜群のそれが決め手となり、そのポケモンは倒れた。

 

「やった、倒した~! えっと、名前は――」

 

「ビークインよ。情報によると、シンオウのポケモンらしいけど……」

 

 ベル、カベルネ、ジュンサーが倒したポケモンは、女王蜂の外見に額の赤い宝石みたい物や、蜂の巣のような胴体が特徴の蜂の巣ポケモン、ビークインだった。

 

「カントー、ジョウト、ホウエン、シンオウ。……四つの地方のポケモン達とこんな形で遭遇するなんてね」

 

 はぁとため息をつくジュンサー。ベルやカベルネも、似た事を思っていた。

 

「にしても、一体どれだけいるのよ……」

 

 ビークインを含めた数匹や、数度の戦いでかなりの数のポケモン達を倒した彼女達だが、もう直ぐに向こうから次のポケモン達が迫っていた。

 

「ベルちゃん、カベルネちゃん。休みたい、離れたいと思うのなら何時でも構わないわ。強制はしないから」

 

 非常事態とはいえ、二人や他のトレーナー達への参加は任意だ。危険な事態でもあるし、離れたり休んだりしても自分達にそれを咎める理由も権利もない。

 

「……わたし、すごく怖いです」

 

 何しろ、突然こんな惨状に巻き込まれたのだ。ベルがそう思っても当然である。

 

「でも、困ってる人達を守りたい気持ちはあります。何より――ここで逃げたら、わたしはきっと後悔します。だから、戦います」

 

 誰かが自分を許しても、他ならない自分が自分を許せなくなる。何より、目指している彼に顔向け出来なくなる。だからこそ、少女は怖くとも戦うのだ。

 

「……立派じゃない」

 

「そ、そうかな?」

 

「そう、最悪、さっさと終わってほしいって思ってる私よりも立派よ」

 

「その割りには、カベルネちゃんも逃げないけど……」

 

「下手に逃げたって、その方が危ないでしょ」

 

 こんな状況では、一人で逃げるよりも一緒に戦った方が安全だと判断したのだ。

 

「……それに、逃げるってみっともないじゃない。だからいるのよ」

 

 要するに、自分なりの意地でここにいるだけだ。ベル程大した理由ではない。

 

「わたしはそれでも充分立派だと思うな」

 

「……どうも」

 

 ベルに立派と言われ、カベルネは照れ臭そうだ。そんな少女達のやり取りに、ジュンサーは微笑む。

 

「――さぁ、次が来るわよ。構えて!」

 

「――はい!」

 

 また数匹の見たことないポケモン達が迫る。その内の二匹と三人は交戦する。

 片方は四足歩行のポケモンで、中心から黄色と茶色の身体や模様が正反対になっており、尾に小さな頭があるポケモン。

 もう片方は、両の目が青色の宝石のような形で、胸にも赤い宝石のような物があり、身体の各所がトゲトゲしく牙も生え揃っているが、小柄で二足歩行のポケモンだ。

 

「この二匹は!?」

 

「ええと……! 片方がキリンリキ、もう片方はヤミラミってポケモンです! タイプはキリンリキがノーマルとエスパー、ヤミラミがゴーストと悪です!」

 

 キリンリキはジョウト、ヤミラミはホウエンのポケモンだ。

 

「ち、ちょっと! キリンリキはともかく、ヤミラミには弱点が無いじゃない!」

 

「……本当だ!」

 

 悪とゴーストが上手くマッチし、ヤミラミには弱点がなかった。

 

「弱点が無いだけで、倒せない相手じゃないわ! キリンリキは私が! 二人はヤミラミを! ハーデリア、かみくだく!」

 

「はい! チャオブー、ヤミラミにニトロチャージ!」

 

「フタチマル、シェルブレード!」

 

「ハーーーーッ!」

 

「チャオチャオーーーッ!」

 

「フターーーッ!」

 

「キリッ!」

 

「ヤミッ!」

 

 三つの攻撃が迫るも、キリンリキとヤミラミは身体の特徴を活かして避ける。

 

「――ヤミッ!」

 

 そして、ヤミラミはすかさず反撃に転ずる。その相手はチャオブー、フタチマルではなく――キリンリキを相手しているハーデリアだ。

 隙を狙い、舌を出して相手を舐める攻撃、したでなめるを放つも、ゴーストタイプの技はノーマルタイプのハーデリアには効かない。

 

「ラミッ!?」

 

「残念! ハーデリアには効かないわ! ハーデリア、めざめるパワー!」

 

「ハー……デリリ!」

 

「ラミーーーッ!」

 

 無効に驚いたヤミラミの隙を狙い、ハーデリアが零距離で光球を発射。全弾命中し、ヤミラミは吹き飛ぶ。

 

「フタチマル、シェルブレード!」

 

「チャオブー、ニトロチャージ!」

 

「フターーーッ!」

 

「チャーオーーーーッ!」

 

「ヤミミーーーッ!」

 

 そこにシェルブレード、ニトロチャージを食らい、ヤミラミは倒された。

 

「やった、ヤミラミ倒した!」

 

「喜ぶのは後! まだキリンリキがいるわ!」

 

「来るわよ!」

 

「キリリーーーッ!」

 

 思念の力を頭に集中させ、キリンリキは走る。しねんのずつきだ。

 

「避けて!」

 

 慌てながら、声の差などはあるが三人は回避を指示し、三匹は避ける。

 

「行って、チラーミィ!」

 

「メブキジカ、行きなさい!」

 

「ミィ!」

 

「メブ!」

 

 更に二人は手持ちを繰り出す。チラーミィとメブキジカだ。

 

「チャオブーはたいあたり、チラーミィはハイパーボイス!」

 

「フタチマルはみずてっぽう、メブキジカはメガホーン!」

 

「ハーデリア、かみくだく!」

 

「チャオーーーッ!」

 

「ミィーーーッ!」

 

「フターーーッ!」

 

「メブーーーッ!」

 

「リンーーーッ!」

 

 五つの技が、隙だらけのキリンリキに直撃。キリンリキも戦闘不能となった。

 

「周りは……倒したわね」

 

 周りを見る。消耗はしているが、自分達同様ポケモン達は倒したようだ。

 

「傷付いたポケモン達は、今の内に傷薬で少しでも治療しなさい」

 

 次が来るまで、少しでも回復はして置くべきだ。そうでなければ、長期戦に耐えられない。周りのトレーナーや警官達は受け取った傷薬で負傷したポケモン達を癒していく。

 

「キツいけど、この状況を維持して行ければ……」

 

「何とか持ちこたえれそうですね……」

 

「うん、このまま頑張――」

 

「うわぁーーーっ!」

 

 最後まで言おうとしたベルの言葉を、轟音と悲鳴が掻き消す。三人や周りの者達がそちらを向くと、倒れた三人のトレーナーや彼等のポケモン。そして、一匹のポケモンが角から姿を現した。

 二足歩行で、二本の角や、鋼の鎧で覆われた怪獣のような容姿をしたポケモンだ。

 

「ボーーーーースッ!!」

 

「な、何よ、あれ!?」

 

 聞く者を震え上がせる雄叫びに、身体を揺らしながらも、ベルはそのポケモンを調べる。

 

『ボスゴドラ、鉄鎧ポケモン。コドラの進化系。山を丸ごと自分の縄張りにする。幾度の戦いで身体に付いた傷は勲章だ』

 

「ボスゴドラ……!」

 

「ボース……!」

 

 現れたのは、ボスゴドラと呼ばれるポケモンだった。

 

「あのポケモン……! さっきまでのとは、全然違う……!」

 

 姿形の事ではない。漂って来る迫力が違うのだ。間違いなく強い。

 

「ボスゴドラのタイプは!?」

 

「は、鋼と岩です!」

 

「となると……。皆、格闘や水、地面タイプを重点に一斉攻撃よ!」

 

「はい!」

 

 

 ジュンサーの指示に従い、トレーナーや警官達がボスゴドラに一斉攻撃を仕掛ける。

 このポケモンは即座に倒さねば甚大な被害が出る。ジュンサーはそう確信し、一斉攻撃を命令したのだ。その判断は正しい。

 ボスゴドラへ無数の攻撃が命中し、倒したと全員が思った。

 

「だ、ダメです……! そいつは――」

 

「ゴドォーーーーーッ!!」

 

 ボスゴドラに倒されたトレーナーの一人が慌てて止めに入るが、遅かった。直後、ボスゴドラから強烈な衝撃が発生し、ジュンサー達は吹き飛ばされた。

 

「は、跳ね返した!?」

 

「あれはメタルバーストよ!」

 

 受けた技を増幅して返す大技だ。カウンター、ミラーコートと同じだが、その二つと違って物理と特殊の両方を反射出来る。

 しかし、受けた以上はダメージがあり、一斉に食らったからには相当なダメージのはずなのだが、ボスゴドラは物ともしていない様子だった。

 

「ボース……!」

 

「な、何なのよ、あのタフさ……!」

 

「皆、体勢を……立て直して……!」

 

 かなりのダメージを受けたが、だからと言って退くわけには行かない。この強さから、何としても倒さねば被害は間違いなくとんでもないことになってしまう。刺し違えてでも倒すしかなかった。

 

「何としても、このポケモンを――」

 

「カイーーーッ!」

 

 そこに更に雄叫びが響き、吹き飛ばされて戦闘不能になったポケモンが転がる。

 そちらに振り向いた彼女達が見たのは、青色の鍛え上げられた身体と四つの腕、ベルトが特徴のポケモンだった。

 

「も、もう一体……!?」

 

『カイリキー、怪力ポケモン。ゴーリキーの進化系。四本の力強い剛腕からは、目にも止まらぬスピードのパンチやチョップが繰り出される』

 

「さ、最悪だわ……!」

 

 このカイリキーからも、相当な力量を感じ取れた。ボスゴドラだけでも苦戦必須なのに、そこに同レベルのカイリキーまで加わってしまったのだ。最悪の事態だった。

 

「皆、陣形を――」

 

「カイ!」

 

 ジュンサーが呼び掛けるも、カイリキーの方が早かった。その剛腕の一つからばくれつパンチを放ち、一匹を戦闘不能。

 直ぐ側にいた警官のポケモンが辛うじて対応に当たるも、四つの腕の一つで掴み取られ、地面に叩き付けられると足払い――けたぐりにより倒される。

 

「く、くそっ! この化物――」

 

「リキィ!」

 

 弾丸の様には素早い拳が放たれる。鋼タイプの技、バレットパンチ。それを四つの腕で同時に行い、また一体が倒された。

 

「な、何て強さだ……!」

 

「ボー……スー……!」

 

 カイリキーの強さに気を取られていたが、その声に彼女達は思い出す。敵はもう一体いる事に。

 

「ゴドーーーッ!」

 

 ボスゴドラの口から、圧縮された鋼の光沢の光――ラスターカノンが発射。複数のポケモン、人々を吹き飛ばす。

 

「リキィーーーッ!」

 

 そして、何人かがラスターカノンに注意が向いてしまった。そこをカイリキーがバレットパンチやばくれつパンチで撃破する。

 

「そ、そんな……!」

 

「たった二匹に……!」

 

 二十人はいたトレーナー、警官達が、ほんの数十秒足らずで倒されてしまった。後戦えるのは、ベルにカベルネ、辛うじてジュンサーと二三人だけだが、ベルとカベルネを除くとほとんど戦闘不能だった。

 

「う、あ……!」

 

「……ダルマッカ、ヨーテリー、出てきなさい!」

 

「マッカ!」

 

「ヨー!」

 

 ベルがカタカタと震える中、カベルネは残りの手持ち、ダルマッカとヨーテリーを出す。

 

「カ、カベルネちゃん……!」

 

「やるしかないわよ……!」

 

「……うん!」

 

 辛うじてその台詞を出したカベルネに、ベルはへし折られかけた勇気を出す。

 

「チャオブー、ニトロチャージ! チラーミィ、ハイパーボイス!」

 

「フタチマル、みずのはどう! メブキジカ、ウッドホーン! ダルマッカ、ほのおのパンチ! ヨーテリー、10まんボルト!」

 

「チャオオーーーッ!」

 

「チラーーーーッ!」

 

「フーターーーッ!」

 

「メブブーーーッ!」

 

「マカカーーーッ!」

 

「テリーーーッ!」

 

 意地や勇気と共に六つの技が、二匹のポケモンに迫る。

 

「ボスーーーッ!」

 

「カイーーーッ!」

 

 しかし、意地や勇気だけで勝てる程、現実もこの二匹も甘くない。

 カイリキーは四本の腕による拳、ボスゴドラは鋼の身体で攻撃をはね除けてしまう。

 

「ぜ、全然効かない……!」

 

「……もう一度よ! フタチマル、メブキジカ、ダルマッカ、ヨーテリー! カイリキーにみずのはどう、ウッドホーン、ほのおのパンチに10まんボルト!」

 

「――ボス!」

 

 四つの攻撃にボスゴドラは前に出ると物凄い突撃を放つ。高い威力と引き換えにダメージを受ける大技、もろはのずつきだ。

 但し、ボスゴドラはその特性、いしあたまでその反動を受けない。つまり、ノーリスクで使えるのだ。

 それはみずのはどうや10まんボルトを弾き、草の力の突撃や炎の拳を放つメブキジカやダルマッカを容易く吹き飛ばす。

 

「メブーーーッ!」

 

「マッカーーーッ!」

 

「メブキジカ、ダルマッカ!」

 

 その一撃により、メブキジカとダルマッカは倒されてしまう。

 

「チ、チャオブー! チラーミィ! ニトロチャージと――」

 

「カイ!」

 

「ミィーーーッ!」

 

「チ、チラーミィ!」

 

 攻撃を指示しようとしたベルだが、それよりもカイリキーの方が一歩早かった。四連続の弾丸の速さの拳をチラーミィに叩き込み、即座に撃破。

 

「――リキ!」

 

「テリーーーッ!」

 

「ヨーテリー!」

 

 続いて、カイリキーは素早く離れるとヨーテリーに狙いを定め、ばくれつパンチを叩き込んで瞬く間に倒す。

 

「あ、あぁ……!」

 

 ボスゴドラとカイリキーの圧倒的なまでの強さに、ベルもカベルネも悟ってしまう。

 勝てない。自分達では、この二匹に万が一の勝ち目すら無い、と。それは周りも同じで、恐れ戦いていた。

 

「に、逃げて……!」

 

 ジュンサーが告げるも、恐怖から少女達は動けない。何も出来ない。このまま、最後のポケモンのチャオブーやフタチマルも倒されるだけ――そう思った時だった。

 先程ボスゴドラが現れた時と同じ、悲鳴と共に数匹のポケモンが吹き飛んだのだ。

 

「え……!? まさか、更に……!?」

 

「……い、いや、違うわ」

 

 但し、今回はポケモンだけ。それも、イッシュではない――つまり、ロケット団のポケモン達だったのだ。

 

「……」

 

 無数の岩がボスゴドラとカイリキーに向かって落下する。二匹は咄嗟に避け、『それ』を感じ取ったのか仲間が吹き飛ばされた場所を見る。すると、一匹のポケモンが姿を現す。

 

「……オノ」

 

「あのポケモンって……!」

 

「オノノクス……!」

 

 現れたのは、片刃の黒竜、オノノクスだった。

 

 

 

 

 

 ヒウンジムに避難しち向かったアイリス達。結果はそれなりの消耗はしたが、戦闘不能になったり、大きな怪我をした者はいず、避難は出来たでが、戦いは終わらない。

 

「ニドッ!」

 

「どくどくのきば! ドリュウズ、受け止めて!」

 

「ドリュ!」

 

 猛毒を込めた牙を、ドリュウズが受け止める。鋼タイプには、毒タイプの技は通用しない。

 

「ドリルライナー! ゴチルゼル!」

 

「リューーーッ!」

 

「ゼルーーーッ!」

 

「リナーーーッ!」

 

 螺旋の突撃、思念の光線、二つの効果抜群の技により薄い水色のポケモン、毒針ポケモン、ニドリーナが倒される。

 

「トリドドドッ!」

 

「どろばくだん!」

 

「ゼル!」

 

 一体撃破したばかりだが、油断は出来ない。もう一体のポケモンが口から球状の泥を連発してきた。

 ゴチルゼルは前に立ち、まもるでどろばくだんからドリュウズを守る。

 

「みだれひっかき!」

 

「ドリュ!」

 

「トドド……!」

 

 攻撃の後の間が出来た。その隙にドリュウズは爪で何度も引っ掻く。

 

「ゼール!」

 

「トドーーーッ!」

 

 そこに、ゴチルゼルのサイケこうせん。そのポケモンを強く吹き飛ばす。

 

「決めるわよ、ドリュウズ! ドリルライナー!」

 

「ドー……リューーーッ!」

 

「トリーーーッ!」

 

 決め技であるドリルライナーが炸裂。急所に当たった事もあり、そのポケモン――ピンクと茶色の軟らかい身体したウミウシポケモン、トリトドンも倒れた。

 

「ありがとう、ドリュウズ、ゴチルゼル」

 

「……リュズ」

 

「ゼルル」

 

 ドリュウズとゴチルゼルにお礼を言うアイリス。ゴチルゼルの相棒のサリィは、ヒウンジムの中で傷付いた人々の手当を行なっており、ゴチルゼルは防衛の戦力としてここにいた。

 キバゴ、ズルッグ、イーブイの三匹は子供なので、ヒウンジムにいてもらっている。

 

「も~、休む間が全然無いわ……」

 

 倒しても倒しても、直ぐに次が向かって来る。疲れる一方で、ドリュウズやゴチルゼルもダメージは少ないものの、疲労は溜まり出していた。

 

「アイリスお姉ちゃーん!」

 

「ヤブヤブ!」

 

「皆!」

 

 ニドリーナを倒して一段落した所で、保育園の子供達とヤブクロン、他の人々達と護衛のトレーナーや警官達がヒウンジムに到着する。

 

「無事だった?」

 

「う、うん。デント兄ちゃんやシューティー兄ちゃんに助けられて……。その後にここに……」

 

「そっか。じゃあ、ヒウンジムで休んで――」

 

「うわっ、何だ……? 砂?」

 

 一人のトレーナーが咄嗟に目を瞑る。どうやら砂が入りかけたそうだが、ヒウンシティには砂は無いはず。戸惑う彼等の前に――砂嵐と共に一体のポケモンが出てきた。

 緑色の岩のようにゴツゴツとした肌、いくつもの鋭いビレで覆われた背中。体の中心が菱形に開いており、首元やひざ部分などには黒い穴が開いてある。

 

「バーーーーーンッ!!」

 

「あ、あのポケモンは!?」

 

『バンギラス、鎧ポケモン。サナギラスの進化系。バンギラスが暴れると山が崩れ、川が埋まる為、地図を書き換える事になる』

 

 砂はバンギラスの特性、すなおこしが発生させた物。

 

「……バーーーンッ!」

 

 バンギラスの叫びと共に、巻き上がる砂が増す。その量と勢いがアイリス達が目を覆う。

 

「ギラァ!」

 

 バンギラスが拳を大地をに叩き付ける。地面からは大地のエネルギーが噴火するかの如く登り、トレーナーを巻き込みながら複数のポケモン達を攻撃する。

 

「怯むな! こいつを倒――」

 

「バーン!」

 

 無数の尖った岩がバンギラスの周囲に展開される。ストーンエッジだ。それを一斉に発射し、だいちのちからで消耗したポケモン達に止めを刺していく。

 

「――バン!」

 

 バンギラスは更に接近し、まだ体力が辛うじて残っていたポケモン達に炎の拳、ほのおのパンチを叩き込んで次々と戦闘不能にしていく。

 

「ギラ……!」

 

 数体のポケモンを倒したバンギラスは、次にドリュウズとゴチルゼルを見る。次の獲物にしたようだ。

 

「ア、アイリス姉ちゃん……!」

 

「あたし達が何としても倒すわ……! だから、中に入るのよ!」

 

「う、うん! 頑張って、アイリスお姉ちゃん!」

 

 アイリスの言葉に、子供達は慌てて向かう人々同様にヒウンジムに入る。

 

「ドリュウズ、ゴチルゼル……! 絶対に倒すわよ!」

 

「……リュズ!」

 

「ゼル!」

 

 逃げるわけには行かない。アイリスは、震える身体に渇を入れ、バンギラスと対峙する。

 

「行くわよ、バンギラス!」

 

 巨大な敵を前に、少女は立ち向かう。

 

 

 

 

 

「避難の受け入れ、感謝します」

 

「いえ、この非常事態。受け入れは当然の事です」

 

 バトルクラブ。アーティとドン・ジョージが受け入れについて話していた。

 

「様子は?」

 

「良いとは言えませんな……。手当ては来てくれた医師達のおかげで何とかなってますが、防衛は維持が一杯一杯です」

 

「かといって、サトシ君達を呼び戻す訳にも行かないからね……」

 

 バトルクラブに到着したサトシ達は、Nとサトシ、数人を連れて救助やフシデ達の確認をしている。

 彼等を戻すと、人々が暴走したポケモン達に襲われる可能性が高まるし、救助や確認が出来なくなる。

 

「ア、アーティさん!」

 

「どうしたんだい?」

 

「外に強いポケモンが!」

 

「分かった。こちらは任せます」

 

 バトルクラブに避難した人々についてはドン・ジョージに任せ、アーティは外に出る。

 

「ロス……」

 

「強い……!」

 

「強すぎでしょ、このカイロスってポケモーン!」

 

 倒れたポケモンやトレーナー、残ったマコモ、ショウロ、ムンナやムシャーナの前にいるのは、所々棘がある二本の大きな角が特徴のクワガタポケモン、カイロスだ。

 

「おやおや、虫タイプのポケモンかな? こんな風に戦うのが残念だよ」

 

「……」

 

 カイロスはアーティが強いと感じたのか、敵と認定。鋭い眼差しを向ける。

 

「ハハコモリ!」

 

「ハッハーン」

 

「さぁ始めようか、君と僕の勝負をね」

 

「――カイ」

 

 虫タイプのカイロス、虫タイプのエキスパート、アーティのバトルが始まる。

 

「これは手強そうだね……」

 

「はい……!」

 

 一方、救助を行いながらセントラルに向かうサトシやN達だが、彼等の前にも二匹のポケモンが立ちはだかっていた。

 

「ゲゲゲ……!」

 

「プテー……!」

 

 その二匹は、紫色の身体に赤い目が特徴のシャドーポケモン、ゲンガーと、岩の様な色の身体に翼と尾、のこぎりの様な歯と化石ポケモン、プテラ。

 この二匹は、セントラルエリアに向かうサトシ達の前に突然現れたのだ。他のポケモン達よりも強さを感じる上、興奮も控え目。強敵だと二人は感じていた。

 

「だけど、一刻も早く倒そう」

 

「俺もそのつもりです!」

 

 時間が掛かれば掛かるほど、周りの人々への負担は増す、確認が遅れる、救助にも支障を来す。それらを避けるには、短時間で倒すしかない。

 

「――ワルビ!」

 

「ゲン!?」

 

「プテ!?」

 

 そこに無数の石がゲンガーとプテラに迫る。それはかわされたが、突然の攻撃に全員がそちらを注目する。すると、一匹のポケモンが出てきた。

 

「ワルビル!」

 

「ルビ」

 

 砂鰐ポケモン、ワルビルだった。彼はサトシ達をしっかりと見る。

 

「協力してくれるんだな?」

 

「ワルビ」

 

 サトシの言葉に、ワルビルは頷く。どうやら、この緊急時に頼もしい仲間が増えた様だ。

 

「――行くぞ!」

 

 全ての手持ちと、Nとワルビルの協力を得て、サトシは二匹の強敵に挑む。

 それぞれの場所で、要となる攻防戦が始まる。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。