前書きなのに書き終わってから書いてますw
なぜか?
正直、満足のいく感動の試合を描けた自信も実感もないからです。
ひたすら焦らして期待をあおっておきながら申し訳ないのですが、期待をしないようにというくぎ打ちのために前書きに書いておきます。
なんというかビミョーな感じです。
多分、読み終わったころにわかっていただけるかと思います。
それでも読んでくださる心優しい方は心の準備をしてお進みください。
それでは、どうぞ。
昴が動きやすい格好に着替えている間、そのほんの少しの間を使って、真帆が俺を紹介したいというので、俺は昴君が守り、現在も続いている女バスメンバーの前に立っていた。
「こちら、あたしのせんぞくこーちの、いっちー!」
真帆は手をひらひらと振って俺を盛大に紹介してくれる。
それに対して、いっちーさん、こんにちわ!と全員が俺に対して丁寧にも腰を折ってくれた。
だが、俺は少女たちの合唱の内容の一部に疑問点を感じた。
いっちーさん?
もしかして、本名教えてないんじゃ?
真帆のことだからいっちーって呼んでるうちに本名を忘れた、とかそういう落ちがあってもおかしくない。
そう思って一応、俺自身も名乗っておくことにした。
「俺は、一之瀬 真。コーチなんて大したことはやってないけど、真帆の練習相手をさせてもらってる。一応みんなの名前も教えてもらっていいかな?」
こどもを相手にするときはできるだけ砕けた口調の方がいい、というのを本で読んだことがある気がしたので俺は丁寧語は抜きにして、できるだけ親しみやすいように柔らかい雰囲気で問いかけた。
「み、湊 智花です!智花と呼んでください。」
「うん、智花ね。よろしく。」
「は、はい!よろしくお願いします!」
「もっかんはこの中で唯一のバスケ経験者なんだよ!」
うれしそうに真帆が補足説明をしてくれる。
同じような感じで、紗季に愛莉、ひなたと全員が自己紹介をしては、真帆がその都度なにかと説明を加えてくれた。
おかげで、俺は大体の全員の感じをつかむことができた。
とはいってもただ単なる時間稼ぎにすぎないのだが。
別に今後彼女たちと会うこともめったにないだろうし。
さて、これから話すこともないし、どうしようか。
そう思った時に、彼は再び体育館へと足を踏み入れた。
何の特色もない、緑色のズボンに半袖の真っ白な七芝高校の体操服を着て、その上から赤色の4という数字が大きく書かれたユニフォームを着て、長谷川昴は闘志を隠そうともせずに、真剣な顔つきで姿を現したのだった。
☆
ボールを相手から奪ったら、スリーポイントラインがボールクリアのラインである。
11点を先に制したほうが勝ちである。
ほか、ファールなどは公式ルールにのっとる。
ファールの場合はオフェンスとディフェンスの変更はしないで、再開とする。
大方のルールをお互いに確認し終えた二人は、どちらが先にオフェンスかをフリースローによって決定した。
最初のオフェンスは、真になった。
審判は小学生の中では唯一の経験者である智花が担当することになった。
智花から昴にボールが渡される。
「頑張ってください!」
「あぁ、ありがとう」
智花からの激励に対して昴は優しい笑顔でお礼を言う。
体育館が緊張に包まれる。
誰一人として声を発しないことが、余計にこの体育館の緊張感を増長させていた。
そして、昴から真にボールが渡って試合がスタートする。
真はボールをもらったとたんにいきなりシュート体制に入った。
そんなすぐにではしっかりとシュート体制も整えられていないはず。
なにより、せっかく先攻を得たのにわざわざ初めからそんな危険な行為には及ぶまい。
そう考えて、昴は真のシュート体制はフェイクだと判断し、ボールが上から落ちてくるところを狙おうと考えた。
だが、真はそのまま何のためらいもなくシュートを打った。
昴はそのボールの軌道を慌てて目で追う。
だが、昴の予想通りボールはゴールに入る軌道ではなかった。
この位置なら自分の方がボールには近い。
よし、このボールをクリアして先に一本決めてやろう。
そう思った矢先に……
突然、昴の視線の逆サイドのすぐ隣から突風が昴の背中を押した。
ボールは昴の予想通りリングにあたってはじかれた。
だが、その現象に対してつい先ほどまで感じていた安堵感を今は毛ほども感じていなかった。
―――ダメだ、追いつけない。
昴もその風に押されて慌てて動き出したが、時すでに遅し。
真はその時すでにボールまで追いついており、かがんで跳躍体制に入る。
昴はその姿を、小学生と同じく目で追うことしかできなかった。
真はそのまま大きく跳躍し、はじかれたボールを片手で取ったかと思うと、そのボールをリングのど真ん中へと叩きつけた。
見とれている、見入っている、というよりは目の前で起きたことに驚きすぎて目も思考も止まっている。
真を除いた体育館の人間はまさにそんな感じだった。
「どうだ?目は覚めたか?」
真は昴に問うた。
昴はすぐに真の言っている意味を悟った。
頭で考えるな、体が示すままに動け。
自分にそう言い聞かせて、昴は再び頭のスイッチを入れた。
自分に喝を入れるために、二回両手でを頬を打つ。
「あぁ、ばっちりだ!」
その反応に満足したように真は口もとを釣り上げて
「そうこなくっちゃな!」
と言った。
今度は昴がオフェンスになる。
だが、気合を入れなおしてどうこうなるほど現実は甘くなかった。
昴は今までにないほどまでに意識を高めて、相手に集中した。
そして、一気に右にドライブで駆け抜けた。
抜いた自信はあった。
大抵の相手ならば、ここで完全に諦めていたことだろう。
だが、次に瞬間、昴はボールを手放すことになった。
後ろから伸びてきた真の手によって。
まるでドライブで抜くことを予想してたかのように、昴のドリブルに真の体は反応し、顔だけをボールの方に向けて真は左手をボールへと差し出した手が見事なまでに昴からボールを奪い去った。
「少しはマシになったな。」
ボール回しをしながら、まだまだ余裕綽々で真は言う。
マシになった?
昴は少し疑問を感じた。
だって、今切り込んだスピードはおそらく今までの中で最高の速度であったと昴自身が思っていたからだ。
だが、真の言葉でまだ先のスピードに行けることを昴は感じ取った。
次に瞬間、真のその気持ち悪いまでのなめらかなボールハンドリングに全員の目が再びくぎ付けになった。
それはまるで、NBAの名選手ホット・ソースのような奇怪で次にどうくるかの分からない変幻自在の動きだった。
一度、ハンドリングを止め、普通のドリブルに戻した真は昴に言った。
「お前に俺が止められるかな?」
明らかなまでの挑発。
挑発として繰り出す技のレベルとしてはいささか昴には高い気がしたが。
それでも、昴はそれに対し、燃え上がった。
「あぁ、止めるさ!」
再び、二人の攻防が再開する。
だが、どれもこれもネットを揺らすのは真の手から放たれたボールのみ。
だが、状況はだんだんと変化しつつあった。
真が点数を取る速度が徐々に減速し始めたのだ。
初め、3点をとるのにかかった時間とその次に2点を取るのにかかった時間では、明らかに2点を取る方に多くの時間をとられていた。
おそらく昴も徐々に慣れてきたのだろう。
真のトリッキーで変幻自在なその動きに。
だが、すでに点数は10-0。
もはや、昴にあとは残されていない。
「次で、ラストだな」
散々翻弄されて、今や昴の体はまるで風呂を浴びたように汗まみれだ。
対して真はといえば、汗はかいているものの昴ほどではない。
息のあがりかたも明らかに昴の方が荒い呼吸をしていた。
だが、昴の動きはむしろ今の方が最初の方よりも圧倒的に速かった。
少なくとも昴はそう感じていた。
昴の体が真の動きに頭ではなく体でついていこうとしたことで、そのスピードに対応しだしていると。
常識を打ち崩されて、それでもなお食らいつこうとする心を持っていた昴だったからこそ、神は救いの手を差し伸べたのかもしれない。
真から1点をもぎ取る。
それだけに昴の頭は埋め尽くされていた。
真しか見えていない今の昴だったからこそ、見えたものがあった。
ふっと真が小さな呼吸で息を抜いたのだ。
その瞬間を見逃すほど、今の昴に余裕はない。
すかさず、右にドライブで攻め込んだ。
真は、一瞬動かなかった体に驚きつつ、それでも無理やり体を動かそうとした。
おそらく真自身、気を抜いていることにさえ気づいていなかったのだろう。
昴の成長は早い。
とてつもなく早い。
それはおそらく、真と闘うことによって昴に眠っていた本来のポテンシャルが解放されていっているのだろう。
そして、その成長力は今、試合を始めたころならば考えられなかったようなことを起こそうとしていた。
「うぉぉおお!!」
だが、それを阻止してこその勝負だ。
発声を動力として、一気に昴へと追いつき、ボールを取ろうとする。
「……しまっ」
その時、昴は真の想像を初めて超えた。
真のボールを狙ったその手は空を切り、昴はシュート体制をとっていた。
真がボールに食らいついてくるのを読んでいたのだ。
逆に真は昴がまさかこんな遠い位置からシュートを狙うなんてことを微塵も考えていなかった。
いくら、変幻自在の動きをする真であったとしても、一度下に向けた重心を上向きにするにはワンテンポが必要になる。
最初の昴ならば、ワンテンポ程度どうということはなかっただろう。
だが、今の状況でそのワンテンポは、シュートを成功するかしないかの瀬戸際のものだった。
(今の俺なら入る……!!)
確信をもって昴の手からはなれたボールは初めの真のシュートとは違いしっかりとした軌道をえがく、そして、ネットを揺らした。
初めて、昴は真から1点をもぎ取った。
「よっしゃぁぁああああああ!!!!!」
両手を上げて昴は喜んだ。
かと思えば次の瞬間には、昴は倒れて深い眠りに落ちて行った。
真は近くに放っておいた自分タオルをその満足そうに笑っている顔にかけてやった。
「お疲れさん。いい試合だったぜ。」
真も、昴と同様に最高に満足していた。
その後、小学生たちに案内してもらって真は昴を保健室まで運んで行った。
今回は正直感想をいただくのが怖いですね……
でも、今後、より良い作品を作りたいので、今回の話についてどういう意見を持ったのかぜひとも声を聞かせてほしいです。
……私の心が折れない程度にオブラートに包んでくれるとありがたいです。