ロウきゅーぶ! ~もう一人のコーチ~   作:アレイスター

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意外にも合宿までに終わらせなければならない宿題が早くに終わらせることができましたので、本日も頑張って更新したいと思います!

これが終わったら地獄の勉強合宿へと赴きます……。



第十二Q リベンジ

幸いにも智花が自分の家の連絡先を覚えていたために連絡は速やかに行われた。

真の家のある町の名前を口にすると、どうやら来たことがあったようで、車で智花の親が近くの駅まで迎えに来ることになった。

だが、仕事の都合もあってすぐに、というわけにはいかず、7時(19時)に駅まで迎えに来てもらう、という結論に至って智花は電話を切った。

 

ただいまの時間は5時(17時)

 

智花の親が迎えに来るのにはまだ2時間もの余裕があった。

智花は真帆とは違い、小学生の割には恥じらいを覚え、言葉遣いも丁寧で、すこし引っみ思案な性格のようで、2時間という長い時間を会話だけでもたすことは自称口下手の真にとってはかなり難しいことだった。

 

だから、真はすぐに行動に出た。

 

「近くの公園にバスケットゴールがあるんだけど。俺とやりたくない?師匠のリベンジマッチ」

 

「い、いいんですか?真さんも昴さんとの勝負で疲れて、……ふぁっ!ごめんなさい!私、いつの間にかファーストネームで」

 

長谷川のことを昴、と呼んでいたからおそらくはその流れで同じように真、と呼んでしまっていたのだろう。

その事実に気づいて智花は途端、顔を真っ赤にした。

 

そんな智花の姿を見て真は軽快に笑い飛ばした。

 

「あははは、いいよ、いいよ、気にしなくて。それにしても、本当に小学生とは思えない立ち回りだな、智花は。真帆とはまるで正反対だ。」

 

「ふぇ!?そ、そんなことないです。私なんか、まだまだ未熟で。バスケのことになるとすぐ熱くなって、周り見えなくなるし……」

 

「そういや、あの中じゃ唯一の経験者なんだっけ?どれくらいの強さか、俺も興味あるな。で、どう?やる?やらない?」

 

真帆の最初の力量を見る限り、きっと智花が男バスに対して圧倒的な力の差を見せつけたおかげで勝てた分は大きかっただろう、と真は思っていた。

 

それは半分正解で半分は間違いだ。

確かに、智花なしで男バスに勝てる可能性はゼロだっただろう。

しかし、智花だけがキーマンとして男バスの陣形をかき乱し、勝利を収めたのか、と言われればそうではない。

昴が個人に一つだけ技を持たせ、それを最大限にまで生かした作戦。

その作戦に対して、智花がいるのといないので大きな違いは出ただろうが、それでもやはり智花も作戦の1ピースとしての役割しか果たしていないのだ。

そして、その作戦によってチームは勝利したのだから、あれは智花一人の勝利、というよりは、チームの勝利と言っていい代物だった。

 

そういう意味で、アバウトな説明を真帆から聞いているだけの真は少し智花を過大評価しているかもしれない。

 

「もちろん!真さんがよければぜひ!」

 

「それじゃあ、行こうか。」

 

その答えに満足したように真は微笑み、家からバスケットボールを持って二人公園へと向かった。

 

 

 

                ☆

 

 

 

相変わらずというべきか、公園は閑散としていた。

人っ子一人いない無人の公園。

 

そんな公園のバスケットゴールの下で向き合う智花と真。

 

「さぁ、おいで」

 

不敵に笑いながら腰を落として智花が来るのを待つ。

 

「行きます……!」

 

智花は一気にドライブで切り込んでいく。

真は目前、というところで一度ドリブルに切り替えてボールを後ろにつけて相手の様子をうかがう。

 

否、そうではない。

 

智花は止まらざるを得なかったのだ。

これ以上一歩でも切り込んだらボールを取られると悟った。

だから、切り替えた。

切り替えざるを得なかった。

だが、いつまでたってもこうしているわけにはいかない。

 

「止まってても、俺には勝てないぜ?」

 

真の言うとおりだった。

それに、今は真は動かないでいるが、もし真がつめてきたら、否応なしに攻めるしかなくなる。

その前に、智花は自身が自由に攻められる間に攻め落とさなければならない。

目の前のとてつもなくデカい、難攻不落の城を。

 

智花は大きく呼吸をして心を落ち着ける。

そして、次の瞬間、全力で再びドライブで切り込んだ。

真は悠々と智花の前に回り込む。

 

(真さん、本当にこれであの重りつけてるの!?)

 

あまりに速い真の動きに思わず智花は心の中で叫んだ。

だが、それだからと言って一度攻め始めた以上この侵攻を再び静止させることはもうできない。

智花は、背中でボールをついてドリブルの手を逆の手にうつし、切り返すようにして責めるビハインドを使って真を振り切ろうとする。

だが、一向に真が自分の後ろに回ることは無い。

それどころか、真がその気になればこの時点でボールはもう智花の手にはなかったかもしれない。

それほどまでに余裕をもって真はその切り替えしに追いついて見せた。

智花は先ほど昴が闘っていた相手がいかに化け物であったかを切に痛感していた。

 

智花は動きを中断することなくさらに次にアウトサイドフットを軸足にして大きく回転する動き――ロールで真を振り切ろうとした。

だが、回った先にまた真の姿があった。

そして、ドリブルをしようとボールを放したとき、ボールは地面まで落ちることなく、その場で静止した。

 

「ナイス ハンドオフ!」

 

ハンドオフパスは直接手渡しするパスのことだ。

 

「ふぁ………!」

 

ボールの下には真の手があった。

そして、ひょい、とボールを奪った。

真はそのままクルリとまわり智花に背を向けてゴールの方へと走り出す。

 

智花はあまりに衝撃てきな出来事に体が動いてくれない。

そして真はきれいにレイアップをしてボールを沈めた。

 

「まだやるか?」

 

ボール回しをしながら、真は口もとを釣り上げ挑発的な目をして智花を誘う。

 

「まだまだ、これからです!」

 

「さすが、よく似てる」

 

皮肉は言いながらも、真の顔は答えに満足したように笑顔だった。

 

 

               ☆

 

 

空が暗くなるまでの間智花は一歩も譲ることなくずっと俺に挑んできた。

まだ小学生で体が出来上がってないし、トレーニングも少ないだろうし、動きが遅いのは仕方が無いにしても、驚くべきはそのテクニック。

ボールは友達、という風に好き放題についていても自然と智花の手に戻っていく。

この歳であれだけができるのはもはやセンスの域だろう。

だが、技術の面でのセンスはあっても駆け引き、勝負の場面でのセンスはイマイチだな。

視線、呼吸、足の運び、どれをとってもやはり半人前。

あとは、抜くときにどう抜き去るかの発想の自由さと工夫力がたりない。

勝ちにこだわる執念は確かだけど、その方法はとても単調だ。

……というのは、やっぱり厳しすぎるか。相手はまだまだ小学生だし。

真帆よりは断然上だし。

当分は真帆は智花を目指すことになるだろうな。

 

力尽きた、という感じでベンチに座り込んでいる智花。

冷えた缶のアクエリアスを持った俺。

前にも似たようなシチュエーションあったな。

俺が智花の位置にいたような気もするが。

一応お約束ということで……

 

「ひゃう……!!!」

 

智花は真帆よりも肌とかには敏感なようだ。

智花は自分が疲れているということも忘れて立ち上がっていた。

 

「ごめん、ごめん。ほら、アクエリ。飲むだろ?」

 

「うぅ~、酷いです。でも、ありがとうございます。」

 

うれしそうに受け取って智花はゆっくりとアクエリを流し込む。

まったく、どうしてこう、皆アクエリを飲んでいるときが一番の笑顔を見せるのだろう。

すごく幸せそうにふぅ、と一服ついた智花を見てそう思った。

智花はアクエリを飲み終わると、丁寧にゴミ箱に入れて、再びベンチに戻ってきた。

 

「それじゃあ、戻るか。ちょうどいい時間だし。」

 

それを言って真は一つ思い出したことがあった。

真帆が練習の後、汗でベトベトだから風呂に入らせて、と言ったことだ。

おそらく、ずっと全力だった智花が汗まみれじゃないはずがない。

とすると、智花も風呂に入りたいのだろうか?

でも、着替えないしなー。

 

「あの……」

 

智花が唐突に口を開いた。

 

「なに?」

 

風呂か?風呂のことか?でも智花の性格上言いづらそうだなぁ。

だが、智花の言いたいことに対する俺のこの考えは大きな的外れだった。

 

「どうして、そんなに強いんですか?」

 

これはなかなか難しい質問だな。

どう答えたらいいんだろうか。

あんまり話しすぎると、複雑すぎるし、きっと智花のききたいこともそんな複雑な部分までではないだろう。

 

「俺、中学の時アメリカにバスケしに行ってたんだ。それで、ちょっと向こうでもまれてきたからな。」

 

「アメリカですか!?」

 

俺のその言葉を聞いた智花は目を輝かせて言い返した。

その後俺は智花にアメリカについての質問攻めにあった。

どんな選手がいたのか。

俺がどれくらい強かったのか。

英語はどうやって覚えたのか。

智花はおそらくアメリカに憧れているんだろう。

少なからず、バスケットをしている人間ならアメリカで一度でいいからNBAの試合を見てみたいと思うくらいアメリカでのバスケは盛んだ。

智花がバスケのことになると熱くなる、というのはどうやらまぎれもない事実だ、ということが証明されたわけだ。

家まで歩くスピードを落としたりして、智花の話も聞きつつ、質問に答えつつ、ようやく全て聞き終わったところなのか、はたまた家にもう着くからまだ聞きたいことはあるけど中断してくれたのか、質問タイムは終了になった。

 

と、そこでようやく俺はさっきまで風呂のことを考えていたことを思い出した。

一向にしてその話題を出さないから忘れるところだった。

いや、話題に出さないってことはどうでもいいってことなのだろうか。

まぁ、きっとそうだな。

 

そう思って開き直った俺は家の玄関のドアを開けようとした。

とそこで、袋がドサッと落ちた音が後ろから聞こえた。

 

ふりかえると、特に若々しくも感じない、年相応の姿かたちをした女性、すなわち母さんがそこには立っていた。

母さんは俺の姿を見るや否や、ためらいもなくケータイを取り出し

 

「もしもし、警察ですか? 目の前に誘拐犯がいるんですが」

 

 

 

 

 

即断で警察に通報しやがった、この野郎。




少し中途半端ではありますが、明日のことと兼ね合いがありますのでここで一度中断とさせていただきます。

またしても、メンドクサイところに物語が進んでいったな、と私自身思っております。
さっさと、もっと面白い展開に移動したいのに、やりたい話いっぱいあるのに
才能がないばっかりにキャラたちが勝手に動いていくのが悲しいです。
私は、ひたすら読者様がわかるように説明を考えるばかりで。

また、感想などあればよろしくお願いします。
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