ロウきゅーぶ! ~もう一人のコーチ~   作:アレイスター

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第十五Q バスケ同好会

やはりある程度は心配していたのだろう、朝一番に家に智花の親から電話が入り、もともと予定していた駅まで智花を送って、智花とは別れた。

俺は、その後、家に帰ることなく病院に向かった。

昨日の激痛は思い出すだけでも冷や汗が出てきそうなほどだった。

今までに経験したのことのない痛みにさすがに不安を感じずにはいられなかった。

歩ける程度までは回復したが、今もまだ痛みが引いたわけじゃない。

大体原因はわかっているが、とりあえず、どのあたりまで自分の体がやられたのかは知っておきたい。

 

朝早くということもあってか病院はそれほど混んでなく、割と速やかに診察は行われた。

医者は、俺の体の状態に目を丸くして、一体何をしたらこうなるんだ……?とあきれ気味に問った。

嘘を答えてもろくなことにはならないと思い、重りをつけて全力でバスケの試合をした、といったらこっぴどく叱られた。

そして、一週間の絶対安静が言いつけられた。

もちろんだが、重りをつけての練習は重さの限度も考えて、試合などをするときは外すようにも指摘された。

まぁ、病院に来なきゃならない事態になった以上返す言葉のない。

アメリカにいたころと違って、こちらでは大した練習相手がいない。

このまま何もしなくては、せっかく埋まった実力差がまたどんどんと開いてしまう。

そう言った焦りから重りをつけ始めた。

 

 

――強くなるために。

 

 

そして

 

 

――ココでは強すぎる自分への枷として。

 

 

だが実際、重りは枷としてこそ働いたが、本来の目的であった実力向上にはあまり貢献されてないことが昨日の試合ではっきりした。

実践の勘が鈍った。

たった一か月にも満たない間に、疲れ切った相手のフェイントすら見抜けないほどに。

そのうえこのザマだ。

結局のところ重りは意味がなかったわけだから、これを機に一度練習に関しては見直してみようと思った。

発展途上の果実がすでに周りに何人かいることだし。

やはり、バスケは一人じゃできない。

俺は、そのことを痛切に感じていた。

 

 

 

               ☆

 

 

 

現在、昴たちのバスケ同好会は、本来のバスケ部、とまではさすがに主戦力であったキャプテンが抜けた状態なので言えないが、それでもある程度まで元の実力にまでは戻りつつあった。

きっかけは、この土日にやった練習で先輩たちと偶然遭遇したのがきっかけだった。

昴、葵、一成と中学時代の女子バスケ部員だった他校に通う柿園と御庄寺の5人の非公式バスケ同好会のメンバーはこの土曜日に打ち合わせて、同好会として練習をしていた。

バスケゴールがある練習場なんてそれほど多くないこの街でそれが起こるのはそれほど奇跡と言える出会いではないのかもしれない。

が、やはりラッキーであったには違いなかった。

例の一件があっても、やはりバスケが好きだ、バスケがしたい、という七芝高校のバスケ部の先輩たちが昴たちと同じ場所に、バスケットボールを持って練習に来たのだ。

昴の顔は、先輩たちの間でもそれなりに有名だったようで、向こうから声をかけてもらい、昴たちとともに練習をした。

ちょうど5人ずつでゲームをしたが、先輩たちにはやはり手も足も出なかった。

もちろん、一成みたいな素人がいたのも原因の一つではあったのだろうけど、決してそれだけじゃない。

やはり、高校と中学ではまったく実力が違うのだと昴は思い知った。

 

 

……一人の例外を除いては

 

 

ゲームを終えて一度休憩に入ったときに、昴たちがどうしてここにいるのか、という話題になり、そこからバスケ同好会の話が持ち上がった。

初めは先輩たち全員が目を丸くし、その直後に笑った。

なんだそりゃ、とバカにされた。

それに対して昴はムキになって

 

「俺たちは本気です!」

 

と言い返した。

そのあと先輩たちはどこか遠くを見るような顔でこういった。

 

「あーあ、ほんと俺たちもこりねーよな」

 

空を仰ぎながら一人の先輩が口火を切った。

 

「学校でも随分と白い目で見られて」

 

また違う先輩が言葉を発した。

 

「やる気も、なにもなくなったと思ってたのに」

 

また別の先輩が言った。

 

「それでも、やっぱり……」

 

「「「「「止められねぇ!」」」」」

 

まったく、寸分たがわぬ同じタイミングで全員が言った。

誰一人として、本気でバスケ同好会をバカにしてはいなかった。

ただ、環境が環境だっただけに、上っ面でバカにせずにはいられなかっただけだ。

 

おそらく昴たち新入生に向けられている視線と違って、先輩たちはもろにロリコンというレッテルをはりつけられた視線を当てられていることだろう。

肩身の狭い思いをしていることだろう。

そんな中でもここに来た。

この中に、バスケのことでバカにするような人はいないと確信できた。

 

「来年、復帰したときに無様に負けないために」

 

「俺たちも同好会に入れてくれよ。」

 

こんなに心強い味方はいなかった。

昴は、キャプテンの周りを生かすプレイに憧れて七芝高校に入った。

だが、その先輩がロリコン疑惑で学校を追い出され、目標を失って、もう七芝のバスケ部員に興味はなくなっていた。

もちろん、経験者であることに越したことはないが、その程度の認識だった。

だけど、今日、それは間違いだったと気づいた。

 

キャプテンだけじゃない。

 

七芝のバスケ部には、キャプテンと同じくらいに尊敬できる、目標たる先輩たちがたくさんいたことに昴は気付いた。

 

「こちらこそ、よろしくお願いします!!」

 

昴は、尊敬すべき先輩たちに勢いよく頭を下げていた。

 

 

               ☆

 

 

七芝高校元バスケ部顧問の明智 泰成はバスケ部が大っ嫌いだ。

もともと暑苦しいのが嫌いなのに、半ば強制的に顧問なんて言う面倒な役割を負わされ、そのうえ大事な娘がその暑苦しい連中のリーダーと恋仲で駆け落ちまでしようと考えていたのだ。

なにもかも、アイツらが悪い。

だが、それももう終わりだ。

無駄に実績があったために廃部までこそ持って行けなかったが、あれだけの騒動があって一年もの休部を食らったのだ、戻ってくる人間なんているわけがない。

ほぼ廃部だ。

そう、余裕をこいていた泰成の耳に最近、とんでもなく嫌なニュースが飛び込んできた。

この七芝高校で非公式のバスケ同好会という、あの憎いバスケ部連中が主導となって動くグループができたのだという。

よくもまぁ、あれだけのことがあってまだバスケをしたいと思えるものだ、と泰成はあきれ返った。

だが、これでは来年にはまた再びあの部活が、憎くて仕方のないバスケ部が復活してしまう。

それだけは、避けなくてはならない。

あの部活だけは、なんとしても自分の目の前からは滅ぼしておかなければ気が済まない。

だが、どうする?

どうやって、あの暑苦しい連中をねじ伏せる?

しばらく考えてから、その答えはおのずと見つかった。

すぐさま受話器を取ってとある電話番号にコールをかけた。

2,3コール目で相手は応答してくれた。

 

「もしもし、七芝高校の明智ですけど……」

 

 

数分の会話後、よろしくお願いします、という結びで明智は受話器を下ろした。

そして、あくどい笑みを浮かべて鼻で笑った。

頭の中で暑苦しくバスケをしているバスケ部員たちに向けて。

 

 

お前たちの大好きなバスケで、お前たちを立ち上がれなくなるまでコテンパンにしてやるよ……

 

 




朝に書いていて、少々頭が回っていません状態で書きましたので、誤字やら、描写不足が多い気がしてなりません(^_^;)

感想などお待ちしておりますので、よろしければぜひお願いします。
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