ロウきゅーぶ! ~もう一人のコーチ~   作:アレイスター

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どうも、お久しぶりとなりました。

久しぶりに書くことにしましたが、何分久しぶりなので、へたくそなことはご容赦いただきたくおもいます。




第十六Q 実力

医者から言い渡された絶対安静期間を抜けて、晴れてようやく自由に動けるようになった今日、俺は、例のコーチ役として再びあの公園で真帆と待ち合わせをしていた。

一週間、医者の言うとおりにしっかり安静にしていたかと言えば、そうではないのだが、やはり動きをセーブしていたことは否定できない。

久しぶりだから、真帆との1on1の時、しっかり手加減できるかな、などとかなり今日のテンションは高かった。

どうやら、前回と違って今回はこっちが早く着てしまったようで、まだ公園には誰もいない。

医者の忠告の下、ネットで練習方法を調べてみたところ、重りなどと言った昭和の根性論の練習はバカらしい、と散々書かれてあったこともあって現在、俺は重りをつけていない。

かなりぼろくそに書かれていたが、結局体を壊してしまった俺には返す言葉もなく、というかそれが正しいことを身を以て理解し、現在はより効率的な練習方法を模索している最中だが、効率を求めだすと、やはり強い奴らと実践する以上の効率的な練習はないだろう、とも実感しつつある。

とりあえず、真帆が来るまでの間、俺も少し体を動かそう。

そう思って、持ってきたボールを地面につく。

そして、自分の体が妙に軽いことに気付く。

 

そういえば、重り外してからボールってまだついてなかったっけ?

 

重りを外したのは医者に忠告された一週間前だ。

確かに、その時も俺は随分と体が軽くなるのは感じたが、今回の体の軽さはそれとは全く違う感覚。

今まで、重りをつけてボールをついているのが当たり前だったためか、自分がすごく動けるように感じるのだ。

 

公園の中を体の赴くままに、今まで磨いてきた技を全力で観客の居ない公園で披露して見せた。

いや、観客は一人いた。だが俺はそのことにテンションのあまりに気付かなかった。

その少女は、驚きと、そして、怒りを感じていた。

 

 

                ☆

 

 

約束をしていた時間ぴったりに真帆は公園を訪れた。

そして、そこで見た光景に息をのんだ。

公園の遊具を相手の代わりにしているのか、遊具のそばを恐ろしいほどのキレの良さでボールをついて抜いていく。

先週の昴との戦いのときとは、まるで別人の動き。

あの時、真は言った、本気でやる、と。

お前が本気にさせたんだぜ、と言った。

じゃあ、今のその動きは、この一週間で身に着けたとでもいうのだろうか?

そんなことはありえないのは、この一週間、真に言われたメニューをしっかりとしんどいながらもこなしてきた真帆が一番よく知っている。

なんで真が嘘をついたのか、真帆にはわからない。

全力を見せてくれると、確かに真は言ったはずなのだ。

そんな時に、真は真帆の存在に気付いた。

 

「真帆、来てたのか。 声かけてくれたらよかったのに。」

 

なんで?

あたし程度の奴に本気なんて見せる価値なかったってこと?

何か全力が出せない理由でもあったの?

だったらなんで教えてくれなかったの?

 

「よし、じゃあ、始めようか。」

 

「……んだよ」

 

「ん?」

 

「なんだよ、今の動き!!!! いっちーのバカ!!」

 

頭がぐちゃぐちゃになって、真帆はとりあえずその場から立ち去った。

その数秒後フリーズから回復した真は自分がどういう立場だったかを思い出した。

智花の件があったことと、自由に動けるようになったことの喜びですっかり忘れてしまっていた、昴との一戦の出来事のこと。

あの時の真は間違いなく本気だった。

だが、今の動きを見せてしまえばそれは嘘だ、と当然誰もが思うし、だから重りのことについても智花に黙っててほしいとお願いしたのだが、

 

「何してんだよ、俺! 自分で失敗してどうする!!」

 

とりあえず、今は真帆を追いかける必要がある。

いや、だが追いかけてどうする?、と真は立ち止まる。

 

(俺が真帆を信用しきれていなかったのはまぎれもない事実で、だから重りをつけてプレーした。この事実をどう弁解するっていうんだ?)

 

だが、そう考えた後で自分の腐った考えを否定する。

 

(弁解? ちがうな。俺は自分のしたことを真帆に謝らなきゃならないんだ。それ以外に俺にすることなんて、なにもない!)

 

真のこのまっすぐな姿勢は真帆の純粋さに当てられて生まれたものなのだろう。

大切なことをいくつも真帆から学んでいることに、真自身も気づいていた。

 

 

                ☆

 

 

決断したはいいものの、一度見失った人間を、しかも自分から逃げている相手を見つけるというのは非常に困難なことで、30分ほど近くを走り回ったが一向に見つかる気配はなかった。

何度か電話をかけてみたが出る気配もない。

 

「はぁ、はぁ、っく、もう、車よんで帰ったのか?」

 

いかに運動神経のいい真であっても30分休憩なしで走り続けたとあっては体力が持たない。

口の中は血の味がするし、息をするのは痛くてしんどい。

両手を太ももにつき、苦しそうに俯きながら、それでも次の瞬間には再び走り出そうと顔を上げた。

 

すると、突然ポケットの電話が鳴り始めた。

真は誰かを見ることなく、ケータイを開け真っ先に

 

「ごめん!!!」

 

と謝った。

 

ケータイの向こう側から聞こえてきた言葉もまた勢いのいい「ごめん!!!」という言葉だった。

 

両者はお互いに驚いた。

そして、何だかおかしくなって真は笑い出した。

ケータイの向こうで真帆は慌てていることを想像するのは難しくない。

 

「いやぁ、ごめんごめん。 今どこにいるの?」

 

「あのこーえん」

 

「うん、わかった。じゃあ、俺も戻る。待ってて。」

 

諦めて公園に帰るのが正解だったのか、と少し苦笑する。

疲れてるはずの真の走る速度は探し回る時よりもなぜか速かった。

 

 

              ☆

 

 

公園で、真帆は地面を見ながら、真が来るのをじっと待っていた。

真帆なりにいろいろなことを考えながら。

どうして腹が立っていたのかさえ分からなくなるほど頭をぐちゃぐちゃにして。

なんで、たったあれだけのことで自分がそんなにも腹を立てているのかわからなくなって。

でも、なにも聞かずに一方的に怒った自分に非はあるから、とりあえず謝って。

でも、なんでそんなウソをついたのか、そのことを考えるとまた腹が立って。

無限にいろんなことがぐるぐるとループし続ける。

それでも、考え続けていた。

すると突然声が聞こえた。

 

「真帆、パス!!」

 

その声に引き寄せられて顔を上げると、すぐ目の前に迫っていたボールを反射的に真帆はキャッチする。

 

まっすぐその先には真がいた。

 

「さぁ、来い真帆。俺と勝負だ。」

 

汗だくで、まだ少し息を切らしていて、それでも真は笑顔で真帆にそう言った。

真帆はそれまで考えていたモヤモヤをすべてバスケでぶつけよう、そう思った。

ごちゃごちゃと考えることを止めて。

 

「いくぞー!!!!」

 

「全力で、来い!!!」

 

 

ひたすら、練習したドリブルはもう、手をまったく見なくても、完全に自分で掌握できるようになり、走り込みも欠かさず続けたおかげで、それなりの緩急もつけられるようになった。

何も知らないからこその吸収力。

真が考えた練習メニューをひたすらこなし続けた、頑張った真帆の練習の成果。

それらが、今一気に真の目の前で爆発していた。

 

 

とにかく真帆は止まらなかった。

目の前にぴったり貼りつかれれば、すぐに後ろにバックし、そして、次に攻めようとする。

攻めるふりをして、攻めなかったり、チェンジオブペースを使ったり、また、目線で左に行くふりをして、など、どこで覚えたのか、あるいは真の練習メニューの技をそのまま実戦で使っているだけなのか、様々に真を振り回す。

特にチェンジオブペースは、真帆がどれだけしっかりと練習してきたかを思わせる上達っぷりだった。

これを、吸収力だけでかたずけてしまうにはあまりにかわいそうというものだろう。

真帆は、頑張っていたのだ、必死に、人一倍に。

 

 

攻防は途中から、時には、ゴールなどはるか遠くの公園の端の方まで振り切ろうと、走り、さらに、遊具を障害物に使って、攻めようとしたときにはさすがに真もヒヤッとする場面がいくつかあった。

だが、それ以上に楽しかった。

二人して、真剣に攻め、またはディフェンスをしながらも、この動き回っていることが心地よくて仕方なかった。

自然と、二人の口からは笑みが漏れ、どこまでも開放的な時間がしばらく続いたのだった。

 

 

                ☆

 

「あー、もうむり。動けねぇ」

 

地面に倒れこみながら真帆をうなり声をあげた。

真はと言えば、さらに限界をまで動ききったようで、声すらも出せないらしい。

しばらく、二人で公園に大の字になって空を見上げた。

清々しいくらいに晴れた、雲一つない快晴だった。

 

「いい、天気だな。」

 

真が世間話の定番、お天気ネタを持ち出した。

 

「うん」

 

真帆も空を見上げながら返す。

 

「……すまなかった。」

 

「え?」

 

真の言葉についていけずに真帆は思わず疑問符を頭に浮かべた。

だが、スグにその疑問符は消えた。

 

「なんで? なんでいっちーは実力あたしたちにまで隠したの?」

 

「実力を隠してはいない。あの時も間違いなく全力だった。ただ、一つ俺は自分に枷をつけていた。」

 

「枷?」

 

「重りだ。全力でやったせいで、医者にコテンパンに怒られたけどな。

いや、でも、本来の俺の全力でなかったことに違いは無い。俺は、昴君を見下し、真帆の要望を信頼しきれず、飲み切れなかった。

完全に俺が悪かった。すまない」

 

しばらく、沈黙した。

だが、次の瞬間に真帆は笑った。

 

「まぁ、あれだけ強けりゃしゃーないな!! すばるんも今のいっちー相手だったらきっと自信喪失してそうだし。 でも!!」

 

そう言って、立ち上がると真帆は真にびしっと指をさした。

 

「次からは真帆のことをちゃんと信用すること! あと、無理なら無理でちゃんということ!! あたし、駄々こねちゃうかもしれないけど、それでも、ちゃんと話して! 真帆もいっちーにちゃんと話すから! いい?」

 

何も考えてないような天真爛漫な真帆だがうちではいろいろと考えていることをもう、真は知っている。

電話のときだって、真帆もちゃんと謝っていた。

何も聞かずに、怒ったことを反省していた証拠だ。

純粋に全力でぶつかってくる相手。

そういう子に自分が逃げたり、嘘ついたりしてどうする。

かつては真だってそうだったはずだ。

アメリカでも、ずっと何度負けたって、勝つために純粋にぶつかっていったはずだ。

どうして、ここまで自分がひねくれてしまったのかと思い、苦笑を浮かべながら

 

「もちろん!」

 

潔い返事をした。

すると、次の瞬間

 

ぐぅー、という腹の虫が鳴く音がした。

 

「腹、減ったな」

 

続いてもう一回きゅぅ、と今度はかわいらしい音が鳴る。

 

「腹で返事するなよ。」

 

 

二人はお互いに見合わせて笑った。

 

「よし、じゃあ、飯にするか!」

 

「おおーー!!!」

 

 

 

 




書きたいものから大幅にそれました!!!
でも、なんかすっきりしたので後悔はしてません!(笑)

あ、でも少し後悔があるとしたら、時間軸的に次の話の方が前になるから、読者様を混乱に陥れてしまう可能性があるということでしょうか。
私の作品は結構、時間系あいまいですから。

また、ご感想などありましたらよろしくお願いします!
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