14歳でヒワマキシティを旅立って3年、俺は今カントー地方で出会ったタケシと共にホウエン地方の上空にいる。何気ない会話でタケシが、俺が育った町に行ってみたいと行ったので俺はリザードン、タケシはアーケオスに乗ってヒワマキシティへ向かっていた。
「レイ、あとどれくらいだ?」
「おくりびやまが見えているからもうすぐだろう」
両親が眠る山を見ながら、タケシの問いに答える。ふと、元の場所に視点を戻すと前方にチルットの群れが見えた。その姿に懐かしさを感じるのもつかの間、急にリザードンはヒワマキシティに向かって降下し始めた。リザードンも久しぶりの故郷に興奮しているのだろう。おーい待ってくれーと上からタケシの声が聞こえるが、今のリザードンの耳には届かない。悪いな、タケシ。心の中で俺は謝った。
**********
一足先にヒワマキシティのポケモンセンターに着くと、リザードンを落ち着かせるため一度モンスターボールに入れて、タケシ達を待つ。しばらく待っているとウィーンとポケモンセンターの扉が開き、一人の茶髪の女が出てきた。
「あら、レイじゃない。おかえりなさい」
その女は三年ぶりの再会とは思えないほど、あっさりと挨拶をする。
「ただいま姉さん」
短く返す。そうこの人は俺の4歳年上の姉、ミサトだ。ヒワマキジムの審判を勤めていて、俺がこの世で一番苦手な人でもある。
「ちょっとレイ、あなた今失礼なこと思っていたでしょ」
「え、そ、そんなことないよ」
相変わらず勘が鋭い。小さい頃から俺の思っていることが筒抜けで、散々弄ばれたもんだ。
「お、いたいた 。探したぞレイ。ん?そちらの女性は?」
ああ、タケシのことすっかり忘れてた。悪いな、タケシ。心の中で再び謝る。
「俺の姉のミサトだ。姉さん、こいつは旅の途中で会ったタケシだ」
「はじめましてタケシ君、レイがいつもお世話になっているようね、ありがとう」
微笑みながらそう言う。姉さんがあんな優しそうな顔をするなんて珍しい。そう思っていると足を踏まれた。・・・くそ、なぜバレた。
「ニビシティのタケシです。こちらこそレイ君にはいつもお世話になっております」
タケシは深々と頭を下げながらそう返す。全くこいつは本当にませたやつだ。家にいない親の代わりに妹や弟の世話をしていたらしいからな。もう少し子供らしくてもいいのではないか?まあ、こいつには子供らしさなんて似合わないか。
「ちょうどいいわ。二人ともうちに来なさい。昼食にしましょう」
確かにカントーからの長い空旅だったので腹が減っている。俺とタケシは姉さんの提案に乗ってツリーハウスに向かった。
**********
「「「ごちそうさまでした」」」
昼食を食べ終えて、姉さんは食器を片付け始める。
「お手伝いしますよ」
「ありがとう助かるわ」
そんな会話をしながら二人がキッチンに行く一方で俺は腹ごなしに散歩に出た。お前も手伝えって?生憎、俺は家事が全くできない。手伝いたいのは山々だが俺がいたら返って邪魔になるだろう。それにあの人にも挨拶しておきたい。吊橋を渡り、梯子を降りて、ある場所に向かう・・・
ーーーーーーーーー
「行ったわね。タケシ君、レイを追うわよ」
「どうしてですか?」
「いいから。面白いもの見せてあげる」
ーーーーーーーーー
ブルッ
なんだこの悪寒は?とてつもなく嫌な予感がする・・・考えても仕方ない早く行こう。目指すはヒワマキジム。俺の命の恩人であり、憧れの人に挨拶しに行くのだ。心なしか鼓動が早くなっている気がする。久しぶりに会うせいで緊張しているのだろうか?元気にしてるかな?ナギさん・・・・
**********
ヒワマキジムは一つ林を抜けた先にある。目的地を目指して林の中を歩いているとおーいと言う聞こえた。声のする方を見ると、飛行服を着た背の高くて美人な女性が走ってきていた。遠くからでもわかる。俺が会いに行こうとしていt・・
「レイ!久しぶりーってうわぁ!?」
「あ、危ない!」
俺の名前を呼びながら、こちらにきたかと思えば何かにつまずいて、バランスを崩してしまう。なんとか倒れそうなナギさんを支えようとするが、走ってきた勢いやナギさんが背の高いことや急なことで反応が遅れたなどの要素が積み重なり・・・
バタッ
ナギさんが俺を押し倒すような形で倒れてしまう。美しく整った顔が俺の目の前に来る。
「ちょちょちょ、ナギさん//!?」
思わず顔が熱くなる。
「あわわわ、す、すまない。大丈夫か?」
ナギさんは慌てて起き上がり、倒れてる俺に手を差し伸べる。俺はその手に掴まり起き上がる。
「え、ええ。大丈夫です。」
俺は赤くなった顔が見られないように下を向きながら答える。まさか3年ぶりの再会がこんな形になるとはな・・・まあ俺としては美味しい展開だったけど。それにしてもナギさんは何につまずいたのだろう・・・?
ーーーーーーーーーー
その頃タケシとミサトは木陰で二人の様子を見ていた・・・
「どうやら作戦は成功したようね。よくやったわ、トロピウス」
レイとナギのチグハグな様子を見て満足そうに微笑みながらトロピウスの頭を撫でる。
「(まさか女性に対して"くさむすび"をつかうとは、なかなか危ない人だ・・・この人は敵にはしたくないな)」
タケシは彼女には絶対に逆らわないと強く決意した。
**********
「それにしてもなぜ林の中を走っていたんですか?」
ふと、疑問に思ったことを尋ねてみる。広場に行くなら、鳥ポケモンに乗っていけばいいはずだ。わざわざ走る必要なんかない。
「ミサトから連絡があってね。レイがこちらに歩いて向かっていると聞いて、早く君に会いたくて走って来たんだよ。」
はぁ〜、思わず心の中でため息をつく。あの人本当はエスパータイプのポケモンなのではないか?もしかしたら尾行されてる?・・いやタケシもいるしそんなことはしないだろう。
「なるほど、そうでしたか。では改めて、ただいまナギさん」
「お帰りなさいレイ」
無事ナギさんに挨拶をすることはできたが俺にはもう一つ目的がある。
「ナギさん、ポケモンバトルしましょう!」
そう、ナギさんと戦うことだ。実は俺は一度も彼女に勝ったことがない。天才飛行ポケモン使いだけあって相当強いのだ。彼女に勝つことが長い間の目標であり、そのために修行として一度ヒワマキを旅だったのだ。
「君ならそう言うと思っていたよ。さあ、ジムへ行こう」
ーーーーーーーーー
「私たちもついてくわよ〜タケシ君!」
「は、はい(テンション高いなミサトさん)」
**********
ヒワマキジムは周りに民家がなく、町で一番高い所にあり、トレーナーも高い塔から飛んでいるポケモンに指示を出すことができる。ひこうタイプが思う存分戦える場所だ
「勝負は1on1でお願いします」
「わかった」
とは言ったものの、どのポケモンで勝負するかまだ決めていない。俺のポケモンはみんな根性があって強い。誰で戦っても自信がある。ルーレットタイムだな。5個のモンスターボールを並べてシャッフルする。6個じゃないのかって?いやね、6体目は半分捕まえて、半分捕まえていないようなもんなんだよ。まあその話は置いといて、
「よし、お前だ!」
投げたボールから出てきたのは、
「グライッ」
グライオン。こいつはパーティのムードメーカーってところだ。意地っ張りで好戦的な奴で超負けず嫌い、バトルにはもってこいだ。世話をするのは結構大変だけどね。
「頼んだぞ、ドンカラス!」
「ガァ〜ァ」
ナギさんはドンカラスを出した。3年前は持っていなかったはず。どんなことをしてくるか分からないが、それは向こうも同じはず。
「では、審判は私がやるわ」
・・・ってなんで姉さんがいるんだ!やっぱり俺がここにくるのはお見通しだったのか?ていうかタケシは?
「タケシ君なら観客席にいるわよ」
だからなんで考えていることがわかるんだよ!観客席を見ると、確かにタケシがいた。姉さんに巻き込まれたんだな。同情するぜ。そんなこと考えてる場合じゃない、切り替えろ。バトルに集中だ!
「グライオン対ドンカラス。始め!」
ドンカラス・・・攻撃力は高いが、耐久とスピードは大したことない。まずは、こうそくいどうでエンジンを・・
「ドンカラス、ちょうはつ」
・・しまった先手を打たれた。ドンカラスのちょうはつにグライオンは乗ってしまう。不本意だが殴り合いを制するしかない。
「グライオン、がんせきふうじ!」
無数の岩がドンカラスに襲いかかる。だが、あまり速度が無いためスピードがないドンカラスでも軽く避けられてしまう。
「その程度の攻撃では当たらないぞ、レイ!」
分かってますよ。コントロール重視で攻撃していますからね。
「避けた先を狙え、背後からつばめがえし!」
「しまった!」
グライオンのつばめがえしがドンカラスの背中に直撃し、地面に沈む。
「追撃だ!じしん!」
本来ならじめんタイプの技はひこうタイプには効果がないが、地面にいる相手ならたとえひこうタイプでも攻撃が通用する。グライオンは急降下し、地に尻尾を叩きつけ地面を揺らす。
「グァーッ」
よし、効いているぞ。普通のドンカラスならここで倒れてもおかしくない。だが相手はナギさんだ。こんなものでは、戦闘不能にはならないだろう。
「グライオン、とどめのがんせきふうじ!」
再び、無数の岩がドンカラスを襲う。
「ドンカラス、急上昇からのがんせきふうじだ!」
「は?」
驚きのあまり、間抜けな声が漏れてしまった。ドンカラスはすばやく急上昇して岩を躱し、グライオンの上をとる。さっきのが最高速度じゃなかったのか!そして、無数の岩が今度はグライオンを襲う。な、ドンカラスはがんせきふうじを覚えないはずだろ!?。呆気に取られて指示が遅れてしまう。
「ーーーグライオン、躱せ!」
なんとか一撃、二撃目を躱すも三撃目の岩がグライオンに直撃し、地面へ落下していく。
「続けて、ブレイブバード!」
ドンカラスはグライオンに向かって捨て身の攻撃を仕掛ける。あれを喰らったらヤバイッ。
「避けろ!グライオン!」
グライオンはなんとか体勢を立て直し、攻撃を躱そうとするが、
「無駄だよ、レイ。さっきのがんせきふうじでグライオンのすばやさは低下している」
避けることが出来ず、強烈な一撃がグライオンに命中し、グライオンは地面へ沈む。あの強烈な攻撃は耐えることが出来ないだろう・・・普通のグライオンならな!
「グライオン。まだやれるだろ?」
「グ、グライッ!」
いい返事だ。ボロボロだが、まだ戦える。確かに強力な一撃だった。そのまま、地面に落下していたらいくら防御力が高いグライオンでも耐えられなかっただろう。だがこいつは攻撃を受けた後、羽を広げることで空気抵抗を利用し、落下の衝撃を和らげた。ひこうタイプは落下による衝撃でダウンしてしまうこともよくある。だから、なるべくそれを和らげるよう訓練させている。そして、ドンカラスもブレイブバードの反動で瀕死寸前だ。お互い満足に飛べていない。
「これで終わりだ!グライオン、つばめがえし!」
グライオンは一直線にドンカラスに攻撃を仕掛ける。つばめがえしは必中の技、入る!
「ドンカラス、不意打ち!」
ドォン
つばめがえしが当たる前に、ドンカラスのふいうちがヒットし、今度こそグライオンはダウンしてしまう。
「グライオン!」
「グライオン戦闘不能!ドンカラスの勝ち!よって勝者ナギ!」
・・っ最初のちょうはつは大事な場面でふいうちを決めるための布石だったのか。
「お疲れグライオン、ナイスガッツだったぜ。ゆっくり休め」
「ラィォン」
申し訳なさそうに返事をするグライオンをボールへしまう。お前はよくやってくれた。途中で俺の指示が遅れてから流れが悪くなってしまった。むしろ、謝るのはこっちの方だ、ごめんな。
「いい試合だったわ」
「ああ、観てるこっちも熱くなったよ」
姉さんとタケシがそう言いながら、こちらへ歩み寄る。ああ、そういえばタケシもいたのか。すっり忘れてた。すまない、タケシ。心の中で彼にも謝る。
「ありがとう。でも・・・」
負けてしまった。ナギさんに勝つために三年間旅をしたのは無駄だったのか・・
「なんて顔してんの。あなたは確実に強くなったわ。そして、これからもっと強くなれる」
珍しく姉さんは俺を励ます。いつも酷いことをされる分、たまにこういうことを言われると嬉しい。
「じゃあ私は夕飯の支度があるから先に帰らせてもらうわ。タケシ君手伝ってくれる?」
「もちろんです!」
タケシのやつ姉さんにやけに従順だな。お前もこの人の怖さに気づいたか?
「ナギ、よかったら私の家で夕飯食べなさい」
「いいのか?じゃあお言葉に甘えてそうさせてもらうよ」
ナギさんが返事をすると、姉さんとタケシはトロピウスとアーケオスに乗って帰っていった。
「よくやった、ドンカラス。ゆっくり休んでくれ。」
ナギさんはドンカラスをボールへしまうと、俺のもとに歩み寄る。
「強くなったな、レイ。三年前の私だったら負けていただろう」
「ありがとうございます。でも俺はまだまだ・・」
ポンッ。ナギさんが俺の頭に手をのせ、ワシャワシャと撫でる。
「落ち込むな。勝っといてなんだがどっちが勝ってもおかしくなかった。君が三年間頑張ってきたことがわかるいいバトルだった。」
ナギさんはこういう時に嘘はつかない。彼女に頭を撫でられて、そんなこと言われると正直嬉しい。
「や、やめてくださいよ//もうこどもじゃないんですから」
アハハ、そうだな。ナギさんは照れる俺を見て笑う。そうだ。俺の三年間は決して無駄じゃない。この三年間でグライオン達やタケシに出会い、成長することができた。無駄だと言ったら彼らに失礼だ。勝つことはできなかったが、これからナギさんと戦えるチャンスはたくさんある。ただ一つ疑問がある・・
「そういえばナギさん。ドンカラスはがんせきふうじを覚えないはずですよね?」
「ああ、あれは正確にいうとがんせきふうじではない。オウムがえしという"相手が最後に使った技で、相手に攻撃する"技だ。」
なるほど、これで合点がいく。最初のちょうはつは、こちらの補助技を封じること、ふいうちを確実に決めること。そしてもう一つ、オウムがえしを活用することの一石三鳥の技だったのか。恐るべしナギさん・・・
「もうすぐ日没だ。ポケモンセンターに寄って、私たちも帰ろう」
「はい!」
俺たちは大好きな鳥ポケモンに乗り、夕日に向かって羽ばたいた。
タグにも書いてある通り、処女作です。
アドバイス、直してほしい点があったら教えていただきたいです!
あと、ナギの口調についてなんですがアニメやゲームでは女性らしい口調なんですが、ポケスペでは男勝りな口調です(私の記憶が正しければ)。私はどちらも好きなんですが、皆さんはどちらが好きなんでしょうか?