東方小妖録【完結】   作:puc119

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第9話~当たるのはいつだって嫌な予感~

 

 

 やばい、心臓のバクバクが止まらない。

 

 逃げろ、捕まったら殺される。

 隠れろ、見つかったら殺される。

 

 ちょっとした出来心だった。諏訪子と一緒に少しイタズラをした。寝ている神奈子の顔へ落書き。

 そして、そのまま放置したのがいけなかった。

 いつの間にか神奈子はいなくなっていた。どっかへ出かけたっぽい。

 

 それから暫くして神奈子が帰ってきた。どうやら人里へ行っていたみたいだ。

 

 俺と諏訪子は神奈子の様子がおかしいことに気づいた。そこからの諏訪子と俺の対応は早かったと思う。

 

 後ろなど振り返らずに逃げ出した。全力で逃げた。

 

 しかし、神奈子は速い。俺はなんとか逃げ切れた。でも諏訪子はダメでした。死にました。

 

 なんとか逃げ切った俺は、神奈子の怒りが静まるまでは隠れていよう、と思い押し入れに隠れた。

 でも、そんなに甘くない。

 近づく足音。

 

 ヤバイ! ヤバイ! ヤバイ! ヤバイ!

 

 頭の中で警報が鳴り響く。

 

 ガチガチと鳴る歯を噛み締め、震える自分の体を抱きしめた。なんで? どうしてこんなことに……

 

 そして、ゆっくりと開く扉――

 

 

「み~つけたっ」

 

 

 ……今日もこの国は平和です。

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く……私がどれだけ恥ずかしかったかわかるか?」

 

 プリプリと怒っている神奈子。俺と諏訪子は正座中。

 オプションで頭にたんこぶが付いてきます。すごく痛かったです。

 

「おい、見ろよ諏訪子。また母さんが怒ってるぞ」

「誰が母さんだ!!」

 

 ちょっ、ちょっと、御柱飛ばすのやめなさい。

 

 きっと、神奈子も国民に自分の姿を見せつけようと、威厳たっぷりで行ったんだろうな。まあ、あんな顔じゃ威厳も何もあったもんじゃないけどね。

 

「やったな、神奈子。国民へのつかみは完ぺk痛ぁ!!」

 

 だから、御柱を飛ばすのはやめなさいって。バチが当たるぞ。

 うん? 神様ってバチ当たるんかな?

 

「そもそも、赤あんたは私の雑用なんだよ?」

 

 ああ、そういえばそうだった。でも、雑用らしいことなんてしたことないけど……

 

 と、ここまで俺と神奈子でギャーギャー騒いでいたけど、どうも諏訪子が静かだ。おかしいな、と思って諏訪子を見ると気持ちよさそうに寝ていた。

 まぁ、結局神奈子にバレて怒られてたけど。

 

 

 

 

 あの戦いで何が変わったか、そう聞かれると少し困る。

 

 変わったことと言えば、当たり前だけど神奈子と一緒に生活するようになった。それと諏訪子と遊ぶ時間が増えた。

 それくらい。

 どうやら神奈子が、国のあれこれをやるようになったため暇になったようだ。そして俺の肩書きは神奈子の雑用だけど、雑用らしい仕事は何もない。

 だったら、わざわざ雑用になんてしなくて良かったのにね。まぁ、形っていうのは大切か。

 

 だから今まで通り人里でバナナを売ったり、神社の掃除を手伝ったり、縁側でボーっとしたり、人里でフラフラしたり、諏訪子と遊んだり、監禁されたりして過ごした。ただ、この神社に神奈子が来て一緒に生活するようになっただけ。

 俺自身に大きな変化なんてなかったし、変わろうとも思わなかった。

 

 神奈子や諏訪子と一緒にいるせいだろうか、何年たっても俺の姿が変わらなかったことを、不審に思う人間はいなかった。

 そのおかげで人里でも特に困ることはないから俺も助かります。

 

 そんな感じで100年。36500日と25日。

 そんなのあっという間だ。

 

 神奈子とも仲良くなった。

 諏訪子とはすごく仲良くなった。たま~に、諏訪子の視線がおかしかった気がするけど、きっと気のせい。監禁されたのも遊びの一環。

 やましいことなんて何もなかった。

 

 う~ん、そんじゃそろそろ旅にでも出かけようかね。

 

 朝早くに起き、布団を畳んで部屋の隅へ。短い間、お世話になりました。

 

 もともと荷物なんて持っていなかったから、手ぶらで出発。

 

 

「こんな朝早くから、どこへ行くんだい?」

 

 神社を出てすぐ、神奈子が声をかけてきた。

 全く……わかっているくせに。

 

「ちょっと散歩に行ってくるよ」

 

 ま、俺は方向音痴だからね。すぐに迷っちゃうから、いつ帰って来られるかわかんないけどさ。

 

「はぁ……わかった。いつかこうなるとは思っていたよ。嫌だけど諏訪子に私から伝えておく」

 

 ――今度は監禁じゃ済まなさそうだしね。

 

 なんて神奈子が言ったけど、よく聞こえなかった。聞かなかった。聞きたくなかった。俺だって、諏訪子が怖いのだ。

 

 短い間だけど、本当にお世話になった。次はいつ会えるんかねぇ。ま、別に月へ行くわけじゃないんだ、いつだって会えるか。

 

 ……よしゃ、行くか。

 

「神奈子、世話になった。今までありがとう」

 

 俺が言った。

 

「ん。気にするな、こちらこそ世話になったね」

 

 神奈子も言った。

 

 それを聞いて満足。さてさて、挨拶も済んだことだし行きましょうか。

 そうして、歩きだそうとしたら、神奈子が後ろから声をかけてきた。

 

「赤」

「うん?」

「いってらっしゃい」

「ん……いってきます」

 

 うん、今日もいい日になりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――

 

 

 諏訪の国を旅立って数日。

 

 とりあえず海が見たいと思って歩くが、絶賛迷子中。

 飛べばいいのだろうけど、それじゃ味気ない。だから頑張って歩いているわけだけど……

 

「山しかねぇ……」

 

 そもそもスタート地点が悪かった。あんな山に囲まれた陸の孤島から出発すれば、そうなるに決まっている。全く……これだから信州は困る。

 

 せめて、集落でも見つからんもんかねぇ。などと考えながら歩いていると、何かを発見。

 

 気持ち良さそうに少女が寝ていた。大事そうに瓢箪を抱え、何故か手からは鎖が伸びている。最近の女の子の趣味はよくわからんね。

 その女の子の容姿は髪が長い薄茶色で、頭からは大きな2本の角と言った感じ。

 

 人間じゃなかった。

 

 あ~これ知ってるわ。関わっちゃダメなパターンだわ。東方Projectにこんなようなキャラがいた気がするけど……まぁいいか。関わっちゃダメなことだってあるのだ。

 

 だから少女を起こさないように、俺はそおっとその場を……

 

「んんう。あ……ん? あんた誰だい?」

 

 離れたかった……

 

 

 

「フッ、名乗るほどの者ではないよ。じゃあな」

「ちょっと、待ちな」

 

 ダメか。行かせてくれないのか。

 

「俺が歩いているとな、向こうから赤い洗面器を頭に乗っけた男が歩いてきた。俺は気になったから声をかけたんだ。『どうして貴方は洗面器を頭に乗っけているのですか?』ってな。すると男が」

「センメンキって何さ? って違う。難しいことを言って誤魔化そうとしても無駄だよ。あんたは誰さ?」

 

 しまった、洗面器を知らないのか。ってか、そんなに難しい話だったかな?

 

 ん~、素直に答えるだけじゃちょっとつまらないな。

 でも、この娘って鬼の子どもだよね。変なこと言って怒らせて親が来たら怖いしなぁ、正にモンスターペアレントだ。

 

 しょうがない正直に答えるか。

 

「俺は赤って言うんだ。今は旅の途中だね。んで、お嬢ちゃんはなんて名前なんだい?」

「お嬢ちゃん……? まぁ、いっか。私は伊吹萃香。種族は鬼だ」

 

 そういってキッと俺を睨んできた。

 見ていて微笑ましい。お嬢ちゃんは気に入らなかったのかな? あれか、背伸びをしたい年頃なのか。んで、やっぱり鬼だったのか。

 

「全く……背伸びしたい年頃なのはわかるけれど、ダメじゃないか。こんな場所に一人でいちゃ。親御さんが心配するぞ?」

 

 はははっと優しく微笑みながら、萃香ちゃんの頭を撫でてあげる。

 すると、恥ずかしかったのか下を向いた萃香ちゃん。なんだ、いくら鬼と言っても可愛いもんなんだな。

 

 などと思っていた俺の顔の近くを何かが通過した。

 そして、後ろから響いた轟音。

 

 

 ちょっ……おまっ……

 

 

「……あんたが私のことを馬鹿にしているのはよくわかった。鬼である私を侮辱したことを後悔させてあげるよ」

 

 

 萃香ちゃんの口は笑っていた。

 目は怖くて見られなかった。

 

 

 これは、土下座じゃすまなそうだ……

 

 






ん~……あれ? おかしいなポケモンのポの字ですら見えない……

この辺の時代の信州だと和田村が有名でしょうか?
和田峠で大きな黒曜石を拾ったのを覚えています

日常編は難しいです
上手く書けません

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