やばい、心臓のバクバクが止まらない。
逃げろ、捕まったら殺される。
隠れろ、見つかったら殺される。
ちょっとした出来心だった。諏訪子と一緒に少しイタズラをした。寝ている神奈子の顔へ落書き。
そして、そのまま放置したのがいけなかった。
いつの間にか神奈子はいなくなっていた。どっかへ出かけたっぽい。
それから暫くして神奈子が帰ってきた。どうやら人里へ行っていたみたいだ。
俺と諏訪子は神奈子の様子がおかしいことに気づいた。そこからの諏訪子と俺の対応は早かったと思う。
後ろなど振り返らずに逃げ出した。全力で逃げた。
しかし、神奈子は速い。俺はなんとか逃げ切れた。でも諏訪子はダメでした。死にました。
なんとか逃げ切った俺は、神奈子の怒りが静まるまでは隠れていよう、と思い押し入れに隠れた。
でも、そんなに甘くない。
近づく足音。
ヤバイ! ヤバイ! ヤバイ! ヤバイ!
頭の中で警報が鳴り響く。
ガチガチと鳴る歯を噛み締め、震える自分の体を抱きしめた。なんで? どうしてこんなことに……
そして、ゆっくりと開く扉――
「み~つけたっ」
……今日もこの国は平和です。
「全く……私がどれだけ恥ずかしかったかわかるか?」
プリプリと怒っている神奈子。俺と諏訪子は正座中。
オプションで頭にたんこぶが付いてきます。すごく痛かったです。
「おい、見ろよ諏訪子。また母さんが怒ってるぞ」
「誰が母さんだ!!」
ちょっ、ちょっと、御柱飛ばすのやめなさい。
きっと、神奈子も国民に自分の姿を見せつけようと、威厳たっぷりで行ったんだろうな。まあ、あんな顔じゃ威厳も何もあったもんじゃないけどね。
「やったな、神奈子。国民へのつかみは完ぺk痛ぁ!!」
だから、御柱を飛ばすのはやめなさいって。バチが当たるぞ。
うん? 神様ってバチ当たるんかな?
「そもそも、赤あんたは私の雑用なんだよ?」
ああ、そういえばそうだった。でも、雑用らしいことなんてしたことないけど……
と、ここまで俺と神奈子でギャーギャー騒いでいたけど、どうも諏訪子が静かだ。おかしいな、と思って諏訪子を見ると気持ちよさそうに寝ていた。
まぁ、結局神奈子にバレて怒られてたけど。
あの戦いで何が変わったか、そう聞かれると少し困る。
変わったことと言えば、当たり前だけど神奈子と一緒に生活するようになった。それと諏訪子と遊ぶ時間が増えた。
それくらい。
どうやら神奈子が、国のあれこれをやるようになったため暇になったようだ。そして俺の肩書きは神奈子の雑用だけど、雑用らしい仕事は何もない。
だったら、わざわざ雑用になんてしなくて良かったのにね。まぁ、形っていうのは大切か。
だから今まで通り人里でバナナを売ったり、神社の掃除を手伝ったり、縁側でボーっとしたり、人里でフラフラしたり、諏訪子と遊んだり、監禁されたりして過ごした。ただ、この神社に神奈子が来て一緒に生活するようになっただけ。
俺自身に大きな変化なんてなかったし、変わろうとも思わなかった。
神奈子や諏訪子と一緒にいるせいだろうか、何年たっても俺の姿が変わらなかったことを、不審に思う人間はいなかった。
そのおかげで人里でも特に困ることはないから俺も助かります。
そんな感じで100年。36500日と25日。
そんなのあっという間だ。
神奈子とも仲良くなった。
諏訪子とはすごく仲良くなった。たま~に、諏訪子の視線がおかしかった気がするけど、きっと気のせい。監禁されたのも遊びの一環。
やましいことなんて何もなかった。
う~ん、そんじゃそろそろ旅にでも出かけようかね。
朝早くに起き、布団を畳んで部屋の隅へ。短い間、お世話になりました。
もともと荷物なんて持っていなかったから、手ぶらで出発。
「こんな朝早くから、どこへ行くんだい?」
神社を出てすぐ、神奈子が声をかけてきた。
全く……わかっているくせに。
「ちょっと散歩に行ってくるよ」
ま、俺は方向音痴だからね。すぐに迷っちゃうから、いつ帰って来られるかわかんないけどさ。
「はぁ……わかった。いつかこうなるとは思っていたよ。嫌だけど諏訪子に私から伝えておく」
――今度は監禁じゃ済まなさそうだしね。
なんて神奈子が言ったけど、よく聞こえなかった。聞かなかった。聞きたくなかった。俺だって、諏訪子が怖いのだ。
短い間だけど、本当にお世話になった。次はいつ会えるんかねぇ。ま、別に月へ行くわけじゃないんだ、いつだって会えるか。
……よしゃ、行くか。
「神奈子、世話になった。今までありがとう」
俺が言った。
「ん。気にするな、こちらこそ世話になったね」
神奈子も言った。
それを聞いて満足。さてさて、挨拶も済んだことだし行きましょうか。
そうして、歩きだそうとしたら、神奈子が後ろから声をかけてきた。
「赤」
「うん?」
「いってらっしゃい」
「ん……いってきます」
うん、今日もいい日になりそうだ。
――――――――
諏訪の国を旅立って数日。
とりあえず海が見たいと思って歩くが、絶賛迷子中。
飛べばいいのだろうけど、それじゃ味気ない。だから頑張って歩いているわけだけど……
「山しかねぇ……」
そもそもスタート地点が悪かった。あんな山に囲まれた陸の孤島から出発すれば、そうなるに決まっている。全く……これだから信州は困る。
せめて、集落でも見つからんもんかねぇ。などと考えながら歩いていると、何かを発見。
気持ち良さそうに少女が寝ていた。大事そうに瓢箪を抱え、何故か手からは鎖が伸びている。最近の女の子の趣味はよくわからんね。
その女の子の容姿は髪が長い薄茶色で、頭からは大きな2本の角と言った感じ。
人間じゃなかった。
あ~これ知ってるわ。関わっちゃダメなパターンだわ。東方Projectにこんなようなキャラがいた気がするけど……まぁいいか。関わっちゃダメなことだってあるのだ。
だから少女を起こさないように、俺はそおっとその場を……
「んんう。あ……ん? あんた誰だい?」
離れたかった……
「フッ、名乗るほどの者ではないよ。じゃあな」
「ちょっと、待ちな」
ダメか。行かせてくれないのか。
「俺が歩いているとな、向こうから赤い洗面器を頭に乗っけた男が歩いてきた。俺は気になったから声をかけたんだ。『どうして貴方は洗面器を頭に乗っけているのですか?』ってな。すると男が」
「センメンキって何さ? って違う。難しいことを言って誤魔化そうとしても無駄だよ。あんたは誰さ?」
しまった、洗面器を知らないのか。ってか、そんなに難しい話だったかな?
ん~、素直に答えるだけじゃちょっとつまらないな。
でも、この娘って鬼の子どもだよね。変なこと言って怒らせて親が来たら怖いしなぁ、正にモンスターペアレントだ。
しょうがない正直に答えるか。
「俺は赤って言うんだ。今は旅の途中だね。んで、お嬢ちゃんはなんて名前なんだい?」
「お嬢ちゃん……? まぁ、いっか。私は伊吹萃香。種族は鬼だ」
そういってキッと俺を睨んできた。
見ていて微笑ましい。お嬢ちゃんは気に入らなかったのかな? あれか、背伸びをしたい年頃なのか。んで、やっぱり鬼だったのか。
「全く……背伸びしたい年頃なのはわかるけれど、ダメじゃないか。こんな場所に一人でいちゃ。親御さんが心配するぞ?」
はははっと優しく微笑みながら、萃香ちゃんの頭を撫でてあげる。
すると、恥ずかしかったのか下を向いた萃香ちゃん。なんだ、いくら鬼と言っても可愛いもんなんだな。
などと思っていた俺の顔の近くを何かが通過した。
そして、後ろから響いた轟音。
ちょっ……おまっ……
「……あんたが私のことを馬鹿にしているのはよくわかった。鬼である私を侮辱したことを後悔させてあげるよ」
萃香ちゃんの口は笑っていた。
目は怖くて見られなかった。
これは、土下座じゃすまなそうだ……
ん~……あれ? おかしいなポケモンのポの字ですら見えない……
この辺の時代の信州だと和田村が有名でしょうか?
和田峠で大きな黒曜石を拾ったのを覚えています
日常編は難しいです
上手く書けません
感想・質問何でもお待ちしております