東方小妖録【完結】   作:puc119

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第10話~鬼ごっこ~

 

 

 『鬼』

 その言葉から連想することは多々あると思うが、俺は昔話がすぐに浮かんだ。

 桃太郎に出てくる鬼や、金太郎に出てくる酒呑童子が有名だろうか。それらに出てくる鬼はいずれも恐ろしい外見をしていたと思う。

 桃太郎の続きで、可愛らしい鬼が登場していた気もするけど、どうだったかな?

 

 んで、何が言いたいかというと……

 

「まさか、こんな可愛らしい鬼がいたとはねぇ」

 

 予想外である。

 さてさて、そろそろ現実に戻る時間だ。言い訳はこれくらいにして、現実と向き合うことにしよう。

 

 

「……あんたが私のことを馬鹿にしているのはよくわかった。鬼である私を侮辱したことを後悔させてあげるよ!」

 

 なんて萃香ちゃんが言ってきた。いやいや、もう後悔しているんでやめてもらえませんか?

 

「いや……その、本当に済まなかった」

 

 全力の謝罪である。正直、何がそんなに萃香ちゃんを怒らせたのかわからないけど、ここは俺が一歩引いて謝るべきなんだろう。

 これが大人の対応ってやつだ。

 

「もう、遅い!」

 

 まぁ、許してくれないんだけどさ。困っちゃうね。

 

 萃香ちゃんが殴りかかって来たから、俺は全力で後ろに飛んだ。俺だって死にたくはない。

 

 そして、俺に当たるはずだった拳は、顔面スレスレで空を切った。

 うおぉ……すげぇ音がしたな。

 

 うむ、このまま黙ってやられるわけにはいかない。というか死ぬ。反撃するためポケモンをイメージ。

 

 背中に大きな翼。

 頭に赤いトサカ。

 んで、茶色のパーカー。

 

『オニドリル』

タイプ:ノーマル/ひこう

性別:♂

レベル:50

性格:ようき

持ち物:パワフルハーブ

とくせい:スナイパー

HP:141

こうげき:142

ぼうぎょ:85

とくこう:81

とくぼう:72

すばやさ:167

技:ゴッドバード・ドリルライナー・でんこうせっか・ねっぷう

 

 6VでAS:全振り

 

 『オニドリル』にした理由?まぁ、なんとなくですよ。なんとなく。

 

「へー、私の妖力を受けても何ともなかったから、ただの人間にしちゃおかしいとは思っていたんだよね。なるほど、あんたは妖怪だったか……あれ~? でも妖力じゃ、ない? ……まぁ、いいけど」

 

 ――とりあえず倒そう。

 

 そんな物騒なことを言って再び殴りかかってくる萃香ちゃん。洒落にならん。

 まぁ、妖怪じゃなくてポケモンだしね。妖力とは違うんだろうさ。

 

「『ゴッドバード』!」

 

 激しい光が俺を包んだ。

 そして、アイテム:『パワフルハーブ』発動。飛行技最大火力、パワフルゴッドバードという男の浪曼。

 

 いっけぇぇえええ!!

 

「っ! やばっ」

 

 そんな萃香ちゃんの声が聞こえたと思ったら、いきなり萃香ちゃんの体が薄くなった。

 

『あいての すいかには こうかがないようだ』

 

 はあ!? なんじゃそれは。ずるくないですか?

 

 とか思っていると萃香ちゃんの攻撃が俺に当たった。直撃です。

 

「がァッ……」

 

 それは諏訪子や神奈子と比べても変わらないほどの威力。さ、流石は鬼と言ったところ。吹き飛ばされた身体。HPはもう2割ほどしか残っていない。

 

「っつ~……その消えるのが君の能力なのかい?」

「『密と疎を操る程度の能力』それが私の能力だ!!」

 

 ――まぁ、まだ上手く使えないんだけどね。

 

 なんてぽそりと届いた声。

 

 そんな声を落としながら、萃香ちゃんはさらに追撃の準備。ホント、勘弁して下さい……

 

「んもう……『ねっぷう』!」

 

 『やけど』狙いで10%にかける。

 まぁ、当たらなかったら意味ないけどね。コイツも効果ないんかねぇ。なんて思いながら攻撃すると……

 

「うわっ、熱! 熱い! う~~このヤロウ!」

 

 あれ? これは効くんだと思いながら萃香ちゃんに吹っ飛ばされた。

 んで、HPは0に。

 

 そして強制的に人間の姿へ。

 

 ふむ……物理攻撃はダメっぽいけど、特殊攻撃は通るのかな? まぁ、少なくとも炎技は効くっぽいね。

 

 それなら……

 

「なんだ、もう御仕舞なのかい?」

「いんや、これからだよ」

 

 大人気ないかなと思いつつ2体目のポケモンをイメージ。

 

 黄色い目。

 灰色のパーカー。

 腰の辺りから伸びたヒゲのようなものの先端には青白い炎が灯る。

 

『シャンデラ』

タイプ:ゴースト/ほのお

性別:♂

レベル:50

性格:おくびょう

持ち物:ほのおのジュエル

とくせい:ほのおのからだ

HP:144

こうげき:67

ぼうぎょ:110

とくこう:196

とくぼう:110

すばやさ:135

技:かえんほうしゃ・シャドーボール・めざめるパワー(格闘)・おきみやげ

 

 HA:VのBCDS:U

 H:64、C:252、S:192振りでSは最速70族抜き抜き調整。

 

 ブッ飛んだ火力と、特性によっては無効なタイプが3つもあるため、高い後出し性能を持つ優秀なポケモン。

 

「『シャドーボール』」

 

 萃香ちゃんに向けて放つ、また能力を使おうとしたみたいだけど見事に直撃した。うん、どうやら特殊技は効くっぽいね。

 

「ガッ……くっそーーーー!」

 

 萃香ちゃんの拳が迫る。

 

 まぁ、でも、たぶん。

 

 

『赤に こうかは ないようだ』

 

 

 だよね、ゴーストだもん。そりゃあ、ただのパンチなんて効かない。

 

「なっ……なんで?」

 

 ごめんな、やっぱり大人気なかった。でも、今ばかりは勝たせてもらおう。

 

 アイテム:『ほのおのジュエル』発動。

 

「『かえんほうしゃ』」

 

 まぁ、外れるなんてことはなく俺は勝利した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、勝負には勝ったわけだけど……この娘どうしよう? 親鬼とか来ないよね。来たら全力で逃げよう。うん、それがいい。

 

 萃香ちゃんには一応『げんきのかたまり』を使っておいた。たぶんこれで全回復なはず。

 そして、親鬼がいつ来てもいいように、頭の中で逃げるイメージトレーニングをしていると萃香ちゃんが起きた。

 辺りも暗く、もう良い時間だ。

 

「んん。ああ、私負けちゃったんだね……くやしいなぁ」

 

 なんて萃香ちゃんが呟いた。

 

 子どもと言っても鬼。プライドくらいは持っているのだろう。俺とは大違いだ。

 

「それで、赤って言ったけ? あんたは私をどうするんだい?」

 

 おやおや? なんか言い出したぞこの鬼。

 

「いや、別にどうもしないけど……」

 

 こんな少女になんかできるか。

 いや、まぁ、少女じゃなくても何もしないと思うけどさ。そんな勇気、俺にはありません。

 

「えっ? だ、だってあんたは鬼に勝ったんだよ? それに何かしてもらわないと私の気がすまない」

 

 お前の気なんて知らないわって言おうとしたら萃香ちゃんが瓢箪の口を開け何かを飲んだ。

 あれ? これは……酒の匂いか?

 

「おい、こら! 萃香ちゃんみたいにちっちゃな娘が、お酒なんて飲んじゃあダメでしょ!」

 

 全く……いくら鬼とはいえ、まだまだ小さいんだからお酒はいけません。

 お酒の怖さを教えてあげようと萃香ちゃんを見る。

 

 すると、萃香ちゃんの目が潤んでいることに気がついた。おやおや、様子がおかしいですよ。

 

 

「そ、そりゃ、あ、あん、たに負け、負けた、けど、わた、私だっ、てもう、さんびゃ、300年いじょ、以上はいきて、いる、いるのに、ど、どうして、こど、子ども扱いするのさ?」

 

 と、そこまで言って萃香ちゃ……萃香は泣き出した。ガチ泣きだった。

 

 は? え? その見た目で300歳以上?

 いや、だって子どもにしか見えなかったんだもん……そりゃあ、勘違いだってするよ。

 

 わんわんと鳴き始めてしまった萃香。こんなのどうしろってんだよ……

 

 

 

 萃香が泣き始めて15分。

 やっと泣き止んでくれた。まだ『ひっく、ひっく』言ってるけど、きっと泣き止んでいるに違いない。

 

「その……バナナ食うか?」

「いらない!」

 

 栄養もあって美味しいのに、バナナ……

 

 こんな時って、どうすればいいんだろうね?

 

『ほ~ら、高い高~い』

 

 とかやってみる? たぶん、また泣き始めるだろうけど。

 

 う~ん、どうにもこういうのは苦手だ。ほら、うだうだ考えていたせいか、もう夜じゃん。

 

 ああ、今日も月が綺麗だ。

 

 ……ふむ。

 

「なぁ、萃香。あの空で輝いている月、あるだろ」

「月?」

 

 萃香の方を見ることなく、ぽそりぽそり言葉を落としてみる。

 

「うん、月だ。あの月にはどんな生き物がいると思う?」

「ウサギとか?」

 

 遠い遠い昔に旅立っていた皆は今も元気に暮らしているだろうか。

 

「う~ん……まぁ、ウサギもいるんだろうけど……んでな、あの月には人間が住んでいるんだ。俺の友達だっている」

「……鬼は嘘が嫌いだよ?」

「嘘じゃないさ、嘘だと思うんだったら見てくればいい。銀髪のコワーイお姉さんがきっと元気に生きてるからさ」

「ふ~ん。そうなんだ」

 

 対して興味もなさそうに萃香がつぶやいた。

 うん、会話はできるみたいだ。よかった、よかった。

 

 ああ、本当に星空が綺麗だ。

 

「なあ、萃香。俺と旅をしてみないか」

 

 ふと思ったことを口に出してみる。

 

「旅に? 私と?」

 

 色褪せた記憶とか思い出とかが蘇る。

 

「いや、別に嫌ならいいけどさ」

 

 一人より二人の方が楽しいしな。

 

「う~ん。まぁ、いいけどさ。どこまで行くのさ?」

 

 ずっとずっと後になって思いだす。

 

「どこかまで行くのさ」

 

 きっときっと自分が変わった一つのきっかけ。

 

 

「まぁ、詳しいことは明日の朝にでも考えようぜ」

 

 今日はもう寝よう。

 明日も良い日になりそうだから。

 

 

 






シャンデラの技とアイテムを決めるのにとても時間がかかりました
本当はめざ岩にしたかったのですが、流石にピンポイントすぎますしね
エナボやオバヒ、大文字も迷いましたが、今回は命中重視で火炎放射を選択
置き土産はいらなかったですね


感想・質問何でもお待ちしております


~単語説明~

『ゴッドバード』 威力:140 命中:90 PP:5 ひこう 物理 1ターン目は攻撃せずに、2ターン目で攻撃する。30%の確率で相手をひるませる。急所に当たりやすい

『ねっぷう』 威力:100 命中:90 PP:10 ほのお 特殊 10%の確率で相手を『やけど』状態にする

『シャドーボール』 威力:80 命中:100 PP:15 ゴースト 特殊 20%の確率で相手の『とくぼう』ランクを1段階下げる

『かえんほうしゃ』 威力:95 命中:100 PP:15 ほのお 特殊 10%の確率で相手を『やけど』状態にする

『パワフルハーブ』:1ターン目に溜めが必要な技の溜めを省略して、1ターンで出せるようにする。一度使うとなくなる。
例)ゴッドバード・ソーラービーム・そらをとぶ・ロケットずつき
『ロケットずつき』の場合は防御が上がりながら攻撃できる

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