「起きます」
朝日ともに起きる。早寝早起きは健康の秘訣。サーカディアンリズムは大切なのだ。
多少昨日の疲労が残っているけれど、これくらいがちょうどいい。
さて、そろそろ旅へ出発したいところだけど、周りを見ても萃香が見当たらない。どっかいっちゃったのかな?
そんなことを思っていると萃香が現れた。いや~便利そうな能力なことで。
「お、やっと起きたんだ」
別に寝坊したわけじゃないと思うけどね
「昨日は、明日になったら詳しい話を教えてくれるって言ってたけど、どこまで旅をするのさ?」
ニコニコと何処か嬉しそうに笑い、プッハーと美味しそうに瓢箪の中身を飲みながら聞いてきた。朝からお酒飲んでんのかよ……というか、なんだ一緒に旅をしてくれるんだ。
「海を見に行こうぜ。海。んで、そこをゴールにしよう」
「ごおる? う~ん海ねぇ……そんなに面白いもんじゃないと思うけど」
ばっか、お前海をなめんな。旅行先の予定がほとんどダメになっても、海を見せただけで喜んで帰っていく県に住んでいる人間だっているんだぞ。
「まぁ、急ぎの旅じゃないんだ。ゆっくり旅をしよう」
そんな言葉を落としてから、海へ向けての旅へ出発。久しぶりの二人旅。ふむ、東はあちらか。目指すは北側、日本海。
「あれ? 南に行くのかい。北の方が海は近いと思うけど」
……た、太平洋を見たくなっただけだし。
それから数ヶ月ほど萃香と旅を続けたわけだが――
「なーなー、なんでさっきから同じ場所をグルグル回っているんだい?」
とか。
「あれ? ここまで来て帰るの?」
とか。
「赤は本当にこの場所が好きだね。これで何度目だっけ?」
とか萃香に言われ続けた。俺の心はボロボロだ。
しょーがねーじゃん! 道わかんねーんだから! だって周り木ばっかじゃん、目標物ないじゃん!
だから俺は諦めることにした。もう知らん。
「萃香、お前行きたい場所あるか? 萃香の行きたい場所に行こう」
「はあ? え? 海は行かなくていいの?」
いきなりこんな事を言われてから驚いたのだろう。萃香が聞き返してきた。
「いいよ、俺塩っ辛いの苦手だし」
海なんて、しょっぱい大きな湖みたいなもんだしな。
な~んて自分に対して言い訳してみる。本当はこれ以上旅を続けたら萃香に『あれ? コイツって実は馬鹿なんじゃね?』と気づかれるのが嫌なだけです。
もうバレてるかもしれないけどさ。
「なんだかな~。ま、赤らしいか。うーん、そうだねぇ……そうだ、私の友人に会いに行こうと思うけどいい?」
そこで納得しちゃうのも萃香らしいけどな。
友人ね……萃香の友人っていうくらいなんだから――
「やっぱり鬼なのか?」
「そりゃあ、そうだよ」
ですよね~。
さて困った、その友人が萃香くらいの実力なら何の問題もないけれど、萃香よりもかなり強いとか言われた場合、ちと困るな。
瞬殺される、俺が。
「その友人ていうのはやっぱり萃香みたいにちっちゃいのわっ! ……あ、あぶねぇ、はい、待ってー、とりあえずその瓢箪下ろして、謝るっ。謝るから!」
聞くことを間違えた。本当はどのくらいの強さか聞こうとしたのだ。でもやっぱり気になるじゃないか、もしかしたら鬼は全員、萃香みたいに小さいかもしれないんだから。
「ちっちゃいって言うなっ!」
「いや、ごめん」
頬を膨らませて私怒ってるぞアピールをする萃香ちゃん。見ていてとても微笑ましい。
萃香を宥めること数十分。やっと落ち着いてくれた。
「んで、その友人っていうのは何処にいるのさ?」
「ん~、大江山って呼ばれている場所だね」
大江山ねぇ……
なるほど、正に鬼って感じだ。
『大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみもみず 天の橋立』
なんて歌もあったかな、訳はわからん。京都か……ここからどれくらいかかるんだろうね。
「んじゃあ、そこ目指して旅を続けるか。道案内はよろしく頼むよ」
「わかった。赤に任せたらいつ着くかわかんないしね」
なんて言って、クスクスと萃香は楽しそうに笑った。バレてらぁ……全く、あ~顔が熱い。
大江山を目指す旅を始めて10日ほど経った。
そして目の前に広がる大きな大きな水たまり。
「うおおおお! 海だぁぁあああ! おい見ろよ萃香海だぜ! 海!! いやあ何年ぶりだよコノヤロー。すげええ、ちっちゃいけど波ができてる! この水って塩っぱいんだろ? ヒャッハーガブ飲みしてやるぜ! ップハーーいやぁ……うん……あれ……? しょっぱくない……」
急激に落ちてくるテンション。
気づいた一つの事実。
「……なぁ萃香これって湖?」
「ーーーっ、お腹痛い」
萃香が爆笑していた。
湖の大きさや場所を考えると、ここは琵琶湖なんだろうね。なんだろう、ここまで恥ずかしい思いをしたのは初めてだ……
淡水なはずの水は何故かしょっぱく感じた。
それからさらに4日ほど旅をして、萃香が『さぁ今度こそ海だぞ』と言うように案内してくれた。
俺はよっしゃー! 今度こそ海だー! と思って再びそのテンションはマックスに。
テンションそのままに舐めた水はしょっぱくなかった。
琵琶湖の反対側だった。
萃香は隣で爆笑していた。
鬼は嘘が嫌いなんじゃなかったんですか……
それから流石に俺のことがかわいそうに思えたのか、旅の途中で本物の海へ立ち寄った。
俺は素直に喜ぶことができず、沈んでいく夕日を座って眺めていることに。その隣で萃香は何も言わずに一人で酒を飲んでいた。
そんな旅を続けてようやっと大江山に。
萃香の話によると友人の名前は『星熊勇儀』と言い女性の鬼で、強さは萃香と同じくらい。そして、その身長は萃香よりも少しだけだが高いらしい。
友人の名前が酒呑童子とかではなく安心した。大江山といえば酒呑童子だしね。
大江山を登っているとなんだか騒がしい声が届くように。隣の萃香もそわそわしているし、きっともうすぐなんだろう。
開けた場所に着くと沢山の鬼たちが酒盛りをしていた。なにこれ……すごく帰りたいです。
「お、なんだい。萃香じゃないか! 久しぶりだねぇ」
と、赤い一本の角を持つ女性の鬼が声をかけてきた。てか、なんで、角に星マークがついているんでしょうね?
萃香は声のした方へ行ってしまったから、俺は暇に。ん~とりあえず萃香の友人でも探すかね。
萃香と同じくらいの身長の鬼を探すがなかなか見つからない。
皆大きいですね。バスケットボールとかやってみませんか?
「おい、そこの萃香と一緒にいた人間。まぁ、酒でも飲んでけや」
そしてフラフラと萃香の友人を探していると鬼達によく絡まれる。すみません、今日はちょっとアルコールデヒドロゲナーゼとアルデヒドデヒドロゲナーゼの調子が悪いんでやめときます。
見つからんなぁと思いつつも探していると、さっき萃香に声をかけた女性の鬼が俺に話かけてきた。
あら、先程振りです。
「あんたが赤だね。萃香から聞いたけど強いらしいじゃないか」
ちょ、ちょっと、近いですよ。ビックリするからあんまり近づかないでください。
「確かに僕は赤ですけど……え~と、どちら様でしょうか?」
「ん? なんだ、萃香から聞いてなかったのかい? 私は萃香の友人で力の勇儀こと星熊勇儀だ」
ん? え? あんたが星熊勇儀さんなの? 背の高さ全然違うじゃん。確かに嘘はついてないけど……萃香の『少しだけ』は少しじゃないな。
てか、萃香も見栄を張るなよ。現実を見なさい。
「あ~なるほど、貴方が星熊さんでしたか」
「勇儀でいいよ。あと敬語もいらない」
――謙る必要なんてないだろ?
なんて勇儀が言ってきた。
う~ん、そんなこと言われてもねぇ。まぁ、本人が良いって言ってるんだから良いのかな。
ここでまた敬語を使ったら怒りそうだし。
「ん~、わかりまsじゃなくて……わかったよ、ゆ、勇儀。んで何の用なのさ?」
――うん、そっちの方が合ってるよ。
と豪快に勇儀は笑い。
「萃香を倒した実力ってのを見せてもらおうと思ってね。私と勝負してみないかい?」
と勇儀が言ってきた。
正直に言えばやりたくない。でもどうせ断れないんだろうな~
確か実力は萃香と同じくらいだったっけかな?
まぁ、それならなんとかなるんかねぇ。
「う~ん。いいよ、やろうか」
なんて俺が言うと
「そうか! それは良かった」
と勇儀は笑った。
ホント笑顔の似合う鬼だことで、まぶしすぎて直視もできやしない。
――さあ、退いた。退いた。
と勇儀が声を出し、酒盛り中の鬼たちを退けた。
少々不機嫌そうにしながらも鬼たちは、何が始まるんだ? という感じに退いてくれる。
どうもすみません。
俺と勇儀の周りには空間ができ、端の方へ退いた鬼たちはヤジを飛ばしてくる。うっさいわ。
これは完全に見世物ですね。
「星熊勇儀。『怪力乱神を持つ程度の能力』だ」
あ、わざわざご丁寧にどうも。
そして当たり前のように能力持ちなんですね。
「赤。『ポケモンになる程度の能力』」
そう言葉を落としてから、いつものようにポケモンをイメージ。
腰に巻いたベルト。
灰色のパーカー。
3,4本目の腕は生えず、代わりに灰色の長いマフラーを首に巻いた。
最初コイツになったときは、パンツ一丁になるんじゃないかと思ったけれどならなくて一安心。
『カイリキー』
タイプ:かくとう
性別:♂
レベル:50
性格:ようき
持ち物:こだわりスカーフ
とくせい:ノーガード
HP:166
こうげき:182
ぼうぎょ:100
とくこう:76
とくぼう:105
すばやさ:117
技:ばくれつパンチ・ストーンエッジ・れいとうパンチ・ほのおのパンチ
6V・AS:極振り、スカーフ変態型。
さぁ、殴り合いだ。
海っていいですよね
用事があり石川県へ行ったことがあります
泊まるホテルの側に海があったので行ってみたのですが
海無し県グループの皆さんは大はしゃぎ
それを見ている地元が海に近いグループの皆さん
私ですか? パンツまで濡れましたよ
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