東方小妖録【完結】   作:puc119

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と言うのが夢です




第17話~心の底から~

 

 

 幽香と暮らし始めてもう何年経っただろうか。

 

 春は水仙、沈丁花。

 夏は向日葵、日々草。

 秋は秋桜、彼岸花。

 冬は福寿草、花一華。

 篝火花なんかは一年中咲いていた気がする。

 

 そういえば俺が人間だった頃、実家で沢山の彼岸花を育てていたことがあった。除草剤を撒いたら全滅したけど……毒をもつ花が毒にやられるとはねぇ。

 

 他にも沢山の花々を育てたけれど、俺はそこまで花に詳しくなかったから名前はわからなかった。幽香に聞いてもわからないって言ってたし。でも、この花たちの種はどこで手に入れているんだろうか……

 

 さて、そんなほのぼのライフを過ごしているわけだけど、ちょっとした問題が起きているんです。

 

 

『なーなーいつになったら旅に出るのさ?』

 

 まぁ、アレですよ。最近俺の中がとても騒がしいんです。

 いつも五月蝿い奴らではあったけれど、五月蝿いと言ってもいつもは勝手に騒いでいるだけ。けれども、最近は俺に話しかけてくるせいで、すごく五月蝿い。

 

『無視か? 無視なのか? 傷つくわー』

 

 はいはい、そのうち出るよ。

 

『それ10年前にも聞いたんだけど……』

『いやいや、いいじゃんこの生活。このまま暮らそうぜ』

『海に行こうぜ!! 海!!』

 

 琵琶湖で我慢しとけ。

 

『え~あれ海じゃないじゃん。しょっぱくないじゃん!」

 

 わかった、わかったよ。

 今度、諏訪湖に連れてってやるよ。

 

『よっしゃー! 諏訪湖キター。これで勝る!!』

『おい、誰かあのバカに諏訪湖を教えてやれ』

『赤さんや、朝食はまだかのう』

 

 何言ってんだ爺さんや、昨日食べたでしょう?

 

『おお、そうじゃったの。忘れていたわ』

『いや、毎日食べさせてやれよ』

 

 お前ら飯いらんだろ。

 

『ピカッ! ピカピー! ピッカ。ピー! ピーカーピカピッ!!』

 

 はいはい、ピッカピー。ピッカピー。

 

『バッカ、お前このゆうかりんとのキャッキャウフフライフを楽しまなくてどうすんだよ?』

 

 誰だよ、ゆうかりんって……ああ、幽香のことか。そんなふうに幽香を呼んだら殺されるぞ。

 なら、紫はゆかりんになるのか? そっちは面白そうだし今度、そう呼んでみようかな。

 

『いや、むしろ幽香は喜ぶと思うけど……』

 

 はぁ……ギャーギャー、キャーキャーと本当に騒がしい。

 

 

 

『それでさぁ、ホントどうすんの?』

 

 どうすっかねぇ……

 

 そうだね……お前らで決めていいよ。決まったら教えてくれ。

 

 そう俺が言うと――

 

『戦じゃー! 戦が始まるぞーー!』

 

 そんな声が響いた。

 ホント元気いいねぇ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから数日が経った。未だ連絡は来ない。

 少々気になったから様子を調べると。

 

『報告! ヌケニン軍団及び晴れパ第一軍団がほぼ壊滅。さらにヌケニンたちが寝返りました!』

『……相手は?』

『粉ガブを中心にカバドリュたちが物理でゴリ押ししてきます!!』

『エルフーンを向かわせろ』

『それが……』

『どうした?』

『エルフーンたちが見当たりません……』

『ッチ……これだから、いたずらごころ持ちは……もういいトノグドラとゴツメヤドランを向かわせろ』

『はい!!』

 

 

『ミュ、ミュウツーだ! アイツらついに使いやがった!』

『おいおい、おいおい! 雫ラティまでいるじゃねーか! アイツらにプライドはないのか!?』

 

『おい、待てそこのベロベルトたち。持ち物と技を見せろ。あっ、おい待て!! 誰か! 誰かそこの核兵器を止めろ!! ソイツらジュエル爆発する気だ!』

『早く! 早くホズの実持ちの変態ボスゴドラを連れてこい! 本部が壊滅するぞ!!』

 

『ヌケニンたちだ! この裏切り者がーー!! 燃やしつくしてくれるわ』

『し、死んでない…だと……? しまった、アイツら頑丈ヌケニンだ」

 

『後ろから不思議な守りポリ2も来てるぞ!』

『お、おい。あのミカルゲたちおかしくねーか? こ、攻撃が全く効いてないぞ……?』

 

『ーーーっ!! あのミカルゲたちも不思議な守りもちだ!! 攻撃をやめろ! PPを減らすだけだぞ!! 毒々持ちを! 早く!!』

 

 

 

 

 

 

 ……なんか、すごかったです。どうやら、このまま暮らしたい派が『くさ・むし・ほのお・じめんとみず・はがねの一部』で旅に出たい派がそれ以外だそうです。

 

 戦況は旅に出たい派が圧倒していた。てか、旅に出たい派が必死過ぎる。

 特性いじるのはやりすぎじゃ……いや、できなくはないけどさ。

 

 

 さてさて……こうなると、問題はどうやって幽香を説得するか、だ。そんなこと俺にできるのでしょうか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とある春の日のこと。

 ガシャーン! と、ものすごい音を立てて机が粉々になった。

 

「今……なんて言ったかしら?もう一度言ってもらていい?」

 

 ヤバい。幽香が怖くてその顔を見ることができない。

 

「いや、その……そろそろ旅に出たいなぁと」

「どうしてかしら?」

「ちょっと待って幽香。とりあえずその傘をおろして、ね。おい、その手に持っている首輪はどこから取り出した。そんな物騒な物、離しなさい! ちゃんと話す。話しますから!!」

 

 多少は落ち着いた様子の幽香。

 下手なことを言うと、次に粉々となるのは俺だろう。幽香さんマジ怖い。

 

「ふぅ……そりゃあ、幽香との暮らしは楽しかったし、毎日が幸せだったよ……でもさ、世界は広いんだ。俺だって色々な世界を旅したい。だって男の子だしな」

 

 今度は幽香の顔を見ながら言えた。

 そして、ちゃんと笑えていたと思う。

 

「…………ょぅ」

 

 幽香がポソリと言った。けれども、なんと言ったのかまではわからない。

 

「え?」

「……ひ、ひとりはいやだよぉ」

 

 そんな言葉を落としてから、幽香の目が潤い始めた。

 

 押し寄せる罪悪感。

 

 

「……ごめんな、大好きだ。今までありがとう」

 

 そう言って幽香を包んであげると、幽香は声をあげて泣き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 泣き疲れたせいか、眠ってしまった幽香。

 そんな幽香を寝床へ移し、頭を恐る恐る撫でてみる。綺麗な髪してんなー。

 

 

 そして、ちょっとした書置きを残して家を出ることに。お世話になりました。

 

 あ~あ、俺ってホント……

 

「最低な男ですわね」

 

 だよねぇ……

 そんな言葉とともに紫が現れた。

 

「これから貴方はどうするの?」

「そうだねぇ、とりあえず適当に旅をするよ」

「諏訪に行くのではなくて?」

「いいよ。いつでも行けるし」

 

 行ったら諏訪子に監禁される未来しか見えない、なんて言えない。今更になって怖くなりました。

 そんな臆病者なんです。

 

「そう、ではまた会いましょう」

 

 そう言って紫は消えていった。何しに現れたんだとは思わなかった。きっと紫なりの激励だったんだと思う。

 

 春、出会いと別れの季節。

 出会いの数だけ別れがあって、別れの数だけドラマがある。

 だからこの世はドラマチックで面白い。

 

 誰のセリフだっただろう。そんなことも覚えてないや。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから時は流れて時代は進んだ。待ってもくれやしない。

 幽香の家から出ていったいどれくらいの時間が経っただろうか。

 

 俺は今――

 

 

 

「赤ー、この団子とお茶を一番端のお客さんの所へ」

「わっかりましたー」

 

 都外れの茶飲みやさんで居候させてもらっている。

 

 

 えっ? 旅ですか? そりゃあしましたよ。

 

 説教好きな地蔵少女をからかって遊んだり。

 マセガkじゃなくて、耳年増な鴉天狗と出会って色々話してあげたり。

 説教好きな地蔵少女で遊んだり。

 たまたま出会った萃香と一緒に旅をしたり。

 紫としゃべったり、拉致されたり。

 説教好きな地蔵少女でストレス発散したりしてきた。

 

 そう言えば、地蔵菩薩は道祖神と一緒にされていたり、閻魔王だとされている地域があった気がする。もう少し優しくしてあげれば良かったかもしれないね。

 そんな旅を続けてきた。

 

 そろそろ、家が欲しいなと思ってこの茶飲み屋さんで考えていた。すると出てきた団子がやたらと美味しかったので、働かせてくれと言ったらOKが出て、さらに住まわしてもくれた。

 本当、至れり尽せりである。ありがとうございます。

 

 俺は不老だから、いつまでたっても姿は変わらない。そのことを怪しまれる前に、ここを出ていかなければならないだろう。まぁ、ここの主人なら気にしなそうだけど……気さくでとても良い性格の方だもの。

 

「最近何か面白いこととかありますか?」

 

 お茶と団子を出しながらお客さんに尋ねてみる。

 

「お、ありがとよ。面白いことねぇ……かぐや姫だったかな? なんか大層麗しい女性がいて、帝も貴族も惚れ込んでいるらしいね。都ではそんな話ばっかだよ」

 

 ――まぁ、俺らみたいな平民にゃあ関係ないけどね。

 

 なんて言ってお客さんはカラカラと笑っていた。

 

 かぐや姫ねぇ……ああ、竹取物語か。それは確か月へ行く物語。

 月と言えば……えーりんは元気だろうか。

 

 ん? あれ? これフラグじゃないです?

 

 






地蔵菩薩が日本で広まるのは浄土信仰が広まってからですので、この時代に地蔵菩薩があるのはおかしいですね

まぁ気にしないでもらえれば助かります

主人公の中で行われていたバトルは一応実現可能なはず。

不思議な守り『ミカルゲ』もできるはずです
できなかったらごめんなさい


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